魔法の国のプリンセス

中山さつき

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幕間3

EP6:続・お世話妖精の憂鬱……?

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「はぁぁ……」

 もう何度目かわからないくらいについてしまったため息に辟易しながら、今日も着替えを済ませて嬉しそうに部屋を出て行く姫様を見送ります。
 私は魔王国第三王女、キラリ・フロース・ヒストリア様にお仕えするお世話妖精のアンでございます。

 今私がいるのは大地の深い場所にあるという冥王ハデス様の治める冥王国。
 この国に囚われて……いいえ、お世話になるようになって二週間が過ぎました。
 その間うちの姫様はというと……。
 扇情的な衣装を身につけて毎日冥王ハデス様、その方の寝室へと通っております。
 何をしているかなど聞かなくとも明白です。
 何故なら……。
 姫様が出てものの数分もすればーー。

「ーーはぅ!」

 ほらきた。体の中心から突如湧き上がる快楽の渦。
 体が火照り敏感な胸やアソコが疼きだす。
 触れてもいないのに快感はどんどん高まり、飛んでいるのはもちろん立っているのも辛くなり、私はあえなくベッドの上に座り込んでしまいました。

「ん……今日は一段と激し……ぁん!」

 体が弾むような刺激が突き抜けて行く。
 手を握りしめてその快楽に抵抗しなくてはならないのです。もしも、この身を焦がすような疼きに理性が飲まれてしまうと……。
 思い出したくもありません。私は私自身を慰めるような事は二度としたくありません……。
 何度も負けた事はこの際何処かへ放ってしまいましょう!
 今日は負けませーーンァ!?

「ぁん……姫さま、いつもより……んくっ……はげし……すぎですぅぅぅっーー!!」


 ……とそのような日々を過ごしておりますと、私自身いつのまにか快楽に飲まれることが少なくなってきました。慣れ……。最初はそのように思っていたのですが、ふと思い出して自分のステータスを確認してみたところ、快楽制御のスキルレベルが上がっておりました。どうやらこの爛れた日々も無駄ではなかったようです。これなら私はお世話妖精としての日常を過ごせそうです。
 ただ、今のこの状況では私のする事はほとんど何もありません。
 ちょうどいい機会です。あの憎っくきスライムのせいで身につけたスキルを確認する時間に当てましょう。
 あのスライムのせいで私まで桃色に変質してしまいました……のですが、そのおかげで身につけたスキルは今の私にとってとても有用なものでした。不本意ではありますが。
 ……それともう一つ、私を救い出してくださった姫さまのお姿が頭から離れなくなってしまいました。
 もとより姫さまの事は好いておりましたが、今のこの気持ちはそれとは異なるモノ。
 女の私が抱いてはいけない感情だと理解はしているのです。
 ですが、愛される事を拒まない姫さまならばあるいは私のこの想いも受け止めてくださるかもしれません。
 だからあの時の姫さまのお姿を思い出しながら私はスキルを制御してしまいます。
 姫さまにされているのではありませんが、姫さまと同じ感覚を共有する喜びを堪能するために……。

 いつかもう一つのスキルを使いこなして姫さまと……。
 これが最近の私の日常でございます。

「ぁぁ……姫さま……アンは……アンは……貴女様のことを……」

 そうして訪れた波の頂点に身を任せて私は……。
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