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第12話「商業ギルド」
しおりを挟む今日は俺も先生達もお休みの日。俺は先延ばしにしていたオセロの売却を相談するため、父さんの書斎の前に来ている。商業ギルドに持って行くにも父さんの許可は必要だろうからね。書斎のドアをノックすると父さんの声が聞こえてきた。
「父さん、クロードだけどちょっといいかな?」
「クロードか。入りなさい」
「失礼します」
ドアを開けて中に入ると、父さんは休憩中なのかお茶を飲んで寛いでいた。
「どうしたクロード、お前がここに来るとは珍しいな」
「うん、実は父さんにお願いしたいことがあって」
そう言ってソファに座ってから、テーブルの上に【無限収納】からオセロを取り出す。
「アイテムボックス!?」
あれ、そこから? そういえばまだ家族には言ってなかったかも知れない。
「最近使えるようになったんだ。便利だよねこれ」
「そ、そうか。だが無理はするなよ。アイテムボックスは魔力消費が激しいと聞くからな」
俺の【無限収納】はMPを使わない省エネ設計だ。物を入れ続けても特になんともならない。
「わかった。それでね、今日来たのはこの遊戯盤についての話なんだ」
「遊戯盤? これはなんなのだ?」
「これはオセロって言って、みんなで遊べるように作った娯楽の一つなんだ」
オセロのことをルールとともに説明する。父さんは興味深げに聞いてくれていた。
「それで商業ギルドから販売してもらおうと思ってるんだけど、その辺のことが何もわからないから父さんに相談しに来たんだ」
父さんは顎に手を当てて考え込んでいる。
「ふむ、話はわかった。今日は私も午後から商業ギルドに用事があって行くことになっている。お前も一緒に行くか?」
おお、ありがたい。渡りに船ってやつだ!
「うん! 一緒に行きたい!」
「わかった。時間になったらお前の部屋に呼びに行かせるから待っていろ」
「わかった! それじゃ待ってるね」
ソファを立とうとすると、父さんにガシッと肩を掴まれて阻止される。
「クロード、この商品が売れるかどうかを検証するのに、実際に経験したほうがいいと思うんだが」
要はやりたいってことですねわかります。
「…わかったよ。それじゃ対戦してみようか、父さん」
それから3回戦勝負して全部俺の勝ち。一応製作者だからね。もう一回! という父さんの横には、いつの間にかオリビア母さんが立っていた。
「…あなた。何を遊んでいるのですか? 休憩時間、終わっていますよね?」
「オオオオオオオリビア!? いつの間に!」
父さん動揺しすぎだろ。
「さっきからいましたよ。それで遊んでいる途中からね。それで、それはなんなんですか?」
「あぁ、これはクロードが作ったオセロというものらしい。今日の午後に商業ギルドに行くからそこで販売したいそうだ。それで本当に売れるかどうか実際に使って検証していたんだ。決して遊んでたわけではない! そうだろクロード! 遊んでないよな!?」
「アッハイ。ソウデスネ」
全力で遊んでいないことを主張する父さん。どれだけオリビア母さんが怖いんだ?
「はぁ…まぁいいですけど。それで売れそうなんですか? そのオセロというのは」
「ああ、これは売れるな。実際遊んでみてわかったが非常に奥が深い。それに戦略が求められるから頭の運動にもちょうどいい。娯楽に飢えている貴族連中にも人気が出るかも知れない」
「貴族にもですか!? それはすごいですね」
「ああ、だからクロード、これを売る時は一般用と貴族用、2つの種類の物を売り出したらどうだ?」
「貴族用の物ってどうすればいいの? オセロ盤を豪華にすればいいのかな?」
煌びやかなオセロってどうなんだろ。やってる最中目がチカチカしそうだ。
「そうだな。貴族は華やかさを求めるから豪華に見せたほうがいいだろう」
それなら金属製にして装飾施す感じかな。でも材料がないぞ?
「父さん、豪華なのはいいんだけど材料がないと作れないよ?」
「ん? クロードが自分で作るのか?」
「うん。金属の加工も魔法で出来るからね」
「そうか…すごいな。それならいいのがあるぞ。オリビア、先日アシュトレイ鉱山から取れた銀鉱石の塊があったろう。あれを持ってきてくれ」
「わかりました」
そう言うとオリビアママは退出する。ていうか銀鉱石って結構高いんじゃないのか? 大丈夫なのかそんなのオセロに使って…。
「父さんいいの? 銀なんて使っちゃって。すっごく高いんじゃ…」
「何を言っている。銀は金に比べたら大したことのない金属だぞ。相場的には金の8分の1くらいだ」
そ、そうなのか。この世界では価値低いんだな。日本じゃ純銀とかそこそこ高級品なのに。
「あなた、これでよろしいですか?」
オリビア母さんが、サムソンに頼んでバスケットボール大の塊を2個持ってきた。これだけの量があれば何枚かのオセロ盤も作れるだろう。
「どうだクロード、このくらいで足りるか?」
「うん! 充分作れるよ! ていうか貰っちゃっていいの?」
「かまわん。この金属は少々余り気味だからな」
余ってるんだ銀。結構使いそうなものだけど。
「わかった。ありがたく使わせてもらうね。午後までにはオセロ作りも間に合うと思うから、一緒に商業ギルドに持っていくよ」
そう言って銀鉱石の塊2個を無限収納にしまう。
「そんなに早く作れるのか!? ま、まぁそのへんは任せるよ」
「了解! それじゃ部屋に戻るね。オリビア母さんとサムソンもありがとう!」
「い、いえ、問題ないわクロード。頑張ってね」
「お役に立てて光栄です、クロード様」
そう言って足早に書斎を出て部屋に戻る。装飾も考えないといけないしね。
~父の書斎~
「…アイテムボックスなんて使えたんですね。クロード」
「ああ、他にも隠し玉があるみたいだな。あの金属の加工を午後までに終わらせるそうだし」
「金属の加工ですよね。そんな魔法どうやって…」
「わからん。が、クロードなら出来そうな気がするがな。俺の子だし!」
「親バカですね。まぁリューネとの子なのだから魔法の才能があるのはわかりますが。それじゃ、そろそろ仕事を再開しますよ。まだ処理しないといけない案件が溜まっているんですから!」
そう言って書類の束をドンッと机に置いた。
「お、おぅ。了解だ」
~クロード視点~
部屋に帰ってから先ほどの銀鉱石を2個取り出す。原石だし、このまま加工しても不純物が多くて綺麗にできないかもしれないな。魔法で分離できるかな?
《魔法創造起動。
術式構成:物質を単一物質に分離する。
術式名:分離魔法》
※分離魔法を創造するコストとしてMP400を消費します。よろしいいですか? Y/N
YESっと。そこそこのコストで創造できた。これで金属を分けることが出来るはずだ。それじゃ【分離魔法】発動!
銀の鉱石が光に包まれ物質ごとに分離していく。暫くするといくつかの金属に分離していた。【真眼】で見てみると、『銀』『銅』『鉄』・・・。金属に関する知識がないから『パラジウム』とか言われてもよくわからない。わからないのはどうしようもないので、とりあえず【無限収納】に入れとこう。純度100%の銀が出来たからOKだ。
んじゃ次に【変形魔法】発動! 純銀が光に包まれてオセロ盤と石に形を変えていく。前回違う素材で作っているので、オセロ盤のイメージはバッチリだ。
さて、装飾の部分だが…どうしよう。とりあえず横の部分を厚めにして龍でも掘っとこうか。ドラゴ○ボールの○龍みたいな龍をイメージ。穴を開けて掘るよりも叩いて凹ませる感じで刻んでいく。
…うん。それっぽく出来た。色はそのまま銀色で。マス部分はなんとなく赤でラインは黒にする。石は表はそのまま銀色、裏は金色にしてみた。成金趣味っぽいが貴族にはウケるかも知れない。着色魔法を発動して仕上げていく。
これで乾いたら純銀製オセロ貴族仕様完成だ! 純銀が余っていたので、一応予備品として同じものをもう一個作っておいた。
コンコンと部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「クロード様~! 旦那様がお呼びですよ!」
どうやらもう行く時間らしい。作業に集中してて気付かなかった。
「わかった! すぐ行くよ!」
純銀オセロ2組を【無限収納】に仕舞い、出かける準備をする。出来るだけ高値で売れるように頑張って交渉てもらおう。
部屋を出てエントランスに行くと、父さんとオリビア母さんが待っていた。
「お待たせ父さん、オリビア母さん」
「来たなクロード。それで貴族用のは出来たのか?」
「うん。これでいいか分からないから確認お願いしてもいいかな?」
そう言って【無限収納】から純銀オセロを取り出す。陽の光を浴びると横に彫った○龍が白く輝いている。
「こ、これは!」
「まぁ、これは綺麗ですね」
二人共純銀オセロ、特に横の彫り物に目を奪われていた。
「クロード、この横の模様はどうやって作ったんだ?」
「そこは魔法でちょちょいっと加工したんだ」
「やはり魔法か。しかしこれは凄いな。間違いなく売れるぞ!」
「そうですね、ここまで綺麗な彫り物は見たことがありませんから」
そうなのか? ただの○龍ですよ?
「それじゃ商業ギルドへ向かおう。サムソン、馬車を頼む」
「かしこまりました旦那様」
サムソンが御者をする馬車に乗り込み商業ギルドへ向かう。馬車の中では、父さんたちが純銀オセロをずっと見ていた。欲しいなら後であげようかな?
「クロード、あれが商業ギルドだ」
「あれがそうなんですね」
中央通りの一角に3階建ての大きい施設が建っていた。正門の上にでかでかと『商業ギルド』と看板が掲げてある。自己主張激しいな商業ギルド。
馬車を降りて父さん達と共に中へと入った。中にはやはり商人っぽい人が多く、冒険者の姿はあまりない。受付に行くと猫耳なお姉さんが対応してくれた。
「商業ギルドへようこそにゃ! ご要件をお伺いしますにゃ」
ご、語尾に”にゃ”!? 実在したのか!! ていうか猫人族ってみんなそうなのか!!?
「クロードどうした? そんな驚いて」
「う、ううん、何でもないよ父さん…」
「そうか。まあいい。領主のガルシア=グレイナード・ファルネスだ。商業ギルド長との約束があるのだが」
「領主様!? 申し訳ありませんにゃ、領主様とはつゆ知らず! 今呼んできますにゃ!!」
猫娘は父さんを知らなかったらしい。まぁ知ってたら領主様って自分から言うもんな。猫娘を待っていると白髪の長い髭を生やした老人がやってきた。
「お待たせしましたファルネス子爵」
「いや、大して待っていないさ。クロード、この人が商業ギルドマスターのジュブナイルだ。挨拶しなさい」
「初めまして、グレイナード家三男のクロード=グレイナードです! よろしくお願いします!」
元気よく挨拶し一礼する。初対面は第一印象が大事。婆ちゃんが言ってた。
「おやおや、行儀良い子だ。私は当商業ギルドのギルド長をやっているジュブナイル=ガーランドと申します。以後お見知りおきを。それではこちらへどうぞ」
ギルド長に案内されて奥にある来賓室へ通される。俺と父さんがソファーに腰掛けると、入口の扉がノックされる。誰か来たのかな?
「失礼しますにゃ。お茶をどうぞですにゃ」
先ほどの猫娘がお茶を運んできた。うおぉぉ! モフモフしたいよ! モフモフ!
「ありがとうリンダ。あとは私がやるから下がっていいよ」
「はいですにゃ。失礼しますにゃ」
猫娘の名前はリンダ。覚えておこう。要チェックや!
「それで今日のご用向きは、この間の…」
「いや、その前に見てもらいたい物がある。クロード、オセロを出してくれ」
「はい!」
とりあえず一般向けの木製オセロを取り出し、テーブルに置く。
「ありがとう。ジュブナイル、これを見て欲しい。これはクロードが作ったオセロという遊戯盤だ」
「ほう、遊戯盤ですか。どう使うのですかな?」
ギルド長はオセロを手に取り、細部まで眺めだした。
「それの使い方を説明しよう。取り敢えずテーブルに置いてくれ」
その後ルールを説明し、実際に遊んでみる。すると徐々にギルド長の目の色が変わっていった。
「これは素晴らしいですな! 子供から大人まで楽しめる上に戦略性も高い。娯楽が好きな貴族たちもこぞって買いますぞ!」
父さんと同じこと言ってるな。
「ああ、俺もそう思ってな。さらにもう一つ、貴族用のも作ってもらった。クロード、もう一つのも出してくれるか」
「わかりました父さん」
貴族用の純銀オセロを取り出す。
「こ、これは!!!」
「クロード、説明を頼んでいいか?」
「あ、はい。そのオセロは全て銀で作られています。盤面と石には魔法で着色してありますので滅多なことでは剥げません。あと横に描いた龍は、前に書物に乗っていたものを参考に掘らせていただきました」
ドラゴンボ○ルだけどな。
「これはすばらしい! 素材も混ざりものが少ない銀を使っているし横の彫り物、龍でしたかな? その龍が素晴らしい味を醸し出している。これを売っていただけると?」
「ああ。クロード、このオセロを自分で作って売るのと、権利を売って商業ギルドに生産してもらい、アイデア料として利益を得るのと、どちらがいい?」
んー、正直オセロを作って自分で商業ギルドまで売りに来る時間を考えたら、権利を売ったほうが面倒がないような気がする。その方が早く広まりそうだしね。
「それじゃ権利を売ろうと思います。自分で作るのも大変ですから」
「わかった。それじゃ商業ギルドでこれを生産して売り出して欲しい。この商品はかなり売れると俺は踏んでいる。クロードにはアイデア料として1個の売上の20%でどうだ?」
アイデア料で20%は暴利では?
「いやいや流石に20%は、制作費や宣伝費、その他もろもろを考えると…」
「流石にそれは舐めすぎだろう。クロードが苦労して考え出したものを安く引き取るつもりか?」
交渉は白熱していく。とりあえず売れればいいか、ぐらいに考えていた俺はただ聞くことしかできなかった。商人との価格交渉とかしたことないもの。
「…わかった。ではアイデア料は売上の15%でいいな」
「はい…かしこまりました。それでお受けしましょう。クロードくんもそれでいいかな?」
「はい。値段交渉は父さんにお任せしていますので大丈夫です」
「わかりました。それではこちらをどうぞ」
ギルド長が銀貨2枚と金貨3枚をテーブルに置いた。
「これは?」
「この木製のオセロと銀製のオセロの代金です」
この世界の通貨はわかりやすい。
銅貨=100円
銀貨=1000円
金貸=10000円
白金貨=1000000円
ざっくりいえばこんな感じである。つまり木製オセロは2000円、銀製オセロは30000円ってことだ。
高いのか安いのか相場がよくわからないが、横の父さんを見ると頷いていたので大丈夫だろう。俺は初めて、商売として自分で通貨を稼いだんだ。
「クロードくん、こちらで売り上げた際のアイデア料を支払うに当たって、振り込むための口座を作ってはいかがかな?」
「口座ですか?」
「この商業ギルドに登録すればすぐ作れるから、これから作りにいってほしいのです。係の者には伝えておきますので」
「わかりました。お願いします!」
「父さんはまだギルド長と話があるからここにいる。一人でできるな?」
「大丈夫です、父さん」
するとギルド長がベルを鳴らし、係員を呼ぶ。
「お呼びでしょうかにゃ、ギルド長」
「リンダ、この子がギルド登録するから受付を頼む」
「え、あ、かしこまりましたにゃ! それではこちらへどうぞですにゃ」
こんな子供が!?って顔してるな。5歳児ですが何か? しかし、リンダさんマジ可愛いな。縞々の猫耳に縞々の尻尾をフリフリして歩いている。今すぐ愛でたい。
「それじゃ行ってきます」
リンダさんと部屋の外へ出る。父さんたちはまだ大人の話があるようだし暫くかかるかな。
「それではこちらにお名前と誕生日、職業をお書きくださいにゃ」
中身は冒険者ギルドと同じだな。
「あの冒険者証を持ってるんですけど、それとは別ものなんですか?」
そういうと驚くリンダさん。こんな子供が冒険者やってることってあまり無いのだろう。
「冒険者だったのにゃ!? あ、失礼しましたにゃ。冒険者証があるなら、それを提出して頂ければ大丈夫ですにゃ。お預かりできますかにゃ?」
すぐに持ち直すとはさすがプロの受付嬢。俺の冒険者証をリンダさんに渡す。
「ディ、Dランク冒険者にゃんですね…」
「ええ、先日なったばかりですけど」
それを持って裏手に行き、何らかの作業をして戻ってきた。
「それではこちらをお返ししますにゃ。では商業ギルドとカードの説明をしますにゃ」
冒険者証を見ると、ちょっと変わっていた。
名前 クロード=グレイナード
年齢 5歳
職業 魔導師
冒険者ランク D 商業ランク F
クエスト受注数:3 成功数:3 失敗数:0
「商業ランクですか?」
「商業ランクは商人としてのランクですにゃ。ランクが上がれば上がるほど、商人としての信用度が上がりますにゃ」
「信用、ですか」
「はいにゃ、立地のいい土地を借りられたり、必要な人材の紹介や商品の融通などを優先的に与えることができますにゃ」
まぁそれも信用があるから出来るってことか。商売するなら積極的に上げた方がいいかもね。
「商業ランクを上げるにはどうすれば?」
「商業ギルドへの貢献として、税金を納めれば上がりますにゃ」
商人=税金。わかりやすいな。
「税金ってどのくらい取られるんですか?」
「税金はお売り頂いた商品の5%を徴収させていただいていますにゃ」
「結構持っていきますね」
「そういう規則ですので、申し訳ありませんにゃ」
まぁ仕方ないね。領主の息子としてそこは否定できない。そのあとは細かい規約の説明を聞いて、次に口座の説明に入った。
「商業ギルドでも冒険者ギルド同様、お金を預けることができますにゃ。冒険者ギルドと商業ギルドの口座は共通になりますので、どちらのギルドでも下ろすことは可能ですにゃ。口座からお金を下ろすときは、手数料として銅貨1枚を徴収させていただきますのでご了承くださいにゃ」
それは便利だね。わざわざ商業ギルド来なくていいし。
「以上で説明を終わらせていただきますにゃ。何かご不明な点はございますかにゃ?」
「いえ、今のところ大丈夫です。ありがとうございますリンダさん」
「はいにゃ! では、なにかありましたら、また受付までいらしてくださいにゃ」
「わかりました。ところでリンダさん…その猫耳、触っちゃダメですか?」
「え…え?」
残念ながらリンダさんには付き合い立ての彼氏がいるらしく、その人以外には触らせられないと断られてしまった。猫耳と付き合えるとか羨ましいな!
とりあえずこれでオセロ流通の手続きは終わったな。あとは放っておいても自然に流行りだすだろう。とりあえず稼いだお金で武器と防具を揃えたい。ゴブリンキングの装備は大きすぎて使えないし。
その日の夜、オリビア母さんからお呼びがかかり、家族全員でオセロ大会が開催された。
最初にルール説明をして練習したあとに勝負開始。父さんとフェリシア姉さん、フィリスは初戦敗退。シードの俺とオリビア母さん、リューネ母さんとサムソンの勝負に突入した。
「負けないよ~」
「ふふっ、久々に勝負ですリューネ!」
「この勝負、勝たせて頂きます」
「俺だって負けないよ! 製作者の名にかけて!」
結局俺はサムソンに勝ち、僅差でリューネ母さん負けた。最終的に一番強かったのはリューネ母さんである。
「やったー! 優勝だよ~!」
「負けた!? リューネに頭脳戦で!?」
「強くなりましたな、クロード様! うぅっ…」
「そ、それじゃ優勝したリューネ母さんにはこれあげるね」
【無限収納】から純銀のオセロを取り出す。もう一個の純銀オセロは、今回の勝者への景品にした。
「え! クロちゃんアイテムボックス使えたの!?」
「うん。最近覚えてね。結構便利だよね」
「もう、あんまり無理しちゃダメなんだからね! アイテムボックスは入れてるものに応じて魔力使っちゃうんだから」
俺の無限収納は以下略。
「うん、全然無理はしてないから大丈夫だよ。ありがとう! それよりこれ、受け取ってくれる?」
リューネ母さんに純銀オセロを渡す。喜んでくれるかな?
「わぁ~、綺麗なオセロだ~」
「ねぇクロくん、これどうしたの?」
「父さんに銀をもらって作ったんだよ。貴族に売る用にって」
「そっかぁ。うん、ありがとう! 大切に使うねぇ!」
リューネ母さんが喜んでくれたみたいで良かった。そんな感じで夜は更けていく。明日からまた先生たちと冒険者ギルドだ。Dランクになったし、面白い依頼あるかな?
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