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【IF】ff(フォルティシモ)【R18】

そのいち

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※注意!本編には関係ございません※

※ なんか良く分かんないんですが、急に降って湧いたIFのカンルート。分岐は本編『乙女ゲームに終止符を』の最終話あたり。
※ 多分何話か続く・・・かなぁ?不定期更新です。

※ あくまでもIFルートでございます。(大事なことなので2回言った)ご了承下さいませ。




**************







「リンさん。今晩、一緒に居ていいっスか?」



ポツリと、カン君が呟いた。


ヒルデ嬢への聴き取り後、彼女の転生事情は伏せ、妄想状態が酷いと言う事にし、領主様や騎士団長達に説明した。

こーくんは今回の件で、領主様達と顛末を擦り合わせる為に出かけている。
師匠も、ロイドさんを手伝って、騒動に加担した冒険者達や、冒険者ギルド職員の皆さん処遇整理をするらしい。

報告が終わった私達には、特にすることは無く。
冒険者ギルド出張所にある、高ランク向けのクエストでも暇つぶしに片付けようかと話していた矢先の、冒頭のセリフ。



「は?」



突然の申し出に、思わず横にいたカン君の顔を見上げて首を傾げてしまう。
すると、カン君が恐る恐る私を抱きしめた。



「ねぇ、リンさん・・・俺もリンさんの“ハジメテ”、が、欲しいです。」
 
「へ?」



申し訳無さそうに、でも何処か拗ねたような様子で。
ぎゅ、と腕に力が入った。



「・・・アッチでは、勿論コウさんが。コッチでは、師匠が頂いちゃってるじゃないすか。リンさんの“ハジメテ”。」


何のことさ、と思ったら。
・・・アッチの話、でしたか。

そらぁ、まぁ。
無論こーくんは初めて、でしたよ。
こっち来て身体が若返って、まさかと思ったけど、やっぱり処女になっちゃってたらしく。あの流れで、師匠に貰ってもらっちゃったわけで。

・・・でも、カン君にあげられるモノって、何あったべか?

囲われている腕の中で、ぐるぐると考えていると、少しカン君が身動ぎ、身体が離れた。
何だろうと思い、顔を上げる。

糸目の眦が、怯えたように下がり、私を見下ろしている。
一文字にきゅ、と結んだ口が、意を決したように開く。


「だから、リンさんの・・・ココの“ハジメテ”を・・・貰えません、か?」

「ひゃんっ?!」



何が?と思ったら、さわり、と、私のお尻に何かが触れた。
びくり、と後ろを見ると、彼の手が申し訳無さそうに、お尻に触れ、割れ目の後ろの方をなぞった。


・・・ソッチかーいっ!


思わず驚愕の表情で、彼を見る。
彼は、不安げな表情で私を見下ろしていた。

ここ最近の押しの強さが鳴りを潜め、この世界に来たばかりの時のような、おどおどした様子。

知らない世界にいる事が不安で、
戦う術を持たない自分が情けなくて、
どうしようもできない事に憤って。


・・・それでも、私を守りたいと、一緒にいたいと、言ってくれたのはいつだったか。


ふぅ、と軽く息を吐くと、彼はびくりとして、ますます怯えたような顔になった。

でも、抱きしめる腕は離さない辺り、諦めてはいないんだろう。

なんか、もう。
・・・絆されてしまってるんだよな。
こーくんと一緒だったけど、やる事はヤってしまっているワケだし。

つか。
貞操概念、こんなに緩かったかな。自分。

・・・まぁ、根底願望があって。ソレを現実化する気はない、というくらいの概念、と言ってしまえばそれまで、か。
現実化できないから、妄想で処理するよね。

ソレが現実化しても、問題ない社会なら。
咎められるモノは無いわけで。 

って、自分に言い訳しているのも、何だかなぁ。


いつまでも答えない私に、彼は、しゅん、と泣きそうな顔を見せる。
多分、他の人には無表情にしか見えない、分からないだろう表情。

・・・こんな所が、大型犬っぽいんだよなぁ。耳が垂れ下がるような幻覚が見える。

思わず、くすり、と笑ってしまった。


「・・・リン、さん?」


急に笑った私の意図が分からないのだろう。彼はこてん、と首を傾げた。
そっと、右手を伸ばして、彼の頬に触れる。


「・・・いい、よ?」

「え・・・?」


糸目が見開く。
見開いても、糸目だから、白い部分が見えにくいんだけど。


「いい、んスか?」

「・・・ん。でも、怖い事はやめて、ね?」


だって、ホントにした事ないから。
アッチの世界で、こーくんはそんな事しなかったし。
・・・コッチじゃ、なんか知らんがやる気満々だったな。

いずれにしろ、あの様子ならいつかはられる。
それに、妙に複数プレイを好むようになってるから、落ち着かない。

それを思えば。
まだ、カン君に、一対一で、ゆっくり方が、良いかもしれない、なぁ・・・

なんて。
そんな打算もあって。

でも、なんかなぁ。
良いのかなぁ?これ・・・


そんな事ぐるぐる考えながら、彼を見上げると、とっても良い笑顔でこちらを見ていた。

こんな顔見れただけで、まぁいっか、と思ってしまうあたり、私もどうかしてるよね。


「ありがと、リンさん。」


ぎゅう、と抱きしめる彼は、私の側頭部に頬を擦り付ける。


「・・・優しくする・・・優しく、する、から。痛み軽減や、腸を綺麗にして、広げてく術式を組み込んだ魔導具も作ったし。安心して?」

「ちょ?!」



・・・ぉい。
何か、えっらい、準備万端だなぁ、おぃ。



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※ とうとう、カンとマンツーです・・・が、続きは未定!!www
 本編が、一段落で血迷ったんだ・・・

※ [【IF】 We love you ,OK【R18】 ]の『I love you ,OK? *』の伏線回収の予定ですが、なかなか進みません・・・
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