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脅威との遭遇

211.竜狩りはそんなに甘くない

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劣竜種レッサードラゴンの前にはこーくんが立ち、攻撃しつつ挑発タウントも併用している。敵愾心ヘイトをコンスタントに稼いでいく。

カン君は、主にこーくんの援護。
魔法攻撃は、一気に敵愾心ヘイトを稼いでしまうため、防御力が下がり、一気に敵の体力を削れるまでは、温存する事に。
 【 重力緊縛グラビドバイン 】も、体力がある状態だと、振り切られてしまう可能性が高いので、使い所を見極めてる。

私は中距離射撃、といった所か。付かず離れずで、こーくんの攻撃の合間に、少しずつ削っていく。敵愾心ヘイトは持ってかないように。
無属性弾で麻痺とか毒とかイメージして撃ってもみたけど、あんま効かない感じだな。

ビガディール鹿モドキビグベルー熊モドキとは違い、やはり強さ・・・状態異常に対する耐性が強いのだろう。
こーくんの攻撃力低下や防御力低下といった弱体化デバフも効きが悪いみたい。

兎に角、自分達を強化バフして、物理攻撃でちまちま削る、という、基本攻撃しか最初はやりようがないみたいだ。

こーくんは風魔法を纏い、緩急をつけながら、縦横無尽に劣竜種レッサードラゴンの足元を動き回る。硬い鱗の隙間を抜い、何度も同じ場所を切り裂いている。
劣竜種レッサードラゴンは攻撃の焦点を絞れず、苛立っていた。

カン君はアルに使っている【 隠密ステルス 】を自分に使っているみたいで、気を緩めると、何処にいるのか分からなくなる。その状態で、こーくんの支援を重点的にしていた。

・・・誤射しないようにしなきゃなぁ。

こーくんが執拗に前足を狙っているのが分かったのか、 劣竜種レッサードラゴンは前足に魔力を巡らせ、身体強化を行なっているようだ。

私は集中を阻害するべく、顔面めがけて、土魔法の弾丸を撃ち込む。


「グガァァァアッッ!!!」


 劣竜種レッサードラゴンは怒り、土魔法が飛んできた側に向けて、風の咆哮を連続して放ってきた。
私を認識しているワケではないようで、ホントに手当たり次第といった様子だ。


「リンさんっ!?」

「だいじょぶーっ!っ?危ない!!」

「コウさん!」



カン君の焦った声が飛んでくる。
呑気に返事をしたその刹那。

咆哮が、こーくんにに向けて放たれた。カン君の支援魔法が間に合わず、また咆哮も今迄に無い威力であり、不意をつかれたこーくんが吹き飛ばされた。


「こーくん!!っ?!」

「グガァァァアッッ!!!」


私が声を荒げてしまった事で、 劣竜種レッサードラゴンは、私の位置を把握してしまったらしく、風の咆哮が指向性をもってくる。


「しまったっ!」


身体強化をかけて、崖の上を走る。
逃げる後を咆哮が抉っていった。

ちら、と見ると土壁に叩きつけられたこーくんの近くにカン君は既に居て、回復魔法をかけてくれている。
こーくんは直ぐに復活したみたいで、私は胸を撫で下ろす。

今は私が引きつけなきゃ。

走るスピードは落とさず、右手だけで銃剣相棒を支え、引鉄を引く。
照準は合わせていられない。土魔法から氷魔法弾へ切り替えて、兎に角、顔のあたりを目がけ撃ちまくる。


「グゴガァァァアッッ!!!」


急に風の咆哮が止み、 劣竜種レッサードラゴンは立ち上がるかのように両前足を上げた。
右前足から血が流れている。

その足元にはこーくん。
私が引き付けている間に、傷つける事が出来たようだ。
アソコが突破口になれば!

3人共にそれを思った瞬間。

 劣竜種レッサードラゴンは、風の咆哮を手当たり次第に撃ちまくりながら、羽ばたき始めた。


「不味い!飛ぶ!カン!!」

「はいっ! 【 重力緊縛グラビドバイン 】!!」


カン君が素早く拘束魔法を展開した。
 劣竜種レッサードラゴンの真下に光る魔法陣らしきものが浮かび上がり、飛び上がろうとした 劣竜種レッサードラゴンの体が沈み込む。

・・・わぁ、何か、ぶっとい黒い鎖みたいなエフェクトが見えるよー? 魔獣に対する時となんか違う。より強力になってるみたいだ。どういう原理なんだろかな?あれ。

こーくんが身構えて、前足への攻撃を再開する。
私も慌てて銃剣相棒を構え、発砲準備を行う。狙うは再度右目。

照準を合わせ引鉄を引く瞬間、目が合った。


『なにっ?』


劣竜種レッサードラゴンの顔がこちらを向き。


私が引鉄を引くのと。

大きな口を開けて、風の咆哮が放たれるのは同時だった。




「鈴!!」

「リンさん!!!」



2人の声が遠くに聞こえる。

迫り来る風の塊の前に、私は銃を抱えたまま動けなかった。
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