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15話 本当のアンリ(2)
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「……ジュリ」
アンリの瞳に、消えていた輝きが戻り、手から短剣が音を立てて落ちた。
私は急いでそれを拾い上げると、窓の外から放り投げた。カーテンを開けたせいで、中には眩しい太陽の光が入り込んだ。
「……っ」
アンリは苦しそうに目を閉じると、そのまま何も言わずにその場に崩れ落ちた。
「アンリ…っ、アンリ!」
駆け寄って体を抱き起こそうとすると、彼はうっすら目を開けてゆっくりと口を開く。
「ジュリ……俺はアンリの中にいる」
「リュカ?」
その声は間違いなくリュカのもので、そのままアンリの体の中に消えて行こうとしているのがわかった。
「待ってリュカ、私、あなたとちゃんと話を最後までしてない」
「俺はアンリだ。必ずまた会える、約束は果たさないといけないしな……それまでこいつを頼んだぞ」
私の頬にそっと指を触れ、ふっと微かな微笑みを浮かべて目を閉じた。
「リュカ……リュカっ!」
何度ゆすっても、もうアンリは目を閉じたままだ。慌てて胸に耳を当てると、鼓動は止まっていない。
(よかった……ちゃんと生きてる)
リュカと離れてしまった寂しさと、アンリに置いて行かれたような寂しさで、私は顔をぐしゃぐしゃにして泣いてしまった。大人になってこんなにも泣いたのは初めてじゃないだろうか。
両親が亡くなった時ですら、気丈にしていなければと涙をこらえていたのに。
(私……こんなに弱い人間だったんだ)
一人では生きられない弱さを、こんなところで実感することになるなんて。私は複雑な気持ちを抱きながら、しばらく涙が止まるのを待った。
ようやく涙も落ち着き、私は信頼できる家来のリカルドを呼んでアンリを彼の部屋のベッドに運ぶのをお願いした。屈強な腕を持ったその男性は、見かけによらず繊細で優しいのを知っていたから。
「アンリ様は大丈夫なのですか」
布団をかけながら、寝顔を見つめていると、リカルドが心配そうに尋ねる。
「わからないけど、多分眠っているだけだと思う。エリオがいてくれたらもっと何かできるかもしれないんだけど」
(そういえば、あの後エリオはどうしたんだろう)
いつもはこういう時にさりげなく現れてフォローしてくれるのに、今の所姿を見せる気配はない。
「エリオ様でしたら、しばらく戻れないかもしれないとおっしゃってまして。この手紙を預かっています」
「え…っ」
アンリの瞳に、消えていた輝きが戻り、手から短剣が音を立てて落ちた。
私は急いでそれを拾い上げると、窓の外から放り投げた。カーテンを開けたせいで、中には眩しい太陽の光が入り込んだ。
「……っ」
アンリは苦しそうに目を閉じると、そのまま何も言わずにその場に崩れ落ちた。
「アンリ…っ、アンリ!」
駆け寄って体を抱き起こそうとすると、彼はうっすら目を開けてゆっくりと口を開く。
「ジュリ……俺はアンリの中にいる」
「リュカ?」
その声は間違いなくリュカのもので、そのままアンリの体の中に消えて行こうとしているのがわかった。
「待ってリュカ、私、あなたとちゃんと話を最後までしてない」
「俺はアンリだ。必ずまた会える、約束は果たさないといけないしな……それまでこいつを頼んだぞ」
私の頬にそっと指を触れ、ふっと微かな微笑みを浮かべて目を閉じた。
「リュカ……リュカっ!」
何度ゆすっても、もうアンリは目を閉じたままだ。慌てて胸に耳を当てると、鼓動は止まっていない。
(よかった……ちゃんと生きてる)
リュカと離れてしまった寂しさと、アンリに置いて行かれたような寂しさで、私は顔をぐしゃぐしゃにして泣いてしまった。大人になってこんなにも泣いたのは初めてじゃないだろうか。
両親が亡くなった時ですら、気丈にしていなければと涙をこらえていたのに。
(私……こんなに弱い人間だったんだ)
一人では生きられない弱さを、こんなところで実感することになるなんて。私は複雑な気持ちを抱きながら、しばらく涙が止まるのを待った。
ようやく涙も落ち着き、私は信頼できる家来のリカルドを呼んでアンリを彼の部屋のベッドに運ぶのをお願いした。屈強な腕を持ったその男性は、見かけによらず繊細で優しいのを知っていたから。
「アンリ様は大丈夫なのですか」
布団をかけながら、寝顔を見つめていると、リカルドが心配そうに尋ねる。
「わからないけど、多分眠っているだけだと思う。エリオがいてくれたらもっと何かできるかもしれないんだけど」
(そういえば、あの後エリオはどうしたんだろう)
いつもはこういう時にさりげなく現れてフォローしてくれるのに、今の所姿を見せる気配はない。
「エリオ様でしたら、しばらく戻れないかもしれないとおっしゃってまして。この手紙を預かっています」
「え…っ」
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