竜神に転生失敗されて女体化して不死身にされた件

一 葵

文字の大きさ
35 / 129
パーティ結成

二人の思い

しおりを挟む
「アリアさん、こちらは?」

 ロイヤードはクラガとエリシアを見ると、こちらへ紹介を促してきた。

「私の友人です。クラガさんは私の武器を作ってくれている専属鍛冶師さんで、エリシアさんは……」

 あれ、そういや貴族の娘って言わない方が良いのか? 前なんかケーデに誤魔化してたし。

「初めまして。エリシアと申します。アリアさんとは少し前にご縁がありまして、それから仲良くしてもらっていますの」

 俺が困っているのを察したのか、エリシアは自分でロイヤードに挨拶した。
 なるほど。取り敢えず貴族ってことは言わない方が良いらしいな。

「初めまして。私はロイヤード=ウェリブと申します。先ほどの話では貴方方も冒険者になりたいとのことでしょうが……」

 ロイヤードは一度言葉を切るとジッと二人を見た。

「……ふむ。エリシアさんは中々の魔力をお持ちのようだ。それにエルフの方にしては珍しく剣術も得意とお見受けします。ですがそちらは並みといったところですね。クラガさんは……鍛冶師というだけあって腕力だけはあるようですが、それ以外は……」

 凄い。見ただけでそこまでわかるなんて。
 しかしクラガへの言葉が馬鹿にするような物言いで無意識にムッとした表情を浮かべてしまい、それはケーデも同様だったようだが当の本人は何も気にしていない様子だった。

「へいへい。おうアリア、待たせて悪かったな。打ち直し終わったぜ」

 クラガはロイヤードの肩を掴んで退かせると、荷物を下して一振りの刀を差しだした。

「わっ、もう出来たんですか!?」
「おう。だけど出来は前以上だぜ」

 以前竜の目に襲われたときに無茶な使い方をしたから鞘は砕けてしまったが、刀の方も刃こぼれやら結構なダメージがあったらしい。クラガさんに直してもらおうとしたのだが、未完成でもあの程度で砕けるなんて俺のプライドが許さないとかで、一から打ち直してもらっていたのだ。

「さっさと仕上げしてぇんだが、今日か明日空いてるか?」
「どっちでも大丈夫です!」
「じゃあ今日やっちまうか!」
「これは……。先ほどの言葉、訂正しましょう。貴方の鍛冶師としての腕は素晴らしいもののようですね。私の武器も貴方にお願いしたいほどです」

 クラガの打った刀を見て、ロイヤードはクラガに謝罪した。こいつ基本的に根っから嫌な奴ってわけではないんだよな。そのせいで嫌い切れないし、変人であることは間違いないけど。

「悪ぃな。さっきも言ってたが俺はこいつの専属だ。俺の腕はこいつの為だけに振るおうって決めてんだ。まあそこのエルフ女にもやってやってるが、そこは仲間特典ってやつだな」
「ちょっとエルフ女はあんまりでは!?」
「はは。流石アリアさんのご友人。良い方たちですね。お二人を邪険にして貴女を勧誘しても嫌われてしまいますね。それでは本末転倒です。いつかパーティ同士の合同訓練、という形で是非ご一緒しましょう」
「ええ、それなら是非」

 ロイヤードはそう言い去っていた。ほんと、変態でさえなければただのいい奴なんだが……それよりも。

「そういえば、二人ともどうしたんですか? さっき冒険者になるみたいなこと言ってましたけど……」
「みたいじゃなくて、そのまんまだよ。俺らも冒険者になりに来たんだ」
「どうしてまた」
「あーまあ、な。特に深い理由はねぇよ、な?」

 分かりやすく誤魔化すクラガに、エリシアは呆れたようにため息をついた。

「クラガさん、ここは下手に誤魔化すより素直に言った方が良いですわよ。ボロボロになって守られるのは気に入らないって」
「んなっ、そんな言い方してねえだろうが!」
「意味としては同じでしょう。それに私だって同じです。後ろでただ守られるより、横に立って支え合いたい。そう思って冒険者になろうと決意したんです」

 そんな風に思ってくれていたのか。……ちょっと嬉しいな。

「……あれ、エリシアさん。ご家族の方は……絶対反対したんじゃ」
「ええ。お父様は元々貴族の娘という立場に縛られず、自分の人生を歩んでほしいとは考えていたらしいのですが、それでも命の危険が付きまとう冒険者は流石に中々納得して下さらなかったのですが、アリアとクラガさんのお陰で助かりましたわ」
「え、私ですか?」

 何かしたっけ? と首をひねると、クラガが苦笑いでエリシアの腰に差してある木刀を指さした。

 ……ああ、説得脅しか。
 まあ最終的に双方納得したのだろう。そうじゃなかったらラウド経由で冒険者になれないように根回しとかしてるだろうし。

「それじゃあ二人ともこれから試験なんですね。受付ってもう済ませました?」
「おう。ついさっきな。戦闘試験なんだっけか?」
「はい。勝ち負けというよりは内容でみたいです」
「ふーん。まっ、勝つに越したこたぁねぇだろ」
「あはは……」

 そういえば。エリシアは魔法と木刀で戦うってのは分かるけど、クラガってどうやって戦うんだろ。後ろに背負ってる袋に入ってるのかな?
 聞こうとしたが、それより前に受付から二人が呼ばれそのまま教官にそれぞれ連れられ訓練室へと歩いて行った。

 うぅむ。気になる。さっきはとっさの言い訳だったけど、二人とパーティを組むってのはかなり理想形な気がする。どうせなら受かってほしいし……ちょっと覗きに行くか。

 そう決めると外から覗き込もうと一度外へ出た。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...