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さらなる高みへ
今の俺にできる事
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「ここから外に出たみたいですね」
魔力の痕跡を辿っていくと、人一人がぎりぎり通れそうな穴の空いている城壁に辿り着いた。
「外から壊されてる。サリーナの言ってた穴はこれのことだと思うけど、その事を伝えた冒険者も補修も来る気配がないって事は、その冒険者が今回の犯人」
「ですよね……でも、なんで」
「別に、人攫いなんてそれ程珍しくもないよ。少ないけど、奴隷制がまかり通ってる国もある」
俺の疑問に、レイは当然の様に答える。アルガーンではそういったものが一切ないから気にしなかったが、やっぱりあるのか。
返事に詰まらせていると、レイは腰に下げた刀を強く握った。
「けど、許されるかどうかとは話が別。助けよう」
「はい!」
そうして俺たちは穴をくぐり国外へ出る。そとは城壁の外周を囲む土をならした道があり、その直ぐ向こうには森が広がっていた。そして外周の道には二本の新しい車輪の跡が残っている。
「ここから馬車で逃げたんですね」
「そうみたい。行こう」
そうして俺たちは再び走り出す。それからしばらくして遠くに馬車の荷台の姿を捉えた。
「見つけた!」
「うん。……でも、おかしい」
レイの言葉に、俺もようやくその馬車のおかしさに気づいた。
馬車は動いておらずその場に留まっている。まだ城壁の外周の道だ。休憩するにしてももっと離れた場所だろう。それに何より、魔力探知では馬車の所には何もいない。
そして追いついた俺たちが見たのは、誰もいない荷台と食い荒らされた馬の残骸だった。
「これ、は……」
「多分ここで魔物に襲われたんだと思う。けど大丈夫。影を移動する魔法で逃げたみたい。多分今は森の中」
「探してみます」
俺は魔力探知で森の中を調べるが、魔物や他の生物の反応も引っかかって特定が出来ない。
「落ち着いて。攫われた子は四人。攫ったのは多分二人くらい。魔物から逃げるのに子供を置いて行かないくらい執着があるんだったら、多分今も一緒にいるはず。その集団の反応だけに絞って」
焦る俺に、レイは肩に手を置き落ち着かせるよう静かに語りかける。
「それに、今は一時的に森に逃げ込んでるけど縄張りに飛び込んだようなものだから平原の方に出ようとするはず。そんな動きをしている反応だけを探せば良い」
レイの声は不思議と俺を落ち着かせ、冷静に反応を調べることが出来た。
六人前後以外の集団の反応は無視。遠くにあるもの、奥へ向かっているものも無視だ。そこまで距離は離れていなくて、森から出ようとしている反応だけを……見つけた!
「ありました、あっちです!」
森から出ようとしている六つの反応を見つけその方向を指さすと、レイは直ぐ俺を抱えて駆け出した。
立ち塞がるような木々をすり抜ける様に最小限で避けるレイに、俺は反応の位置を確認し軌道修正の指示を出す。そして直ぐに木々の隙間からニーアらしき姿を捉えられた。
「いた!」
「――っ!」
ようやく見つけたニーアの姿。しかし同時に、狼型の魔物の姿も露わになった。
刹那、視界が加速した。障害物がなくなった事により避ける必要がなくなったレイのスピードが最高速になり、十メートル以上離れていた狼の首が黒刀によって刎ね飛んだ。
「ニーア! 大じょ、う……ぶ……」
元々ここにあった反応は六。首を刎ねられた狼と俺達の到着で増減して七。攫われた子供は四。攫った犯人が一人なら数は合う。
だが俺は探知の最初に六つ前後以外の反応は出ない様にに除外していた。だから気づかなかった。
移動中はその集団の反応しか見ていなかった。反応はずっと六つだと思い込んでいた。だから一瞬の増減にも気づかなかった。
最初と今とでは、数は同じでも感知した魔力の質が一つを除いて全て違うことに、気づかなかった。
そこにあったのは呆然と座り込むニーアの姿とこちらを警戒し睨む四体の狼。そして乱雑に食い散らされた五つの死体だけだった。
魔力の痕跡を辿っていくと、人一人がぎりぎり通れそうな穴の空いている城壁に辿り着いた。
「外から壊されてる。サリーナの言ってた穴はこれのことだと思うけど、その事を伝えた冒険者も補修も来る気配がないって事は、その冒険者が今回の犯人」
「ですよね……でも、なんで」
「別に、人攫いなんてそれ程珍しくもないよ。少ないけど、奴隷制がまかり通ってる国もある」
俺の疑問に、レイは当然の様に答える。アルガーンではそういったものが一切ないから気にしなかったが、やっぱりあるのか。
返事に詰まらせていると、レイは腰に下げた刀を強く握った。
「けど、許されるかどうかとは話が別。助けよう」
「はい!」
そうして俺たちは穴をくぐり国外へ出る。そとは城壁の外周を囲む土をならした道があり、その直ぐ向こうには森が広がっていた。そして外周の道には二本の新しい車輪の跡が残っている。
「ここから馬車で逃げたんですね」
「そうみたい。行こう」
そうして俺たちは再び走り出す。それからしばらくして遠くに馬車の荷台の姿を捉えた。
「見つけた!」
「うん。……でも、おかしい」
レイの言葉に、俺もようやくその馬車のおかしさに気づいた。
馬車は動いておらずその場に留まっている。まだ城壁の外周の道だ。休憩するにしてももっと離れた場所だろう。それに何より、魔力探知では馬車の所には何もいない。
そして追いついた俺たちが見たのは、誰もいない荷台と食い荒らされた馬の残骸だった。
「これ、は……」
「多分ここで魔物に襲われたんだと思う。けど大丈夫。影を移動する魔法で逃げたみたい。多分今は森の中」
「探してみます」
俺は魔力探知で森の中を調べるが、魔物や他の生物の反応も引っかかって特定が出来ない。
「落ち着いて。攫われた子は四人。攫ったのは多分二人くらい。魔物から逃げるのに子供を置いて行かないくらい執着があるんだったら、多分今も一緒にいるはず。その集団の反応だけに絞って」
焦る俺に、レイは肩に手を置き落ち着かせるよう静かに語りかける。
「それに、今は一時的に森に逃げ込んでるけど縄張りに飛び込んだようなものだから平原の方に出ようとするはず。そんな動きをしている反応だけを探せば良い」
レイの声は不思議と俺を落ち着かせ、冷静に反応を調べることが出来た。
六人前後以外の集団の反応は無視。遠くにあるもの、奥へ向かっているものも無視だ。そこまで距離は離れていなくて、森から出ようとしている反応だけを……見つけた!
「ありました、あっちです!」
森から出ようとしている六つの反応を見つけその方向を指さすと、レイは直ぐ俺を抱えて駆け出した。
立ち塞がるような木々をすり抜ける様に最小限で避けるレイに、俺は反応の位置を確認し軌道修正の指示を出す。そして直ぐに木々の隙間からニーアらしき姿を捉えられた。
「いた!」
「――っ!」
ようやく見つけたニーアの姿。しかし同時に、狼型の魔物の姿も露わになった。
刹那、視界が加速した。障害物がなくなった事により避ける必要がなくなったレイのスピードが最高速になり、十メートル以上離れていた狼の首が黒刀によって刎ね飛んだ。
「ニーア! 大じょ、う……ぶ……」
元々ここにあった反応は六。首を刎ねられた狼と俺達の到着で増減して七。攫われた子供は四。攫った犯人が一人なら数は合う。
だが俺は探知の最初に六つ前後以外の反応は出ない様にに除外していた。だから気づかなかった。
移動中はその集団の反応しか見ていなかった。反応はずっと六つだと思い込んでいた。だから一瞬の増減にも気づかなかった。
最初と今とでは、数は同じでも感知した魔力の質が一つを除いて全て違うことに、気づかなかった。
そこにあったのは呆然と座り込むニーアの姿とこちらを警戒し睨む四体の狼。そして乱雑に食い散らされた五つの死体だけだった。
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