5 / 64
第5話
しおりを挟む「注文承りましたー!」
パタパタと走り去る少女を横目に、ルイスはロベルトの事を再度睨みつけた。
「おい、お前もこの店に来たのは初めてではないのか?あっさりと注文を決めるから悩む暇が無かったではないか。」
「えぇ、初めてですよ。ですがここの生姜焼きとやらがとても美味しいと団員から聞いていたので」
何とちゃっかりしている。それなら俺にも教えてくれても良かったであろうに。
そんなこんなで数分待っていると美味しそうな匂いが厨房の方から漂ってきた。
「いい匂いだ」
「そうですね、これは期待できます」
漂う匂いにあれだけ食欲の無かった胃からグーとなる音が聞こえた。
なんと食欲のそそる匂いなんだ。
「「お待たせいたしました」」
そう思っていると先程の可愛らしい美少女と共に、目の覚める様な美女が料理を持ってやってきた。
きっと彼女があの団員達が言っていた美人姉妹の姉の方であろう。少女によく似たピンクゴールドの長い髪を頭の高い位置に1つにくくりあげ、宝石をはめ込んだ様な碧の瞳がこちらを写し、優し気な笑みを浮かべている。
社交界でも見る事が無いほどの美女に目を奪われる、しかも今まで一度も向けられた事が無いほどの笑顔についつい時を忘れてしまいそうになった。
「団長?」
「はっ!す、すまん」
時を忘れているとロベルトから声をかけられた。
「こちらがBセットです!」
「こちらがAセットです唐揚げはレモンを絞って頂くとさっぱりして美味しいですよ」
妹のレティシアはロベルトにBセットのオークの生姜焼きを渡し、姉のソフィアはルイスにAセットのロックバードの唐揚げを渡す。
「ありがとう…美味そうな匂いだ」
「ありがとうございます。本当に美味しそうですね」
「ふふ、ありがとうございます。熱いのでお気をつけてお食べ下さいね。」
「あぁ、頂きます」 「頂きます」
「「ごゆっくりどうぞ」」
美人姉妹にも驚いたが、目の前に置かれた見慣れない料理にもとても目が奪われた。
艶々のライスに、野菜が沢山入っているのが分かるスープ、そして一口サイズの茶色くゴツゴツした丸い物体から漂う香ばしい香り。
少女の説明通り肉に衣がついているのであろう、少し硬そうに見える。
レモンをかけたらさっぱりすると言っていたがまずは、そのまま頂いてみる。
サクッ…
「なんとコレは!」
硬いかと思っていた衣はサクッとしていて硬すぎず、中は非常に柔らかく噛むたびに肉汁が口の中に溢れ出してとてもジューシーである。
「美味い」「美味しい」
ロベルトも美味しかったのであろう、一言美味いと口にしてから
目を輝かせ黙々と目の前の料理を口に運んでいる。
「なんと美味い料理なんだ…このスープも初めて食べる味だが優しく、野菜の甘みが引き出されている。
ライスもオススメされただけある、これは唐揚げにとてもあって手が止まらない!
すまない!ライスのお代わりを頂けないか」
「自分も!」
「はーい!ただいま!」
ライスの減りが早い、騎士はライスのお代わりが無料なのが本当にありがたい。
少女が持ってきてくれた2杯目のライスも次々に無くなっていく。
「ふぅ…そういえば唐揚げにレモンが合うと言っていたな、かけてみるか」
皿の端にあった切れたレモンを摘み唐揚げに数滴絞って一口噛ってみると爽やかな香りが鼻に抜ける。
これもまた美味であった、肉の油とレモンがマッチして飽きが来ず無限に食べれそうだ。
昼間はあれ程食欲が無かったのが嘘のように目の前の皿から料理が腹の中へと消えていった。
「美味かった…。」
「本当にです。」
ロベルトの方も気がついたら皿から料理が無くなっていた、あれだけ美味そうに彼が料理を口にしている姿を見るのは初めてであった。
「「ごちそうさまでした」」
一心不乱に食べていたからであろうか、知らないうちに店の中にはウチの騎士団の団員達の姿がありとても賑わっていた。
これだけ美味い料理を出す店だ、団員たちが気に入るのも無理はない…そう言う自分も胃袋が掴まれてしまったみたいだ。
0
あなたにおすすめの小説
山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する
紅子
恋愛
この世界には魔女がいる。魔女は、この世界の監視者だ。私も魔女のひとり。まだ“見習い”がつくけど。私は見習いから正式な魔女になるための修行を厭い、師匠に子にゃんこに変えれた。放り出された森で出会ったのは山賊の騎士団長。ついていった先には兄弟子がいい笑顔で待っていた。子にゃんこな私と山賊団長の織り成すほっこりできる日常・・・・とは無縁な。どう頑張ってもコメディだ。面倒事しかないじゃない!だから、人は嫌いよ~!!!
完結済み。
毎週金曜日更新予定 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜
伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。
ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。
健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。
事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。
気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。
そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。
やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
守護契約のはずが、精霊騎士の距離が近すぎて心拍がもちません―― 距離ゼロで溺愛でした。
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済:全8話⭐︎
ーー条項:心拍が乱れたら抱擁せよ(やめて)
村育ちの鈍感かわいい癒し系ヒロイン・リリィは、王都を目指して旅に出たはずが――森で迷子になった瞬間、精霊騎士エヴァンに“守護契約”されてしまう!
問題は、この騎士さまの守護距離が近すぎること。
半歩どころか背後ぴったり、手を繋ぐのも「当然」、心拍が乱れたら“抱擁条項”発動!?
周囲は「恋人だろ!」と総ツッコミなのに、本人たちは「相棒です!」で通常運転。
守護(と言い張る)密着が止まらない、じわ甘コメディ異世界ファンタジー!
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる