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〜閑話休題〜レティシアはその頃
しおりを挟む「暇だなー」
お姉ちゃんが団長さんとお出かけすると言って家を後にした後、私は1人暇を持て余していた。
シーンと静まりかえった家に一人でいるのは寂しいので街へ出る事にしたのだが、特にこれといって用事とか無いのでブラブラと散策していた。
「森にでも行こうかな…でも着替えに戻るのも面倒だな」
せっかくお姉ちゃんが選んでくれて着た服も見せる相手がいないので少ししゅんとした気持ちになったし、
狩りに行く服に着替えて森に行くのも良いかと思ったけど着替えに家に戻るのも少し億劫だった。
見慣れた街をただ歩いていると、見知った人物が目の前から歩いてきた。
「これはレディお久しぶりです、外で会うとは奇遇ですね」
「副団長さん!お久しぶりです」
【まんぷく亭】の常連の一人である、黒髪と青の瞳がとても素敵なイケメン副団長さんだったのでにっこり挨拶をすると、彼も私に気が付きにこやかに返事をしてくれた。
「お元気そうですね、私の名前はロベルト・ディアスと申します。しがない騎士爵ですので、良ければ副団長さんではなくロベルトとお呼び下さい」
「はい、じゃあ私はレティシアって呼んでくださいね!」
「ありがとうございますレティシアさん、今日はお一人なのですね」
「そうなんです…姉は今頃団長さんとお出かけしてます」
「団長と…あぁ、そういえば団長がそんな事を言っていましたね」
気さくな雰囲気で喋りやすいロベルトさんについついそんな話をすると彼も団長さんに何か聞いたのだろう、思い出したかの様な顔をして納得していた。
「だから、特にする事も無くて暇だから歩いてただけです」
「そうなのですね、では、良ければ私と一緒に歌劇でも観に行きませんか?」
「え、歌劇って貴族の人が良く見るやつですよね?」
ロベルトさんからの突然の誘いに驚くが、歌劇と言うワードに少し興味が湧いた私はつい聞き返してしまった。
そんな私に説明する様にロベルトさんは2枚のチケットをポケットから取り出して話しだした。
「歌劇は貴族限定では無いですよ、丁度市民に人気な歌劇団が王都に来ているのです。
その歌劇団に勤めている知り合いからチケットを二枚頂いたのですが、他に一緒に行く相手もいなく、
ですが行かないというのも悪いので、今から一人で行こうとしていたので良かったらですが…」
「そうなんですね!ではご一緒させて下さい、歌劇一度見てみたかったんです」
ロベルトさんの説明になるほどと、納得した私は観た事がない歌劇を観たさに彼の好意に甘える事にした。
そうと決まった私達は歌劇のする劇場に向かった。
何となく大きな建物があるとは知っていたが、この建物が劇場だと知った私は驚いた。
近くに行くとその建物はより大きく見た、劇場は市民の娯楽の場所なのだろうか、人気の歌劇団と言う事もあって結構な人で賑わっていた。
「初めて来ましたけど凄いです」
「私もです、ここまで人気とは知りませんでした」
歌劇でする物語の物品販売も行っているみたいで多くの女の子達が集まって賑やかだ。
「劇はどんなストーリーなんですか?」
「ラブストーリーと伺ったのですが細かな内容は……あぁ、物品販売所でパンフレットが売っているので買ってきても宜しいですか?」
「はい、ここで待ってますね!」
「直ぐに戻りますので」
そう言って走っていったロベルトさんを待っていると、直ぐにパンフレットの入った袋を持って戻って来たのでそのまま劇場の中へと入った。
席が階段状になっており、後ろの席の方でも舞台が見えやすくなっている。
ロベルトさんに着いていき中央の舞台が見えやすい席へと座った。
「凄いです、舞台が良く見えますね」
「そうですね、きっと友人が気を利かせて良い席をとってくれたのでしょう。
パンフレットによると今回の演目は呪われた王子と虐げられた貴族の女の子とのラブストーリーの様ですね」
「そうなんですね!楽しみです」
しばらくすると、会場の灯りがスッと消え暗くなると始まりの合図のベルがジリリリと鳴った。
幕が上がり舞台が始まった。
✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
側妃に呪いをかけられた王子と継母に虐げられている貴族の女の子との恋愛ストーリー
母親が死んでしまい後妻と義理の姉に虐げられている女の子。父親は外交大臣の為多忙でなかなか家に帰ってこないから実の娘が後妻達に虐げられ暴力を振るわれている事を知らない。
いつも家に居場所が無い女の子は居場所を求めて森へ出掛ける。
森には魔物が出るから一人では行っては行けないと父親が言っていたけど、家にいた方が怖い事が起こるからいたくないのだ。
今日もリスや小鳥などの小動物と楽しく戯れていると大きな見た事もない魔物が森の奥から表れた。
小動物は逃げていき、自分も逃げなければと走るが木の根に足を取られ転けてしまう。
襲い掛かってくる魔物にもう駄目だと目を瞑るが
いつまで経っても衝撃が来ないので恐る恐る目を開けるとそこには、自分と魔物の間に立つ白銀の狼の姿があった。
女の子を守る様に勇敢に戦う白銀の狼はあっという間に怖い魔物を追い払ったのだ。
だが、戦っている最中に負ったのだろう
足を引きずるように歩き、遂にはパタリとその場に倒れてしまったのだ。
「狼さん!」
助けてくれた恩人の狼へと駆け寄る。
近くで見ると至る所に傷跡が沢山あった、先程の戦い以外で負った古い傷もあるみたいだ。
「こんなに沢山傷付いているのに私の事を助けてくれたの?」
その心優しく勇敢な狼にポロポロと涙が零れた。
すると、どうだろう
零れた涙が狼の傷跡へ落ちると優しい光が狼を包み込んだのだ。
「え?」
その光は徐々に強くなっていき、最後には狼が人の姿へと変わっていったのだ。
そして光が消えると狼と同じ白銀の髪を持った美丈夫な男性へと姿を変えたのだ。
「ありがとう…運命の乙女よ。おかげで元の姿へと戻ることが出来た」
何と狼は隣国の王子だったのだ。
自分の息子を王にしたいと画策した側妃に呪いをかけられてしまい狼の姿へ変えられてしまったのだと言う
呪いを解くには呪った人間が解呪するか運命の乙女の涙と決まっており初めは呪った魔法師を探していたのだが側妃に殺されてしまっていたのだ。
その為王子は運命の乙女を探すべく旅に出ていたのだが見つからず森を力なく彷徨っていた。
そろそろ死に場所を考えていたからどうせなら最後に人を助けて死のうと思い魔物から守ってくれたのだと。
「良かった…本当に呪いが解けて」
「君のおかげだ、この礼はいつか必ず」
「良いんです、王子様も私の事を助けてくれたのですから」
「心優しいんだね…いつかまた会おう。どうかそれまで待ってて欲しい」
こうして無事に王子は国へ帰る事が出来たが、女の子の虐げられる日々は相変わらず変わらない。
そんな日々を過ごしていると父親が久しぶりに家へと帰ってきたのだ、父親がいると継母も義姉も手を出してこないしご飯も食べれるのでホッとした女の子。
すると父親から、隣国のパーティーに一家で呼ばれているから準備する様に言われた。
隠してあった母の形見のドレスを身に纏い隣国のパーティーへと出席する。
「久しぶりだね、君に会えて嬉しいよ」
「王子様」
あの森で出会った王子と再開したのであった。
また出会えた事に感動していると王子にダンスを誘われ踊る。
まるで羽が生えたかのような軽やかなステップに会場全体が二人の事を見ている。
そしてダンスの曲が終わり、徐に王子はその場で跪いた。
「私は貴女と出会えたお陰で今もこうして生きていられる。これからは貴女と共に幸せに生きていきたい。
一生私が貴女を守ると誓います、どうか私と結婚して下さい」
「はい、喜んで。私も貴方と幸せに成りたい」
感激の涙を流す女の子を抱きしめる王子様
そんな二人を祝福する様に会場で拍手で湧き上がった。
こうして虐げられていた女の子は隣国の王子と結婚し幸せになりましたとさ
✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
フィナーレと共に大きな拍手と歓声が場内に鳴り響き感動した私とロベルトさんも大きな拍手を送った。
「はぁ…本当に凄かったです!歌劇ってあんなに面白いものなんですね、特に王子様が女の子にプロポーズするシーンが感動しました!」
と、夢見る乙女の様に話す私を見たロベルトさんは優しく微笑み返してくれた。
「楽しんで貰えて良かったです。
やはり女性の皆さんは王子様にあの様にプロポーズされるのが夢なのでしょうか?」
男性であるロベルトさんには女の子のロマンは余り分からないようで私はついつい白熱して力説してしまう。
「王子様じゃ無かったとしても、好きな人にあんな風にプロポーズされたら女の子は誰でもときめきますよ!
私もいつか好きな人にあんな風にプロポーズされたいです!」
そう話しながら拳を握る私にロベルトさんはクスリと笑った。
「そうなのですね。そういえばレティシアさんは現在お幾つなのですか?」
「私ですか?春が誕生日なので後少しで17歳になります!」
「お誕生日が近いのですね、17歳となると成人まで後1年と少しですね…お付き合いされてる方はいらっしゃるのですか?」
「えー、いませんよ!ロベルトはお幾つ何ですか?」
「私は今年の冬に23になりました」
「23歳!それなのに副団長を任されているなんて凄いですね」
見た目は若そうに見えるが副団長を任されているだけあって、もう少し歳は上かと思っていたが
思っていた以上に自分と歳が近くて驚いた私にロベルトさんは笑った。
「ありがとうございます私などまだまだですが、その言葉を頂けてより一層頑張れます
あ、そうでしたレティシアさん」
「何ですか?」
スッと差し出された小さな紙袋を咄嗟に受け取った私は頭に?マークが浮かんだ。
「開けてみてください」
「はい……わぁ!可愛い」
言われるがままに小さな紙袋を開けるとそこには白いリボンに青い花の刺繍が施された髪紐が入っていた。
「先程パンフレットを買った時に女性達の会話を小耳に挟んだのですが、その髪紐は舞台のヒロインが着けていた物をモチーフにしているそうで…
その髪紐を着けていると幸せな恋が実ると言われているそうですよ」
「そうなんですね!頂いちゃって良いんですか?」
「はい、何色か色があったのですが、その色が貴方に一番似合うと思ったので良かったら貰ってください」
「ありがとうございます!」
私はギュッとリボンを握りしめ満身の笑みでロベルトさんに礼を言った。
お姉ちゃんがいないから寂しく味気ない1日になった筈が、ロベルトさんと歌劇を見る事が出来て楽しい1日になった。
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