二人姉妹の恋愛事情〜騎士とおくる恋の物語〜

みぃ

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第15話

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月の始め、ポカポカと春の日差しが温かい日【まんぷく亭】を臨時休業した姉妹の朝は早かった。



今日は森へ姉妹で春の食材を調達しに行く日であった為、何時もより早い時間に起床したのだった。

準備を終えたレティシアは姉の部屋へ向かいドアを開けると、ソフィアの従魔であるキューちゃんがお出迎えしてくれた。





「おはよう、お姉ちゃん!キューちゃん!」



「あら、おはようレティ」 



「コン!」



返事をしたソフィアの真似をする様に九尾の尻尾を振って鳴き声を上げたキューちゃんの頭をレティシアはヨシヨシと撫でる。





「今日は凄くいいお天気だね」





「そうね、良かったわ」





「うん、今日のお姉ちゃんの洋服似合ってるね!」



今日のソフィアの服装は最近流行り始めている八分丈の若草色のスカーチョと、白いブラウスに、スカーチョとお揃いの色の前開きベスト。

ベストには蔦と花の刺繍が施されていてお洒落なデザインだ。

靴は歩きやすい踵の低い黒のショートブーツを履いている。

後はインベントリの隠蔽の為にマジックバックのウエストポーチを着けている。



「ありがとう、レティもよく似合ってるわよ」



「本当!?狩りに行く服新しく新調したんだ」



レティシアの新しく新調した服は、ボウタイの白いブラウスにキャメル色のショートパンツ。桜色の前開き膝丈ロングベストはAラインなので後ろから見るとワンピースの様に見える。

靴下は白のニーハイで脇にレースの装飾が施されており、靴は焦げ茶のショートブーツ。

腰には双剣が装備してあり

斜めがけのカバンは姉と同じくマジックバックである。



二人が無限収納である時空魔法が使える事を冒険者ギルドの職員には知られているが、使える者が少なくとても重宝される魔法の為、なるべく知られる人間は少ないほうが良いので、こうして隠蔽のマジックバックを持ち歩くのだ。



時空魔法に限らず貴重な魔法が使える人間は人攫いなどに合いやすい為の自衛である。



レティシアは攻撃魔法が得意で運動神経も良いので、反撃も逃げる事も出来るが、ソフィアは攻撃魔法よりも支援系魔法や治癒魔法という繊細な魔法を得意としており、力も弱く逃げ足も早く無いのでバレない方が安全なのだ。





「今日はキューちゃんも連れて行くんだね」



「コン!」



「えぇ、何時も家の中にいては退屈でしょうし、それに今日は森の少し深い所まで行くって言っていたでしょ」



「そうだね!キューちゃんがいた方が安全だね」



純白の狐のキューちゃんは治癒魔法増幅とMP回復の魔法が得意で、ソフィアとの相性がとても良いのだ。

ソフィアの治癒魔法だけだと欠損や瀕死まで治せないのだがキューちゃんの増幅魔法が加わると、死んでさえ居なければ治す事が出来る。



「森に着くまでは私の影の中に居ててね」



「コンコン!」



従魔は基本、影の中で主の魔力を糧にして生きている。

そして主に呼ばれた時に姿を表すのが一般的と言われているのだが、ソフィアの従魔であるキューちゃんは全くと言っていいほど影の中に入らずに、ソフィアの布団の上で1日寝ているのだ。



「私も森に着いたらあの子達呼ぶから、キューちゃん一緒に遊んであげてね」



「コン!」



了解とばかりに鳴いて嬉しそうに返事をしたキューちゃんはソフィアの影の中に入っていった。







準備を終えた姉妹は家を出て直ぐにある西門へと向かった。



門を出て少し歩くと西の森に辿り着く、青々と茂った草花が暖かな光を浴びて元気に咲いている。



「もうすっかり春だねー!色んな植物が生えてるよ」



「そうね、春にしか取れない山菜は多めに収穫しようかしら。山菜の天ぷらが食べたいわ」



「うん、今日は沢山食材を調達しようね!」



「先ずは浅瀬で山菜を取りましょうか、その後に西の森の中腹でキノコを取って、最後に北の森の入り口付近で魔物を狩りましょう」



「そうだね!泊まるのは西の森の中腹で良い?とりあえず魔物避けの薬草は持ってきたから大丈夫だよ」



「えぇ、そうしましょう」




森の中を歩いていると木と木の間に30センチ程の草が群生して生えていたので、ソフィアがサーチ魔法をかけると草と草の間にお目当ての山菜がいくつも生えていた。



「レティ!今年は豊作ね」



「そうだね~お姉ちゃんの天ぷら楽しみ!」



「ヨモギも取って帰って草餅も良いわね」



「草餅大好き!いっぱい取って帰ろう!」



二人は何を作るか、何が食べたいだとか山菜を摘みながら話しに華をさかせていた。

二人の側で影から出した四体の妖精達とキューちゃんが仲良く遊んでいる。



「ふふふ、みんな楽しそうね」



「本当だね、久しぶりに皆んなと来て良かったね」



そう楽しそうに会話をしているレティシアはふと、以前から姉に聞きたかった事を思い出した。



「ねぇねぇ、お姉ちゃん」



「どうしたの、レティ?」



「ずっと聞きたかったんだけど…お姉ちゃんって団長さんの事どう思ってるの?」



「あら、急にどうしたのよ」



「だって…お姉ちゃんってば団長さんがお店に来ると何時もより嬉しそうだし…この前は一緒にお出かけした時の事、楽しそうに話してたし」



(主に抱き着いた時の素晴らしい胸筋の話だったけど)とレティシアは心の中で呟いた。



「ルイスさんの事はとても良い人だと思ってるわよ?」



「恋愛感情は?」



レティシアの問にソフィアはルイスの事を思い浮かべた、すると胸がキュッと締め付けられる感覚に襲われソフィアは頭に?マークを浮かべた。

一体今の感覚は何だったのだろうか、とソフィアは心の中で思ったが分からなかった。



「んー………好きかどうかはまだ分からないわ、でも」



「でも?」



「ルイスさんの筋肉はとても好きよ♡」





相変わらずブレないソフィアだった。





そんなこんなでソフィアとレティシアも楽しく会話をしながら採取をしているとあっという間に沢山の山菜が集まった。



「レティ、そろそろ場所を移動しましょうか」



「はーい」



別の場所に移動する為、レティシアは妖精達とキューちゃんを呼び戻そうとすると突然妖精達がレティシアの方まで飛んできて服をツンツンと引っ張った。



「どうしたの?」



「キュー」



「ん?あっちがどうかしたの?」



妖精達が指を指す方向を見るが、特に何も見えない。



「あらあら、何かあるのかしら?ちょっと待ってね今、魔法で調べるわ」



「うん、お願いお姉ちゃん」



ソフィアは妖精達が指差す方向へサーチ魔法を展開し、何かあるのか確認すると



「まぁ!大変!」



「お姉ちゃん!?どうしたの?」



急に声を上げた姉に驚いたレティシアだが、ソフィアは慌ててレティシアに説明する。



「この先で魔物の群れが人を襲っているわ!」



「え!?ここまだ森の浅瀬だよ?魔物の群れがいる訳ないのに」



「そうだけど、本当にいるのよ!中型の魔物が50体以上はいるわ、人も十数人程いるけど…サーチで見る限り戦えているのは二人だけだわ」



「そうなの!?不味いよね、取り敢えず見に行ってみよう!」



「えぇ、そうしましょう」





ソフィアはキューちゃんを影の中にしまう。



二人は慌てて森の中を駆けていく、走るのが苦手なソフィアの手を繋ぎレティシアと4体の妖精達が先導する。



すると前から人が走ってきたのでソフィアとレティシアは警戒しその場に立ち止まった。





「誰か来たね…」





「そうね」







それは………まんぷく亭に時々食べに来てくれる第三騎士団の新人騎士だった。
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