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第43話
しおりを挟む話しながら五人は騎士たちの訓練場がある方へ歩いて行く、しばらくするとソフィアとレティシアの見慣れない建物が見えてきた。
歩きながらレイナルドが指を指しながら説明し始めた。
「あれが先月新しく我が国に出来た竜騎士団の訓練場と関連の建物だ、前の訓練場を改築して頑丈に仕上げ新たに建物を建てたんだ。
先月の頭に帝国から調教の終わった竜を20頭を輸入して竜騎士団を結成したんだよ」
「へぇー!凄いね。でも20頭って結構な数をよく輸入できたね」
「前々から父上が竜騎士に憧れていて、颯爽と乗りこなす竜騎士と竜が見たいがために、王家の鉱山で数十年に一度出るかわからない、貴重なアンティーク魔石を代金に、母上にないしょで勝手に買ってきてしまったんだ…。確か建国祭前くらいに母上にバレてね、それを知った母上の怒りときたら、それはそれは怖くてね、父上に説教している母上の背中にオーガが見えたよ。
買ってきてしまったからには仕方がないから、慌てて設備の建設と竜騎士の人選をしたんだ。
先月の頭にやっと建物が出来上がって、竜を迎い入れることが出来たんだよ」
建物の中を通り抜けていくと訓練場の入口の扉があった。扉には関係者以外立入禁止の札が掛かっていた。
入る際には入る人物をチェックし持ち物検査をするという、とても厳重な管理をしている事がわかる。
扉を開けると遠くに竜の姿と小さな人影が見えた。
もう少し近くまで行こうとすると、そこでライムンドがシャルロットに待ったをかけた。
「ちょっと待てシャルロット、キラキラ光る装飾品を外せ、竜は光るものが大好きだからそのまま行くと竜にとられるぞ」
「ライお兄様、そう言うことは早く言って下さらないと困りますわ!」
シャルロットは慌ててネックレスとイヤリングを外した。
「シャルロットを見るまで忘れてた。あと今日は香水控えめだから良いが竜は匂いに敏感で嫌がるやつもいる、これからは気をつけろよ。どうせお前のことだリカルドを見に来るんだろう」
「ぐっ…バレてますのね、気をつけますわ」
シャルロットの行動は誰もが想像出来るほどわかりやすかった。
誰が訓練しているか視認出来るほど近くに行くと、冊が設置してありそこには竜騎士以外立入禁止の札が掛かっていた。
冊の外側から五人は訓練の様子を見る。
今日は第一騎士団長、第二騎士団長、ルイス、ロベルト、推薦され合格した6名が竜の鞍に跨り、手綱と鐙を確認したあと飛びながら訓練をするという。
「素敵、ルイスさん格好良いわ、なんて赤い竜が似合うのかしら」
ルイスを見惚れているソフィアの脇でレティシアはキョロキョロといろんな竜を眺めていた。
「凄い、こんな大きな竜初めて見た。あっ、ロベルトさんだ!ロベルトさんの竜は青色なんだね、やっぱり自分の持ってる属性に関係あるのかな?」
レティシアの独り言は口から漏れていた。それを聞いたライムンドがレティシアの疑問に答えた。
「そうかもしれないが詳しくはまだ分かってはいないんだ。竜が来た時、各騎士団長、副騎士団長、団長の推薦十数人を竜に会わせてお見合いをしてみたんだ。リカルドは青白い竜、第二騎士団長は緑の竜、第三騎士団長は赤い竜、第一騎士団副団長は高所恐怖症の為棄権、第二騎士団副団長は不合格、ロベルトは青い竜に決まったってわけ。あとは推薦組から六人決まって、まだ決まってない竜がいるからまたお見合いしなきゃな」
「へーそうなんだ、大変だね」
(リカ兄様もロベルトさんも、格好良いなー。私も乗ってみたいな、頼んだら乗せてくれないかな?)
五人が見てる中、竜騎士達を乗せた竜が大空へと飛び立った。
どうやら編隊を組む練習をしているようだ。
初めて見た空へと飛び立つ竜達の姿にソフィアとレティシア、シャルロットは圧倒され、上空を見上げながら少し口がポカンと開いている。
「はぁ、凄いですね。まだ竜に乗り始めてからそんなに経っていないのに、もう乗りこなしているんですね」
ソフィアは、気難しい竜を乗りこなす竜騎士達に感心していた。
「いや、まだちょっと危なっかしいのがいてね…」
レイナルドがボソッと呟き、上空の竜達を見上げた。
その言葉に少し不安を感じながら五人は竜騎士達の訓練を見守っていた。
すると、一瞬強い風が吹いた。
その風に一頭の竜が煽られ、ぐらついたと同時にその竜に乗っていた竜騎士が落ちてしまった。
「うわぁぁぁ!!!」
もの凄いスピードで落下していく騎士を、追い掛けるようにルイスが竜を巧みに操って追いかける。
少しづつルイスと騎士の距離が近くなっていく。
だが、騎士もかなりのスピードで地面へと近づいていく。
ルイスが騎士に追いつくのが先か、騎士が地面にぶつかるのが先か。
周りは呼吸をするのを忘れて見守った。
後、ほんの数メートル…
もう駄目だと誰もが思い、シャルロットとソフィアは目を瞑った。
レティシアは風魔法でどうにかならないかと思ったが、この距離ではどうする事も出来ないと悲痛な顔をした。
皆が諦めかけていた、だが、ルイスは最後まで諦めなかった。
ルイスの願いを聞き届けたかのように驚くほどのスピードを出した竜は地面スレスレで騎士に追い付き、何とかギリギリ間に合い受け止めることが出来た。
「はぁ……助けられて良かった…」
ルイスは何とか間に合った事に心の底から安堵して息を吐いた。
「よく頑張ったな、ありがとう」
「ギャウ!」
そして、自分の言う事を聞いて頑張ってくれた相棒の竜を労ったのであった。
そんな様子を地上で見ていた人々は安堵の息を漏らした、まさか本当に人が落ちてくるなんて思ってもみなかったのだ。
もしルイスが間に合わなかったらと思うと皆がゾッとした。
ルイスは竜騎士を抱いている状態のまま地面へと竜は着地した。
「大丈夫か?」
ルイスは心配するが、竜騎士は落ちたショックで息が荒く、放心状態になっていた。
無理もない、あと少しで地面にぶつかって死んでいたかもしれなかったのだから。
何とか騎士は呼吸を整え、ルイスの顔を見た。
「っ…あ…ありがとう、ございました。だ…大丈夫です」
やっと返事が出来た竜騎士はルイスと目が合った。
真剣な眼差しで心配するルイスの顔を見て竜騎士は何故か顔をポッと赤らめた。
騎士の周りに薔薇が咲き誇ったような気がしたのは気のせいだろうか?
だが、ルイスはそんな騎士の事に気が付かず、顔が赤いのは空から落下したせいの体調不良だろうと思い込んだ。
「少し救護室で休んだ方が良い、君の竜は私が厩舎まで連れて行くから安心してくれ」
「はい、お言葉に甘えてそうさせて頂きます。ルイス第三騎士団長、本当にありがとうございました」
「無事で良かった。では、私は隊へと戻るとしよう」
そう言ってルイスは竜に乗り、上空で心配していた隊へと戻っていった。
ソフィアは空へ上がっていくルイスに釘付けだった。
竜を乗りこなしているルイスはまるで神話に出てきそうだと、ソフィアが見惚れて自分の世界に入っていると、隣りにいたレイナルドはボソッと呟いた…
「やっぱり安全装置いるか…」
「おい…」
レイナルドの呟きにライムンドがツッコミを入れた。
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