二人姉妹の恋愛事情〜騎士とおくる恋の物語〜

みぃ

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第44話

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ルイスが隊へ戻り、再び訓練が始まった。



「もうそろそろ帰ろうか」



レイナルドは四人にそろそろ訓練場を後にしようと声を掛けた。

その声に同意するようにソフィアは頷いた。



「そうしましょう、そろそろ日も暮れるからお家に帰らないと」



「うん…」



レティシアはまだまだ竜のことを観察したかったのだが、姉であるソフィアがそう言うので、名残惜しくも訓練場を後にしようとした。



皆が訓練場を出る為、扉の方へ向おうと足を踏み出した。



だが、突然レティシアは足を止め、後を振り向き広い空を見上げた。



「レティ?どうかしたのか?」



レティシアの不思議な様子にライムンドは即座に気が付き声を掛けた。

そんなライムンドの腕を掴んでレティシアは空に向かって指をさした。



「ライ兄様、あれ」



レティシアが指さす方角をライムンドもレイナルドもソフィアも見るが、そこには青い空しか見えない。



「相変わらずレティシアは目が良いね、だけど私達には見えないんだ。レティシアには何が見えていんるだい?」



全く何も見えないレイナルドがレティシアに何が見えているのか聞いた。



レティシアはジッーと空を見つめる。



「あれは……鳥?ううん、違う」



皆、レティシアが指差した方角を目を凝らして見る。

すると徐々に小さな点が見えて来た。



「大変!あれ竜だよ!」



「なんだと!?」



レティシアの言葉にライムンドは驚き声をあげた。



「小さな点にしか見えないけど、レティシアには見えてるんだね」



「絶対あれは竜だよ、こっちに向かってくる」



「レティシアがそう言うなら本当に竜なんだろう、こちらに向かってきているんだね?あとどれぐらいで王都に着きそうか分かるかな?」



「んー…あのスピードだと2分くらいかな」



「分かった」



そう言って、レイナルドは持っていた魔導具のボタンをポチッと押し、魔導具に向かって話し始めた。



「こちらレイナルド。緊急事態発生、野生の竜が王都へ向かって進行中です。

直ちに避難を命じます」



すると、緊急事態を知らせる警報の音が王都に鳴り響いた。



「レイお兄様これは」



「何が起こるか分からないからね、市民には安全な所へ避難してもらおう」



警報が鳴り響き、辺りは騒然としてくる。



「レイナルド兄様、あれ」



「流石レティシアだね、確かに竜だ」



「凄いわねレティ、貴女が早くに見つけてくれたおかげで皆避難する時間が増えたわ」



確認できる程に近づいてきた竜の姿に3人はレティシアの事を尊敬する。



「へへっ///……でもレイ兄様、お城の人達は避難しなくて大丈夫なんですか?」



「大丈夫だよ、王城には結界が張ってあるから、どんな魔物でも入ってこれないよ」



「そっか…街の人達は大丈夫かな」



「大丈夫さ、騎士達の指示に従って結界が張ってある建物に皆避難するだろう。

それよりも…この竜を迎え撃つ準備をしなくては」



そう言ってレイナルドは早急に騎士団を集める様に指示を出した。



「ねぇ、あの竜…真っ直ぐお城に向かってくるんだけど」



「そうね…」



「大丈夫、結界が…」



だが、しかし猛スピードで城へと一直線に向かってきた小竜は、難なく王城の中まで入り込み、ルイス達がいる訓練場まで颯爽と飛んできのだ。



「「「えっ!?」」」



本当に結界など存在していたのか不思議な程にすんなりと王城内に侵入した小竜に皆が驚愕する中、レティシアはポツリと呟いた。



「結界意味ないね」



城内にざわめきが広がる中、侵入してきた小竜は特に暴れる事などなく、ただルイスの乗る竜へ近付き周りをグルグルと飛んでいる。



「なぜ王城に入って来れたのだ、どんな魔物も入って来れない強固な結界が張ってある筈なのだが」



城には、王都の外壁や西の森の街道沿いに設置してある魔物よけの魔石による結界よりも強固な結界が魔術師によって張られている。

それはどんな魔物でも入れないように研究され編み出された結界なのに、その結界をいとも簡単に通り抜けられた事態にレイナルドは驚愕した。 

だが、レイナルドはすぐに冷静さを取り戻し急いで避難するよう指示を出した。



「護衛の者達はすぐに三人を安全な所へ避難させろ」



「はっ、シャルロット王女、ソフィア様、レティシア様こちらへ」



護衛は三人を連れて避難しようとした。

だが、ソフィアは首を横へ振りレイナルドを強い眼差しで見つめた。



「私はルイスさんが心配なのでここに残ります」



「ソフィア、野生の竜はとても危険なんだ。もし何かあったらどうするんだ?」



「大丈夫ですよ、私には絶対防御が付与されたペンダントがあるので。

それにルイスさんの身に何が起きているか分からず避難するなど私には無理です」



そう言ってソフィアは服の中に隠れてたペンダントを引っ張り出しレイナルドに見せた。

そんなソフィアの様子に、結構頑固な所があるなと、レイナルドは苦笑いした。



「……仕方がない、だが無茶しないでくれよ」



「はい、ありがとうございます、レイお兄様」



ソフィアの固い決意にレイナルドが折れたかたちになった。



「では、レティシアとシャルロットだけ避難を…」



「お姉ちゃんは私が守るの、だから私もここに残る」



レティシアはレイナルドの言葉を遮るように声を出した。

小さい頃から、お姉ちゃんを守るのは私の役目、そう心に決めているレティシアは誰になんと言われても絶対に譲らない。



レティシアが危険な所に留まる姉の事を放って一人で避難するはずもないとレイナルドは二人を避難させるのを諦め、シャルロットだけ避難させた。



「ソフィアは私の側を離れない様に。ライムンド、レティシアのこと頼んだよ」



「問題ないです、レティは何があっても俺が守るので」



四人はそのまま上空の様子を見ていたが、依然として侵入して来た小竜はルイスの竜に向かって鳴いていて離れようとしない。



「敵意はなさそうですね」



「……さて、どうしたものか」



レイナルドとライムンドがどうしたらいいかと頭を悩ませていると、ルイスが乗った竜が移動し始めた。それに着いてくように小竜も後を追う。



「ルイスさん!?」



「あっちの方角は第4訓練場だね。グラシア伯爵は小竜を人のいない場所へ連れて行くつもりみたいだ」



「じゃあ!私達も早く向かおうよ」



「そうだな、レティ。兄上、ソフィア姉様行きましょう」



第4訓練場は城から少し離れた位置にあり、普段は使われていない為、ルイスは野生の竜がもし暴れたとしても被害が少ない様にと考えたのだろう。



四人が訓練場にたどり着くと、ルイスはすでに竜から降りた後だった。

ルイスの竜と小竜は「キュル、キュルル、キュルー」と、まるで甘えてるかの様な声で鳴きあい頬を擦り合わせている。

そんな竜達の姿を横目で見ながら、ルイスは四人の元へ走ってやってきた。



「王太子殿下、第二王子殿下」



「グラシア第三騎士団長、何が起きたか詳しく話してくれ」



レイナルドがルイスに状況説明を求めた。



「はっ、我々が上空で…」ルイスが訓練中での出来事を詳しく報告した。

どうやらルイスの話からすると、ルイスの竜は突然現れた小竜に驚いていたが直ぐに小竜を受け入れたようで聞いたことのない声で鳴きあい出した。

それを見ていた周りの竜達が気にし始めたのでルイスはその場から離れた方がいいと判断し、第一騎士団長の指示で普段は使われていない第4訓練場へ小竜を連れて降りた。

降りたあとも2頭はずっと寄り添って離れない様子を見てルイスは、もしかして2頭の竜は番なのではないかと推測したのだ。

その推測を聞いてレイナルドはちらっとルイスの後方100メートルほど離れた2頭の竜を見た、2頭の竜が幸せそうにイチャイチャしている様子からして、これは間違いなく番だと確信した。



「番ね…さて、どうしたものか」



「番と言っても、調教も何もされていない野生の竜ですからね」



「だが、引き離す事もできないしな…」



レイナルドとライムンドが小竜の対策を練っている。

竜騎士に使われている竜は基本雄の個体だけで、雌の竜は雄よりも警戒心が強く人に余り懐かない為、調教するのも向いていない。

だが、番の竜を引き離すなど人間に出来るわけもなく、レイナルドとライムンドは頭を抱えた。

帝国でさえ雌の竜の扱いは難しいと言われている為、今後どうするか二人は途方にくれた。

そんな二人からルイスは指示が出るまで小竜を監視していた。



「ルイスさん」



レイナルドの後から聞き慣れた声がしたので振り向いた。



ルイスは自分の名前を呼んだ人物に驚いた、そこには恋人のソフィアの姿があったのだ。



「なぜここにソフィアが?」



「私もいるよ」とレティシアが顔を出した。



ルイスは二人に何かあったら大変だと慌てて声をかける。



「二人とも危ないから早くここから離れたほうがいい」



「大丈夫です。レイお兄様が許可してくれたので、それにレティもいますし」



「そうそう」



「そ…そうか…」



レティシアはたぶんこの国で英雄を除けば二番目に強いだろう、小竜が暴れて襲ってきてもレティシアなら軽く退治出来る腕はある。

因みに一番強いのはレティシアの師匠である第一騎士団長のリカルドである。



「ルイスさんは大丈夫ですか?お怪我されてませんか?」



「ああ、俺もアンデも大丈夫だ」



そう言ってルイスは相棒の竜を見た。



「ルイスさんの竜、アンデって名前なんですね」



帝国が竜を輸出する際に、帝国の帝王がみずから一頭一頭に名前を着けたらしい



「来た竜の全部の名前をまだ覚えていないのだが、第一騎士団長の青白い竜はシロガネ、第二騎士団長の緑の竜はジェード、ロベルトの青い竜はラピス、アンデは帝王がアンデの赤い鱗がまるで赤い宝石アンデシンのようだと言って、そこからとって付けてくださったそうだ」



「どの竜も素敵な名前が付いているのですね」



ネーミングセンスの良い帝王にソフィアは憧れた、いつもレティシアにお姉ちゃんの付ける名前って安直だよねといわれるからだ。



和気あいあいと話している姉の姿を、竜を警戒しながらレティシアは側で見守っていた。



そのまま時間が過ぎていき夕日が辺りをオレンジ色に染めてきた。 

まだ、レイナルドとライムンドは話し合っている。

王からは、この場は息子二人に任せると連絡があったので、レイナルドとライムンドは最善の策を練っているのだ。



そろそろ待つのも飽きてきたレティシアは少しボーッとしていた。

だけど、それは直ぐに臨戦態勢に変わった。



「はっ!?お姉ちゃん!下がって」



「あっ、ルイスさん後ろ!」



レティシアが声を上げ突然ソフィアの前に出たかと思うと、今度はソフィアがルイスの後方に指を指し声を上げた。
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