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第2章
暴走悪魔と暗黒騎士
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る。
稲光が輝き、村の家や塔そして雷蛇の頭に乗ったマヒメを眩しく照らし出す。
<雷蛇に触れると焼かれちまうよ!>
ザニバルの魔装に宿る悪魔バランが警告する。
暗黒騎士ザニバルは急いでヘルタイガーのキトに飛び乗り、向かってきた雷蛇から垂直に跳び避ける。
ツンとした匂いの風を吹き荒らしながら、雷蛇がすぐ側を長々と通り過ぎていく。
飛び散る火花にキトが全身の毛を逆立てる。
バリラリラバリラー
稲妻の音が歪んだメロディーのように轟く。
雷蛇の頭上にはマヒメが立ち、電光に煌めく長い銀髪をたなびかせながらザニバルとすれ違う。
「ヒャハハハハアアッ! ちんたらしてっと踏み潰しちまうぜえ!」
雷蛇から激しく吹き付けてくる風がキトの巨体すら揺るがせる。飛ばされそうになったザニバルはキトの背にしがみつく。
ザニバルがよく観察すると、雷蛇は地上から少し浮遊していて滑るように進んでいた。
ザニバルの魔装に宿る悪魔バランが語る。
<高圧電流で大気を電離させて、その風に乗って進むのさ。悪魔ボウマの得意技さね>
<ボウマ?>
<七大悪魔の五、逃避の悪魔。またの名を暴走のボウマさ>
<ボウマ? その悪魔がマヒメに憑りついてるの?>
<そうさ。さっきボウマと名乗ってただろ。うらやましいことに憑依先の心まで奪っちまってるようだよ。ザニバルもさっさと心を渡しな>
<絶対やだもん!>
通り過ぎていく雷蛇を注視していると、稲妻で煌めく尻尾の内部に実体物が見てとれた。横倒しの塔だ。
大蛇の尾の中に剣が入っているという伝説はあれこれあるが、この雷蛇の尾の中には塔が入っているのだ。
<ふむ、塔を核にして雷蛇を生成しているのかい。あの塔は材質が魔法の杖と同じだ。力の収束効率が高そうさね>
バランが感心する。
「キト、追いかけるよ!」
ザニバルがヘルタイガーに号令する。
通り過ぎていった雷蛇の尾を追って、キトは駆け出す。でこぼこで曲がりくねった谷の道を飛ぶように走る。
しかし雷蛇の方が速い。巨体をくねらせながら猛速度で家や塔や木をすり抜けて進む。内部の塔が揺れて時に道や屋根をこすったりするが速度は落ちない。
ザニバルが追ってくるのに気付いた雷蛇はさらに速度を上げる。
「遅い遅すぎる止まってるぜえええ! そんなんでこのボウマ様と勝負しようってか! お笑いだああああっ!」
マヒメは異様に高いテンションで叫んでいる。
雷蛇は塔之村を抜けて森に入り、谷をぐるりと走り抜けてまた村の上に出る。そしてまた村を下り始める。
そこでザニバルは気付いた。
「これ、もしかして同じ道をぐるぐる回るの?」
キトは走るのを止めて木の上に登った。
ババリリバリラリラー
しばらく待つと一周回った雷蛇が戻ってくる。
すれ違いざまに、雷蛇の頭上からマヒメが叫ぶ。
「走れ走れよおおっ! どこまでも遠くに行くんだよおおっ! 止まっちまってんじゃねえええ!」
「回ってるだけで全然遠ざかってないよ?」
「走ってれば向こう側に行けるんだあああっ!」
ザニバルは困惑する。
<ねえバラン、このボウマって何をしたいの?>
<逃避の悪魔なんだ、逃げてるのさね>
<でも同じところを回ってても逃げられないよ>
<それが逃げてるってことなのさ>
ザニバルはもっと困惑する。ちっとも分からない。
ともかく、ザニバルはずっと仇の悪魔ヴラドを探してきてようやく悪魔の一人に出会えたのだ。手がかりをつかみたい。
また雷蛇が回ってきたので今度はザニバルから声をかける。
「ねえ、ヴラドのことを知らない? 教えてよ!」
マヒメはちらりとザニバルに目をやり、
「走らないやつは相手しねえええ!」
バリバリラリラー
一瞬で通り過ぎていった。
また一周待ってからザニバルは聞く。
「走ったら教えてくれる?」
「遅いやつには教えねええええ!」
さらにまた一周。
「速かったら教えてくれる?」
「ボウマと勝負して勝ったら教えてやらああああ! てめえみたいな愚図でノロマな負け犬には無理だがなあああ!」
ザニバルは考える。
マヒメをぶっとばせば話が早いんだろうか。うるさいのも止まるし、依頼にあった魔物ってこの雷蛇のことだろうし。
ただ、そうすると明日のご飯を作ってくれる人がいなくなる。お腹が減るのは嫌だ。
そして魔物を退治しないでくれと頼んできた長老はきっとすごく怒る。代わりにご飯を作ってくれたりはしないだろう。
それになにより走って勝たないと負けな気がしてきた。恐怖の暗黒騎士は舐められたらおしまいなのだ。
ザニバルは走りでの勝負を決心した。ただ、キトの速度では雷蛇に勝てっこない。作戦を考えないと。
ザニバルの評価を悟ったのか不満そうにキトが鳴いて、ザニバルはそれをなだめるように撫でる。
やがて日の出が近づいてきた。走りの時間は終わったのだろう、雷蛇はもう回ってこなくなった。
ザニバルは神社の社務所に戻った。
そこでは忙しそうにマヒメが朝食の準備をしていた。
ザニバルは声をかける。
「ねえ、走るの気持ちよかった?」
マヒメはきょとんとして、
「走るって? 今起きたばかりよ」
彼女にはボウマとして走った記憶はないようだ。
「それよりも魔物はどうだった?」
「魔物はいたよ」
「え! 本当に?」
マヒメは驚きで目を見開き、ザニバルはじっとそれを見つめる。マヒメは疲れきった顔をしている。走ってすっきりしたとはとても思えない。
「次は魔物と勝負するもん」
ザニバルは告げる。
マヒメは少し安心した顔になった。
「魔物がいなくなってくれれば、遷宮を止めずにすむわ。このままだとしきたりを破るところだったから凄く心配だったの。しっかりやっつけてよ」
「本当にいいの?」
「ええ、もちろんよ。長老には反対されているけど、魔物を許すわけにはいかないわ」
ザニバルの兜の奥で赤い眼がぎらりと輝いた。
「じゃあ、こてんぱんにする」
稲光が輝き、村の家や塔そして雷蛇の頭に乗ったマヒメを眩しく照らし出す。
<雷蛇に触れると焼かれちまうよ!>
ザニバルの魔装に宿る悪魔バランが警告する。
暗黒騎士ザニバルは急いでヘルタイガーのキトに飛び乗り、向かってきた雷蛇から垂直に跳び避ける。
ツンとした匂いの風を吹き荒らしながら、雷蛇がすぐ側を長々と通り過ぎていく。
飛び散る火花にキトが全身の毛を逆立てる。
バリラリラバリラー
稲妻の音が歪んだメロディーのように轟く。
雷蛇の頭上にはマヒメが立ち、電光に煌めく長い銀髪をたなびかせながらザニバルとすれ違う。
「ヒャハハハハアアッ! ちんたらしてっと踏み潰しちまうぜえ!」
雷蛇から激しく吹き付けてくる風がキトの巨体すら揺るがせる。飛ばされそうになったザニバルはキトの背にしがみつく。
ザニバルがよく観察すると、雷蛇は地上から少し浮遊していて滑るように進んでいた。
ザニバルの魔装に宿る悪魔バランが語る。
<高圧電流で大気を電離させて、その風に乗って進むのさ。悪魔ボウマの得意技さね>
<ボウマ?>
<七大悪魔の五、逃避の悪魔。またの名を暴走のボウマさ>
<ボウマ? その悪魔がマヒメに憑りついてるの?>
<そうさ。さっきボウマと名乗ってただろ。うらやましいことに憑依先の心まで奪っちまってるようだよ。ザニバルもさっさと心を渡しな>
<絶対やだもん!>
通り過ぎていく雷蛇を注視していると、稲妻で煌めく尻尾の内部に実体物が見てとれた。横倒しの塔だ。
大蛇の尾の中に剣が入っているという伝説はあれこれあるが、この雷蛇の尾の中には塔が入っているのだ。
<ふむ、塔を核にして雷蛇を生成しているのかい。あの塔は材質が魔法の杖と同じだ。力の収束効率が高そうさね>
バランが感心する。
「キト、追いかけるよ!」
ザニバルがヘルタイガーに号令する。
通り過ぎていった雷蛇の尾を追って、キトは駆け出す。でこぼこで曲がりくねった谷の道を飛ぶように走る。
しかし雷蛇の方が速い。巨体をくねらせながら猛速度で家や塔や木をすり抜けて進む。内部の塔が揺れて時に道や屋根をこすったりするが速度は落ちない。
ザニバルが追ってくるのに気付いた雷蛇はさらに速度を上げる。
「遅い遅すぎる止まってるぜえええ! そんなんでこのボウマ様と勝負しようってか! お笑いだああああっ!」
マヒメは異様に高いテンションで叫んでいる。
雷蛇は塔之村を抜けて森に入り、谷をぐるりと走り抜けてまた村の上に出る。そしてまた村を下り始める。
そこでザニバルは気付いた。
「これ、もしかして同じ道をぐるぐる回るの?」
キトは走るのを止めて木の上に登った。
ババリリバリラリラー
しばらく待つと一周回った雷蛇が戻ってくる。
すれ違いざまに、雷蛇の頭上からマヒメが叫ぶ。
「走れ走れよおおっ! どこまでも遠くに行くんだよおおっ! 止まっちまってんじゃねえええ!」
「回ってるだけで全然遠ざかってないよ?」
「走ってれば向こう側に行けるんだあああっ!」
ザニバルは困惑する。
<ねえバラン、このボウマって何をしたいの?>
<逃避の悪魔なんだ、逃げてるのさね>
<でも同じところを回ってても逃げられないよ>
<それが逃げてるってことなのさ>
ザニバルはもっと困惑する。ちっとも分からない。
ともかく、ザニバルはずっと仇の悪魔ヴラドを探してきてようやく悪魔の一人に出会えたのだ。手がかりをつかみたい。
また雷蛇が回ってきたので今度はザニバルから声をかける。
「ねえ、ヴラドのことを知らない? 教えてよ!」
マヒメはちらりとザニバルに目をやり、
「走らないやつは相手しねえええ!」
バリバリラリラー
一瞬で通り過ぎていった。
また一周待ってからザニバルは聞く。
「走ったら教えてくれる?」
「遅いやつには教えねええええ!」
さらにまた一周。
「速かったら教えてくれる?」
「ボウマと勝負して勝ったら教えてやらああああ! てめえみたいな愚図でノロマな負け犬には無理だがなあああ!」
ザニバルは考える。
マヒメをぶっとばせば話が早いんだろうか。うるさいのも止まるし、依頼にあった魔物ってこの雷蛇のことだろうし。
ただ、そうすると明日のご飯を作ってくれる人がいなくなる。お腹が減るのは嫌だ。
そして魔物を退治しないでくれと頼んできた長老はきっとすごく怒る。代わりにご飯を作ってくれたりはしないだろう。
それになにより走って勝たないと負けな気がしてきた。恐怖の暗黒騎士は舐められたらおしまいなのだ。
ザニバルは走りでの勝負を決心した。ただ、キトの速度では雷蛇に勝てっこない。作戦を考えないと。
ザニバルの評価を悟ったのか不満そうにキトが鳴いて、ザニバルはそれをなだめるように撫でる。
やがて日の出が近づいてきた。走りの時間は終わったのだろう、雷蛇はもう回ってこなくなった。
ザニバルは神社の社務所に戻った。
そこでは忙しそうにマヒメが朝食の準備をしていた。
ザニバルは声をかける。
「ねえ、走るの気持ちよかった?」
マヒメはきょとんとして、
「走るって? 今起きたばかりよ」
彼女にはボウマとして走った記憶はないようだ。
「それよりも魔物はどうだった?」
「魔物はいたよ」
「え! 本当に?」
マヒメは驚きで目を見開き、ザニバルはじっとそれを見つめる。マヒメは疲れきった顔をしている。走ってすっきりしたとはとても思えない。
「次は魔物と勝負するもん」
ザニバルは告げる。
マヒメは少し安心した顔になった。
「魔物がいなくなってくれれば、遷宮を止めずにすむわ。このままだとしきたりを破るところだったから凄く心配だったの。しっかりやっつけてよ」
「本当にいいの?」
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