怪演!ゴーストレストラン

日向コタ

文字の大きさ
20 / 25
第3章 不測の事態

5.再出発

しおりを挟む
 光太がクッチーナに戻ると、零は仕込みをしていた。

 「おお!よく帰ってこれたね。もう天国に引き戻されたかと思ったよ…」

 「いやいや、そんなヘマしないよ。実家に行って少し様子を見てきただけ。なんか…落ち込んでばっかではいられないな。もっと頑張ろうって思ったよ。」

 「そうだな。あ、そうだ!昨日配達途中にこんなのを見つけたんだけど…」

 零はくしゃくしゃに丸められた跡があるが、再度きれいに折り畳みなおしたであろうチラシをポケットから取り出した。それはイベントのお知らせだった。

 "町内マルシェ・出店者募集!"

 そう書かれたくしゃくしゃなチラシをこちらに見せながら、零はニヤリと笑った。

 「最後にさ、ここで出店しないか?お客さんの前でやりたいじゃん、一回くらい。」

 「それいいね!!やろうよ。めちゃめちゃ楽しみだなー。」

 日時は六月二十八日(土)十時から十六時まで。ちょうど光太と零にとって、現世にいられる最後の日と同じだった。
 マルシェへの出店を決めてからというもの、通常のゴーストレストラン営業をやりながら、同時にマルシェの出店準備も進めていった。五月中旬に差し掛かると、マルシェでのメニューについて話し合っていた。

 「マルシェだから、皆が食べやすいものがいいよね。光太なんか案ある?」

 「焼きそばとか?でもお祭りっぽくなっちゃうか。」

 「焼きそばね…。悪くないんじゃない?味付けを少し洋風にアレンジして、オリジナルの味で出そうよ!」

 「それおしゃれ!なんかプロっぽい。ちなみにさ…かき氷出していい?僕、好きなんだよ。」

 「光太の好物ばかりだな。まあいいけど。」

 光太と零は早速、焼きそばの試作に取りかかった。何種類もソースを作り、それを混ぜ合わせては味見をする。3日間かけてやっと決めたその味は塩味ベースのさっぱりした味わいで、素材の味を引き立てるソースに仕上がった。メニュー名は「kore焼きそば」と名付けた。二人の名前の最初の一文字ずつ取ってメニュー名にすることで、一層思い入れがあるメニューになった。
 かき氷にもこだわった。よりフワフワな氷が削れるかき氷マシンを調達し、シロップはイチゴ味、メロン味、ブルーハワイ味を用意し、仕上げには練乳をかける。光太はこの練乳とかき氷の組み合わせがとても好きだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...