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第3章 不測の事態
6.メール
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「あれ、珍しい。母さんからのメールか。」 弥生は約5カ月間アメリカ生活を送り、ようやく慣れてきた頃に一通のメールが届いた。差出人は母親からだった。弥生の元に親からメールが届くのは、アメリカに来てから初めてだった。弥生が日本をたつ際に、地元を思い出してホームシックになるのが嫌だったため、両親からはあまり連絡をしないで欲しいとお願いしていたからだ。
"弥生元気にやってる?
今日はどうしても伝えたいことがあって連絡しました。弥生は驚くと思うし、気持ちが不安定になってしまうかもしれないけど、これだけは伝えとかなければならないかな。
先週の話だけど、光太くんが交通事故で亡くなりました。突然の話で母さんも信じられなかったけど、本当の話だった…。この前、お通夜には母さんが行ってきました。
弥生、光太くんのこと家で沢山話してくれていたから、ショックは大きいと思う。すぐには受け入れられないかもしれないけど、今はあなたがやるべきことを精一杯頑張って、日本に帰ってきたら光太くんのお墓参りをしてあげてね。
弥生も身体にはくれぐれも気を付けて、あと半年頑張ってね。"
"こんなことってあるの…。"
弥生はロッカールームのベンチにしゃがみこんだ。動きたくない。動く気力が湧いてこない。
そもそも光太くんに影響されてアメリカに渡ってきたのに、その光太くんがいなくなってしまった。日本に帰ったら報告会しようって約束したじゃん…。
泣いても状況は変わらない。そんなことはわかっているが、溢れる涙を止められなかったー。
「会いたいよ、光太くん…。」
あの日、初めて体育館の通路で光太くんに話しかけた。実はその前から気になっていた。何か話しかけるきっかけを探していたときに、ちょうど料理のことで揉めて教室を出ていった光太くんの後を追った。そしてやっとの思いで話しかけたあの日から、光太くんとの距離は徐々に縮まっていった。それなのに、今光太くんは手の届かない遠くの世界へ旅立ってしまった。どうして?早すぎるよ光太くん…。
どれだけ考えても、自分の中で光太の死をどう受け入れたらいいのかわからない。バレーボールに打ち込んでいる時間だけが、嫌なことを全て忘れらる唯一の時間だった。
マルシェを一週間前に控えた土曜日。いつものように忙しく配達していた光太宛てに、一通のメールが届いた。差出人はアメリカにいる弥生からだった。
"光太くんへ
お母さんから聞いたよ、光太くん、なんで死んじゃったの?そんなこと言われてもって思うかもしれないけれど、悲しすぎます…
あの時、アメリカに留学していなければもっと会えたのかな。もう光太くんに会うことができないと思うと、とても後悔しています。
このメールを送ったところで、届かないのはわかっています。だけど最後に言わせてください。
「あなたのことが大好きです」
弥生"
「先に言われちゃったなぁ…。光太はメールを読み終えると、スマホをそっとポケットにしまった。」
光太は配達から帰るとき、もし弥生と付き合っていたら、どんな高校生活を送っていたかを想像した。学校帰りに手を繋いでカフェに行ったり、一緒にプリクラを撮ったり、映画を観たり。
そういえば、高校生らしいことは何一つできなかった。弥生と二人でクリスマスデートをしたことが唯一の思い出だ。
「ありがとう。返事は必ず。」そう心に誓うと、光太はクッチーナへと戻っていった。
"弥生元気にやってる?
今日はどうしても伝えたいことがあって連絡しました。弥生は驚くと思うし、気持ちが不安定になってしまうかもしれないけど、これだけは伝えとかなければならないかな。
先週の話だけど、光太くんが交通事故で亡くなりました。突然の話で母さんも信じられなかったけど、本当の話だった…。この前、お通夜には母さんが行ってきました。
弥生、光太くんのこと家で沢山話してくれていたから、ショックは大きいと思う。すぐには受け入れられないかもしれないけど、今はあなたがやるべきことを精一杯頑張って、日本に帰ってきたら光太くんのお墓参りをしてあげてね。
弥生も身体にはくれぐれも気を付けて、あと半年頑張ってね。"
"こんなことってあるの…。"
弥生はロッカールームのベンチにしゃがみこんだ。動きたくない。動く気力が湧いてこない。
そもそも光太くんに影響されてアメリカに渡ってきたのに、その光太くんがいなくなってしまった。日本に帰ったら報告会しようって約束したじゃん…。
泣いても状況は変わらない。そんなことはわかっているが、溢れる涙を止められなかったー。
「会いたいよ、光太くん…。」
あの日、初めて体育館の通路で光太くんに話しかけた。実はその前から気になっていた。何か話しかけるきっかけを探していたときに、ちょうど料理のことで揉めて教室を出ていった光太くんの後を追った。そしてやっとの思いで話しかけたあの日から、光太くんとの距離は徐々に縮まっていった。それなのに、今光太くんは手の届かない遠くの世界へ旅立ってしまった。どうして?早すぎるよ光太くん…。
どれだけ考えても、自分の中で光太の死をどう受け入れたらいいのかわからない。バレーボールに打ち込んでいる時間だけが、嫌なことを全て忘れらる唯一の時間だった。
マルシェを一週間前に控えた土曜日。いつものように忙しく配達していた光太宛てに、一通のメールが届いた。差出人はアメリカにいる弥生からだった。
"光太くんへ
お母さんから聞いたよ、光太くん、なんで死んじゃったの?そんなこと言われてもって思うかもしれないけれど、悲しすぎます…
あの時、アメリカに留学していなければもっと会えたのかな。もう光太くんに会うことができないと思うと、とても後悔しています。
このメールを送ったところで、届かないのはわかっています。だけど最後に言わせてください。
「あなたのことが大好きです」
弥生"
「先に言われちゃったなぁ…。光太はメールを読み終えると、スマホをそっとポケットにしまった。」
光太は配達から帰るとき、もし弥生と付き合っていたら、どんな高校生活を送っていたかを想像した。学校帰りに手を繋いでカフェに行ったり、一緒にプリクラを撮ったり、映画を観たり。
そういえば、高校生らしいことは何一つできなかった。弥生と二人でクリスマスデートをしたことが唯一の思い出だ。
「ありがとう。返事は必ず。」そう心に誓うと、光太はクッチーナへと戻っていった。
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