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序章 宇宙人襲来
05 対決! 宇宙人! 前半戦!
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ワープが完了したようだ。予想以上の揺れにどこが少し揺れるだよ! とツッコミを入れたくなる。幸いなことに全員ワープは警戒していたため誰も怪我することはなかった。
その後すぐUFOの揺れは完全に止んだ。目的地に着いたようだ。宇宙人の指示があり俺たちはUFOの外へ導かれる。
初めての地球以外の星。宇宙服も何も無く外に通されたため予想はしていたが、案の定空気はしっかりあった。それに加えて地球と同じような重力で動きづらさは無く、本当は地球だと言われても信じられるレベルだ。
辺りを見渡すと近くに見えるのはスタジアムのみ。だがそのスタジアムも地球のものと酷似しており、本気でここは地球なのではないのかと疑ってしまった。
スタジアムに入り、そして開けた場所に到着する。そこで俺たちは驚きの光景を目にする。それは観客が誰もいないことなどではない、何も無かった場所に突如サッカーコートが出現したのだ。この技術に、改めてここが異星なのだと実感する俺たち。
地球側のベンチに向かう途中敵側のベンチを観察すると、そこには11人の選手がいた。初めて見た宇宙人。どんな姿が気になっていたが、その姿は地球人そっくりだ。異形の姿だと恐怖を覚える可能性があったためありがたい。これで集中して試合に臨める。
地球側のベンチに到着する。
宇宙人に勝つには協力が不可欠だろう。しかし俺たちには協力できるほどコミュニケーションを取っていない。時間がほとんど無かったとはいえ試合前にもう少しまともに交流しておくべきだったと少し後悔する。
だが、サッカー選手ならコミュニケーションはボールで取る。ツギハギでもいい、カッコ悪くてもいい、ユニフォームすらバラバラな俺たちだけど今は仲間だ、何としてでも協力して絶対に勝つ。
「えぇー、とりあえずフォーメーションの確認じゃが、即席チームでガチガチに固めても仕方ないじゃろう。各自好きなポジションにつくように。
では行ってこい! 頼んだぞ~」
監督の何とも適当な指示を聞いて俺たちはグラウンドへ向かう。そんな中、俺に対して監督が話しかけてくる。
「おお、それと龍也。お前さんはベンチじゃ」
「……え!?
な、何故ですか監督! 大事な試合です、11人で力を合わせないと勝てません!」
「なんじゃ? 監督命令が聞けんのか?」
「聞けませんよ! 11人しかいない今人数を減らす意味がわかりません! もし俺の実力が足りてないのだとしても10人で戦うよりはマシだと思います!」
「……聞けんのか?」
監督の語気を強めたその言葉に俺は異様な威圧感を感じた。それに何故か、少しの信頼感を覚えてしまった。
しかしそれでも俺は納得しきれず、監督の隣に座るトール会長を見る。しかし会長の様子を見るにこの事について関わるつもりは一切無さそうだ。この試合は監督に一任するということなのだろうか。
「……何か意図があるんですよね……?」
「ほっほ、もちろんじゃ」
その言葉を信じ、俺はベンチに座る。
「お、お前、俺に負けるのが怖いからってベンチに逃げるとはとんだ腰抜け野郎だな」
将人が煽ってきたがその態度を見るに動揺しているのは明らかだった。
「うるせーよ、とにかく今俺はベンチだ。俺がいない間に少しでも点決めとけ」
軽く発破をかけると将人は複雑そうな顔をしてグラウンドに向かって行った。
「龍也くん、大丈夫?」
「ああ、監督には何か意図があるはずだ。俺は監督を信じる」
***
両チームがポジションに着き、遂に試合が始まろうとしている。
地球チームのフォーメーションは
ブラド 将人
クレート
ネイト レオ
ヒル
アラン ザシャ ペペ
ヘンドリック
というようになっていた。
試合開始直前の今、俺はもう一度監督へ疑問をぶつける。
「監督、俺をベンチに置いた意図、そろそろ教えてもらえませんか?」
「ほっほ、まあそう焦るな。まずはこの試合を見ようじゃないか」
「…………」
これ以上聞いても無駄と判断した俺は監督の言葉に従うことにする。
センターサークルにはブラドと将人。どうやらコイントスは俺たち地球チームが勝ったようだ。
『それでは地球人諸君、精々足掻くように』
スピーカーから響く言葉が終わるや否や、試合開始の笛がなった。
***
試合が始まって15分、地球チームのプレーは最悪だった。
フォワードのブラドはボールを持つと、パスをする素振りもなくひたすらに相手ゴールを目指している。強靭な肉体と強いパワーを有しているブラドを止めるのは容易ではなかったが、宇宙人チームは複数の守備で囲うことで対応する。
同じくフォワードの将人はブラドの自分勝手なプレイに怒りを覚えているのか、ブラドへパスを出さないようにしているせいで上手く攻めきれない状態が続いていた。それにプレーの精度も普段より悪い。
ミッドフィールダーに目を向けてみる。
まず、ネイトは宇宙人と直接対面して早々に戦意を喪失してしまっている。ブラドも最初の方はネイトにだけはパスを出そうとする素振りがあったが今は見向きもしていない。
次にレオ。彼もブラドと同じくワンマンプレーをしている。周りを雑魚と見下してるブラドとは違い、単に目立ちたさからくる行動だろう。確かにスペイン代表時代もパスをするイメージは少なかったが味方とは連携していたのでここまで勝手な動きをするとは正直想定外だ。
次にクレート。開始直後こそパスをもらいに動いていたが、ボールが回ってこないことと周りのプレーに呆れて段々と動かなくなっていき、今では完全に試合を放棄している。
他のミッドフィールダーと違ってヒルはしっかりと動いてはいる。しかし、事前情報通りファールスレスレのラフプレーを連発していて味方も安易に近寄れない状態だ。
守備陣を見てみると、ディフェンダーのザシャとゴールキーパーのヘンドリックのドイツ代表組、そしてサポートの得意なアランが見事な連携で敵の攻撃をいなしている様子が目に留まる。流石に息のあったプレーだが前線が上手く機能していない以上ジリ貧になるのは避けられないように感じる。
もう1人のディフェンダーであるペペは仕事はこなしているものの、独特なプレーが多く味方が合わせられていない。事前に抱いていた不安が的中してしまった形だ。
と、まあここだけ見ると絶望的だが希望もある。
それは相手チームだ。
サッカーで勝負を挑んできたということはつまりサッカーに自信があるということ。
宇宙人である以上地球人とは段違いの身体能力を有していたり、それこそアニメや漫画でよくある異能の力を使ってきたり、なんて事があってそもそも手も足も出ないという展開も充分予想していた。
しかし、プレーを見た感じ正直特別サッカーが上手いとは感じない。今の地球チームが最低限連携出来れば充分勝てる相手に見える。
だからこそこんなボロボロのチームでもまだ0-0の状態で耐えている。
それにしても相手チームは不気味だ。まず一切声を出さない。テレパシー的なもので会話しているのだろうか。加えてその無機質な動き。整いすぎていて人と試合をしている気がしないな……。
希望があるとは言ったが、正直このままの展開が続けば守備が崩れるのも時間の問題だ。攻めの起点も見つからない。
悩んでいる俺に対して監督が声をかけてきた。
「どうじゃ? 勝てると思うか?」
「……このままだと厳しいと思います。特に守備が崩れそう。今からでも俺が入ってサポートすれば失点は防げると思います」
「ほっほ、守ってるだけじゃ勝てんよ」
そんな会話をしている最中、試合が動き、ついに地球チームのゴールが揺れる。試合開始30分直前での出来事だ。
先制点を許してしまった。得点が期待できない以上ここでの失点は大きい。
「監督! このままじゃ本当にマズイです!」
焦った俺は少し声を荒らげて言う。
そんな俺に監督は
「その通りじゃ、このままだと負ける」
「だったら!」
「今このチームには10個の爆弾が眠っておる。その中の1つを起爆させるだけでこの試合は勝てる。
それが誰か、お前さんにわかるかの?」
「爆弾……?」
「それがわからないようではお前さんを試合に出すわけにはいかんのう。
よーく考えい、時間はまだある。決まったらわしに伝えるんじゃ、もちろんチャンスは一度きりじゃぞ?」
それ以上監督は何も話さなかった。
俺は監督の言葉を元に考え続けたが答えは見つからず、ベンチのまま前半が終わってしまった。
先制点を取られペースを崩された俺たち地球チームは、結局前半のうちにさらに2点の追加点を取られてしまう。その結果、0-3という絶体絶命のピンチを迎えていた。
その後すぐUFOの揺れは完全に止んだ。目的地に着いたようだ。宇宙人の指示があり俺たちはUFOの外へ導かれる。
初めての地球以外の星。宇宙服も何も無く外に通されたため予想はしていたが、案の定空気はしっかりあった。それに加えて地球と同じような重力で動きづらさは無く、本当は地球だと言われても信じられるレベルだ。
辺りを見渡すと近くに見えるのはスタジアムのみ。だがそのスタジアムも地球のものと酷似しており、本気でここは地球なのではないのかと疑ってしまった。
スタジアムに入り、そして開けた場所に到着する。そこで俺たちは驚きの光景を目にする。それは観客が誰もいないことなどではない、何も無かった場所に突如サッカーコートが出現したのだ。この技術に、改めてここが異星なのだと実感する俺たち。
地球側のベンチに向かう途中敵側のベンチを観察すると、そこには11人の選手がいた。初めて見た宇宙人。どんな姿が気になっていたが、その姿は地球人そっくりだ。異形の姿だと恐怖を覚える可能性があったためありがたい。これで集中して試合に臨める。
地球側のベンチに到着する。
宇宙人に勝つには協力が不可欠だろう。しかし俺たちには協力できるほどコミュニケーションを取っていない。時間がほとんど無かったとはいえ試合前にもう少しまともに交流しておくべきだったと少し後悔する。
だが、サッカー選手ならコミュニケーションはボールで取る。ツギハギでもいい、カッコ悪くてもいい、ユニフォームすらバラバラな俺たちだけど今は仲間だ、何としてでも協力して絶対に勝つ。
「えぇー、とりあえずフォーメーションの確認じゃが、即席チームでガチガチに固めても仕方ないじゃろう。各自好きなポジションにつくように。
では行ってこい! 頼んだぞ~」
監督の何とも適当な指示を聞いて俺たちはグラウンドへ向かう。そんな中、俺に対して監督が話しかけてくる。
「おお、それと龍也。お前さんはベンチじゃ」
「……え!?
な、何故ですか監督! 大事な試合です、11人で力を合わせないと勝てません!」
「なんじゃ? 監督命令が聞けんのか?」
「聞けませんよ! 11人しかいない今人数を減らす意味がわかりません! もし俺の実力が足りてないのだとしても10人で戦うよりはマシだと思います!」
「……聞けんのか?」
監督の語気を強めたその言葉に俺は異様な威圧感を感じた。それに何故か、少しの信頼感を覚えてしまった。
しかしそれでも俺は納得しきれず、監督の隣に座るトール会長を見る。しかし会長の様子を見るにこの事について関わるつもりは一切無さそうだ。この試合は監督に一任するということなのだろうか。
「……何か意図があるんですよね……?」
「ほっほ、もちろんじゃ」
その言葉を信じ、俺はベンチに座る。
「お、お前、俺に負けるのが怖いからってベンチに逃げるとはとんだ腰抜け野郎だな」
将人が煽ってきたがその態度を見るに動揺しているのは明らかだった。
「うるせーよ、とにかく今俺はベンチだ。俺がいない間に少しでも点決めとけ」
軽く発破をかけると将人は複雑そうな顔をしてグラウンドに向かって行った。
「龍也くん、大丈夫?」
「ああ、監督には何か意図があるはずだ。俺は監督を信じる」
***
両チームがポジションに着き、遂に試合が始まろうとしている。
地球チームのフォーメーションは
ブラド 将人
クレート
ネイト レオ
ヒル
アラン ザシャ ペペ
ヘンドリック
というようになっていた。
試合開始直前の今、俺はもう一度監督へ疑問をぶつける。
「監督、俺をベンチに置いた意図、そろそろ教えてもらえませんか?」
「ほっほ、まあそう焦るな。まずはこの試合を見ようじゃないか」
「…………」
これ以上聞いても無駄と判断した俺は監督の言葉に従うことにする。
センターサークルにはブラドと将人。どうやらコイントスは俺たち地球チームが勝ったようだ。
『それでは地球人諸君、精々足掻くように』
スピーカーから響く言葉が終わるや否や、試合開始の笛がなった。
***
試合が始まって15分、地球チームのプレーは最悪だった。
フォワードのブラドはボールを持つと、パスをする素振りもなくひたすらに相手ゴールを目指している。強靭な肉体と強いパワーを有しているブラドを止めるのは容易ではなかったが、宇宙人チームは複数の守備で囲うことで対応する。
同じくフォワードの将人はブラドの自分勝手なプレイに怒りを覚えているのか、ブラドへパスを出さないようにしているせいで上手く攻めきれない状態が続いていた。それにプレーの精度も普段より悪い。
ミッドフィールダーに目を向けてみる。
まず、ネイトは宇宙人と直接対面して早々に戦意を喪失してしまっている。ブラドも最初の方はネイトにだけはパスを出そうとする素振りがあったが今は見向きもしていない。
次にレオ。彼もブラドと同じくワンマンプレーをしている。周りを雑魚と見下してるブラドとは違い、単に目立ちたさからくる行動だろう。確かにスペイン代表時代もパスをするイメージは少なかったが味方とは連携していたのでここまで勝手な動きをするとは正直想定外だ。
次にクレート。開始直後こそパスをもらいに動いていたが、ボールが回ってこないことと周りのプレーに呆れて段々と動かなくなっていき、今では完全に試合を放棄している。
他のミッドフィールダーと違ってヒルはしっかりと動いてはいる。しかし、事前情報通りファールスレスレのラフプレーを連発していて味方も安易に近寄れない状態だ。
守備陣を見てみると、ディフェンダーのザシャとゴールキーパーのヘンドリックのドイツ代表組、そしてサポートの得意なアランが見事な連携で敵の攻撃をいなしている様子が目に留まる。流石に息のあったプレーだが前線が上手く機能していない以上ジリ貧になるのは避けられないように感じる。
もう1人のディフェンダーであるペペは仕事はこなしているものの、独特なプレーが多く味方が合わせられていない。事前に抱いていた不安が的中してしまった形だ。
と、まあここだけ見ると絶望的だが希望もある。
それは相手チームだ。
サッカーで勝負を挑んできたということはつまりサッカーに自信があるということ。
宇宙人である以上地球人とは段違いの身体能力を有していたり、それこそアニメや漫画でよくある異能の力を使ってきたり、なんて事があってそもそも手も足も出ないという展開も充分予想していた。
しかし、プレーを見た感じ正直特別サッカーが上手いとは感じない。今の地球チームが最低限連携出来れば充分勝てる相手に見える。
だからこそこんなボロボロのチームでもまだ0-0の状態で耐えている。
それにしても相手チームは不気味だ。まず一切声を出さない。テレパシー的なもので会話しているのだろうか。加えてその無機質な動き。整いすぎていて人と試合をしている気がしないな……。
希望があるとは言ったが、正直このままの展開が続けば守備が崩れるのも時間の問題だ。攻めの起点も見つからない。
悩んでいる俺に対して監督が声をかけてきた。
「どうじゃ? 勝てると思うか?」
「……このままだと厳しいと思います。特に守備が崩れそう。今からでも俺が入ってサポートすれば失点は防げると思います」
「ほっほ、守ってるだけじゃ勝てんよ」
そんな会話をしている最中、試合が動き、ついに地球チームのゴールが揺れる。試合開始30分直前での出来事だ。
先制点を許してしまった。得点が期待できない以上ここでの失点は大きい。
「監督! このままじゃ本当にマズイです!」
焦った俺は少し声を荒らげて言う。
そんな俺に監督は
「その通りじゃ、このままだと負ける」
「だったら!」
「今このチームには10個の爆弾が眠っておる。その中の1つを起爆させるだけでこの試合は勝てる。
それが誰か、お前さんにわかるかの?」
「爆弾……?」
「それがわからないようではお前さんを試合に出すわけにはいかんのう。
よーく考えい、時間はまだある。決まったらわしに伝えるんじゃ、もちろんチャンスは一度きりじゃぞ?」
それ以上監督は何も話さなかった。
俺は監督の言葉を元に考え続けたが答えは見つからず、ベンチのまま前半が終わってしまった。
先制点を取られペースを崩された俺たち地球チームは、結局前半のうちにさらに2点の追加点を取られてしまう。その結果、0-3という絶体絶命のピンチを迎えていた。
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