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第三章 謎と試練
78 勝利は誰の手に
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ヘンディはシュートを止めた。
そしてあの顔。吹っ切れたみたいだな。
なら、今度は俺たちの番だ。
千載一遇のカウンターチャンス。そして自信の戻ったヘンディ。
後半39分と残り時間も少ない。
やるなら今しか無い。
「ザシャとアランを残して全員で攻めるぞ! ラーラ! 難しいけどクレの代わりでドリブルを頼む! 特別なことは要求しない! 相手を撹乱するだけでいい!」
今までは動けるラーラをディフェンスとして置いておくことが必須だった。
しかし、今は違う。
ヘンディが実力を存分に発揮できる今、ラーラがいなくてもザシャとアランとの連携があればディフェンスは充分だ。
ラーラにクレのようにスピードのあるドリブルで前まで上がってもらう。
カウンターが成功し相手のディフェンスも少ない今、ラーラが素早く敵陣へ攻め込み、俺たちで凛のマークを外せばチャンスが生まれる。
先程のレッドカードでの退場で、相手の選手が1人少ないのも好都合だ。
ドリブルで上がっていくラーラ。スピードを活かし一気に敵陣へと攻め込む。
前回のクレのときと同じで、フロージアはラーラには向かわずゴール前で待ち構える動きだ。
そしてバイタルエリア、凛に対するマークが厚い。警戒されるのは当然。
確かにこのフィールドでも問題なくドリブルができる凛が1番厄介だろう。しかし、俺たちもただ見ているだけじゃない。
「将人、ブラド、凛のマークを外すぞ! 凛をできる限り動けるようにする!」
「「おう!」」
「ラーラ、センタリングだ!」
「はいっ!」
ラーラから中へボールが上がる。
凛の周囲に集まっていた選手たち。俺たち3人で体を入れて引き離す。まだマークは残っているが、これくらいなら凛なら動ける。
「凛! あとは任せた!」
「任されたっ!」
ラーラからのボールが届き、凛がシュートを打とうとする瞬間……
「させません!」
ゴールから飛び出していたその選手――アマトにボールを奪われる。
「しまった! このピンチにキーパー位置から動くのか!?」
「キーパー位置? そんなところにいていい状況ではないでしょう!
2点差……こんなものでは話になりません!
失点覚悟! リスクがあろうが攻める!
ここで点を稼がないと、僕たちの星に未来はない!」
ボールを奪ったアマトの素早いドリブルに俺たちは対応できず、あっという間にゴール前まで攻め込まれてしまう。
ちくしょう……カウンターを決めるつもりが逆にカウンターをくらってしまった……。
「大丈夫だみんな! ゴールは絶対俺が守る!
ザシャは左サイド、9番のダイナゴラルランに注意!
アランは右! 10番へのパスコースを徹底的に塞ぐんだ!」
「「はい(っス)」」
流石だヘンディ。最低限の的確な指示で相手との1VS1の状況を作り上げた。
「パスが出せない……。
しかし、僕だってシュートくらい打てます!
こんな点数じゃダメなのです! 僕たちが勝つためにも……フロージアを救うためにも! 絶対に点が必要なのです!」
アマトの決死のシュート。
そのボールは……ゴールを少しハズれて……
「違うっスヘンディさん! そのボール回転かかってるっス! ギリギリ入りますっス!」
「問題ないザシャ。そのボールも俺には……見えている!」
ヘンディは大きく飛び込み、パンチング!
際どいボールだったが、しっかりとセーブすることに成功する。
そしてセカンドボール。フロージアが必死に追いかけるも……
「ったく、俺たちのキーパーなんだから、こんくらいはやってもらわねえとなあ!?」
戻ってきていたヒルが既のところでクリア。
俺にボールが渡ってくる。
「もう一度カウンターだ! 今度こそ決めるぞ!」
そう言ってラーラにパスを出そうとするも……ダメだ。
先程の反省か、ラーラには厳重にマークが張り付いてある。
凛にも同じくだ。これではパスが出せない。俺がドリブルで運ぶか……? いやしかし、このフィールドで俺がボールを保持し続ける自信は無い。
迷っていると、突然大きな声が聞こえる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」
この声は……まさか……!?
「みんな! 飛べ!」
ヘンディからの声。俺はその声を信じ、大きくジャンプする。
するとその瞬間、地面が大きく揺れる。
「うわあ!?」
「なんですの!?」
フロージアの選手が次々と転んでいく。これは間違いない、ギガデスの"ジェイグ"だ。
ということは、やはりあの声は……
「どわあ、限界だ!
でもできたぞ! おまえら! あとは任せたからな!」
ブラドだ! まさか本当にまたあの力を見られるとは……!
驚きたいが、今はそんな余裕はない。ブラドの作ってくれたこのまたとないチャンスを活かさなければ。
フロージアの選手が倒れたことによりフリーになる仲間たち。俺はゴール前にいた凛にパスを出す!
「いけ! 凛!」
ボールを受け取った凛、流れのままドリブルでキーパーの目の前まで突き進む。
今はアマトもいない。完全な1VS1。シュートの構えに入る。よし! 凛なら決められ――
「!?」
ぶわっと。風が吹きかかる。
俺の隣を何かが超スピードで通過したようだ。
その何かは凛に向かって一直線に向かっていく。
「絶対に……させません!」
アマトだ。あの揺れをかわしていたのか!
「凛! 後ろだ! 危ない!」
「貰いました!」
アマトがボールに触れようとする。
「……は?」
凛の傍を通り過ぎるアマト。しかし、ボールは凛が持ったままだ。
俺には見えた。
アマトが近づいてきた瞬間、体を回してアマトをかわした凛を。ボールに触れようとしたアマトの足の間を、股抜きをしてかわした凛を。
「あー、最高。
あんたみたいなプライド高そうなやつに決める股抜きほど気持ちいいものも無いわね。
さあ、うちの仲間を散々馬鹿にしたことを後悔すること……ねっ!」
そのままの流れで凛のシュート!
ボールはゴールをかなり外れたように見えたが、凛に限ってそんなはずは無いだろう。
先程のアマトのシュート以上のカーブを見せ枠内へと戻ってくるボール。
当然相手のキーパーは反応できない。
「ピィィィィィィィィィィィィィィィ」
「よっっっっっっっっっっし!」
ついに追加点!
これで2-3。いける! 流れは俺たちに来ている! 今の流れならもう1て――
「試合終了! この試合! 3-2でフロージアの勝利!」
そしてあの顔。吹っ切れたみたいだな。
なら、今度は俺たちの番だ。
千載一遇のカウンターチャンス。そして自信の戻ったヘンディ。
後半39分と残り時間も少ない。
やるなら今しか無い。
「ザシャとアランを残して全員で攻めるぞ! ラーラ! 難しいけどクレの代わりでドリブルを頼む! 特別なことは要求しない! 相手を撹乱するだけでいい!」
今までは動けるラーラをディフェンスとして置いておくことが必須だった。
しかし、今は違う。
ヘンディが実力を存分に発揮できる今、ラーラがいなくてもザシャとアランとの連携があればディフェンスは充分だ。
ラーラにクレのようにスピードのあるドリブルで前まで上がってもらう。
カウンターが成功し相手のディフェンスも少ない今、ラーラが素早く敵陣へ攻め込み、俺たちで凛のマークを外せばチャンスが生まれる。
先程のレッドカードでの退場で、相手の選手が1人少ないのも好都合だ。
ドリブルで上がっていくラーラ。スピードを活かし一気に敵陣へと攻め込む。
前回のクレのときと同じで、フロージアはラーラには向かわずゴール前で待ち構える動きだ。
そしてバイタルエリア、凛に対するマークが厚い。警戒されるのは当然。
確かにこのフィールドでも問題なくドリブルができる凛が1番厄介だろう。しかし、俺たちもただ見ているだけじゃない。
「将人、ブラド、凛のマークを外すぞ! 凛をできる限り動けるようにする!」
「「おう!」」
「ラーラ、センタリングだ!」
「はいっ!」
ラーラから中へボールが上がる。
凛の周囲に集まっていた選手たち。俺たち3人で体を入れて引き離す。まだマークは残っているが、これくらいなら凛なら動ける。
「凛! あとは任せた!」
「任されたっ!」
ラーラからのボールが届き、凛がシュートを打とうとする瞬間……
「させません!」
ゴールから飛び出していたその選手――アマトにボールを奪われる。
「しまった! このピンチにキーパー位置から動くのか!?」
「キーパー位置? そんなところにいていい状況ではないでしょう!
2点差……こんなものでは話になりません!
失点覚悟! リスクがあろうが攻める!
ここで点を稼がないと、僕たちの星に未来はない!」
ボールを奪ったアマトの素早いドリブルに俺たちは対応できず、あっという間にゴール前まで攻め込まれてしまう。
ちくしょう……カウンターを決めるつもりが逆にカウンターをくらってしまった……。
「大丈夫だみんな! ゴールは絶対俺が守る!
ザシャは左サイド、9番のダイナゴラルランに注意!
アランは右! 10番へのパスコースを徹底的に塞ぐんだ!」
「「はい(っス)」」
流石だヘンディ。最低限の的確な指示で相手との1VS1の状況を作り上げた。
「パスが出せない……。
しかし、僕だってシュートくらい打てます!
こんな点数じゃダメなのです! 僕たちが勝つためにも……フロージアを救うためにも! 絶対に点が必要なのです!」
アマトの決死のシュート。
そのボールは……ゴールを少しハズれて……
「違うっスヘンディさん! そのボール回転かかってるっス! ギリギリ入りますっス!」
「問題ないザシャ。そのボールも俺には……見えている!」
ヘンディは大きく飛び込み、パンチング!
際どいボールだったが、しっかりとセーブすることに成功する。
そしてセカンドボール。フロージアが必死に追いかけるも……
「ったく、俺たちのキーパーなんだから、こんくらいはやってもらわねえとなあ!?」
戻ってきていたヒルが既のところでクリア。
俺にボールが渡ってくる。
「もう一度カウンターだ! 今度こそ決めるぞ!」
そう言ってラーラにパスを出そうとするも……ダメだ。
先程の反省か、ラーラには厳重にマークが張り付いてある。
凛にも同じくだ。これではパスが出せない。俺がドリブルで運ぶか……? いやしかし、このフィールドで俺がボールを保持し続ける自信は無い。
迷っていると、突然大きな声が聞こえる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」
この声は……まさか……!?
「みんな! 飛べ!」
ヘンディからの声。俺はその声を信じ、大きくジャンプする。
するとその瞬間、地面が大きく揺れる。
「うわあ!?」
「なんですの!?」
フロージアの選手が次々と転んでいく。これは間違いない、ギガデスの"ジェイグ"だ。
ということは、やはりあの声は……
「どわあ、限界だ!
でもできたぞ! おまえら! あとは任せたからな!」
ブラドだ! まさか本当にまたあの力を見られるとは……!
驚きたいが、今はそんな余裕はない。ブラドの作ってくれたこのまたとないチャンスを活かさなければ。
フロージアの選手が倒れたことによりフリーになる仲間たち。俺はゴール前にいた凛にパスを出す!
「いけ! 凛!」
ボールを受け取った凛、流れのままドリブルでキーパーの目の前まで突き進む。
今はアマトもいない。完全な1VS1。シュートの構えに入る。よし! 凛なら決められ――
「!?」
ぶわっと。風が吹きかかる。
俺の隣を何かが超スピードで通過したようだ。
その何かは凛に向かって一直線に向かっていく。
「絶対に……させません!」
アマトだ。あの揺れをかわしていたのか!
「凛! 後ろだ! 危ない!」
「貰いました!」
アマトがボールに触れようとする。
「……は?」
凛の傍を通り過ぎるアマト。しかし、ボールは凛が持ったままだ。
俺には見えた。
アマトが近づいてきた瞬間、体を回してアマトをかわした凛を。ボールに触れようとしたアマトの足の間を、股抜きをしてかわした凛を。
「あー、最高。
あんたみたいなプライド高そうなやつに決める股抜きほど気持ちいいものも無いわね。
さあ、うちの仲間を散々馬鹿にしたことを後悔すること……ねっ!」
そのままの流れで凛のシュート!
ボールはゴールをかなり外れたように見えたが、凛に限ってそんなはずは無いだろう。
先程のアマトのシュート以上のカーブを見せ枠内へと戻ってくるボール。
当然相手のキーパーは反応できない。
「ピィィィィィィィィィィィィィィィ」
「よっっっっっっっっっっし!」
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