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第18話
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昼食時に霧島と京哉が本部の士官食堂に行ってみると誰もが笑ってはチャレンジャな情報士官二人の肩を叩き、背を小突いた。本日出撃の第四小隊以外の第五〇二爆撃中隊の全員が二人のことを知っているようである。
本当にチャレンジャなのは否応なく挑まされているオスカーとリッキー、牽いては中隊長のアイファンズ少佐だといえるが、それはさておき椅子に腰掛けた霧島は愚痴った。
「以前から私は思っていて、特別任務に就くようになってから顕著だと感じるようになったのだが、向こうはこちらを知っているのに、こちらは向こうを知らないという状況がどう考えても多すぎる。フェアではないと思わんか?」
「忍さんは存在自体が派手で目立つから。日本じゃ何度も週刊誌に載ってますし」
「それにしたって海外まで来てこの現象は妙だろう。大体、私ばかりに原因を押し付けるが、お前こそ自分が目立たないとでも思っているのか?」
「うーん、アジア人だし、水族館の魚みたいに見られるのは仕方ないですよね」
二人は頷き合い溜息をついた。だが次には明るい顔をする。
「でも、これで何とかヘリの操縦のコツは掴めましたし」
「私も最後の回は味方を二機しか墜とさなかったぞ」
隣の席の小隊長バッジを着けた中尉がブホッとスパゲッティを吹いた。
「何だ、汚いな。それにしても、いつまでこうしていなければならないんだ?」
「こうしていても時間が経つだけだけですもんね」
「無期限赴任は勘弁して欲しいな。ここに骨を埋める気はないぞ」
「僕だって早く帰りたいですよ、本格的に戦争に巻き込まれる前に」
そこで京哉の制服のポケットが震える。メールが入って携帯を出し操作した。
「何処からだ?」
「さあ。これ、読んで下さい」
「指揮官室、中隊長のアイファンズ少佐の発令。明日、第一小隊はソーティだ」
「初出撃ですか。わあ、言ってる傍から戦争だ。それで目標は何処なんでしょう?」
「それはまだ載っていない。それよりも戦闘薬だ、問題は」
「出撃も相当な問題だと思いますけどね。あ、忍さんにもメール、誰からですか?」
「レイ=フォーサイス少佐。傷病休暇票にサインしに来いということだ」
「ふうん。軍医さん、医務室ですか。そこなら戦闘薬もあるかも知れませんね」
「なるほど、行って訊いてみるか」
「その軍医さんが横流し犯ならいいのに。明日の戦争も不参加で帰れますよ」
適当なことを言いつつ綺麗に食事を平らげた二人はトレイを返し、そのまま医務室へと向かった。医務室でフォーサイス少佐はまたも患者用ベッドに転がっていた。
「来たか、情報科」
「霧島と鳴海だ、フォーサイス少佐」
「レイでいい、そんなに偉かねぇんでな。その傷病休暇票にサインしといてくれや」
ペンを取り上げて二人が交互にサインしていると、レイは起き上がって医務室の隅にあったコーヒーサーバから紙コップ三つにコーヒーを注いだ。そのうちふたつを霧島と京哉に手渡すと、ベッドに座ってニヤリと笑って見せる。
「一休みしていかねぇか?」
コーヒーまで出されて否も応もない。二人はその場にあった椅子にそれぞれ腰掛けた。京哉は患者用の丸椅子、霧島は医務官用の回転椅子でベッドに座ったレイより偉そうである。デスク上に灰皿を見つけた京哉は煙草を取り出しながらレイに訊いた。
「吸ってもいいですか?」
「一本、寄越すならな」
貰い煙草を旨そうに吸いながら、レイは京哉を眺めてまたもニヤリと笑う。
「鳴海、お前さん、躰はもういいのか?」
「はあ、お陰様で」
「愛のチカラだねェ」
何も言っていないのに何故分かる人には分かってしまうのか、京哉は霧島の顔を見上げて首を捻る。霧島は持ち出した薬が薬だったのでピンときたが、京哉に悪いので鉄面皮を押し通した。そんな二人を面白そうに眺めながらレイが何気ない調子で訊いてくる。
「第三駐屯地なんて遠い所から情報科がこんな所に何しにきたんだ?」
「良く知っているな。だがそんなことに興味があるのか?」
「やたらヒマでな。そうでなくとも中隊全員が興味津々だぞ」
「ふ……ん」
霧島はチラリと京哉を見返した。目で頷き合ってから霧島が真っ直ぐ斬り込む。
「ここでは戦闘薬を使っているのか?」
「二〇三や五〇二には使ってねぇが、三〇四には、な。ほれ、そこの箱に入ってる」
二〇三は上空の敵機を撃ち落とす高射特科、五〇二は二人も所属する爆撃中隊、三〇四は偵察歩兵中隊のことだ。
歩兵中隊はこれから爆撃する対象の近くまでヘリか車両で送られ、そこからは徒歩で爆撃対象の施設の詳細などを探るのだという。
床に無造作に置かれた段ボール箱は昨日霧島が蹴り除けたものだ。京哉が引き寄せ中身をひとつ取り出す。薄い透明の分包にオレンジ色と白の錠剤が一粒ずつ入っていた。間違いない、日本でジャンキーが所持していたものとそっくり同じである。
「俺としちゃ出来るだけ若い奴らにこんなヤクを配りたかねぇが、上の方針ってヤツだ。まあ、銃を担いで敵中に潜り込むんだ、神経が鋭敏化するこいつも一役買ってはいるんだろうさ」
「ふうん。しかし大量だな」
一片五十センチはある大きな段ボール箱に、戦闘薬はいっぱいに詰まっていた。
「本来ならソーティの五〇二にも配るべきとされている。希望者には配る」
「余剰は出ないのか?」
「そりゃあ出るさ」
「それはどうしている?」
「第二十七駐屯地の医務室に返却するのが普通だ」
「そこに返却したあとはどうなるんだ?」
「さあな。何処かの倉庫に山積みになってるのか、よその足りない駐屯地に売っ払うのか……けど何だ、お前さんたちは戦闘薬の横流しルートでも探りにきたのか?」
ここまで言えば隠しても仕方ない。霧島は頷いた。
「日本国で中毒者が殺人まで犯している。心当たりがあるなら教えてくれ」
「俺も一枚噛んでたらどうする?」
「どうもしない。【調査し報告】するだけだからな。撃ち殺せとは言われていない」
「へえ。確かによそに売るほど余っちゃいるが、突っ返した駐屯地の連中が本当に売ってるかどうかまでは考えたことがなかったな。まあ、それでも驚きはしねぇさ、売れるもんは何だって売るのがこの国の流儀だからな」
レイの言葉を聞いて二人は町の女将を思い出す。売れるものは何でも売る。持っている者からは奪う。そうしなければ生きていけない何もない国なのだ、ここは。
「まさか昨日の薬代まで払えとは言わんだろうな?」
「この煙草でチャラにしてやるさ。そうでなくてもこの第二十七駐屯地は上が結構やり手だからな、それほど困っちゃいないんだ。毎度の飯を見たって分かるだろう?」
「ええ、まあ。思ってたより立派なんで、吃驚しましたけど」
「正規の援助物資、食料や備品・弾薬・装備の他に、叩いた敵の物資を奪取する手腕はなかなかのもんでな。確立された手段できっちり手に入れる」
「まるで山賊か強盗団だな」
フィルタぎりぎりまで吸った煙草を指先で揉み消しながらレイは笑った。
「何処も似たようなもんだ。ウチだけ肥えてる訳でもねぇさ」
「なるほど、バトルロイヤルか」
「そういうことだ。明日のソーティでこの国の本当のバトルロイヤルを見てこい」
本当にチャレンジャなのは否応なく挑まされているオスカーとリッキー、牽いては中隊長のアイファンズ少佐だといえるが、それはさておき椅子に腰掛けた霧島は愚痴った。
「以前から私は思っていて、特別任務に就くようになってから顕著だと感じるようになったのだが、向こうはこちらを知っているのに、こちらは向こうを知らないという状況がどう考えても多すぎる。フェアではないと思わんか?」
「忍さんは存在自体が派手で目立つから。日本じゃ何度も週刊誌に載ってますし」
「それにしたって海外まで来てこの現象は妙だろう。大体、私ばかりに原因を押し付けるが、お前こそ自分が目立たないとでも思っているのか?」
「うーん、アジア人だし、水族館の魚みたいに見られるのは仕方ないですよね」
二人は頷き合い溜息をついた。だが次には明るい顔をする。
「でも、これで何とかヘリの操縦のコツは掴めましたし」
「私も最後の回は味方を二機しか墜とさなかったぞ」
隣の席の小隊長バッジを着けた中尉がブホッとスパゲッティを吹いた。
「何だ、汚いな。それにしても、いつまでこうしていなければならないんだ?」
「こうしていても時間が経つだけだけですもんね」
「無期限赴任は勘弁して欲しいな。ここに骨を埋める気はないぞ」
「僕だって早く帰りたいですよ、本格的に戦争に巻き込まれる前に」
そこで京哉の制服のポケットが震える。メールが入って携帯を出し操作した。
「何処からだ?」
「さあ。これ、読んで下さい」
「指揮官室、中隊長のアイファンズ少佐の発令。明日、第一小隊はソーティだ」
「初出撃ですか。わあ、言ってる傍から戦争だ。それで目標は何処なんでしょう?」
「それはまだ載っていない。それよりも戦闘薬だ、問題は」
「出撃も相当な問題だと思いますけどね。あ、忍さんにもメール、誰からですか?」
「レイ=フォーサイス少佐。傷病休暇票にサインしに来いということだ」
「ふうん。軍医さん、医務室ですか。そこなら戦闘薬もあるかも知れませんね」
「なるほど、行って訊いてみるか」
「その軍医さんが横流し犯ならいいのに。明日の戦争も不参加で帰れますよ」
適当なことを言いつつ綺麗に食事を平らげた二人はトレイを返し、そのまま医務室へと向かった。医務室でフォーサイス少佐はまたも患者用ベッドに転がっていた。
「来たか、情報科」
「霧島と鳴海だ、フォーサイス少佐」
「レイでいい、そんなに偉かねぇんでな。その傷病休暇票にサインしといてくれや」
ペンを取り上げて二人が交互にサインしていると、レイは起き上がって医務室の隅にあったコーヒーサーバから紙コップ三つにコーヒーを注いだ。そのうちふたつを霧島と京哉に手渡すと、ベッドに座ってニヤリと笑って見せる。
「一休みしていかねぇか?」
コーヒーまで出されて否も応もない。二人はその場にあった椅子にそれぞれ腰掛けた。京哉は患者用の丸椅子、霧島は医務官用の回転椅子でベッドに座ったレイより偉そうである。デスク上に灰皿を見つけた京哉は煙草を取り出しながらレイに訊いた。
「吸ってもいいですか?」
「一本、寄越すならな」
貰い煙草を旨そうに吸いながら、レイは京哉を眺めてまたもニヤリと笑う。
「鳴海、お前さん、躰はもういいのか?」
「はあ、お陰様で」
「愛のチカラだねェ」
何も言っていないのに何故分かる人には分かってしまうのか、京哉は霧島の顔を見上げて首を捻る。霧島は持ち出した薬が薬だったのでピンときたが、京哉に悪いので鉄面皮を押し通した。そんな二人を面白そうに眺めながらレイが何気ない調子で訊いてくる。
「第三駐屯地なんて遠い所から情報科がこんな所に何しにきたんだ?」
「良く知っているな。だがそんなことに興味があるのか?」
「やたらヒマでな。そうでなくとも中隊全員が興味津々だぞ」
「ふ……ん」
霧島はチラリと京哉を見返した。目で頷き合ってから霧島が真っ直ぐ斬り込む。
「ここでは戦闘薬を使っているのか?」
「二〇三や五〇二には使ってねぇが、三〇四には、な。ほれ、そこの箱に入ってる」
二〇三は上空の敵機を撃ち落とす高射特科、五〇二は二人も所属する爆撃中隊、三〇四は偵察歩兵中隊のことだ。
歩兵中隊はこれから爆撃する対象の近くまでヘリか車両で送られ、そこからは徒歩で爆撃対象の施設の詳細などを探るのだという。
床に無造作に置かれた段ボール箱は昨日霧島が蹴り除けたものだ。京哉が引き寄せ中身をひとつ取り出す。薄い透明の分包にオレンジ色と白の錠剤が一粒ずつ入っていた。間違いない、日本でジャンキーが所持していたものとそっくり同じである。
「俺としちゃ出来るだけ若い奴らにこんなヤクを配りたかねぇが、上の方針ってヤツだ。まあ、銃を担いで敵中に潜り込むんだ、神経が鋭敏化するこいつも一役買ってはいるんだろうさ」
「ふうん。しかし大量だな」
一片五十センチはある大きな段ボール箱に、戦闘薬はいっぱいに詰まっていた。
「本来ならソーティの五〇二にも配るべきとされている。希望者には配る」
「余剰は出ないのか?」
「そりゃあ出るさ」
「それはどうしている?」
「第二十七駐屯地の医務室に返却するのが普通だ」
「そこに返却したあとはどうなるんだ?」
「さあな。何処かの倉庫に山積みになってるのか、よその足りない駐屯地に売っ払うのか……けど何だ、お前さんたちは戦闘薬の横流しルートでも探りにきたのか?」
ここまで言えば隠しても仕方ない。霧島は頷いた。
「日本国で中毒者が殺人まで犯している。心当たりがあるなら教えてくれ」
「俺も一枚噛んでたらどうする?」
「どうもしない。【調査し報告】するだけだからな。撃ち殺せとは言われていない」
「へえ。確かによそに売るほど余っちゃいるが、突っ返した駐屯地の連中が本当に売ってるかどうかまでは考えたことがなかったな。まあ、それでも驚きはしねぇさ、売れるもんは何だって売るのがこの国の流儀だからな」
レイの言葉を聞いて二人は町の女将を思い出す。売れるものは何でも売る。持っている者からは奪う。そうしなければ生きていけない何もない国なのだ、ここは。
「まさか昨日の薬代まで払えとは言わんだろうな?」
「この煙草でチャラにしてやるさ。そうでなくてもこの第二十七駐屯地は上が結構やり手だからな、それほど困っちゃいないんだ。毎度の飯を見たって分かるだろう?」
「ええ、まあ。思ってたより立派なんで、吃驚しましたけど」
「正規の援助物資、食料や備品・弾薬・装備の他に、叩いた敵の物資を奪取する手腕はなかなかのもんでな。確立された手段できっちり手に入れる」
「まるで山賊か強盗団だな」
フィルタぎりぎりまで吸った煙草を指先で揉み消しながらレイは笑った。
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