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第38話(BL特有シーン・回避可)

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「動けないったって、ほんの少しの間だけじゃない」
「ほんの少しの間かどうか……俺、自信ねぇんだよ。お前のこと目茶苦茶に抱いて、引き裂いて、何処までも突き立てて、この白い肌を汚して――」

 指先をハイファの頬に滑らせる。ハイファは僅かに頬を紅潮させて俯いた。

「……いいじゃない、それでも僕は欲しいよ。シドが欲しい」
「そうか。なら、来いよ」

 細い手首を掴んで引き寄せる。ガウンに包まれた躰を薄い背から抱き込んだ。胸に強く抱きながらガウンの紐を解き、いきなりハイファの躰の中心を握り込む。

「ああっ……いやあ、シド、ああんっ!」
「嫌じゃねぇだろ、ここはいいって言ってるぜ」

 そこは既に勃ち上がり、とろりとした液体を溢れさせていた。
 いきなり荒々しく扱かれて細い躰が暴れるのをシドは背後から左腕一本で封じる。ハイファの胸が軋むくらいに押さえつけ、熱く硬いものを扱き続けた。

「欲しいんだろ、イカせてやる」
「んんっ、あっ、く……僕、だけ?」
「言ったろ、抱くとタダじゃすまなくなる」
「あっ……はあっ、いや、あ……貴方と……はうっ!」

 縛めた側の指先で胸の小さな尖りを強く摘むと、上体を仰け反らせてハイファは苦しげに喘いだ。それが苦しいのではないことを知っているシドは手を緩めない。上下を執拗に攻めながら首筋に噛み付くようなキスを落とした。

 うなじを舐めねぶり、唇を押し当てて何度もきつく吸い上げる。白い肌に赤紫の鬱血を刻み込み、耳朶に低く囁きかけた。

「すごいな……こんなに濡らしやがって」
「や……あぅん……シド、やめて――」
「だめだ……ほら、我慢しなくていいんだぞ」

 ハイファが自ら零した蜜を絡めて扱き上げるうちに抵抗は弱々しくなる。いつしかハイファはシドの逞しい胸に背を預け、膝を立てた脚を大きく広げてシドの攻めを積極的に受け入れる体勢をとっていた。濡れた音と羞恥の蕩けた声が響く。

 握ったハイファを優しく、きつく、緩急をつけて擦り上げながら、シドの方こそハイファからの甘い攻めに堪え続けていた。
 ふいに手の中のハイファが変化の予兆を見せる。扱くスピードを速めた。

「ああん……シド、だめ、許して……はぁん!」
「いいから……これでいけって」
「あっ、あっ……いく、いっちゃう……はうっ!」

 解放したハイファはシドの手を汚した上に、自分の喉元近くまで白濁を飛び散らせていた。
 弛緩した躰を寝かせると、シドは細い脚の間に割って入る。そしてハイファ自身が放ったもので濡れた指を、何の前置きもなしで硬い蕾に潜らせた。
 桜色に染まったしなやかな躰がわななく。

「シド、いや……お願い、もう――」
「こっちでもイカせてやる……くっ、きついな」
「んっ……ン、あっ、ふ……あうっ!」

 届かせた指先でポイントを掻いた。ハイファの喘ぎが高くなる。中指のみで粘膜を擦り、掻き回していると、再びハイファのものが成長し始める。

「いや……シド、っあ……はぁんっ!」

 甘く許しを乞う声とは裏腹に、シドの指を咥え込んだ内襞はきつく絡み付いて、奥へ奥へと誘うような動きをみせた。容赦なくシドは愛しい存在に快感を注ぎ込み続ける――。

 当然ながらシドだってハイファを我が身で余す処なく征服してしまいたい想いでいっぱいだった。だがシドの勘は『エドのひとこと』で「もしや……」と仮定を立てるに充分だったのだ。
 そんな、いつ計画を全て台無しにしてしまうワイルドカードとしての自分たちは『エウテーベの盾』メンバーの中でも危険極まりない存在……とも取れてしまう。

 もしもの時に自分がハイファを足止めしてしまうような行為に及んではならない。
 そう思って、でも眩いような白い裸身とまとわりつく輝く金髪にとても情欲を抑え切れず、シドは今や数指を狭い色づきに捩じ込んでは抽挿入していた。

「やあ、ん、どうして!? っん、シドが欲しいよ! 壊してもいい!」
「マジで壊してる場合じゃねぇ気がするんだって。全部終わったら暫く立てなくなるくらい、してやるから我慢してくれ」

 そんなやり取りの間にもハイファは堪えきれずに再び達していた。

 こんなのを自分だけが見られるなんて、冷静な切れ長の目で観察されるなんて、プライドの高いハイファは許しがたく怒りすら覚える。だがシドに与えられる快感を躰は貪るように欲していて、促されるまま様々に淫らな肢体を取っては思考がスパークするような想いに幾度も堕とされた。

 ハイファとて自分たちが囮を演じる以上、危険なのは承知だったが、まさか自分独りがシドに隠しようもなく淫ら極まりない姿を見せつけているのが堪らなく羞恥を煽った。

「も……駄目、シド……許して」
「イケるだけイケよ。今晩くらい深く眠れるだろ」

 ずぷりとハイファに体内に侵入してきたのはやはり指で、数指が中を探っている。それだけでゾクゾクし締め付けてしまうハイファだが、何故シドはこんなに自分を……ポイントを擦り上げられ、最奥を指先で突かれて、ハイファは予兆を感じる間もなく薄い液体を自らの腹の上に零していた。

 息が整うのを待って起き上がったハイファは、自分は何ら攻めさせることなく涼しいポーカーフェイスで枕元に腰掛けたシドに思い切り平手を一発食らわせた。
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