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第52話(BL特有シーン・回避可)
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ガバリと毛布を跳ね除けて京哉は霧島に口づけた。痛む躰と切り傷が治りかけた唇に負担をかけないよう、そっとである。
だが後頭部に回された霧島の手は意外な力でもっと深いキスを求めた。絡めた熱い舌に口中を舐め回されて、巧みに身の疼きを掘り起こし、あっという間に酔わせて思考を白くする霧島の舌技に京哉は翻弄される。
「んんっ、ん……んんぅ……っん!」
唾液ごと舌を吸い上げられる間も霧島の片手はドレスシャツの下の素肌をまさぐり撫で回していた。息もつけないくらいのキスと愛撫に思考の殆どが白熱してしまい、眩暈を覚えた京哉は本気で仕掛けてきた霧島のテクニックに喘ぎを止められない。
「んんぅ……んっ、あっ……はあっ!」
やっと口を解放され、まともに息をついて見返すと優しく見返す切れ長の目は常夜灯を映し込んでいて、お蔭で濡れ光る目には情欲が揺らめき、溢れそうになっているのが分かった。
それだけでなく何も身に着けていない霧島は躰の中心をすっかり成長させてしまっている。本当に欲しくて堪らないのが切ないくらいに伝わってきた。
切なく想いを感じ取りながらも京哉は思わず喉を鳴らして唾を飲み込む。
普段でも受け入れるのに酷く苦しい思いをし、時に京哉の躰を傷つけてしまうほど霧島は規格外な大きさに成長させるが、たまに何かの具合で霧島は更に異様なくらいにまで滾らせてしまうことがあった。大抵は想いを溜めた時である。
丁度今の霧島はその時らしかった。幾度となく肌を合わせてきた京哉が身構えてしまうほどに滾らせ、太すぎる先端を既に蜜で濡れそぼらせている。
素直に言えば京哉は僅かに怖くなったくらいだ。初めての同性との行為で霧島を受け入れ、それこそ初めて故に知識もなく全て霧島任せでこじ開けられた時から、二人は人工物を何も使わない。本来なら避妊具は感染症防止のために必需品である。
でも『お前とは何の隔てもなくひとつになりたかった』とのちに霧島が告げたように、セオリーを無視してしまっていると知りつつ、霧島に躰を馴らされ仕込まれた自分はどうしても人工物を使用しての行為に馴染めず集中できなくなるのだ。
霧島もそれを知っているので使うことを京哉に強要せず、更には京哉に甘えている。
しかしこれは痛みだけでなく傷つくのも覚悟の上で応じなければならないだろう。
薄暗い部屋で低く甘い、だがいつもと違って少し掠れた声が京哉に届く。
「京哉。お前が欲しくて、もう眠れん」
普段とさほど変わらない涼しい表情ながら掠れ声に切ない響きを感じ取り、京哉は霧島の素肌の胸を幾度か撫でた。象牙色の滑らかな肌は打撲痕だらけ、薄暗がりでも分かる肌の色の変化が痛々しい。おそらく身を起こすだけでも負担になる筈だ。
「じゃあ僕がしてあげますから、動かないって約束してくれますか?」
「ああ、分かった。だが……私はこんなだ。苦しい思いをさせてしまうな」
「いいえ。思い切り気持ち良くしてあげますね。でも痛かったら言って下さい」
身を倒した京哉の舌は熱い躰を這い、霧島の鎖骨から首筋のラインを辿る。
鎖骨に軽く歯を立て、その下の肌に唇を押し当てるときつく吸った。軽い痛みが走るほど吸い赤く濃い痕を刻み込む。甘やかな痛みで疼きが溜まり切ってしまったのか霧島が身を捩らせた。鍛え上げた大柄な躰で疼きに耐え、逞しい腰を悶えさせる様子は色っぽすぎて見慣れている京哉ですらぞくりと鳥肌を立てる。
堪らない男の色気を発散し、揺らめき立ち昇らせながら霧島は京哉の髪を撫でた。
「あっふ、焦らさないでくれ……っく……京哉、欲しいんだ」
「忍さん……僕もずっと欲しかった……忍さん!」
「そうか。あっく……京哉、あうっ!」
既に勃ち上がりきっているものに京哉が軽く触れただけで、霧島は身を反らせて喘ぎを洩らした。ここまで感度が高まって余裕のない霧島は本当に珍しい。いつもは年上の男としてのプライドで格好つけて、主導権を京哉に握らせることがないからだ。
霧島の脚の間に京哉は割って入った。愛し人のものに温かな舌を這わせる。先端に尖らせた舌を差し込んでなぞると口に含んだ。あまりの太さで口いっぱい頬張るハメになり、はっきり言って技巧を凝らした攻めで悦ばせてやることができない。それでも精一杯、京哉は愛しい男を舐めしゃぶった。
柔らかな口内と唇で扱かれて、たちまち霧島の思考は白熱する。
「くうっ、あっ……っく、京哉、いきなり、それは……あ、あっ!」
「ぅうんっ……んっ、ん……んんっ!」
愛しい男を咥えて攻めながら見上げると、霧島はシーツを掴み締めて腰を突き上げないよう耐えてくれていた。それでも取り憑いた疼きは堪えがたいのか、黒髪を乱れさせ左右に頭を振って悶えている。堪らなく色っぽいそれを目に映し京哉は更にきつく舌を巻きつけた。弱い部分を舌先で擦り立てる。
弱い処を攻められて霧島は更に激しく悶え、それを抑えようと必死らしい。
口の中で霧島がどうしようもなく変化させるたびに京哉は攻めを敢えて休める。すぐにいかせず霧島に眩暈がするほどの快感をたっぷり与えるためだった。
そのうちとうとう我慢できなくなったか、霧島は僅かに腰を上下させ始める。京哉が喉元いっぱいまで太すぎる己を咥えてくれているのは知っているだろう。
それでもなお我慢も限界で京哉の口を積極的に攻める行為に出てしまったのは、京哉なら許してくれると思っている、これもある種の甘えだ。
どんな表現でも霧島が甘えてくれると京哉は嬉しい。だから挿入時の苦しさや時には激情のままに痛みや傷を与えられても京哉は耐えられるのだ。むしろ躰は嘘を吐かない分、余計に霧島の甘えがダイレクトに伝わってきて、この上ない幸せを京哉は噛み締める。
ただ、苦しいものは苦しいので表情や言葉に出てしまうことはあった。
だがそういう時こそ霧島の方も歯止めが利かないどころか理性など失くしているパターンが殆どなので、京哉のクレームは受け付けられないことが多い。それで大概、閾値を超えた快感で失神するまでこの規格外の男に攻め抜かれてしまう。
決して嫌じゃない。でもたまには逆に乞われるほど攻め、よがらせてみたかった。
「うっ、く……あふっ、京哉、だめだ……先に、一度、頼む!」
「っん、んんぅ……んっ!」
いつにない喘ぎを洩らす霧島が愛しくて愛しくて、もっとよがらせるつもりだったのに急に京哉は『一度くらい出させてあげないと可哀想だ』などと想ってしまう。
同時に口の中で一際大きく変化するのを感じた。だが幾らもせず咥えたまま動かせなくなる。張り詰め太すぎて無理だ。
途端に霧島が爆ぜさせた。暴発する勢いで熱く濃く大量のものが京哉の喉にぶつけられる。大柄な身を震わせて霧島が放ったものを京哉は全て嚥下した。
身体の力を抜いてシーツに沈み込んだ霧島は肩で息をしながら眉を顰める。
「くっ……すまん。そんなものは吐き出していいと、いつも言っているだろう」
「ううん、僕が欲しかったんです」
京哉は自身のドレスシャツと下着を取り去った。重みをかけないよう霧島の腕の脇に手をつくと、薄暗がりに浮き上がるような白い肌で霧島を愛撫する。さらりとした髪の感触にも刺激され霧島は低く囁いた。
「京哉、京哉……もう、お前が欲しい。保たなくなる前に、入れさせてくれ」
「今、いったのに、もう? ……って、本当にすっごい。でも貴方は怪我が……」
「いつも通り私が馴らす。後は京哉、お前に任せる」
「本当に任せてくれるのなら、いいですよ。貴方は大人しく。約束ですからね」
「ああ、そう何度も言わずとも分かったと言っている。はあっ、ああ……京哉」
京哉の腹で緩やかに擦られる霧島はいつものことながら、一度放つ前より太く滾らせて反り返っている。滅多に見ないほどの太さで京哉は本気で覚悟を決めた。
「なあ、頼む。お前の、中に……もう少し近くに、届く所に来てくれ」
己の蜜で指を濡らし、熱い吐息と共に霧島は京哉に懇願する。頷いた京哉は霧島を膝立ちで跨いだ。濡れた指が京哉の後ろを探る。挿入された指先が中を擦り上げ始める。傷ついた腕は痛そうなのに、霧島の長い指は変わらず天性のテクニックで京哉を仰け反らせて喘がせた。
「ああんっ、だめ、だめ……忍さん、そこ、やめないで……はぁん!」
巧みすぎるほど指は蠢いて京哉の思考を奪う。快感を注ぎ込む長い指は性急に増やされた。駆け引きなしで霧島は京哉を拡張してゆく。狭い窄まりに受け入れさせた数指を捩るように動かし、根元で京哉の粘膜をしっかり緩めて柔らかく広げた。
甘く高く鳴く京哉の喘ぎを聞くと、今すぐ貫いて思い切り掻き回したかった。愛しくて堪らない年下の恋人の体内は濡れ、指に粘膜が巻きついて快感を手放すまいとしている。粘膜の締まり具合は眩暈がするほどだ。
回を重ねて多少は緩むと思いきや、まるで変わらず毎回入れるたびに初めてこじ開けた日のことを思い出させるくらいである。そんな躰だけに惹かれている訳では勿論ない。PTSDから少し壊れ気味ではある京哉だが、その本当のプライドは霧島にも勝るとも劣らない高潔さを持っていたからだ。
京哉の心にも躰にも霧島は惚れ抜いている。ここまで他人に執着したことがなかったのはお互い様らしく、だが照れ屋の京哉は人前では妙にクールなのが霧島としては不満だった。
だが他人の前ではクールに見せ、霧島と二人だけの時はこんなに甘く淫らな顔を見せるのだ。そのギャップも堪らなく可愛い。おまけに怖いほどの美人だ。
そんな京哉の一糸まとわぬ姿は視覚だけで霧島を追い詰めた。ここまで揃った京哉と行為を始めてしまえば霧島が溺れるのは当然だった。ゆったり掻き回すように数指を動かした霧島はその指を抜くと、濡れて糸を引く指を京哉の前に翳し見せつける。
さすがに二人きりでも京哉は照れて勢い口にした。
「あああ、もういいですから僕の中にきて下さい! 僕はもう我慢できません!」
熱く硬く太すぎる霧島を京哉は掴む。膝でにじり寄ると己に押し当てた。ゆっくり座り込み体重を落としていくが、霧島の切っ先は恐ろしく太すぎて酷く苦しい思いをする。
張り詰めすぎて硬く太すぎる部分を呑み込むのに非常に苦労をした。あれだけ広げられたのに本気で裂けそうだ。
それでも霧島がくれるこの苦しさは、イコール霧島の甘えという貴重さである。だからといって二人共に怪我人になって動けなくなるのも困るので、ごく慎重に細い腰を落としていった。苦しくて多少の痛みが走っても動きは止めず、霧島と同じくお互いが欲しい一心で我が身に熱い楔を穿ってゆく。
「くうっ、あっ、ああ……包んで、くれるのだな……京哉、愛して……あう!」
ここまで聞かされると何処までもこの年上の愛し人を受け入れたいという気持ちが躰を勝手に動かした。細い腰を左右に揺するように捩って深く、もっと深くまで熱い霧島を呑み込んだ。
その間は瞑目し、目尻から涙を流して京哉は耐える。自分が上に位置しているのをいいことに霧島を狂わせるつもりで咥え込んだ。
そうしてとうとう硬く張り詰めた太すぎるものを収め切る。太すぎる霧島に全身を埋め尽くされたような気がしていたが、更に京哉は細い腰を捻った。霧島は自分以外に誰も知らない京哉の一番奥に当たったの感じた。京哉が目を開くと切れ長の目が心配そうに見つめている。
だがその一方で霧島が震えるほどの快感を味わい悦びを感じていながら、それらをもっと増幅したくて耐え難くなっているのも分かっていた。何をどうしてやればいいのか京哉だって分かっている。苦痛を堪えて宣言した。
「っん、動きますから……痛かったら、言って、下さい」
膝立ちでじわりと細い腰を浮かせ、霧島を半ば以上を引き抜いては、また押し包んだ。徐々に粘膜が太い茎に絡み出す。もう苦痛は融け消えていた。
「はあっ、京哉……欲しかった、京哉!」
「あぅんっ……いい……忍さん、硬いよ……ああんっ! あ、ああっ、だめ!」
「このくらい、だめではない……はあっ、ああっ……私にもさせてくれ!」
狂おしいまでに欲しかった京哉の感触に耐えきれず、更には薄暗い中で白く華奢な躰を己の太いものが貫いている光景は淫らすぎ、思わず霧島も腰を突き上げ始めていた。
長めの髪を揺らして喉を仰け反らせた京哉はまさに妖艶で、動かない約束も忘れた霧島は夢中で粘膜を掻き回した。途端に京哉が淫らな水音と共に霧島に絡みつく。
激しく攻められ、京哉は幾らも経たないうちに、切れ切れに訴える。
「忍さん、もう、だめ……お願い、早く――」
「私も、京哉……一緒にいくからな!」
太い霧島が変化してもっと太く張り詰めたのを京哉は感じ取る。本来、男性を迎え入れるための器官ではないそこは張り裂ける寸前だった。次には完全に腰を落とした京哉の中で霧島は幾重にも脈打たせていた。京哉も霧島の腹から胸にかけて熱く迸らせている。
たっぷりと濡らし合い二人は心地良い脱力感に浸った。
暫く静かだったので怪我人は疲れて眠ってしまったのかと京哉は思っていた。だから自分ものんびり横になって、無理せず起きられるようになってからタオルを絞って霧島の身を拭い、自分はシャワーを浴びたらいいか、くらいに考えていた。
だが身を投げ出していた京哉の右腕が突然揺さぶられる。
だが後頭部に回された霧島の手は意外な力でもっと深いキスを求めた。絡めた熱い舌に口中を舐め回されて、巧みに身の疼きを掘り起こし、あっという間に酔わせて思考を白くする霧島の舌技に京哉は翻弄される。
「んんっ、ん……んんぅ……っん!」
唾液ごと舌を吸い上げられる間も霧島の片手はドレスシャツの下の素肌をまさぐり撫で回していた。息もつけないくらいのキスと愛撫に思考の殆どが白熱してしまい、眩暈を覚えた京哉は本気で仕掛けてきた霧島のテクニックに喘ぎを止められない。
「んんぅ……んっ、あっ……はあっ!」
やっと口を解放され、まともに息をついて見返すと優しく見返す切れ長の目は常夜灯を映し込んでいて、お蔭で濡れ光る目には情欲が揺らめき、溢れそうになっているのが分かった。
それだけでなく何も身に着けていない霧島は躰の中心をすっかり成長させてしまっている。本当に欲しくて堪らないのが切ないくらいに伝わってきた。
切なく想いを感じ取りながらも京哉は思わず喉を鳴らして唾を飲み込む。
普段でも受け入れるのに酷く苦しい思いをし、時に京哉の躰を傷つけてしまうほど霧島は規格外な大きさに成長させるが、たまに何かの具合で霧島は更に異様なくらいにまで滾らせてしまうことがあった。大抵は想いを溜めた時である。
丁度今の霧島はその時らしかった。幾度となく肌を合わせてきた京哉が身構えてしまうほどに滾らせ、太すぎる先端を既に蜜で濡れそぼらせている。
素直に言えば京哉は僅かに怖くなったくらいだ。初めての同性との行為で霧島を受け入れ、それこそ初めて故に知識もなく全て霧島任せでこじ開けられた時から、二人は人工物を何も使わない。本来なら避妊具は感染症防止のために必需品である。
でも『お前とは何の隔てもなくひとつになりたかった』とのちに霧島が告げたように、セオリーを無視してしまっていると知りつつ、霧島に躰を馴らされ仕込まれた自分はどうしても人工物を使用しての行為に馴染めず集中できなくなるのだ。
霧島もそれを知っているので使うことを京哉に強要せず、更には京哉に甘えている。
しかしこれは痛みだけでなく傷つくのも覚悟の上で応じなければならないだろう。
薄暗い部屋で低く甘い、だがいつもと違って少し掠れた声が京哉に届く。
「京哉。お前が欲しくて、もう眠れん」
普段とさほど変わらない涼しい表情ながら掠れ声に切ない響きを感じ取り、京哉は霧島の素肌の胸を幾度か撫でた。象牙色の滑らかな肌は打撲痕だらけ、薄暗がりでも分かる肌の色の変化が痛々しい。おそらく身を起こすだけでも負担になる筈だ。
「じゃあ僕がしてあげますから、動かないって約束してくれますか?」
「ああ、分かった。だが……私はこんなだ。苦しい思いをさせてしまうな」
「いいえ。思い切り気持ち良くしてあげますね。でも痛かったら言って下さい」
身を倒した京哉の舌は熱い躰を這い、霧島の鎖骨から首筋のラインを辿る。
鎖骨に軽く歯を立て、その下の肌に唇を押し当てるときつく吸った。軽い痛みが走るほど吸い赤く濃い痕を刻み込む。甘やかな痛みで疼きが溜まり切ってしまったのか霧島が身を捩らせた。鍛え上げた大柄な躰で疼きに耐え、逞しい腰を悶えさせる様子は色っぽすぎて見慣れている京哉ですらぞくりと鳥肌を立てる。
堪らない男の色気を発散し、揺らめき立ち昇らせながら霧島は京哉の髪を撫でた。
「あっふ、焦らさないでくれ……っく……京哉、欲しいんだ」
「忍さん……僕もずっと欲しかった……忍さん!」
「そうか。あっく……京哉、あうっ!」
既に勃ち上がりきっているものに京哉が軽く触れただけで、霧島は身を反らせて喘ぎを洩らした。ここまで感度が高まって余裕のない霧島は本当に珍しい。いつもは年上の男としてのプライドで格好つけて、主導権を京哉に握らせることがないからだ。
霧島の脚の間に京哉は割って入った。愛し人のものに温かな舌を這わせる。先端に尖らせた舌を差し込んでなぞると口に含んだ。あまりの太さで口いっぱい頬張るハメになり、はっきり言って技巧を凝らした攻めで悦ばせてやることができない。それでも精一杯、京哉は愛しい男を舐めしゃぶった。
柔らかな口内と唇で扱かれて、たちまち霧島の思考は白熱する。
「くうっ、あっ……っく、京哉、いきなり、それは……あ、あっ!」
「ぅうんっ……んっ、ん……んんっ!」
愛しい男を咥えて攻めながら見上げると、霧島はシーツを掴み締めて腰を突き上げないよう耐えてくれていた。それでも取り憑いた疼きは堪えがたいのか、黒髪を乱れさせ左右に頭を振って悶えている。堪らなく色っぽいそれを目に映し京哉は更にきつく舌を巻きつけた。弱い部分を舌先で擦り立てる。
弱い処を攻められて霧島は更に激しく悶え、それを抑えようと必死らしい。
口の中で霧島がどうしようもなく変化させるたびに京哉は攻めを敢えて休める。すぐにいかせず霧島に眩暈がするほどの快感をたっぷり与えるためだった。
そのうちとうとう我慢できなくなったか、霧島は僅かに腰を上下させ始める。京哉が喉元いっぱいまで太すぎる己を咥えてくれているのは知っているだろう。
それでもなお我慢も限界で京哉の口を積極的に攻める行為に出てしまったのは、京哉なら許してくれると思っている、これもある種の甘えだ。
どんな表現でも霧島が甘えてくれると京哉は嬉しい。だから挿入時の苦しさや時には激情のままに痛みや傷を与えられても京哉は耐えられるのだ。むしろ躰は嘘を吐かない分、余計に霧島の甘えがダイレクトに伝わってきて、この上ない幸せを京哉は噛み締める。
ただ、苦しいものは苦しいので表情や言葉に出てしまうことはあった。
だがそういう時こそ霧島の方も歯止めが利かないどころか理性など失くしているパターンが殆どなので、京哉のクレームは受け付けられないことが多い。それで大概、閾値を超えた快感で失神するまでこの規格外の男に攻め抜かれてしまう。
決して嫌じゃない。でもたまには逆に乞われるほど攻め、よがらせてみたかった。
「うっ、く……あふっ、京哉、だめだ……先に、一度、頼む!」
「っん、んんぅ……んっ!」
いつにない喘ぎを洩らす霧島が愛しくて愛しくて、もっとよがらせるつもりだったのに急に京哉は『一度くらい出させてあげないと可哀想だ』などと想ってしまう。
同時に口の中で一際大きく変化するのを感じた。だが幾らもせず咥えたまま動かせなくなる。張り詰め太すぎて無理だ。
途端に霧島が爆ぜさせた。暴発する勢いで熱く濃く大量のものが京哉の喉にぶつけられる。大柄な身を震わせて霧島が放ったものを京哉は全て嚥下した。
身体の力を抜いてシーツに沈み込んだ霧島は肩で息をしながら眉を顰める。
「くっ……すまん。そんなものは吐き出していいと、いつも言っているだろう」
「ううん、僕が欲しかったんです」
京哉は自身のドレスシャツと下着を取り去った。重みをかけないよう霧島の腕の脇に手をつくと、薄暗がりに浮き上がるような白い肌で霧島を愛撫する。さらりとした髪の感触にも刺激され霧島は低く囁いた。
「京哉、京哉……もう、お前が欲しい。保たなくなる前に、入れさせてくれ」
「今、いったのに、もう? ……って、本当にすっごい。でも貴方は怪我が……」
「いつも通り私が馴らす。後は京哉、お前に任せる」
「本当に任せてくれるのなら、いいですよ。貴方は大人しく。約束ですからね」
「ああ、そう何度も言わずとも分かったと言っている。はあっ、ああ……京哉」
京哉の腹で緩やかに擦られる霧島はいつものことながら、一度放つ前より太く滾らせて反り返っている。滅多に見ないほどの太さで京哉は本気で覚悟を決めた。
「なあ、頼む。お前の、中に……もう少し近くに、届く所に来てくれ」
己の蜜で指を濡らし、熱い吐息と共に霧島は京哉に懇願する。頷いた京哉は霧島を膝立ちで跨いだ。濡れた指が京哉の後ろを探る。挿入された指先が中を擦り上げ始める。傷ついた腕は痛そうなのに、霧島の長い指は変わらず天性のテクニックで京哉を仰け反らせて喘がせた。
「ああんっ、だめ、だめ……忍さん、そこ、やめないで……はぁん!」
巧みすぎるほど指は蠢いて京哉の思考を奪う。快感を注ぎ込む長い指は性急に増やされた。駆け引きなしで霧島は京哉を拡張してゆく。狭い窄まりに受け入れさせた数指を捩るように動かし、根元で京哉の粘膜をしっかり緩めて柔らかく広げた。
甘く高く鳴く京哉の喘ぎを聞くと、今すぐ貫いて思い切り掻き回したかった。愛しくて堪らない年下の恋人の体内は濡れ、指に粘膜が巻きついて快感を手放すまいとしている。粘膜の締まり具合は眩暈がするほどだ。
回を重ねて多少は緩むと思いきや、まるで変わらず毎回入れるたびに初めてこじ開けた日のことを思い出させるくらいである。そんな躰だけに惹かれている訳では勿論ない。PTSDから少し壊れ気味ではある京哉だが、その本当のプライドは霧島にも勝るとも劣らない高潔さを持っていたからだ。
京哉の心にも躰にも霧島は惚れ抜いている。ここまで他人に執着したことがなかったのはお互い様らしく、だが照れ屋の京哉は人前では妙にクールなのが霧島としては不満だった。
だが他人の前ではクールに見せ、霧島と二人だけの時はこんなに甘く淫らな顔を見せるのだ。そのギャップも堪らなく可愛い。おまけに怖いほどの美人だ。
そんな京哉の一糸まとわぬ姿は視覚だけで霧島を追い詰めた。ここまで揃った京哉と行為を始めてしまえば霧島が溺れるのは当然だった。ゆったり掻き回すように数指を動かした霧島はその指を抜くと、濡れて糸を引く指を京哉の前に翳し見せつける。
さすがに二人きりでも京哉は照れて勢い口にした。
「あああ、もういいですから僕の中にきて下さい! 僕はもう我慢できません!」
熱く硬く太すぎる霧島を京哉は掴む。膝でにじり寄ると己に押し当てた。ゆっくり座り込み体重を落としていくが、霧島の切っ先は恐ろしく太すぎて酷く苦しい思いをする。
張り詰めすぎて硬く太すぎる部分を呑み込むのに非常に苦労をした。あれだけ広げられたのに本気で裂けそうだ。
それでも霧島がくれるこの苦しさは、イコール霧島の甘えという貴重さである。だからといって二人共に怪我人になって動けなくなるのも困るので、ごく慎重に細い腰を落としていった。苦しくて多少の痛みが走っても動きは止めず、霧島と同じくお互いが欲しい一心で我が身に熱い楔を穿ってゆく。
「くうっ、あっ、ああ……包んで、くれるのだな……京哉、愛して……あう!」
ここまで聞かされると何処までもこの年上の愛し人を受け入れたいという気持ちが躰を勝手に動かした。細い腰を左右に揺するように捩って深く、もっと深くまで熱い霧島を呑み込んだ。
その間は瞑目し、目尻から涙を流して京哉は耐える。自分が上に位置しているのをいいことに霧島を狂わせるつもりで咥え込んだ。
そうしてとうとう硬く張り詰めた太すぎるものを収め切る。太すぎる霧島に全身を埋め尽くされたような気がしていたが、更に京哉は細い腰を捻った。霧島は自分以外に誰も知らない京哉の一番奥に当たったの感じた。京哉が目を開くと切れ長の目が心配そうに見つめている。
だがその一方で霧島が震えるほどの快感を味わい悦びを感じていながら、それらをもっと増幅したくて耐え難くなっているのも分かっていた。何をどうしてやればいいのか京哉だって分かっている。苦痛を堪えて宣言した。
「っん、動きますから……痛かったら、言って、下さい」
膝立ちでじわりと細い腰を浮かせ、霧島を半ば以上を引き抜いては、また押し包んだ。徐々に粘膜が太い茎に絡み出す。もう苦痛は融け消えていた。
「はあっ、京哉……欲しかった、京哉!」
「あぅんっ……いい……忍さん、硬いよ……ああんっ! あ、ああっ、だめ!」
「このくらい、だめではない……はあっ、ああっ……私にもさせてくれ!」
狂おしいまでに欲しかった京哉の感触に耐えきれず、更には薄暗い中で白く華奢な躰を己の太いものが貫いている光景は淫らすぎ、思わず霧島も腰を突き上げ始めていた。
長めの髪を揺らして喉を仰け反らせた京哉はまさに妖艶で、動かない約束も忘れた霧島は夢中で粘膜を掻き回した。途端に京哉が淫らな水音と共に霧島に絡みつく。
激しく攻められ、京哉は幾らも経たないうちに、切れ切れに訴える。
「忍さん、もう、だめ……お願い、早く――」
「私も、京哉……一緒にいくからな!」
太い霧島が変化してもっと太く張り詰めたのを京哉は感じ取る。本来、男性を迎え入れるための器官ではないそこは張り裂ける寸前だった。次には完全に腰を落とした京哉の中で霧島は幾重にも脈打たせていた。京哉も霧島の腹から胸にかけて熱く迸らせている。
たっぷりと濡らし合い二人は心地良い脱力感に浸った。
暫く静かだったので怪我人は疲れて眠ってしまったのかと京哉は思っていた。だから自分ものんびり横になって、無理せず起きられるようになってからタオルを絞って霧島の身を拭い、自分はシャワーを浴びたらいいか、くらいに考えていた。
だが身を投げ出していた京哉の右腕が突然揺さぶられる。
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