Golden Drop~Barter.21~

志賀雅基

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第62話(最終話)

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 窓から日が差し、更に暫く経ってから霧島はようやく京哉を揺らすのを止め華奢な躰を抱き締めた。京哉は何度目かの失神中だ。
 乱れたシーツは濡れ、それより京哉の方が濡れたり乾いたりで悲惨だったが、霧島も珍しく起き上がる気になれない。

 けれど京哉の状態が余りに可哀想で、抱いた体をそっと寝かせると自分は起き上がる。
 だが途端に足腰が崩れそうになってライティングチェストに掴まった。霧島がここまでなるのは非常に珍しく、過去数回しかないが相手は何れも京哉だ。

「ふむ。京哉、お前は最強だな」

 呟いて壁伝いに向かったのは洗面所である。湯で絞ったバスタオルを作り持ってくると京哉の躰を拭い始める。自分は雑に拭いて今度はキッチンから水のグラスを持ってきた。
 戻ってみると躰を拭いた後の涼しさからか京哉は目を覚ましていた。

「大丈夫……な訳はないな。今日一日は二人でゴロゴロしよう」
「え、だって買い物に行かないと食材が何もありませんよ?」
「私は平野屋の天丼が食いたい。店屋物でいいだろう?」

 そこで京哉はやっと霧島も動くのに難があるほどやらかしてしまったのだと気が付いてくれたらしい。喘ぎ疲れた京哉に口移しでグラスの水を飲ませ、下着やパジャマを着せつけたり、寝かせたまま器用にシーツを変えたりと、いつもながらに忙しくも愉しく立ち働く間も、霧島のぎこちない動きを京哉は見て見ぬふりをしてくれる。

 お揃いの黒いシルクサテンのパジャマを着た霧島は京哉の隣で毛布に潜り込んだ。そこで思い出したように京哉が見上げ、首を傾げて言った。

「おそらく合コンに『霧島警視が出席表明』したから女性陣が充実して、その事実を知った本部長以下各部長クラスまでが乗っかったんじゃないかと思うんですけど」
「だから何だというんだ?」

「皆さん、さぞかし残念だっただろうなあって。僕が独り占めしちゃって」
「独り占めだろうが何だろうが行かなくて正解だぞ」

「どうしてですか、パートナーのいる僕らにとっては単なる飲み会でしょう?」
「お前は本当に知らんのか?」
「何のことですか?」

 真顔で霧島はまじまじと京哉を見返して溜息をついた。

「警務部の婦警は美人揃いだが、腐った方の腐女子や貴腐人として有名なんだ」
「わあ、そうだったんだ……」

◇◇◇◇

 こうして二人は各部長、つまり警視長クラスの小皿を使った、文字通りの隠し芸を見ずに済んだ。
 それは合コンというよりタダの宴会、いや、修羅場であったという。

 だが県警本部の威信を懸けて一ノ瀬本部長が参加者全員に箝口令を敷いたため、更にエスカレートした恐るべき内容は封印されることになったのだった。


                                 了

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