帝王の刻印 - 籠の鳥は空を見ない -

月姫あげは

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番外編

帝王の失態

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 なぜこんな展開になってしまったのか。
 遡ればそれは、ほんの数時間前のことだ。閉店したホストクラブの中で酔い潰れたキョウヤを発見して、家まで送り届けることにした。
 タクシーに乗せ、キョウヤのマンションの部屋まできたが、キョウヤをベッドに捨てて帰ろうとしたところで一緒に雪崩れ込んでしまった。
「……ったく……」
 かなりの広さがあるベッドの上で、酒臭いキョウヤに覆い被さられて身動きが取れない。たいがはあまり体力もないし、身体の線も細い。キョウヤもどちらかと言えば痩せ型ではあったが、虎よりも筋肉はついているだろうし、泥酔して半分寝かかっている状態だからそのせいで酷く重く感じる。
「おい。起きろ」
 虎はキョウヤの身体を揺さぶって下から抜け出そうとするが、キョウヤの身体はビクともしない。
「ん~……」
 寝言のような声を出して、ぎゅうとキョウヤが虎の身体を抱きしめる。
「くそ。寝ぼけてる」
 どこの女と勘違いしているんだ。
 キョウヤは全くのノンケで、女が大好きな男だ。ゲイに理解はあっても自分にはその気はない。
 早いところ起こして解放してもらいたい。
「キョウヤ、起きろ」
 虎はキョウヤの背中に手を回し、ジャケットの背をグッと引っ張ってその身体を剥がしにかかる。
「あ~も~、う~る~さ~い~」
 キョウヤは寝ぼけたまま、ちゅうと虎の唇に吸い付いてきた。
「…………」
 酒臭い唇を押し付けられて、虎も一緒に酒に酔ってしまいそうになる。どれだけ酒を飲めば、これほどまでに酒臭くなれるのだろうか。
 頑張って引き離そうとしても離れないキョウヤが面倒になって、虎はされるがままになった。
 最初は押し付けられるだけだったキョウヤの唇の隙間から、ちろりと舌が覗く。そのまま舌は、虎の唇の隙間から侵入してきた。
 虎の口腔を探ろうとする舌の動きに応え、自分からも舌を絡ませ深くキョウヤの唇を貪った。
「……っ……」
 思いも寄らぬ相手からのアプローチに、キョウヤが小さく声をあげる。
「……ん~……」
 単なる酔っ払いだったキョウヤの動きが、少しずつ性的なものに変化していく。
 唇を貪りながら、虎の身体を抱いていた手を前に写して腹の辺りを弄る。プツリプツリとボタンを下から一つずつ外し、すべて外し終えるとゆるゆると胸の辺りを揉み始めた。
「ん?」
 その胸の感触に違和感を覚えたのか、口づけをやめてキョウヤがそっと目を開く。
「君って貧にゅ……てうぉあ……!!」
 自分が押し倒していた相手にようやく気が付いて、キョウヤは虎の上から飛び退いた。
「貧乳で悪かったな」
「おおおおオーナー……どうして……」
 キョウヤは青ざめながら更に後退する。
 虎は、ふぅとため息をつきながらベッドに横たわったまま頭の後ろで両手を組んだ。
「お前が店で酔い潰れてたから送ってやったんだ。そしたらお前が俺をどこぞの女と勘違いしてキスしてきたから、サービスでキスされてやってた。OK?」
 虎は淡々と説明しながらベッドで寛ぐ。高価なマットレスなのだろう。寝心地は抜群だ。
「す、すみません……俺、寝ぼけてて」
 しゅんと肩を落として謝るキョウヤを小さく鼻で笑った。
「だろうな」
 虎はゆっくりとベッドから身体を起こすと、そこから立ち上がろうとした。
「さて、俺は帰るか……」
 しかし、慌てて近づいてきたキョウヤに立ち上がるのを阻止される。
「ん? なんだ?」
 グッと肩を押さえられて、顔を真っ赤にしたキョウヤに下の方を指差される。
「オーナー俺、起っちゃった」
「あ? だからなんだよ」
 そんなものは虎には関係のないことだ。自分の後始末は自分自身でつけて欲しい。
「オーナーのせいっすよ。オーナーがあまりにも刺激的な接吻してくるからムラムラっと……」
「何が刺激的な接吻、だ。お前が勝手にして来たんだろ? 俺には関係ない」
 股間を押さえてバタバタと駄々をこねるキョウヤを見つつ、虎はため息をついた。
「大体お前、ノンケだろ。俺にどうしろっていうんだ」
 一発抜いてやれば満足するのだろうか。しかし、男に抜いてもらったところでキョウヤ的には微妙だろう。
「オーナーって美人っすよね。身体もすんげぇ綺麗だし。そこら辺の女より断然いけてるっていうか……」
 目の前に立ちはだかってもごもご確信を得ないことばかり言うキョウヤに焦れてしまう。
「だから?」
 キョウヤは虎の問いかけに、うっと息を詰まらせてしまった。
「だから……その、俺と……犯りません? オーナーだったら出来そうな気、するんすよね~」
「…………」
 にへらと笑ったキョウヤからの軽~い提案に虎は呆れてしまった。
「お前に男が抱けるのか?」
 性欲ってのはすごい。普段は絶対出来ないことでも挑戦したいと思わせてしまうのだから。
「頑張ります、俺……! だから、ねーオーナー~」
「ったく」
 なんでこんな展開になってしまったのか。こんなことになるのなら、無理矢理にでもキョウヤのことを起こしてさっさと帰ってしまえば良かった。
「わかったわかった。好きにしろ」
 そろそろいろいろ面倒になってきた。虎は適当に返事をすると、またベッドに横たわり直した。
「ま、マジっすか~。オーナー超男前!」
 変な感心の仕方をしながら、キョウヤが虎の上に覆い被さってくる。
「ホント、俺、頑張りますから」
 熱に浮かされたように甘く囁いて、キョウヤはまた虎に口づけた。
「…………」
 虎はそれを静かに受け入れる。口づけをしながら、先ほどの続きなのか、また胸の辺りを掌で弄り始めた。
 何度か揉みしだいて、クリクリと中心の飾りを弄んだ。
「……はぁ、……ねぇオーナー、男もここって……感じるもんすか?」
 勝手がわからないのか、弄りながらもキョウヤが不安げに聞いてくる。
「感じる感じる」
 虎は適当に答えて、キョウヤの股間に手を伸ばす。
「ぅわ……! オーナーどこ触ってんすか!」
 すると、キョウヤが妙に慌てて腰を引いた。
「セックスするんだろ? お前マグロ相手の方がいいわけ? 奉仕しないでいいって言うなら、俺何もせずに寝転がってるけど?」
「いや、まぁ……積極的にしてもらった方がいいっすけど」
 男同士のセックスにはまだ抵抗があるようだ。そんなにおどおどしながらやるのなら、最初からするなんて言わなければいいのに。
「じゃあ、腰引くなよ」
「あ、はい」
 キョウヤは恐る恐る腰を元の位置に戻した。
 虎はそこにまた手を伸ばして、カチャカチャとベルトを外しにかかる。ベルトを外すと、ズボンの前を開いて下着の中に手を差し入れた。
「男に触られるのは初めてっすよ」
 キョウヤはそこに触れられることに少し抵抗を見せる。おっかなびっくり虎の手の行方を追いつつも、愛撫を再開する。
「黙って集中しろ」
 何かしながらぐだぐだと喋っているのはあまり好きじゃない。そうキョウヤを叱り付けると、立ち上がり始めた太い幹にグッと両手を沿わせた。
 キョウヤは虎の胸を指先で愛撫しつつも、触れられている場所が気になって仕方がないようだ。
 下着の外へそれを出すと、両手を使って上下に扱いてやった。
「うわ……なんか、エロいっすね……」
 変に感心して、キョウヤが呟く。
 幹を扱く手を片手だけにして、もう片手を付け根の塊に伸ばすとゆるゆると柔らかく揉みしだいた。
「あー、なんかいいっすね。女にやられてもこんなすぐ、感じるとこ的確に触られないっすもん」
 相変わらずキョウヤは何か口ずさんでばかりいる。
「ったく。喋ってばっかりいるんじゃねぇよ」
 虎は愛撫する片手を離して、グッとキョウヤの胸倉を掴み引き寄せると自分の口でそのうるさい唇を塞いでしまった。
「ん……」
 唇の隙間から舌を差し入れると、キョウヤの舌と自分の舌を深く絡め合わせた。口づけをしながらも、キョウヤ自身を刺激する手の動きはやめない。
 キョウヤも、片手で胸を愛撫しながら、もう片方の手で股間を弄ってくる。カチャリと音を立ててベルトが外されると、ズボンの前を開かれて下着に手が差し込まれた。
 下着に差し込まれた掌が、中に収納されている陰茎を包み込む。ぐっ、ぐと上下に扱かれて、わずかながらピリリと甘い刺激が走った。
「んー、オーナー……。すっげぇ、気持ちいいんすけど、手じゃ物足りないっすよー。口でして……もらえないっすか……?」
 キョウヤはどこまでも、自分勝手な奴だ。なぜこいつの欲求を満たすために、わざわざ自分だけが奉仕しなければならないのか。
「じゃあ、お前も俺の舐めろよ」
「え? シックスナインすか?」
 自分だけが奉仕するのも納得がいかず、虎は突拍子もない提案をする。この辺りで音をあげてやめてくれることを願ったが。
「わ、わかりました……! が、頑張ります」
 キョウヤは俄然張り切ってシックスナインの形を取るために虎とは反対向きになって覆い被さってきた。
「……はぁ……」
 虎は小さくため息をついて、自分の目の前に垂れ下がるキョウヤのモノにそっと手を沿わせる。くいっと自分の口元にそれを引き寄せると、先端を口に含んだ。
「……くぅ……」
 湿った感触にキョウヤが小さく喘ぎを漏らす。その後すぐに、キョウヤも虎のモノを口に含んできた。
 チュブチュブとお互いがお互いを舐める濡れた音が部屋に響き渡る。裏筋を舐めあげ、先端をちゅうと吸ってやると、キョウヤの腰がビクリと震えた。
「あぁ、オーナーマジ上手いっすね。もうイきそうなんすけどっ……」
 キョウヤは虎を愛撫するのを止めて、自身の昂ぶりにだけ集中し出す。
「おまっ……ぐっ……」
 自分勝手に昂ぶりを出し入れして、虎の喉を詰まらせる。
「……ぐ、んっ……」
 喉の奥にそれが何度も行き来して気持ちが悪い。
「くぅ……ね、オーナーイっていいっすか……? あ、もう無理っ……」
 キョウヤは勝手に一人で盛り上がって、大きく身体を揺らすとこともあろうか虎の口からそれを抜き出して顔面に白い液体をぶちまけてしまった。
「……ぐ、げほっ……」
 喉を何度も突き上げられた虎は激しくむせ込む。顔射されたことよりもそっちの方がキツい。
「……お前……ふざけんなよ……」
 これじゃマグロと変わらない。折角奉仕してやってるのに、自分一人で盛り上がられて勝手に射精されたのでは意味がない。
 顔面が粘々する。こいつは目に入ると酷く痛んで厄介なことをキョウヤは知らないのだろうか。
 顔についた液体を指ですくって拭うと、ねばっと伸びて糸を作る。それを舌先で舐めような仕草をしていると、いつの間にか体勢を戻していたキョウヤがキラキラと目を輝かせて覆い被さってきた。
「オーナーもう、最高っすよぉ……。堪んなくエロいっす……。マジ可愛い~」
 キョウヤの奴、色ボケしてしまっているみたいだ。ヘラヘラしながら抱きしめていたかと思うと、顔面についた自分のものを舌先で舐め始めた。
「ちょっ……」
 顔面にざらついた舌の感触が這い回る。
「俺が綺麗にしますから」
 丹念に液体を舐め取ったかと思うと、今度は首筋を舐め上げ、ゆるゆると鎖骨に舌を這わせ始めた。
「ね、オーナーどこが感じるんすか……? オーナーにあんあん言わすためにはどうしたらいいっすか……?」
「…………」
 キョウヤは完璧にあっちの方に行ってしまっているみたいだ。陶酔したように言って、また虎の萎えかけたものを愛撫し始めた。
 考えてみれば『DARK HELL』で相手にして来た客はほとんどが権力を持った比較的高齢層の大人たちばかりで、こんなにも余裕がない相手はほとんどいなかった。
 キョウヤはまだ若いから、勢いに任せてしまっているのだろうけれど、もう少し相手を労わるということを覚えて欲しい。独りよがりなセックスっていうのは、案外虚しいもんだ。
 とりあえず今日のところはさっさ終わらせるかと、虎は自分から行動することにした。
「お前そろそろ入れたいだろ? いいよ、入れて。お前、どの体位が好きなんだ? その格好してやるから」
 両手でキョウヤの頬を掴み込むと、グッと引き寄せてちゅと軽く口づける。
「俺、バックが……いいっす」
 キョウヤは顔を赤らめて、荒い息をつきながら答える。
「OK」
 虎はベッドに手をつくと、ゆるりと身体を動かして四つん這いになった。ぐっと大きく足を左右に開くと、キョウヤを振り返る。
「どこに入れるかはわかるだろう?」
 キョウヤは何度も頷きながら、自分のモノを手に持って尻の谷間に埋めてくる。
「アナルファック……ですよね」
 キョウヤは言いながら、窄まりにぐっと己を押し当ててくる。
「……っ……」
 押し進められたそこは慣らされてもいなかったが、キョウヤのモノが一度達したことで濡れていて挿入には問題ない。硬いモノをくわえ込むために、秘部がキョウヤの形に合わせて広がっていく。ずるずると内壁を擦ってキョウヤのモノが侵入してきた。
「……ぅわ……キツ……」
 強い締め付けにキョウヤが喘ぎを漏らすが、慣らしてもいないのだから当然だ。
「でも中すっげ暖かくて気持ちいいっす……」
 虎の腰を両手で掴み、身体を前に押し進めてどんどんと自分のモノを埋めていく。
「あ、入っちゃった……」
 ペタリとお互いの肌が触れ合って、キョウヤが浮かされたように呟く。
「俺、激しくないと物足りないんだ……キョウヤ、動けよ」
 小さく鼻で笑ってそう言うと、キョウヤは俄然張り切り出した。
「マジっすか……? じゃあ、遠慮なく……」
 そういうと、キョウヤは秘部に埋めたものを律動させ始めた。煽ったせいか、最初から激しい抜き差しを繰り返してくる。
 パンパンと肌が触れ合う音が辺りに響き渡る。
「……んっ……」
 キョウヤのセックスはまだまだ荒削りで、あまり気持ちがいいとは言えない。けれど、流石に無言でセックスをするのもなんだか物足りなくて、虎はお付き合いにと小さな喘ぎ声をもらしてやることにした。
「オーナー気持ちいぃ?」
 腰を掴んで揺さぶりながら、熱っぽい声で聞いてくる。
「あぁ、……いいよ、キョウヤっ……」
 時には演技することも、セックスには重要だ。上ずった声でそう答えると、更にキョウヤの動きが早まった。
「マジっすか……? 超嬉しい」
「んっ……ん……」
 律動に合わせて声を漏らす。中でぐにぐにと動くキョウヤのモノが内壁を擦る。すると少しずつ、快楽が滲み出してきた。
「あ、でもやっぱ……」
 キョウヤはそんなことを呟いたかと思うと、突然繋がったままの状態で虎の身体を回転させた。
「……くぁっ……」
 滲み出してきたばかりの快楽に上乗せして、突然中をゴリゴリと擦られる激しい感覚に思わず本気の喘ぎを漏らしてしまう。
「今のオーナーの声超可愛い」
 無理矢理に正常位をとらされて、足を大きく開かれるとキョウヤがそこにググッと身体を進めてくる。
「……っ……なんだよ」
 いきなり正常位に変えられたこともそうだが、深く繋げたまま動きを止めてじっと見つめてくるのは一体どうしてだろうか。なんだかじっと凝視してくるキョウヤの視線が恥ずかしくなって目を反らしてしまった。
「あ、オーナーもしかして恥ずかしいんだ? 可愛い」
「馬っ……んん」
 そのままちゅうと唇を吸われて、口腔を抉られる。
「俺、相手の顔見ながらするの、あんま興味なかったんすけど、オーナー相手だとこっちの方がいいかなって思って」
 だから唐突に正常位にしてみたのだとキョウヤが説明してくる。
「お前、わけ……わかんないな……」
 虎はまともにキョウヤの目を見ることが出来ない。
「オーナーってホント、可愛い。オーナーの顔見てるとすっげぇ、感じる」
 じっとこちらを見ながら、うっとりとしながらキョウヤが囁く。
「何言ってるんだよ……」
 ようやく繋がった部分が律動を始めても、キョウヤはじっと凝視してくるのをやめようとしない。
「……見るなよ……」
 虎はなんだかいたたまれなくなって、今度は顔ごと反らした。なんだか顔が熱い。顔だけじゃない。見られていることで、繋がったそこまで熱くて堪らない。
「オーナーわかる? 俺の、オーナーの顔見てるだけでどんどん硬くなってんの」
 律動しながらキョウヤは甘ったるい声を出して、耳元に唇を寄せてくる。すると、ペロリと耳を舐め上げられた。
「んぅっ……」
 ざらついた刺激につい、声を上げてしまう。
 打ち付けてくる腰の律動が少しずつ速まっていく。中がキョウヤの先走りの液体で塗れて、ぐちゅりと卑猥な音を立てる。
「……んー、気持ちいいっ……オーナーっ……」
 激しく身体を揺さぶりながら、キョウヤが陶酔したように喘ぎを漏らす。
「……ん、んんっ……」
 虎も見られていることの恥ずかしさでいっぱいで、いつの間にか甘い声を漏らしていた。
「ね、オーナー……俺、中で出したいっ……ね、いいっすか……っ」
「馬っ……」
 よせ、と言いたかったのだが、唇を奪われてその後の言葉は口に出来なかった。
「ん、んんっ……!」
 口を塞がれたままガクガクと腰を揺すられて、より一層激しく突き上げられたかと思うと秘部の最奥で熱いものが爆発するのを感じた。
 それにつられるように、虎もキョウヤの腹に自分自身のものを吐き出していた。
「ん、ん……」
 キョウヤはビクリビクリと身体を震わせながら、虎への口づけを続ける。
「はぁ、……はぁ……」
 やっとのこと唇が解放されて、虎は何度か息をついた。
「…………っ…………」
 身体の中からキョウヤのモノが去った後に、ゴボゴボと白い液体が一緒にあふれ出してくる。そこをすかさず、キョウヤが指で嬲ってくる。
「すっげぇ、……オーナー……エロい」
 キョウヤは酔いしれたように呟いて、また虎に抱きついて口づけてくる。
「……んっ……」
 虎は口づけを受けてはいたが、肉体的にやら精神的にやらどちらかと言えば精神的にぐったりでされるがままになっていた。
「俺、癖になりそう……」
 グッと身体を抱き寄せられて、甘く囁かれる。
「ね、もう一回いいっすか……?」
 すると、キョウヤが思いも寄らぬことを口にしだした。
「ちょ、馬鹿っ……やめ……」
 怠惰でぐったりしているところを、無理矢理に起き上がらせられると座り込んだキョウヤに向かい合わせに抱き込まれた。
「ぐっ……んんっ……」
 抱き込まれたまま、いつの間にか元気になっていたそれをまた秘部に押し付けられる。
「すっげ、もうガバガバ」
 無常にもキョウヤの硬く反りたったものは、いとも簡単に虎の身体の中に収納されていく。
「くそ、もういいだろ……っ……」
 キョウヤは若くて体力もあるかもしれないが、単に一回抜く手伝いをするだけだったはずだ。なのになぜこんなに何回も。
「嫌がってるオーナーも可愛いっすよ」
 キョウヤは全く聞く耳を持たずまたちゅうと口づけてくる。
「ん、……んんっ」
 口腔を舌先で嬲られながら、無理矢理に腰を律動させられて不安定な体勢のために深くキョウヤのモノが最奥まで突き刺さる。
 口づけをされながら、下は激しく動かされてもう何がなんだかいろんなものがぐだぐだだ。
「ね、オーナー……っ……いいっすよ……俺あと五回は出来そう」
 その発言に、虎はげっそりと顔を青ざめさせた。
「……はぁ……」
 なぜこんなことになってしまったのか。それはそもそも、こいつをわざわざ送りにきてしまったからだ。あのまま店に放置していれば良かった。
 ベッドに雪崩れ込んだ後すぐに抜け出せば良かった。
 犯りたいなどと言われた時に受け入れるべきじゃなかった。
 っていうか、本気でこいつあと五回もやる気か………………。
 と、虎は心底激しく、自分の行いを後悔したのであった。

END
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