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第四章 最高の結末
121.この異世界にとっての異世界……とは
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121.この異世界にとっての異世界……とは
蛾のようなまだら模様の羽をばたつかせて、
王妃は闘技場から逃げ出した。
それを追って、大魔獣ファヴニールに乗せてもらい、
彼女が逃げ込んだ”祈りの塔”へと向かう俺たち。
「まさか王妃が蜘蛛の化け物になるとはなあ」
大魔獣から”祈りの塔”のてっぺんに降りながら、俺はつぶやく。
「蜘蛛ですか……僕には白い”クビナガオトシブミ”に見えました」
ジェラルドがフィオナの手を引き、降ろしてあげながら言う。
「なんだそれ」
「”オトシブミ”という昆虫の仲間ですよ。
ほら、葉っぱをクルクル丸めて落とす虫です」
ジェラルドの答えに、エリザベートが眉をひそめる。
「あれ、最初に聞いた時は風雅な名前だと思ったけど……
”中身は幼虫”って聞いて以来、
巻かれた葉っぱが怖くて仕方なかったわ」
「わかります。ホタルもですよね。
子どもの頃、光が綺麗で喜んでいたのに
ふわふわ飛んできたのを捕まえた後……
包んだ手を開いて絶叫したんですよね」
妖精みたいのを想像してたんだったら、
まあ、そうなるわな。
俺たちはくだらない話をしながら
らせん階段を下り、どんどん降りていく。
こんな時に何、話してんだか、という思いと
戦いも争いもせずにこの4人でずっと、
こういう他愛もない話をして過ごしたかった、
そんな思いが俺の中で交差する。
全員がなんとなく分かっているのだろう。
王妃を倒す = リライト完了、だと。
その後、俺たち転移者の意識がどうなるか、
誰にもわからないのだ。
そんな感傷は、下からわきあがってくる
不快な臭いによって吹き飛んでしまう。
先頭を歩くジェラルドが心配そうに振り返る。
エリザベートとフィオナを案じているのだ。
何故ならそれは、腐肉と血の匂いだったから。
フィオナはジェラルドの視線を受け
「大丈夫です! もう、今さらですよ。
私たちどれだけ魔獣を倒したと思っているんです?」
そう言って笑う彼女に、エリザベートが首を振る。
「……フィオナ、違うわ。この臭いは魔獣のものじゃない」
硬直し、思わず立ち止まるフィオナに俺は言う。
この先はかなりの覚悟が必要だから
告げなくてはならない。
「これは”人間”が放つ匂いだ。
……それも、相当の数の」
************
「……王妃がいます」
らせん階段の中央を覗き込み、ジェラルドがささやく。
かなり小声だったにもかかわらず、下から王妃の声がした。
「遅かったわね。早く降りていらっしゃい」
俺たちは顔を見合わせたが、行くしかないのだ。
しかしこの先は、暗闇が強くてよく見えない。
「この状況では戦闘になった時、ちょっと不利ですね」
「あ、じゃあ私、明るくしますねー」
ジェラルドの言葉を聞き、フィオナがすぐに片手を伸ばし
”導きの光”を唱える……エリザベートが止める間もなく。
ふわっと明るくなる塔の内部。
フィオナはこちらを見て笑顔を見せるが、
俺たちの顔がこわばっているのに気づき
ん? という呑気な声を出し、自分も下を見て。
「きゃあああーーー! いやあああ!」
その場にしゃがみ込むフィオナ。
エリザベートが青い顔のまま、彼女を抱きすくめる。
ジェラルドが苦悶の表情を浮かべて謝罪する。
「申し訳ない、僕が不用意なことを……」
「それは違う。どのみち、俺たちは
あれを見なくてはならなかった」
そう言って俺はもう一度、下を覗き込む。そこには。
おびただしい人間の体があった。
全て首がちぎり取られたような姿で。
それだけではない……最も恐ろしいのは。
「……どうして、みんな動いているの?」
フィオナが震える声て言う。
一階の地面は中央に向けて盛り上がっており、
首なし死体たちは血まみれのまま、壁際を歩き回ってたり、
ときおり塔の内壁を叩いたり、
他の体に踏まれながらも床をのたうちまわっていた。
そしてその中央に、王妃は佇んでいた。
白い蜘蛛、もしくはオトシブミの姿のまま
前足を二本、顔の前で合わせている。
……もしかして、祈っているのか?
エリザベートが片手をかざし、魔力を集中させる。
それが”炎属性の魔力”と気付き、
俺は全員に耐火のアビリティを付加する。
防御力や攻撃力はすでに限界までアップ済だ。
彼女の事だ。あのアンデッドを哀れみ、
一気に”火葬”してあげようと思ったのだろう。
フィオナも必死に気持ちを立て直し、
バリアを張ろうとするが、俺は彼女に違う呪文を頼む。
そしてエリザベートが”インフェルノ”を放つと同時に
フィオナが再び”祝福”を贈ったのだ。
灼熱の炎と風、そして花びらが、
塔の内部を吹き荒れる。
ギャアアアーーーー
王妃の叫び声が聞こえる。
ごうごうと音を立て、全てが燃え尽きていった。
煙や水蒸気が収まった後、そこに見えたのは。
黒い灰に変わった首なしの死体たちと、
中央で8つの足を上げ、仰向けに倒れる王妃だった。
「えっ?! 倒せたの?」
フィオナが驚いた声を出すが、俺はすぐに否定する。
「転がったセミが生きているかどうかの見分け方、知ってるか?」
セミの死体だと思って油断したら、
いきなりブワッと飛び去って度肝を抜くことがある。
通称”セミファイナル”と呼ばれる、あれを防ぐための豆知識だ。
「”死んでいるセミは、足を全部ちぢこめている”って」
「そういう事だ。つまり。
……おい、王妃、死んだふりすんな」
しばしの間ののち、王妃の声が聞こえてくる。
「お前たちの言っていることが、全然わからないわ。
しかし、何か超越した知識があるのは間違いない……」
そういって8本の足を気味悪くうごめかし、元の体制に戻す。
死んだふりをして俺たちが近づくのを待っていたのだろう。
「レオナルド、お前は何者なの?
私が知っている、何もかも諦めた顔をした男はどこに行った?」
そして長い首をふり、エリザベートを睨む。
「それにエリザベート。お前はもっと献身的で
忍耐強く慎ましい娘だったでしょう?」
「ええ、それがレオナルドのためになると思っていたから。
でも間違っていたわ。彼を守るのは抵抗しないのでなく、
……この力を持って戦うことだったの」
エリザベートは自分の手のひらを見ながら、誇らしげに微笑む。
「騎士の称号を得ることで、お前は祖国を滅ぼした。
それがお前の望みだったの?」
「この国は滅んでいません。正されるのです」
「黙れえっ! 愚かな奴め! 正しいのは常に私よ!」
王妃はジェラルドに歯を剥き怒鳴った。
「貴女は全然、正しくも清らかでも……強くもありません。
だって”正しい”って”優しい”だから。
人を苦しめたり傷つけることが正しいわけないんです!」
フィオナの反論に、王妃はゆっくりとその身を動かして言う。
「……黙れ。偽の聖女め」
その巨体の下には、小さな亀裂が見える。
そこから王妃に向かって白い光が流れ込んでいく。
あれが……”正義の泉”か。
ここで王妃は支配者として、
あの泉から湧き出る新種の”光魔法”をコントロールしていたのだ。
なんなんだ? あの光は。
「私はつらい修行を重ね、聖なる力を得たのよ。
人に認められるよう必死に努力した。
勇者のパーティーに入るよう、王命が下った時には
これまでの苦労が報われたと思ったわ」
王妃はそう言って、前足の2本を合わせる。
やはりこれは、祈りのポーズだ。
「私は本当に頑張ったのよ? みんなを守り、
一生懸命に呪文を唱え、必死に祈ったわ。
どんな傷も治してあげたし、強固なバリアも張ってあげた。
みんなもちゃんと、私の価値を分かっていると思っていた
……それなのに!」
王妃はものすごい形相で俺を睨みながら叫んだ。
「お前の母親が! 私と結ばれるべき勇者を奪った!
それを誰もたしなめたり、止めるように言ってくれなかったのよ!」
「勇者は報酬じゃねえ……仲間だろ。
お前は仲間として勇者と結ばれていたんだ」
「仲間ですってえ?!
そんなのじゃダメに決まってるでしょお!」
ボサボサの髪を振り乱し、王妃は怒り狂う。
「私は勇者と結ばれて、彼は国王から爵位を得て、
私たちは国民に感謝されながら生涯暮らすはずだったのに!
どうして道理を外れたことをするの?
それを誰も阻止してくれないの?
私がどんなに正論を語ろうと、誰も聞こうとはしない!
この世界はおかしいのよ!」
8つの足を踏みならし、暴れまわる王妃。
その下で亀裂がどんどん大きくなっていく。
そして吹き上がる”未知の光”も徐々に増えていった。
「勇者パーティを見限って、私はこの地に流れ着いたの。
それこそ神のお導きだったわ、だってここには……
私の力をさらに強めてくれる”光”があったのですもの!」
亀裂はさらに大きくなり、床全体に広がる。
そして中央からボロボロと崩れていった。
「この”正義の泉”が無限に力を与えてくれることが
私が正しいことを証明しているのだわ!」
「違うだろ! 力があるから正しいわけじゃねえよ!
違法薬物使って万能感を得ているだけだお前は!」
「だから何を言って……ぎゃあっ!」
王妃の重みに耐えられなかったのか、
ひび割れは一気に崩れ、地面は下へと崩れていく。
王妃は地面の残った部分に、数本のあしで引っかかり
落ちないようにしがみついていた。
落ちないように? そんなに深いのか?
俺たちは、螺旋階段からぐっと体を乗り出し下を見る。
そこに見えたのは。
夜景のようなたくさんの小さな光……
……いや、あれは本当に夜景だ。
何故ならその中に、俺が良く知るものも見えたのだから。
「あの赤い鉄塔……あれって……東京タワーじゃないか」
俺たちは瞬きも出来ずに、その光景を見ていた。
この異世界にある”祈りの塔”の地下には、
俺たちの元・世界が広がっていたのだ。
蛾のようなまだら模様の羽をばたつかせて、
王妃は闘技場から逃げ出した。
それを追って、大魔獣ファヴニールに乗せてもらい、
彼女が逃げ込んだ”祈りの塔”へと向かう俺たち。
「まさか王妃が蜘蛛の化け物になるとはなあ」
大魔獣から”祈りの塔”のてっぺんに降りながら、俺はつぶやく。
「蜘蛛ですか……僕には白い”クビナガオトシブミ”に見えました」
ジェラルドがフィオナの手を引き、降ろしてあげながら言う。
「なんだそれ」
「”オトシブミ”という昆虫の仲間ですよ。
ほら、葉っぱをクルクル丸めて落とす虫です」
ジェラルドの答えに、エリザベートが眉をひそめる。
「あれ、最初に聞いた時は風雅な名前だと思ったけど……
”中身は幼虫”って聞いて以来、
巻かれた葉っぱが怖くて仕方なかったわ」
「わかります。ホタルもですよね。
子どもの頃、光が綺麗で喜んでいたのに
ふわふわ飛んできたのを捕まえた後……
包んだ手を開いて絶叫したんですよね」
妖精みたいのを想像してたんだったら、
まあ、そうなるわな。
俺たちはくだらない話をしながら
らせん階段を下り、どんどん降りていく。
こんな時に何、話してんだか、という思いと
戦いも争いもせずにこの4人でずっと、
こういう他愛もない話をして過ごしたかった、
そんな思いが俺の中で交差する。
全員がなんとなく分かっているのだろう。
王妃を倒す = リライト完了、だと。
その後、俺たち転移者の意識がどうなるか、
誰にもわからないのだ。
そんな感傷は、下からわきあがってくる
不快な臭いによって吹き飛んでしまう。
先頭を歩くジェラルドが心配そうに振り返る。
エリザベートとフィオナを案じているのだ。
何故ならそれは、腐肉と血の匂いだったから。
フィオナはジェラルドの視線を受け
「大丈夫です! もう、今さらですよ。
私たちどれだけ魔獣を倒したと思っているんです?」
そう言って笑う彼女に、エリザベートが首を振る。
「……フィオナ、違うわ。この臭いは魔獣のものじゃない」
硬直し、思わず立ち止まるフィオナに俺は言う。
この先はかなりの覚悟が必要だから
告げなくてはならない。
「これは”人間”が放つ匂いだ。
……それも、相当の数の」
************
「……王妃がいます」
らせん階段の中央を覗き込み、ジェラルドがささやく。
かなり小声だったにもかかわらず、下から王妃の声がした。
「遅かったわね。早く降りていらっしゃい」
俺たちは顔を見合わせたが、行くしかないのだ。
しかしこの先は、暗闇が強くてよく見えない。
「この状況では戦闘になった時、ちょっと不利ですね」
「あ、じゃあ私、明るくしますねー」
ジェラルドの言葉を聞き、フィオナがすぐに片手を伸ばし
”導きの光”を唱える……エリザベートが止める間もなく。
ふわっと明るくなる塔の内部。
フィオナはこちらを見て笑顔を見せるが、
俺たちの顔がこわばっているのに気づき
ん? という呑気な声を出し、自分も下を見て。
「きゃあああーーー! いやあああ!」
その場にしゃがみ込むフィオナ。
エリザベートが青い顔のまま、彼女を抱きすくめる。
ジェラルドが苦悶の表情を浮かべて謝罪する。
「申し訳ない、僕が不用意なことを……」
「それは違う。どのみち、俺たちは
あれを見なくてはならなかった」
そう言って俺はもう一度、下を覗き込む。そこには。
おびただしい人間の体があった。
全て首がちぎり取られたような姿で。
それだけではない……最も恐ろしいのは。
「……どうして、みんな動いているの?」
フィオナが震える声て言う。
一階の地面は中央に向けて盛り上がっており、
首なし死体たちは血まみれのまま、壁際を歩き回ってたり、
ときおり塔の内壁を叩いたり、
他の体に踏まれながらも床をのたうちまわっていた。
そしてその中央に、王妃は佇んでいた。
白い蜘蛛、もしくはオトシブミの姿のまま
前足を二本、顔の前で合わせている。
……もしかして、祈っているのか?
エリザベートが片手をかざし、魔力を集中させる。
それが”炎属性の魔力”と気付き、
俺は全員に耐火のアビリティを付加する。
防御力や攻撃力はすでに限界までアップ済だ。
彼女の事だ。あのアンデッドを哀れみ、
一気に”火葬”してあげようと思ったのだろう。
フィオナも必死に気持ちを立て直し、
バリアを張ろうとするが、俺は彼女に違う呪文を頼む。
そしてエリザベートが”インフェルノ”を放つと同時に
フィオナが再び”祝福”を贈ったのだ。
灼熱の炎と風、そして花びらが、
塔の内部を吹き荒れる。
ギャアアアーーーー
王妃の叫び声が聞こえる。
ごうごうと音を立て、全てが燃え尽きていった。
煙や水蒸気が収まった後、そこに見えたのは。
黒い灰に変わった首なしの死体たちと、
中央で8つの足を上げ、仰向けに倒れる王妃だった。
「えっ?! 倒せたの?」
フィオナが驚いた声を出すが、俺はすぐに否定する。
「転がったセミが生きているかどうかの見分け方、知ってるか?」
セミの死体だと思って油断したら、
いきなりブワッと飛び去って度肝を抜くことがある。
通称”セミファイナル”と呼ばれる、あれを防ぐための豆知識だ。
「”死んでいるセミは、足を全部ちぢこめている”って」
「そういう事だ。つまり。
……おい、王妃、死んだふりすんな」
しばしの間ののち、王妃の声が聞こえてくる。
「お前たちの言っていることが、全然わからないわ。
しかし、何か超越した知識があるのは間違いない……」
そういって8本の足を気味悪くうごめかし、元の体制に戻す。
死んだふりをして俺たちが近づくのを待っていたのだろう。
「レオナルド、お前は何者なの?
私が知っている、何もかも諦めた顔をした男はどこに行った?」
そして長い首をふり、エリザベートを睨む。
「それにエリザベート。お前はもっと献身的で
忍耐強く慎ましい娘だったでしょう?」
「ええ、それがレオナルドのためになると思っていたから。
でも間違っていたわ。彼を守るのは抵抗しないのでなく、
……この力を持って戦うことだったの」
エリザベートは自分の手のひらを見ながら、誇らしげに微笑む。
「騎士の称号を得ることで、お前は祖国を滅ぼした。
それがお前の望みだったの?」
「この国は滅んでいません。正されるのです」
「黙れえっ! 愚かな奴め! 正しいのは常に私よ!」
王妃はジェラルドに歯を剥き怒鳴った。
「貴女は全然、正しくも清らかでも……強くもありません。
だって”正しい”って”優しい”だから。
人を苦しめたり傷つけることが正しいわけないんです!」
フィオナの反論に、王妃はゆっくりとその身を動かして言う。
「……黙れ。偽の聖女め」
その巨体の下には、小さな亀裂が見える。
そこから王妃に向かって白い光が流れ込んでいく。
あれが……”正義の泉”か。
ここで王妃は支配者として、
あの泉から湧き出る新種の”光魔法”をコントロールしていたのだ。
なんなんだ? あの光は。
「私はつらい修行を重ね、聖なる力を得たのよ。
人に認められるよう必死に努力した。
勇者のパーティーに入るよう、王命が下った時には
これまでの苦労が報われたと思ったわ」
王妃はそう言って、前足の2本を合わせる。
やはりこれは、祈りのポーズだ。
「私は本当に頑張ったのよ? みんなを守り、
一生懸命に呪文を唱え、必死に祈ったわ。
どんな傷も治してあげたし、強固なバリアも張ってあげた。
みんなもちゃんと、私の価値を分かっていると思っていた
……それなのに!」
王妃はものすごい形相で俺を睨みながら叫んだ。
「お前の母親が! 私と結ばれるべき勇者を奪った!
それを誰もたしなめたり、止めるように言ってくれなかったのよ!」
「勇者は報酬じゃねえ……仲間だろ。
お前は仲間として勇者と結ばれていたんだ」
「仲間ですってえ?!
そんなのじゃダメに決まってるでしょお!」
ボサボサの髪を振り乱し、王妃は怒り狂う。
「私は勇者と結ばれて、彼は国王から爵位を得て、
私たちは国民に感謝されながら生涯暮らすはずだったのに!
どうして道理を外れたことをするの?
それを誰も阻止してくれないの?
私がどんなに正論を語ろうと、誰も聞こうとはしない!
この世界はおかしいのよ!」
8つの足を踏みならし、暴れまわる王妃。
その下で亀裂がどんどん大きくなっていく。
そして吹き上がる”未知の光”も徐々に増えていった。
「勇者パーティを見限って、私はこの地に流れ着いたの。
それこそ神のお導きだったわ、だってここには……
私の力をさらに強めてくれる”光”があったのですもの!」
亀裂はさらに大きくなり、床全体に広がる。
そして中央からボロボロと崩れていった。
「この”正義の泉”が無限に力を与えてくれることが
私が正しいことを証明しているのだわ!」
「違うだろ! 力があるから正しいわけじゃねえよ!
違法薬物使って万能感を得ているだけだお前は!」
「だから何を言って……ぎゃあっ!」
王妃の重みに耐えられなかったのか、
ひび割れは一気に崩れ、地面は下へと崩れていく。
王妃は地面の残った部分に、数本のあしで引っかかり
落ちないようにしがみついていた。
落ちないように? そんなに深いのか?
俺たちは、螺旋階段からぐっと体を乗り出し下を見る。
そこに見えたのは。
夜景のようなたくさんの小さな光……
……いや、あれは本当に夜景だ。
何故ならその中に、俺が良く知るものも見えたのだから。
「あの赤い鉄塔……あれって……東京タワーじゃないか」
俺たちは瞬きも出来ずに、その光景を見ていた。
この異世界にある”祈りの塔”の地下には、
俺たちの元・世界が広がっていたのだ。
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