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第三章
71 この世で最も
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レイオウは天帝に推挙された旨を報告するため、
いったんは北に向かっていたのだが。
”アイレンがマアサ姫に呼び出された”と聞いて、
急遽とんぼ返りで戻ってきたのだ。
あまりに短い滞在時間のため、
父である北王とはほとんど話せないままだった。
レイオウは疲れも見せずに、すぐにアイレンを心配したが。
彼が戻るころには、彼女はすでに自宅に戻っており
何事もなかったようにニコニコしていたのだ。
「何の目的だったのかはわからないが……
まあ、良い、しばらく動向をうかがっておこう」
マアサ姫がまた何かしてきたら厄介だ。
そう思い、レイオウが考え込んでいると。
調べに行っていた八部衆の”太鼓”が
レイオウに書簡を差し出した。
やや長めの報告文をすぐさま開いたレイオウは
最初は無表情だったが、眉をしかめた後、
どんどん険しい顔に変わっていった。
心配になったアイレンが尋ねる。
「何か、良くない知らせでも?」
「……あの女。絶対に許さん」
レイオウが額に青筋を浮かべ、
歯を剥いて怒っていた。
いままで見たこともないような
鬼の形相となったレイオウを見て
とんでもない事が起きたのかと思いきや。
「俺のアイレンを誘惑させるために
武家や華族の令息を集めたというのか!」
八部衆がマアサ姫の侍従たちに聞き込みをしたところ、
”美形の令息を集めよ”という馬鹿げた命令を知り、
彼女が侍女にもらした言葉を
繋ぎ合わせて推測したところ、
そのような結論に達したのだ。
書簡を片手で握りつぶし、レイオウは怒りに震える。
滅多に感情を出さないレイオウが激怒している姿に
彼の部下たちはすっかり縮み上がっている。
“マアサ姫、明日の朝まで生きていられないのでは?”
そう思わせるほど、彼の怒りは激しいものだったのだ。
しかしアイレンは笑いながらレイオウに言ったのだ。
「誘惑も何もなかったわ。
皆さんとは全然お話すらしませんでした。
マアサ姫様が皆さんとご交流されるのを
ずっと見ていただけですもの」
ひかえていた”太鼓”もうなずく。
レイオウはふたたび書簡に目を通した。
アイレンが言う通り、マアサ姫は彼女そっちのけで
令息ひとりひとりに自己紹介をさせ、
彼ら全員と会話を楽しみ、盛り上がっていたそうだ。
そして最後には、西方の令息をいたく気に入り、
自分も兄たちに続いて西王門へ居住を移す決心をした、
と書いてあったのだ。
レイオウは思わず吹きだす。
”アイレンを誘惑させるつもりが、
自分が誘惑されたのか”
そして息をつき、平常心に戻る。
胸の龍笛に手を当て、
ふたたびこれを持たせておくべきか迷ったが。
しかし以前、”破邪顕正の剣”と対話して
驚いたことを思い出す。
剣が言うには、さまざまな悪意が彼女へ向けられたが
自然とそれは阻止され、跳ね返ったというのだ。
例えばカアラは、家を奪おうとして自宅を失い、
荒んだ学校に通わせようと画策したのに、
自分の方が風紀の乱れた学校に通うことになったのだ。
レイオウは愛する婚約者を見て思う。
彼女は明らかに、普通ではない何かを持っている。
もしかすると……彼女は。
もし吉祥天かどうかを明らかにすれば、
彼女は一部の武家や僧家から危険視され
残りの者からは過剰な期待を受けるのだろう。
そして苦笑いしながら首を振り、
急に彼女を引き寄せ、抱きしめながら思った。
”いいや、君が何者でもかまわない。
これまで通り自由に生きて欲しい”、と。
ーーーーーーーーーーーー
「まーったく、結婚というのは
何もかもお金がかかりますなあ」
ピーターの父が呆れたような顔で言い
「削れるところは出来るだけ削れば良いのよ。
そうね、ドレスはこの子の従妹が着たのがあるし
アクセサリーは模倣品の商品見本で良いわね」
とピーターの母がまくし立てた。
引きつった笑顔の業者の正面に
ピーターとその両親が座っている。
めんどくさそうな義父と
オロオロするカアラの母は
横に置かれたソファーで成り行きを見守っていた。
業者の横に座ったカアラは
目の前のピーターを必死に睨んでいる。
”事前にあれだけ言ったじゃない!
ドレスはマダム・フローラの、
ティアラはダイアモンドと真珠で特注して欲しいって!”
しかしピーターはニヤニヤ笑っているだけで
自分の親に対して全く反論してくれない。
業を煮やしたカアラは、業者に向かって笑顔で話す。
「あらあ、それって……普通はどうなんです?
招待客に対して恥ずかしくありません?」
業者はもう少しお金をかけて欲しいこともあり
うなずいて、カタログをテーブルに広げた。
「なんせ一生に一度のことですから。
皆さま、結構こだわったドレスをお選びになります。
例えばですね……」
それを遮るように、ピーターの父が言う。
「そんなのは不要だ。
本当なら式さえやりたくないくらいだが
御祝儀を受け取らねばならないからな」
「そうよ。でも損失が出るのは耐えられないから
お祝い金の予想額以下にしないとね」
ピーターの母も計算が書かれたメモを見ながらつぶやく。
カアラは怒りで顔を赤くしながら反論する。
「でも体裁はきちんと守るべきですわ。
華族の娘を娶るんですもの」
「華族の娘、ねえ……」
馬鹿にしたようにいうピーターの父に、
カアラはツン、とあごをあげ彼らに言い放った。
「そうよ! こんなに若くて可愛い
華族の娘を迎えられるんだから、
ドレスも式ももーっと豪華にしてもらわないと!」
「ふん。自分で可愛いと言うなんて、
華族の娘とは思えないほど、慎み深さも品もないのね」
ピーターの母に即座に言い返され、
カアラはムッとし、睨み返す。
そしてターゲットをピーターに変えて叫んだ。
「私、何回も言ったじゃない!
ウエディングドレスも、お色直しのドレスも
ティアラも、私が決めるって!
たっくさん買ってもらうって言ったわよね!」
カアラがそこまで言った時、ピーターの父が怒鳴った。
「この物欲の悪魔め!
お前がピーターに買わせたドレスは20着だぞ?
アクセサリーは28種類、靴だって8足だ」
ピーターも困惑した顔で言う。
「それだけじゃないよ。
毎回毎回、どこどこのマカロンを買って来い、
あの店のチョコレートが食べたいって、
高級店のお土産ばかりねだって来たじゃないか。
僕の個人的な資産はほとんど底をついたんだよ」
ピーターの両親は別に、そこまでケチではなかった。
しかし婚前からあまりにもカアラは
ピーターにたかり過ぎたのだ。
たくさんのものを貢がせたため、
これ以上は不要、とみなされただけだった。
彼女の強欲は限界がないため、
付き合ってはいられない、というのも理由の一つだ。
ピリピリとした空気が流れる中、
取りなすように義父が口を開いた。
「まあ、うちも多少は出資しよう」
いかにも商売人のような口調で言うと、
カアラの母も必死に懇願してきた。
「全部とは言いません。何か一つでも
この子のお願いを聞いてあげてくださいな」
ため息をついた後、ピーターの父が問う。
「……何かひとつ、言ってみろ」
するとカアラは目まぐるしく考えを巡らした後、
意気揚々と叫んだのだ。
「ブーケはダイアモンドリリーが良いわ!」
全員が黙り込んだ。
”花の宝石”の異名を持つその花は、
1本だけでもドレスが買えるほどの値段だった。
長い沈黙の後、ピーターの父がつぶやいた。
「……この結婚は無しだ。
こんな金食い虫、うちでは養えん」
その言葉にカアラは顔を輝かせる。
”望むところよ!”と叫ぼうとした、その時。
義父と視線があい、”約束”を思いだす。
そうだった。カアラは顔をゆがめる。
この結婚がダメになったら
カアラの母と二人で働き、借金を返す日々となるのだ。
「ね、カアラ。考え直しなさい」
今の生活を維持したいカアラの母が
涙目で訴えてくる。
カアラは唇を噛み、仕方なく答える。
「分かったわよ。ブーケは何でもいいわ。
……じゃあドレスは、このカタログから選ばせて」
「そうしよう。それはこちらが出してやる」
すかさず義父が言い、ピーターの両親もうなずいた。
カアラの母はあからさまにホッとしている。
カタログを見ながらカアラは
ふと思い出したように尋ねる。
「ねえ、婚約指輪は? まだもらってないけど」
おりしも世間は、大通りの有名店に、
北王門家から予約が入ったことが話題になっていた。
ものすごく上質なダイアモンドと、
珍しいピンクダイヤを組み合わせた特注品だと
みんなが騒いでいたのだ。
カアラは妬ましさで気が狂いそうだった。
”アイレンがあれを受け取るなら、
私はもっと良いものが欲しいわ!”
しかしピーターの母が眉をひそめて答える。
「そんなはずはないわ。
”婚約指輪”の予算は使われているもの」
反論しかけたカアラに、ピーターは気まずそうに小声で言う。
「それならもうあげたじゃないか。
ほら、あの石だよ。あの白くて丸い石」
カアラは絶句する。
”吉祥天”に成りすますために用意した
あの滑石の事だ。
ピーターは申し訳なさそうにつぶやく。
「婚約指輪の予算から出したから、
それをカットして台座をつけて
婚約指輪にするしかないんだよ」
カアラは机の引き出しに放り投げて入れた
あの丸い石を思い出す。
世界で最も柔らかいあの石を。
アイレンは、世界で最も硬い石をもらうのに。
自業自得の結果であるにも関わらず、
カアラの中で、アイレンに対する憎悪が強まっていく。
そして。どんどん深い闇に落ちていったのだ。
いったんは北に向かっていたのだが。
”アイレンがマアサ姫に呼び出された”と聞いて、
急遽とんぼ返りで戻ってきたのだ。
あまりに短い滞在時間のため、
父である北王とはほとんど話せないままだった。
レイオウは疲れも見せずに、すぐにアイレンを心配したが。
彼が戻るころには、彼女はすでに自宅に戻っており
何事もなかったようにニコニコしていたのだ。
「何の目的だったのかはわからないが……
まあ、良い、しばらく動向をうかがっておこう」
マアサ姫がまた何かしてきたら厄介だ。
そう思い、レイオウが考え込んでいると。
調べに行っていた八部衆の”太鼓”が
レイオウに書簡を差し出した。
やや長めの報告文をすぐさま開いたレイオウは
最初は無表情だったが、眉をしかめた後、
どんどん険しい顔に変わっていった。
心配になったアイレンが尋ねる。
「何か、良くない知らせでも?」
「……あの女。絶対に許さん」
レイオウが額に青筋を浮かべ、
歯を剥いて怒っていた。
いままで見たこともないような
鬼の形相となったレイオウを見て
とんでもない事が起きたのかと思いきや。
「俺のアイレンを誘惑させるために
武家や華族の令息を集めたというのか!」
八部衆がマアサ姫の侍従たちに聞き込みをしたところ、
”美形の令息を集めよ”という馬鹿げた命令を知り、
彼女が侍女にもらした言葉を
繋ぎ合わせて推測したところ、
そのような結論に達したのだ。
書簡を片手で握りつぶし、レイオウは怒りに震える。
滅多に感情を出さないレイオウが激怒している姿に
彼の部下たちはすっかり縮み上がっている。
“マアサ姫、明日の朝まで生きていられないのでは?”
そう思わせるほど、彼の怒りは激しいものだったのだ。
しかしアイレンは笑いながらレイオウに言ったのだ。
「誘惑も何もなかったわ。
皆さんとは全然お話すらしませんでした。
マアサ姫様が皆さんとご交流されるのを
ずっと見ていただけですもの」
ひかえていた”太鼓”もうなずく。
レイオウはふたたび書簡に目を通した。
アイレンが言う通り、マアサ姫は彼女そっちのけで
令息ひとりひとりに自己紹介をさせ、
彼ら全員と会話を楽しみ、盛り上がっていたそうだ。
そして最後には、西方の令息をいたく気に入り、
自分も兄たちに続いて西王門へ居住を移す決心をした、
と書いてあったのだ。
レイオウは思わず吹きだす。
”アイレンを誘惑させるつもりが、
自分が誘惑されたのか”
そして息をつき、平常心に戻る。
胸の龍笛に手を当て、
ふたたびこれを持たせておくべきか迷ったが。
しかし以前、”破邪顕正の剣”と対話して
驚いたことを思い出す。
剣が言うには、さまざまな悪意が彼女へ向けられたが
自然とそれは阻止され、跳ね返ったというのだ。
例えばカアラは、家を奪おうとして自宅を失い、
荒んだ学校に通わせようと画策したのに、
自分の方が風紀の乱れた学校に通うことになったのだ。
レイオウは愛する婚約者を見て思う。
彼女は明らかに、普通ではない何かを持っている。
もしかすると……彼女は。
もし吉祥天かどうかを明らかにすれば、
彼女は一部の武家や僧家から危険視され
残りの者からは過剰な期待を受けるのだろう。
そして苦笑いしながら首を振り、
急に彼女を引き寄せ、抱きしめながら思った。
”いいや、君が何者でもかまわない。
これまで通り自由に生きて欲しい”、と。
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「まーったく、結婚というのは
何もかもお金がかかりますなあ」
ピーターの父が呆れたような顔で言い
「削れるところは出来るだけ削れば良いのよ。
そうね、ドレスはこの子の従妹が着たのがあるし
アクセサリーは模倣品の商品見本で良いわね」
とピーターの母がまくし立てた。
引きつった笑顔の業者の正面に
ピーターとその両親が座っている。
めんどくさそうな義父と
オロオロするカアラの母は
横に置かれたソファーで成り行きを見守っていた。
業者の横に座ったカアラは
目の前のピーターを必死に睨んでいる。
”事前にあれだけ言ったじゃない!
ドレスはマダム・フローラの、
ティアラはダイアモンドと真珠で特注して欲しいって!”
しかしピーターはニヤニヤ笑っているだけで
自分の親に対して全く反論してくれない。
業を煮やしたカアラは、業者に向かって笑顔で話す。
「あらあ、それって……普通はどうなんです?
招待客に対して恥ずかしくありません?」
業者はもう少しお金をかけて欲しいこともあり
うなずいて、カタログをテーブルに広げた。
「なんせ一生に一度のことですから。
皆さま、結構こだわったドレスをお選びになります。
例えばですね……」
それを遮るように、ピーターの父が言う。
「そんなのは不要だ。
本当なら式さえやりたくないくらいだが
御祝儀を受け取らねばならないからな」
「そうよ。でも損失が出るのは耐えられないから
お祝い金の予想額以下にしないとね」
ピーターの母も計算が書かれたメモを見ながらつぶやく。
カアラは怒りで顔を赤くしながら反論する。
「でも体裁はきちんと守るべきですわ。
華族の娘を娶るんですもの」
「華族の娘、ねえ……」
馬鹿にしたようにいうピーターの父に、
カアラはツン、とあごをあげ彼らに言い放った。
「そうよ! こんなに若くて可愛い
華族の娘を迎えられるんだから、
ドレスも式ももーっと豪華にしてもらわないと!」
「ふん。自分で可愛いと言うなんて、
華族の娘とは思えないほど、慎み深さも品もないのね」
ピーターの母に即座に言い返され、
カアラはムッとし、睨み返す。
そしてターゲットをピーターに変えて叫んだ。
「私、何回も言ったじゃない!
ウエディングドレスも、お色直しのドレスも
ティアラも、私が決めるって!
たっくさん買ってもらうって言ったわよね!」
カアラがそこまで言った時、ピーターの父が怒鳴った。
「この物欲の悪魔め!
お前がピーターに買わせたドレスは20着だぞ?
アクセサリーは28種類、靴だって8足だ」
ピーターも困惑した顔で言う。
「それだけじゃないよ。
毎回毎回、どこどこのマカロンを買って来い、
あの店のチョコレートが食べたいって、
高級店のお土産ばかりねだって来たじゃないか。
僕の個人的な資産はほとんど底をついたんだよ」
ピーターの両親は別に、そこまでケチではなかった。
しかし婚前からあまりにもカアラは
ピーターにたかり過ぎたのだ。
たくさんのものを貢がせたため、
これ以上は不要、とみなされただけだった。
彼女の強欲は限界がないため、
付き合ってはいられない、というのも理由の一つだ。
ピリピリとした空気が流れる中、
取りなすように義父が口を開いた。
「まあ、うちも多少は出資しよう」
いかにも商売人のような口調で言うと、
カアラの母も必死に懇願してきた。
「全部とは言いません。何か一つでも
この子のお願いを聞いてあげてくださいな」
ため息をついた後、ピーターの父が問う。
「……何かひとつ、言ってみろ」
するとカアラは目まぐるしく考えを巡らした後、
意気揚々と叫んだのだ。
「ブーケはダイアモンドリリーが良いわ!」
全員が黙り込んだ。
”花の宝石”の異名を持つその花は、
1本だけでもドレスが買えるほどの値段だった。
長い沈黙の後、ピーターの父がつぶやいた。
「……この結婚は無しだ。
こんな金食い虫、うちでは養えん」
その言葉にカアラは顔を輝かせる。
”望むところよ!”と叫ぼうとした、その時。
義父と視線があい、”約束”を思いだす。
そうだった。カアラは顔をゆがめる。
この結婚がダメになったら
カアラの母と二人で働き、借金を返す日々となるのだ。
「ね、カアラ。考え直しなさい」
今の生活を維持したいカアラの母が
涙目で訴えてくる。
カアラは唇を噛み、仕方なく答える。
「分かったわよ。ブーケは何でもいいわ。
……じゃあドレスは、このカタログから選ばせて」
「そうしよう。それはこちらが出してやる」
すかさず義父が言い、ピーターの両親もうなずいた。
カアラの母はあからさまにホッとしている。
カタログを見ながらカアラは
ふと思い出したように尋ねる。
「ねえ、婚約指輪は? まだもらってないけど」
おりしも世間は、大通りの有名店に、
北王門家から予約が入ったことが話題になっていた。
ものすごく上質なダイアモンドと、
珍しいピンクダイヤを組み合わせた特注品だと
みんなが騒いでいたのだ。
カアラは妬ましさで気が狂いそうだった。
”アイレンがあれを受け取るなら、
私はもっと良いものが欲しいわ!”
しかしピーターの母が眉をひそめて答える。
「そんなはずはないわ。
”婚約指輪”の予算は使われているもの」
反論しかけたカアラに、ピーターは気まずそうに小声で言う。
「それならもうあげたじゃないか。
ほら、あの石だよ。あの白くて丸い石」
カアラは絶句する。
”吉祥天”に成りすますために用意した
あの滑石の事だ。
ピーターは申し訳なさそうにつぶやく。
「婚約指輪の予算から出したから、
それをカットして台座をつけて
婚約指輪にするしかないんだよ」
カアラは机の引き出しに放り投げて入れた
あの丸い石を思い出す。
世界で最も柔らかいあの石を。
アイレンは、世界で最も硬い石をもらうのに。
自業自得の結果であるにも関わらず、
カアラの中で、アイレンに対する憎悪が強まっていく。
そして。どんどん深い闇に落ちていったのだ。
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