『十人十色のラブストーリー』

小雨あい

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君と貴女と-巳継ver-(社会人、両片思い)

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貴女は知らないんだろうな。
あの日から、俺がどんだけ貴女を好いているかなんて。
流石に俺だって、なんとも思ってない女性の部屋に不法侵入したりしないよ。
そのくらいの常識あるつもりだ。
不法侵入事態、非常識だと言う事は和えて考えないとして。

ーーーあの日が、俺と紗遊さんの始まり。
オネェストーカーから逃げ、引っ越して来たばかりだった。
なのに、アイツはまたやって来た。
部屋の前で待ち伏せしているアイツ。
家に入れなくなった。
出くわせば間違えなく犯される自信がある。
以前、未遂だが俺は半裸までさせられた事がある、その時は自力で逃げたが。
次がまた逃げれるとは限らない。
俺の部屋は三階。
スマホにもしもの為に遺言を残し、後必要なのは度胸と覚悟と勇気。
そう、真っ向から部屋に入れないなら、裏から入るしかない。
つまりは、三階のベランダまでロッククライミング。丁度、鍵を締め忘れていたし。
なんでか、切羽詰まっていた俺はそんな結論に至ってしまったのだ。

「・・・君、何してるの?泥棒?」

ロッククライミング中の俺に掛かった声。
この呆れた冷めた様な目線の主こそが紗遊さんだ。
死に急いでいた俺には、彼女が救いの女神に見えた。
つもりは一目惚れをした。
危ないからと、俺を自分の部屋に招き入れ、ココアを出してくれた。
オネェからストーカーされてるっと素直に自供したら、紗遊さんは少し吹き出して笑った。

「ひどぇ、俺は真面目に困ってるのに」
「ごめん、ごめん。でもだからって、ロッククライミングまでする」
「もしもの為に遺言まで残したぞ」
「生き残って良かったわね」

そう言うと紗遊さんは、俺の手からスマホを奪い、誤字脱字ばかりの遺言を消した。
その日から俺は、アイツから逃げると言う項目で、紗遊さんの部屋まで不法侵入するようになった。
紗遊さんも、なんだかんだ文句言いながらも、俺を招き入れてくれる。
俺は、紗遊さんの優しさを利用しているのだ。


*****


「俺の事は犬だと思えば無問題だよ」

彼女の警戒を解く為に、茶化しながら言う。
すると乱暴に電気を消された。
俺用に用意してくれたタオルケットを被り、ソファに寝ころぶ紗遊さん。

「さ、紗遊さん。ごめんなさいっ、ベッドでお疲れの体を癒して下さい。俺がソファに移動させて頂きますんで」

暗闇にまだ目が慣れない。
でも、紗遊さんが移動してくるのを感じた。
俺もそそくさとソファに移動しようとしたが・・・。

「え?」

体に巻き付いてきた腕。
背中に密着してきた柔く暖かい感触。
え~~~~~~~~っ。

「さささささ、さ、紗遊さんっ!!」
「・・・おやすみ」

紗遊さんのベッドで、紗遊さんに抱きつかれてる俺。
なんですか、この夢の様な拷問は。

紗遊さんの意図が分らず混乱する。

さて、俺の取るべき正しい選択はどれなんだ?
このまま本能に忠実に従う。
朝まで抱き枕となり添い寝。
ベッドから抜け出しソファで寝る。

感情、理性、本能がせめぎ合いの戦いを起こし、眠れぬ夜が開幕した。



了。
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