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絶望の転生
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「美琴、僕君が好きなんだ。」
僕らはもうすぐ中学生になる。彼女と付き合うことになった時はとても嬉しくて舞い上がっていた。
その日の帰り、悲劇は起きた。
「美琴!!あぶない!」
赤信号を無視して突っ込んできた軽トラックが視界に入ったと同時に、気がつけば美琴を突き飛ばしていた。次の瞬間、世界がスローモーションとなり、体に強い衝撃が走ったかと思うと、体は宙に舞い、そのまま地面に叩きつけられ、体の自由がきかなくなった。
意識はぼんやりとなり、うっすらとした意識の中で、目は見えないものの、美琴の声が…泣いている声が聞こえた。
「泣かないで」そう言いたいのに声も出ない。美琴…僕は君が好きだ。だから生きて。僕よりも長く。次会う時も……また僕が守るよ。
そう心の中で呟いて、静かに涙を流した。
気がつくとあたりは真っ暗で、浮遊感だけが感じられた。
(ここは……どこだ?)
やがて浮遊感は消え、ゆっくりと体に感覚が戻り始めた。
(体が…動く?でも、上手く動かない…)
だんだんと明かりも見え始め、意識がハッキリし始めた。
「魔王様、お目覚めになられたのですね。あなたがお生まれになってからもう5年が経ちました。今すぐここから出してあげます!」
(……ここからだす?)
ぼんやりと聞こえる声により意識を呼び起こされゆっくりと目を開く。
目の前に映ったものは、訳の分からない液体に浮いている自分の姿だった。
(なっ、?誰だこれ……僕なのか!?)
明らかに小さいこの体に戸惑いを隠せず声を出そうとしたが、何せ液体の中のため声は出ず、混乱する。
(早く……ここから出してくれ!!)
そう強く願ったその時だった。
ガシャッーーーーーン!!!
(へ?)
「おぉ!!なんと…まだ5歳という若さながらもうそのようなお力を…私感激のあまり涙が…」
どうやったのかは分からないが、目の前の自分を液体の中に封じていたガラスが割れ、外に投げ出された。さっきからへんてこりんなことを言っている角の生えたイケメンにすかさず受け止められ布をまかれる。とても肌触りが良い。
「こっこ……は、どこ、ですか?」
(よかった…なんとか声は出る。)
「私めにそのような丁寧なお言葉はおやめ下さい。私は貴方様の家来。いや、奴隷のようなものでございます。申し遅れました。悪魔族のリリシエル・エルエーラと申します。エルとお呼びくださいませ。」
「わかっ……た。もう一度、きく。エル、ここはどこで、僕は…何者だ?」
「はっ!貴方様はいずれこの世界を支配する魔王、シエラ様にございます。そしてここが魔王の城、シエラ様の家にございます。」
(魔王!?何そのゲームみたいな単語…なんかちょっと憧れのあったその単語!てか僕が?!ってなに!?この世界を支配?!)
「ここは魔王国、デリエラ。この世の最南端に位置する国でございます。そして我らが宿敵、勇者が集う場所、聖神国、エルセーヌがここから最北端に位置する場所に存在しております。いずれ魔王様の宿敵である勇者が召喚されることでしょう。」
突如告げられた信じ難い話。
なんということでしょう……。
どうやら僕は、普通の小学六年生から5歳児の魔王へと転生してしまったようです…。
僕らはもうすぐ中学生になる。彼女と付き合うことになった時はとても嬉しくて舞い上がっていた。
その日の帰り、悲劇は起きた。
「美琴!!あぶない!」
赤信号を無視して突っ込んできた軽トラックが視界に入ったと同時に、気がつけば美琴を突き飛ばしていた。次の瞬間、世界がスローモーションとなり、体に強い衝撃が走ったかと思うと、体は宙に舞い、そのまま地面に叩きつけられ、体の自由がきかなくなった。
意識はぼんやりとなり、うっすらとした意識の中で、目は見えないものの、美琴の声が…泣いている声が聞こえた。
「泣かないで」そう言いたいのに声も出ない。美琴…僕は君が好きだ。だから生きて。僕よりも長く。次会う時も……また僕が守るよ。
そう心の中で呟いて、静かに涙を流した。
気がつくとあたりは真っ暗で、浮遊感だけが感じられた。
(ここは……どこだ?)
やがて浮遊感は消え、ゆっくりと体に感覚が戻り始めた。
(体が…動く?でも、上手く動かない…)
だんだんと明かりも見え始め、意識がハッキリし始めた。
「魔王様、お目覚めになられたのですね。あなたがお生まれになってからもう5年が経ちました。今すぐここから出してあげます!」
(……ここからだす?)
ぼんやりと聞こえる声により意識を呼び起こされゆっくりと目を開く。
目の前に映ったものは、訳の分からない液体に浮いている自分の姿だった。
(なっ、?誰だこれ……僕なのか!?)
明らかに小さいこの体に戸惑いを隠せず声を出そうとしたが、何せ液体の中のため声は出ず、混乱する。
(早く……ここから出してくれ!!)
そう強く願ったその時だった。
ガシャッーーーーーン!!!
(へ?)
「おぉ!!なんと…まだ5歳という若さながらもうそのようなお力を…私感激のあまり涙が…」
どうやったのかは分からないが、目の前の自分を液体の中に封じていたガラスが割れ、外に投げ出された。さっきからへんてこりんなことを言っている角の生えたイケメンにすかさず受け止められ布をまかれる。とても肌触りが良い。
「こっこ……は、どこ、ですか?」
(よかった…なんとか声は出る。)
「私めにそのような丁寧なお言葉はおやめ下さい。私は貴方様の家来。いや、奴隷のようなものでございます。申し遅れました。悪魔族のリリシエル・エルエーラと申します。エルとお呼びくださいませ。」
「わかっ……た。もう一度、きく。エル、ここはどこで、僕は…何者だ?」
「はっ!貴方様はいずれこの世界を支配する魔王、シエラ様にございます。そしてここが魔王の城、シエラ様の家にございます。」
(魔王!?何そのゲームみたいな単語…なんかちょっと憧れのあったその単語!てか僕が?!ってなに!?この世界を支配?!)
「ここは魔王国、デリエラ。この世の最南端に位置する国でございます。そして我らが宿敵、勇者が集う場所、聖神国、エルセーヌがここから最北端に位置する場所に存在しております。いずれ魔王様の宿敵である勇者が召喚されることでしょう。」
突如告げられた信じ難い話。
なんということでしょう……。
どうやら僕は、普通の小学六年生から5歳児の魔王へと転生してしまったようです…。
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