なんと言おうと君が好き

翼姫

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始まり

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「ごめん無理。」

(また即答で振られた……。今日で何回目だ?
10、11…。ダメだ、よそう。悲しくなってきた。)
 合コンで仲良くなったまぁまぁいい会社の社員に告白して振られた。
 もうわかっていると思うが俺はホモだ。女を好きになる事がないことは無いが、俺は基本男に魅力を感じる。
 中学生の頃、たまたま部活をしている同級生の男友達を見てかっこいい(恋愛対象として)と思ったのが始まりだった。
 最初は何かの錯覚に違いないと、そう思っていた。しかし、時間が経てば経つほど自覚し、意識し、戻れなくなっていった。付き合っていた女とは別れ、男に初めて恋をしたのは高一の時だった。
 歳は同じで、自分よりも背が高くて、喧嘩も強く頭脳もよく、顔もよかった。最初はあこがれに近かったが、気づけば触れたいと思うようになった。これが恋だと知った時は絶望した。決して叶わないのだから。嫌われ、気持ち悪がられ、そして周りからは虐められるのだと、そこまで考えた。苦しく、切なく、愛おしかった。ずっともどかしかった。言わなければずっとこれが続くのだと思うと吐き気がした。
 そして高校三年生の終わり、受験も終わって皆が幸せそうにしている中、俺はたった1人憂鬱だった。
(このまま言わずに卒業していいのか?)
そう思う日が増えた。
 そんなある日、俺は決断しなければいけなくなった。なぜならそいつが県外の大学に行くことになったからだった。追いかけたいが俺の頭じゃ到底無理だった。名門中の名門。ちょっとやそっとじゃ決して入ることの出来ない大学だった。だから言うしかなかった。言わなければ一生後悔する。嫌われても、気味悪がられても、もう二度と会うことは無い。「だからこそ気持ちを伝えよう。」そう決意した。
 俺は卒業式の終わりに、そいつを呼び出した。周りにわからないように、悟られぬように。変な噂が流れ、迷惑を決してかけぬように。
 そして……。

「なぁ、慎。俺、お前にずっと黙ってたことがあるんだ。」
「なんだよ改まって、お前らしくもない。」
慎はいつものように澄んだ瞳で俺を見て微笑んだ。俺はこの顔がたまらなく好きだった。
「慎、これまで本当にありがとう。勉強を教えてくれたり、色々助けてくれた。」
「まじ気持ちわりぃよ(笑)  なんだよマジで、ほんと今日どした?」
「お前県外行くだろ?」
「あぁ。」
「だからどうしても伝えたかった。伝えなきゃ俺が苦しかった。」
「うん?」
「俺。……。」
「??」
なかなかいいだせず、時間だけが過ぎていく……。そして。
「俺…。ずっと慎が好きだったんだ。」

「え……?」





  あの日。俺は逃げた。告白した時の慎の顔があまりに悲しそうで。俺は逃げた。
    








     あの時……。

「え?」
慎は今までにないほどの悲しそうな顔をした。だから…
「ごめん。なんでもない、もういいから。忘れて?」
「え?おい、ちょっ……」











俺は逃げた。









その場から走って逃げた。





それからというもの、慎を忘れるためかのように人を好きになっては告白して振られるを繰り返し続けた。





















あの日が来るまでは。
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