それでも彼は幸せという

雪咲 彩

文字の大きさ
11 / 12

11話 家族事情

しおりを挟む
 私は肺炎になった。 

 私の看病はサヤ子がすることになった。 

 それには、理由があった。 

 

 私が肺炎になる前、弟の大樹が生まれる前だった。 

 日本はバブル崩壊した。 

 その影響で家庭にも影響が起きた。 

 

 お金という問題だった。 

 母の優子は専業主婦をしていた。 

 

 父は大工の仕事をしていた。 

 その父の仕事が一時無くなったのだ。 

 

 私たちの家庭に収入はなかった。 

 収入を得るために母はパートを始めた。 

  

 一方、父は仕事がない期間、仕事を探して収入を得ようとしなかった。仕事をせず遊び暮れていた。 

 そのことを知ったサヤ子は激怒した。 

 それからというと、最後までサヤ子と辰の間には亀裂だけが残った。 

 

 優子はパートを始め、それが唯一の収入源として家庭が成り立っていた。 

 それ以降、優子は専業主婦からパートをすることとなった。 

 最初は短時間の仕事をだった。だけど、時が経つにつれてパートの仕事は長くなった。 

 これはまだ始まりに過ぎなかった。 

 

 優子はパートを始めた為、優子は一日中、私を見てくれる人がいなかった。 

 パートをしてるため、私を看病することが出来なかった。 

 だから、サヤ子は私が入院をしている間 

  

 「看病をしてほしい」 

  

 と、願いした。 

 それを聞いたサヤ子は、私が退院するまで二十四時間、見てくれることになった。 

 その間、優子はずっとパートで忙しかった。 

  

 修一はというと、私のことを心配しながらも、一人家にいた。 

 

 私の肺炎は一週間と入院をすることとなり、サヤ子と私は一週間、病院にいることになった。 

 優子は看病してくれたサヤ子に感謝しかなかった。 

  

 サヤ子はというと、辰には任せられないと思った。 

 仕事を探さず、一人自由にしていたことに。すべては優子任せだったからだ。 

 サヤ子は辰に対して態度が激変した。見てわかるくらいに、冷たい目を向け続けた。 

 それは、最後まで変わることはなかった。 

  

 私が退院したとき、優子はサヤ子に相談した。 

 

 「私はパートで忙しい。だから、私がパートに行っている間だけ、華昏のことを見てほしい」 

 

 そのことを聞いたサヤ子は迷わず聞き入れた。 

 

 それからというと、辰は朝早くに家から出て仕事に向かった。 

 優子がパートに行く前に、修一は私を一目見てから仕事に向かった。 

 修一が家に来るとき、サヤ子も一緒に家に来た。 

 それは、私の面倒を見てくれるからだ。 

 その後に優子は、朝の九時からパートの時間へ向かった。 

 

 優子がパートから帰ってきたとき、サヤ子は修一が仕事から帰ってくるまで家にいた。 

 

 修一は仕事から帰ってくると私のことを一目見た後、サヤ子と修一は家に帰っていった。  

 その後、辰は仕事から帰ってくる。 

 

 それは大樹が生まれてからも、同じルーティンだった。 

 

 何か変わったことがあったとすれば、修一は私たちの家で仕事の準備をして仕事に向かい、帰ってきた時に私を一目見た後、帰る準備をしてからサヤ子と一緒に帰るようになったことだ。 

 

 弟の大樹が生まれてからというと、私と大樹のことをサヤ子一人で面倒を見てくれた。 

 サヤ子にとっては優子、きみ子を育ててきた経験があった。 

 それが経験となり、子育ての大半はサヤ子が見てくれたのだ。 

 優子にとってサヤ子は、大きな存在だった。感謝してもしきれないくらいに。 

 

  

 時は私が話せるようになってからだ。 

 

 私は小さい頃、おじいちゃん子だったようだ。 

 休日になると、私はいつも、 

  

 「おじいちゃんはどこなの?おじいちゃんとご飯食べに行く!」 

 

 と、休日の時はいつも母に言ってた。 

 

 私が少し大きくなった時、休日は修一といつも朝のモーニングを食べに行って遊んでいた。 

 

 修一は、それはもう嬉しかったようだ。 

 かわいい娘に会えることが。 

 一緒にご飯を食べることが。 

 

 ある日、私は母、優子に何気ない言葉を言った。 

 それは、修一にとって嬉しかったに違いない。 

 後にそれは救ったと言っていいのかわからない。 

  

 ただ、大人になった私を含め、優子、きみ子と一緒にご飯を食べているときに、母は言った。 

 

 「その何気ない一言が、おじいちゃんを救ったんだよ」 

 

 と、話した。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アルファポリス投稿ガイドラインについて

ゆっち
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの利用規約、投稿ガイドラインについて考察。 ・2024年3月からスコア切り始まる。 ・ptが高いのに0スコアになるのは何故? ・一定の文字数が必要 曖昧で解らない部分は運営様に問い合わせ、規約に則った投稿を心掛けています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルファポリスであなたの良作を1000人に読んでもらうための25の技

MJ
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスは書いた小説を簡単に投稿でき、世間に公開できる素晴らしいサイトです。しかしながら、アルファポリスに小説を公開すれば必ずしも沢山の人に読んでいただけるとは限りません。 私はアルファポリスで公開されている小説を読んでいて気づいたのが、面白いのに埋もれている小説が沢山あるということです。 すごく丁寧に真面目にいい文章で、面白い作品を書かれているのに評価が低くて心折れてしまっている方が沢山いらっしゃいます。 そんな方に言いたいです。 アルファポリスで評価低いからと言って心折れちゃいけません。 あなたが良い作品をちゃんと書き続けていればきっとこの世界を潤す良いものが出来上がるでしょう。 アルファポリスは本とは違う媒体ですから、みんなに読んでもらうためには普通の本とは違った戦略があります。 書いたまま放ったらかしではいけません。 自分が良いものを書いている自信のある方はぜひここに書いてあることを試してみてください。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

24hポイントが0だった作品を削除し再投稿したらHOTランキング3位以内に入った話

アミ100
エッセイ・ノンフィクション
私の作品「乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる」がHOTランキング入り(最高で2位)しました、ありがとうございますm(_ _)m この作品は2年ほど前に投稿したものを1度削除し、色々投稿の仕方を見直して再投稿したものです。 そこで、前回と投稿の仕方をどう変えたらどの程度変わったのかを記録しておこうと思います。 「投稿時、作品内容以外でどこに気を配るべきなのか」の参考になればと思いますm(_ _)m

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...