薄氷の上で燃える

なとみ

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第一章 王都の護衛兵

共同訓練-⑤

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 リボンは12本。十分な収穫だ。
 シアーラは再び木の上で身体を休めていた。
 結局シアーラも意地になり、そのあと一度もリンゼイの手は借りずに済んだ。だが、互いの状況を確認するたびに増えている彼のリボンの本数に、何度も思い知らされることになった。

――段違いだ。

 パートナーとしてはこれ以上頼りになる相手はいないだろう。ペア戦では二人の合計本数を競わされるため、リンゼイの成果のおかげで、シアーラはもはや、自分のリボンの本数を気にする必要はない。

 だが。
 ローゼンタールの一兵士としては、このままでは終われない。



「残り一時間か」

 再び合流した時そう言ったリンゼイの成果を数える気にはもうならなかった。この時間になれば実力のある者はすでき十分本数を確保し、のんびりと過ごしていることだろう。今顔を青くして必死に動いているのは、リボンを全て奪われ、護衛兵としての仕事を失う可能性がある者くらいだ。
 こんなふうに訓練時間内に身体を休められることなど滅多にない。本来はこのまま何もせず、時間まで過ごせばよいのだが。

「たいした奴はいないな」

 こちらに聞こえるようにそう呟くリンゼイに、シアーラの決意は固まった。

「リンゼイ」

 振り返った男を見上げて、シアーラは言う。

「この訓練には、もう一つルールがあってな」

 感情のない瞳でこちらを見下ろす男を真っ直ぐに見上げ、続けた。

「双方の合意があった場合、パートナー同士で戦闘し、リボンを奪うことが許可されている」
「……ほう」
「成績は合算だから、メリットはないんだが」

 男の反応を見ながら、一呼吸置いて告げた。

「相手になってくれないか、リンゼイ」


 シアーラがその言葉を発した瞬間、男の瞳に光が宿った。好戦的なその輝きにシアーラはほくそ笑んだ。暇潰しになるとでも思ってくれれば御の字だと思っていたが、これは予想以上に反応がいい。この男も典型的なバルドバの兵士だ。

「本気か」
「ああ」
「再起不能になっても文句は言うなよ」
「もちろんだ」
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