婚約七年目、愛する人と親友に裏切られました。

テンテン

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朝からついていないなと思った。
朝食に用意された紅茶がいつもより苦かった。
どうやら新人の使用人が用意したものらしく、青い顔で私に頭を下げてきた。

「別に……怒ってない」

そう言うものの、彼女には上手く伝わらなかったらしい。
泣きそうな顔で何度も何度も頭を下げてくる。

「……」

思い返せばいつもそうだった。
仏頂面の私は感情が伝わりにくい。

私を心から理解してくれるのは、この世界でただ一人。
私の大好きなお兄様だけ。
正面に座る兄のレイブンを見つめていると、「どうかしたのかい?」と兄が微笑む。

「い、いえ……」

私は恥ずかしさで顔を背けてしまう。

「おいおい、どうしたんだ。俺の顔に何かついているのか?」

「そういうわけでは……」

「ならいいが……」

兄は食事に戻り、私もそうすることにした。

「そういえばミラ、今日は王宮に行くぞ。例の件の成果を報告せねば」

「――分かりました」

例の件とは、私たちが秘密裏に制作している魔法武器のことだ。
王宮の人達はそれを大層気に入ってくれて、多額の資金を出資してくれている。
時折成果を報告することが義務となっていた。

食事を終えた私たちは場所に乗り、王宮へと向かう。
王宮内へと入った私たちは、馬車を降りて、いつものように玉座の間へと移動した。
そこには国王と護衛の兵士の二人だけがいた。

「よく参ったな。成果を聞かせておくれ」

国王は玉座に座り、私たちを見下ろす。
兄が懐から紙を取り出して、それを読み上げた。

「――研究は順調に進んでいます。魔法防壁を作る装置はおおむね完成しました。魔弾砲装置も最終段階に入っています。追加で依頼された空間転移の魔道具も、設計図を書き終えました」

「うむ。予定通りだな。感謝するぞ二人とも」

「お褒めに預かり光栄です」

国王は心が綺麗な人だ。
私たちの作るものを、本気で国の防衛のためだけに使おうと思っている。
空間転移の魔道具も、困窮した村に物資を届けたいのだとか……。

だが、他の重役たちは全然違う。
自分の利益のことだけを考えて私たちに魔法武器を注文してくる。
国王には上手く誤魔化しているみたいだが、私たちは欺けない。
むしろ、欺いているのは私たちだしね。

「では下がってよいぞ」

国王がそう言うと、私たちは扉に向かって歩きだした。
いつも見る扉がなぜか今日は不吉めいて見える。
朝の出来事が尾を引いているのかと思った瞬間、扉が勢いよく開いた。

そこには憎き女の顔があった。
大好きなお兄様の元婚約者、エミリアの顔が。

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