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「……」
「……」
「飽きた」
「そうか」
ずっと走っているポン助には、悪いけど、飽きたものは飽きたのである。
いつまでも続く森の道。
周りを見ても、木。木。木。木。たまに魔物らしき姿が、ちらっと映ったと思えば、また木。木。木…。
これで、飽きるなというほうが、難しい。
「いつ、つく~」
「もうすぐだ」
「いつ、つく~」
「あと、少しだ」
「あと少しって、どれくらい?」
「もうちょっと、……ほら、もうすぐだ」
「疲れた~」
「まったく。普通の人間なら、1ヵ月は、かかるっているのに。こいつは…。お前、こいつの背に乗ってるだけで、疲れるも何もないだろ」
「人間は、ずっと座っていても疲れるんですぅ」
「は~。…おいポン助」
「アスランもポン助呼びでいいの?」
「真名なんか呼べるわけないだろ。ポン助、あとどれくらいだ?こいつが、うるさくてしかたない」
「わん」
「もうすぐ着くってよ」
「さっきも聞いたよ~」
◆
仮眠をしてから、私たちはまた移動を始めた。
夜の森で、ずっと同じところにいるのは、危ないのだと聞かされる。
「お、ついたぞ」
「え?」
森を抜けると、眼前には、大きな塀。
まるで、城だ。
「ここ、ギルド共和国!?」
「そうだ。新天地には、ちょうどいいだろ?」
「いやいや。よく…私の国から、すっっっごく遠いんだよ!?馬車を乗り継いでも1ヵ月はかかるよ」
「だから、そういったじゃねえか。これでも早いほうだって」
「先に言ってよ~」
「言った」
「言ってない」
「わん」
ポン助に服の裾を引っ張られる。
もうそんなのいいから行こうってか。
その通りなので、素直に引っ張られることにする。
門の前まで歩いていくと、衛兵らしき、人物が武器を構えている。
「誰だっ!」
「あ、えっと、旅人です」
「旅人だぁ…?」
じろじろと私たちの恰好を見られる。
うわっ!すごい不審者を見るような目。
…当たり前か。どう見てもこんな深い森を抜けてきたとは、思えないような装備だもの。
しかも連れているのは、子どもに犬が一匹ずつ。
そりゃあ、怪しまれるのも当然だ。
「いや、本当なんです」
「あやしいな。おまえ、何か証拠でもあるのか。ギルド証は」
「ギルド証なんて、持ってません…」
「お前、まさか魔族か」
「なっ、そんな魔族なんかじゃありません!」
どんどん兵士や屈強な冒険者らしき人間が集まってくる。
「ど、どうしよう~」
「俺達は、御前の命でここまで来た」
「御前だと?証拠は」
「ここに世界樹を生やして見せる」
「せ、世界樹だぁ!?わっははっははっははは!!!」
めっちゃ笑われてる!
「ちょ、ちょっと、世界樹を生やすなんて、なんて無茶言うの」
「俺には出来る」
「で、でも苗木なんて持ってきてないじゃない」
「おい、俺が何なのか忘れたのか?」
「わん」
安心しろ、とでもいうようにポン助が、私の足をポンポンと踏んでいる。
「俺は、神様だぞ。そんなこと、造作もないさ」
「……」
「飽きた」
「そうか」
ずっと走っているポン助には、悪いけど、飽きたものは飽きたのである。
いつまでも続く森の道。
周りを見ても、木。木。木。木。たまに魔物らしき姿が、ちらっと映ったと思えば、また木。木。木…。
これで、飽きるなというほうが、難しい。
「いつ、つく~」
「もうすぐだ」
「いつ、つく~」
「あと、少しだ」
「あと少しって、どれくらい?」
「もうちょっと、……ほら、もうすぐだ」
「疲れた~」
「まったく。普通の人間なら、1ヵ月は、かかるっているのに。こいつは…。お前、こいつの背に乗ってるだけで、疲れるも何もないだろ」
「人間は、ずっと座っていても疲れるんですぅ」
「は~。…おいポン助」
「アスランもポン助呼びでいいの?」
「真名なんか呼べるわけないだろ。ポン助、あとどれくらいだ?こいつが、うるさくてしかたない」
「わん」
「もうすぐ着くってよ」
「さっきも聞いたよ~」
◆
仮眠をしてから、私たちはまた移動を始めた。
夜の森で、ずっと同じところにいるのは、危ないのだと聞かされる。
「お、ついたぞ」
「え?」
森を抜けると、眼前には、大きな塀。
まるで、城だ。
「ここ、ギルド共和国!?」
「そうだ。新天地には、ちょうどいいだろ?」
「いやいや。よく…私の国から、すっっっごく遠いんだよ!?馬車を乗り継いでも1ヵ月はかかるよ」
「だから、そういったじゃねえか。これでも早いほうだって」
「先に言ってよ~」
「言った」
「言ってない」
「わん」
ポン助に服の裾を引っ張られる。
もうそんなのいいから行こうってか。
その通りなので、素直に引っ張られることにする。
門の前まで歩いていくと、衛兵らしき、人物が武器を構えている。
「誰だっ!」
「あ、えっと、旅人です」
「旅人だぁ…?」
じろじろと私たちの恰好を見られる。
うわっ!すごい不審者を見るような目。
…当たり前か。どう見てもこんな深い森を抜けてきたとは、思えないような装備だもの。
しかも連れているのは、子どもに犬が一匹ずつ。
そりゃあ、怪しまれるのも当然だ。
「いや、本当なんです」
「あやしいな。おまえ、何か証拠でもあるのか。ギルド証は」
「ギルド証なんて、持ってません…」
「お前、まさか魔族か」
「なっ、そんな魔族なんかじゃありません!」
どんどん兵士や屈強な冒険者らしき人間が集まってくる。
「ど、どうしよう~」
「俺達は、御前の命でここまで来た」
「御前だと?証拠は」
「ここに世界樹を生やして見せる」
「せ、世界樹だぁ!?わっははっははっははは!!!」
めっちゃ笑われてる!
「ちょ、ちょっと、世界樹を生やすなんて、なんて無茶言うの」
「俺には出来る」
「で、でも苗木なんて持ってきてないじゃない」
「おい、俺が何なのか忘れたのか?」
「わん」
安心しろ、とでもいうようにポン助が、私の足をポンポンと踏んでいる。
「俺は、神様だぞ。そんなこと、造作もないさ」
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