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『永久保存』の戦略。
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部屋の中は光が翳り、これから起こることを暗示しているかの様に、薄暗い。
割れた窓からは、晴れているにも関わらず、この場で緊張する全員の心を読んだかのように、少し冷たい風が吹いてくる。
割れた窓の前には二兎、ダイニングテーブルには椅子に座って右腕を差し出した遺骸と、その横に伊織と八舞。
遺骸と向き合うかのように霊七が椅子に座っていた。
「準備はいいか?二兎」
「大丈夫だ」
ピアスを開ける時の様に、薄いゴム手袋を嵌め、ニードルの代わりに注射器を持った霊七の声に『絡繰』を構えた二兎が頷く。
数年前、共に『拾都戦争』を戦った時の様な緊張感が辺りを支配する。
「お願い…します」
少し不安げな遺骸に霊七が安心させる為、声をかけた。
「八舞みたいに上手くないし、ちょっと献血並に採る量多いけど、頑張るから。遺骸ちゃん、痛かったらごめんね」
霊七は、すぅ、と息を吸って、
「じゃ…いくよ」
霊七はテーブルに差し出された遺骸の腕を持った。
瞬間、轟音と共に紫の雷が霊七に落ちた。
「…っがああ…!」
本当の落雷とは違うが、衝撃はほぼ同じ。
命が、無くなるような感覚だ。
歯を食いしばった霊七は崩れ落ちるのを耐え、ニードルよりも細くて弱い注射針を折れないように丁寧に刺す。
また、雷鳴がして、霊七の体に落ちる。
無くなった魂の数を数え、このままだと危険だと判断した霊七は、腹から叫んだ。
「二兎ぉ!」
「承知した!!」
二兎が割れた窓から、素早く外へ身を翻した。
「霊七さん…、ごめんなさい…」
遺骸が、採血の痛みではなく、申し訳なさから苦しそうに呟く。
「大丈夫、二兎を侮っちゃいけないよ。あいつは、強いんだから」
霊七が冷たい汗を身体中にかきながら、遺骸の頭を撫でる。雷雨の時のように、雷鳴が轟く。
何故、雷鳴が鳴り止まないのかというと、霊七が遺骸を安心させるように頭を撫で続けているからだった。
「…霊七!もうダメだ、死ぬぞ!」
普段見せない焦った顔で伊織が叫んだ時だった。
「大丈夫だ!「にと」に任せろ!」
その時、二兎が返り血を浴びた赤い着物で、割れた窓から室内に飛び込んできた。
ガッと顔を動かし、その血を見た霊七の瞳孔が小さくなり、カタカタ揺れ始める。
そして、熱に浮かされたかのように、呟いた。
「『永久保存』…」
血に染まった二兎の着物からまだこの世に未練のある魂が抜け出て、霊七の周りを漂ったかと思うと、霊七のピアス部位に集まった。
本来ならば、二兎は狩った獲物の死骸を持ってくるはずだったが、幼い遺骸の気持ちを考えて(それは幼かった頃の二兎の気持ちだったのかもしれない)、狩るときにわざと返り血を浴び、魂の気持ちをそちらに誘導したのだった。
「…はい、終わり」
刺していた注射針を引き抜き、シール状の絆創膏を貼るのと、失った分の魂を取り込むのは、ほぼ同時。
霊七が亡くした魂は5つ。狩ってきた魂も5つ。
本当にギリギリの戦いだった。
霊七は八舞に採血したパックを渡し、床に座り込む。
「少し、休んだ方がいいわ。伊織、ベットまで霊七を連れて行ける?」
「構わないが、八舞、君も来てくれ。治療が必要なはずだ」
ぐったりした霊七を抱えて、伊織と八舞が部屋から出て行った。
残されたのは、不安げな遺骸と黙ったまま『絡繰』にガチャガチャと毒草を調合する二兎だった。
「…先程は、ありがとうございました」
居心地が悪くなり、遺骸が呟くように礼を言うと、
「礼なら霊七に言え。「にと」は狩りを楽しんだだけだ」
無愛想な声の二兎はガチャン、と毒草を調合し終えた『絡繰』を床に置いた。
「刀…重いんですか?」
昔、武力抗争では銃しか見たことのなかった遺骸は、初めて見た日本刀について恐る恐る二兎に聞いた。
「ならば、お前は自分の腕が重いと思うのか?」
「…え?」
意外な言葉に若干戸惑う遺骸を暗い瞳で見つめながら、
「命を取るものと軽いと感じたら、終わりだ。「にと」の『絡繰』は殺すためのものだ。とても重いと思う。他国では、少年兵が銃を使うそうだ。彼らの武器はとても重いだろう。「にと」には判る。殺したくないものを殺し、狂ってしまう人生というものが」
そこで、言葉を切ると、
「お前も苦しんだのだろう?伊織と『九想典』に任せておけ。九尾様がなんとかしてくれる。…だが」
二兎は、目にも止まらぬ素早さで『絡繰』を抜き、煌々と赤く光る刀身を息を呑んだ遺骸の首にピタリと当てた。それは、幾つも修羅場を潜り抜けた暗殺者の動きだった。
「伊織は渡さない。少しでも色目を使ってみろ。…「にと」は躊躇なく首を刎ねるぞ」
その目は、黒く闇のように深い色をしていた。
「はー、死ぬかと思った…」
先程、遺骸には見せなかった疲れ切った顔で額の汗を拭い、霊七は呟いた。
居間の横にある客室のベットへ霊七は寝かされていた。
「何か、食べたいものはある?」
「煙草」
「…殺されたいようね」
「嘘。水が飲みたい」
八舞は、診察鞄の中から、ミネラルウォーターの瓶を出し、コップに注ぐと、霊七の横に置いた。
「大丈夫?起き上がれるかい?」
伊織は、クッションをいくつか持ってきて、背もたれにして上体を起こしてやった。
「ありがとう」
霊七は、力なく笑うと、コップの水を一気に呷った。
「…美味い」
「まるで、酒呑みね。どうする?点滴する?」
「いい。寝る」
八舞は、せめて寝やすいように、と『細菌確認』で氷枕を作ると霊七の枕に敷いてやった。
「あー…、気持ちいいな、氷枕って」
意識がうつらうつらしてきた霊七はそのまま眠りについた。
「…呼吸音、脈拍、体温、血圧、全て正常ね。…全く、二兎にも注意しとかないと。もう『拾都戦争』は終わったのよ。無茶されると心配になるわ」
「…本当に『拾都戦争』は終わったのかね」
伊織は、ぽつりと呟いた。
「今更、何をいうの。気味が悪いわ。冗談でもやめて頂戴」
「あ、あぁ、悪いね。確かに『拾都』は降伏したさ。僕もこの目で見たのだから」
伊織は、場を取り直すようにぎこちない顔で笑った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「春紅さん、『拾都』の兵器、まだ使えそうだよ」
若い男が、カタカタとパソコンのキーボードを打ちながら、スピーカーモードにしているスマホに話しかけた。
そこは、所謂座敷牢だった。強固な柵に囲まれた内部は、数台のパソコンや資料、2人が寝られる布団まで綺麗に整頓されていて、暗い雰囲気よりもラボのような印象を与えた。
「秋鹿、ちゃんと見つけてくんなんし。わちきも早く戦いたいんす。兵器があれば、九尾など目でないわ」
「あはは、まだ九尾のこと言ってるの?ボクらが本気を出せば今度こそ勝つに決まってるよ。もう同じミスはしないさ」
「じゃあ、わちきは冬儺に作戦を伝えに行きんす」
「えー、そんなのボクが伝えればいいじゃん」
スマホに向かって頰を膨らます秋鹿。
「あんたは表面上は囲われの身でありんす。気をつけなんし」
春紅はそう言って、一方的に通話を切った。
「全く、自分勝手な人だなー。ボクも人のこと言えないけど」
秋鹿はパソコンである画像を拡大して、
「ふふふ、あった、あった。ボクらの探し物。受け取りに行かなきゃーね?」
ニヤニヤと笑う秋鹿のパソコンでは荒い画素数ではあるが、『拾都』でまだ動く監視カメラに映った歩く遺骸の写真が載っていた。
割れた窓からは、晴れているにも関わらず、この場で緊張する全員の心を読んだかのように、少し冷たい風が吹いてくる。
割れた窓の前には二兎、ダイニングテーブルには椅子に座って右腕を差し出した遺骸と、その横に伊織と八舞。
遺骸と向き合うかのように霊七が椅子に座っていた。
「準備はいいか?二兎」
「大丈夫だ」
ピアスを開ける時の様に、薄いゴム手袋を嵌め、ニードルの代わりに注射器を持った霊七の声に『絡繰』を構えた二兎が頷く。
数年前、共に『拾都戦争』を戦った時の様な緊張感が辺りを支配する。
「お願い…します」
少し不安げな遺骸に霊七が安心させる為、声をかけた。
「八舞みたいに上手くないし、ちょっと献血並に採る量多いけど、頑張るから。遺骸ちゃん、痛かったらごめんね」
霊七は、すぅ、と息を吸って、
「じゃ…いくよ」
霊七はテーブルに差し出された遺骸の腕を持った。
瞬間、轟音と共に紫の雷が霊七に落ちた。
「…っがああ…!」
本当の落雷とは違うが、衝撃はほぼ同じ。
命が、無くなるような感覚だ。
歯を食いしばった霊七は崩れ落ちるのを耐え、ニードルよりも細くて弱い注射針を折れないように丁寧に刺す。
また、雷鳴がして、霊七の体に落ちる。
無くなった魂の数を数え、このままだと危険だと判断した霊七は、腹から叫んだ。
「二兎ぉ!」
「承知した!!」
二兎が割れた窓から、素早く外へ身を翻した。
「霊七さん…、ごめんなさい…」
遺骸が、採血の痛みではなく、申し訳なさから苦しそうに呟く。
「大丈夫、二兎を侮っちゃいけないよ。あいつは、強いんだから」
霊七が冷たい汗を身体中にかきながら、遺骸の頭を撫でる。雷雨の時のように、雷鳴が轟く。
何故、雷鳴が鳴り止まないのかというと、霊七が遺骸を安心させるように頭を撫で続けているからだった。
「…霊七!もうダメだ、死ぬぞ!」
普段見せない焦った顔で伊織が叫んだ時だった。
「大丈夫だ!「にと」に任せろ!」
その時、二兎が返り血を浴びた赤い着物で、割れた窓から室内に飛び込んできた。
ガッと顔を動かし、その血を見た霊七の瞳孔が小さくなり、カタカタ揺れ始める。
そして、熱に浮かされたかのように、呟いた。
「『永久保存』…」
血に染まった二兎の着物からまだこの世に未練のある魂が抜け出て、霊七の周りを漂ったかと思うと、霊七のピアス部位に集まった。
本来ならば、二兎は狩った獲物の死骸を持ってくるはずだったが、幼い遺骸の気持ちを考えて(それは幼かった頃の二兎の気持ちだったのかもしれない)、狩るときにわざと返り血を浴び、魂の気持ちをそちらに誘導したのだった。
「…はい、終わり」
刺していた注射針を引き抜き、シール状の絆創膏を貼るのと、失った分の魂を取り込むのは、ほぼ同時。
霊七が亡くした魂は5つ。狩ってきた魂も5つ。
本当にギリギリの戦いだった。
霊七は八舞に採血したパックを渡し、床に座り込む。
「少し、休んだ方がいいわ。伊織、ベットまで霊七を連れて行ける?」
「構わないが、八舞、君も来てくれ。治療が必要なはずだ」
ぐったりした霊七を抱えて、伊織と八舞が部屋から出て行った。
残されたのは、不安げな遺骸と黙ったまま『絡繰』にガチャガチャと毒草を調合する二兎だった。
「…先程は、ありがとうございました」
居心地が悪くなり、遺骸が呟くように礼を言うと、
「礼なら霊七に言え。「にと」は狩りを楽しんだだけだ」
無愛想な声の二兎はガチャン、と毒草を調合し終えた『絡繰』を床に置いた。
「刀…重いんですか?」
昔、武力抗争では銃しか見たことのなかった遺骸は、初めて見た日本刀について恐る恐る二兎に聞いた。
「ならば、お前は自分の腕が重いと思うのか?」
「…え?」
意外な言葉に若干戸惑う遺骸を暗い瞳で見つめながら、
「命を取るものと軽いと感じたら、終わりだ。「にと」の『絡繰』は殺すためのものだ。とても重いと思う。他国では、少年兵が銃を使うそうだ。彼らの武器はとても重いだろう。「にと」には判る。殺したくないものを殺し、狂ってしまう人生というものが」
そこで、言葉を切ると、
「お前も苦しんだのだろう?伊織と『九想典』に任せておけ。九尾様がなんとかしてくれる。…だが」
二兎は、目にも止まらぬ素早さで『絡繰』を抜き、煌々と赤く光る刀身を息を呑んだ遺骸の首にピタリと当てた。それは、幾つも修羅場を潜り抜けた暗殺者の動きだった。
「伊織は渡さない。少しでも色目を使ってみろ。…「にと」は躊躇なく首を刎ねるぞ」
その目は、黒く闇のように深い色をしていた。
「はー、死ぬかと思った…」
先程、遺骸には見せなかった疲れ切った顔で額の汗を拭い、霊七は呟いた。
居間の横にある客室のベットへ霊七は寝かされていた。
「何か、食べたいものはある?」
「煙草」
「…殺されたいようね」
「嘘。水が飲みたい」
八舞は、診察鞄の中から、ミネラルウォーターの瓶を出し、コップに注ぐと、霊七の横に置いた。
「大丈夫?起き上がれるかい?」
伊織は、クッションをいくつか持ってきて、背もたれにして上体を起こしてやった。
「ありがとう」
霊七は、力なく笑うと、コップの水を一気に呷った。
「…美味い」
「まるで、酒呑みね。どうする?点滴する?」
「いい。寝る」
八舞は、せめて寝やすいように、と『細菌確認』で氷枕を作ると霊七の枕に敷いてやった。
「あー…、気持ちいいな、氷枕って」
意識がうつらうつらしてきた霊七はそのまま眠りについた。
「…呼吸音、脈拍、体温、血圧、全て正常ね。…全く、二兎にも注意しとかないと。もう『拾都戦争』は終わったのよ。無茶されると心配になるわ」
「…本当に『拾都戦争』は終わったのかね」
伊織は、ぽつりと呟いた。
「今更、何をいうの。気味が悪いわ。冗談でもやめて頂戴」
「あ、あぁ、悪いね。確かに『拾都』は降伏したさ。僕もこの目で見たのだから」
伊織は、場を取り直すようにぎこちない顔で笑った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「春紅さん、『拾都』の兵器、まだ使えそうだよ」
若い男が、カタカタとパソコンのキーボードを打ちながら、スピーカーモードにしているスマホに話しかけた。
そこは、所謂座敷牢だった。強固な柵に囲まれた内部は、数台のパソコンや資料、2人が寝られる布団まで綺麗に整頓されていて、暗い雰囲気よりもラボのような印象を与えた。
「秋鹿、ちゃんと見つけてくんなんし。わちきも早く戦いたいんす。兵器があれば、九尾など目でないわ」
「あはは、まだ九尾のこと言ってるの?ボクらが本気を出せば今度こそ勝つに決まってるよ。もう同じミスはしないさ」
「じゃあ、わちきは冬儺に作戦を伝えに行きんす」
「えー、そんなのボクが伝えればいいじゃん」
スマホに向かって頰を膨らます秋鹿。
「あんたは表面上は囲われの身でありんす。気をつけなんし」
春紅はそう言って、一方的に通話を切った。
「全く、自分勝手な人だなー。ボクも人のこと言えないけど」
秋鹿はパソコンである画像を拡大して、
「ふふふ、あった、あった。ボクらの探し物。受け取りに行かなきゃーね?」
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