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「いいわけ」
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ラブホテルのトリプルサイズベッドの上に胡座をかいて座り、猛虎は今夜一晩で犯したであろう罪の数を指折り数えていた。
(未成年略取、淫行条例違反、児童虐待、児童ポルノ法・・・は関係無いか? 他には公務執行妨害とか? あれ、国家公務員法って外注にも適応されんのか? )
思い付いた全てを合わせたら懲戒免職では済まされない。
間違いなく牢屋行きである。
(ああ、自分の弱さと愚かさが憎い! )
今、彼が犯した犯罪の被害者である少女は、一眠りした後で元気一杯。
カーテンを全開にしたガラス張りの向こうで、はしゃぎまくっている。
(楽しそうだな・・・ )
レヴィナは始めて体験するシャワーとジャグジー、ついでにシャワートイレにも夢中になって、彼此一時間近くもバスルームに籠って遊びっぱなしだった。ホテル備え付けの入浴剤、シャンプーやボディーソープも使い放題に撒き散らかしてしまっているので、後の掃除が大変そうである。
そんな彼女の無邪気な子供っぽい様子を恨めしそうに眺めながら、
(俺ってヘンタイだったんだな・・・ )
猛虎は大きな溜め息を一つ吐いた。
それにしても、焼き鳥屋の店先で見た泣き顔、夜道を歩きながら猛虎を見上げる潤んだ瞳、右腕に伝わる柔らかな温もり、レヴィナは堪らなく魅力的な大人の女に思えていた。
その不意打ちに猛虎は抗う事が出来なかった。
加えて、突然沸き上がって来てアッと言う間に心の中を埋め尽くしてしまったレヴィナへの強い愛情、まるで懐かしい恋人と再会したかのように胸を熱くする感動、彼女を守る事に対する強い使命感と喜びなど、諸々の想いに突き動かされて猛虎は彼女に従う事にしたのである。
だが、ガラス張りの向こうで素っ裸になってはしゃいでいるレヴィナは、見た目相応、元通りの幼い少女に戻ってしまっている。
今の彼女はどうみても子供であり、猛虎を魅了した大人の女の魅力など何処かへ置き去りにしてしまっている。
もちろん、少女だとしてもレヴィナは綺麗だし、可愛いし、猛虎に向ける一途な感情は未だ不可解ではあるが絶対にそれを手放そうなどとは思わない。一度心に芽生えてしまった愛おしさは、レヴィナが大人の女でなくなっても、少女だろうが熟女だろうが老女だろうが決して消えたりはしない。
だが、泡だらけになって手を振っているレヴィナを見ていると、
(これって、犯罪でしょ? )
もはや、この点を抜きにして現状を語る事はできない猛虎だった。
(いやぁ、堕ちるのは早かったなぁ。)
思わず遠い目をしてしまう。
正常なモラルの中で生きる社会人だった頃が思い出されてならない。
(思い起こせば三時間前、やっぱラブホからかぁ。)
まあ、一番の間違いと言えば、そこなのであるが・・・
約三時間前、猛虎はレヴィナに手を引かれて夜の町を歩き、気がつけば米代市の郊外に連れて来られてしまっていた。
街の灯が遠くなり、人家が疎らになり始めた頃、
「ここが良い。ここに泊まる。」
レヴィナが立ち止まって指差したのは、ピンクを基調にした電飾看板。
猛虎は思わず吹き出してしまった。
「ふっ、ファッションホテル「未来予想図」って、なんじゃそりゃーっ! 」
おそらく、日本の文化を知らないレヴィナは看板の綺麗さや可愛さやお洒落さに魅かれて泊まりたいと言っているに違いない。
彼女は「未来予想図」が連れ込み宿であるなどとは思いもしていないだろう。
そうに決まっている!
(こんなとこ未成年と一緒に泊まったら、それだけで犯罪だって! )
猛虎の「未来予想図」が、塀の中になってしまう。
とにかく、彼女の思い違いを正してやらなければならないと思った。
ラブホテルに泊まらなくても、ここまで来る途中に普通のビジネスホテルを何件か見掛けているので、少し引き返せば健全に夜を過ごせる環境が用意されているはずなのだ。
ところがレヴィナは、どうしてもラブホテルが良いと言い張った。
「ここなら、誰にも見られないし、誰にも知られる心配が無いから。」
部屋に入るまでに誰とも顔を合わせずに済むと言うラブホテルのシステムを知っているかのような発言をし、それが重要なのだと言った。
「ここは隠れ家としては最適。」
何故、隠れ家が必要なのかという問いにレヴィナは相変わらず応えようとしないが、決して異論は認めないという切羽詰まった意思だけはヒシヒシと伝わってきた。
そんな彼女の姿勢については、今更文句を言うつもりも無くなってしまっている猛虎だったが、三十路男が未成年の少女を連れてラブホテルに泊まることに抵抗を感じないはずが無い。
しかも、猛虎はレヴィナに抱いた穏やかならざる感情を自覚してしまっている。
自身の欲望を押さえきれるかどうかに不安を感じるだけではなく、何事も無く一晩過ごせたとしても、そんな想いを抱えて彼女と一緒の部屋に泊まったということだけで十分に疾しさを感じてしまう。
しかし、クシェル人であり、日本の文化と道徳観を知らないレヴィナに猛虎の悩みは全く伝わらない。
ピンク色の看板の下でオロオロしている猛虎の腕を容赦無く掴み、
「こんな所に長く立っていたらダメだよ。」
と、先に立ってホテルのエントランスを抜け、勝手に一番近くにあった空き室を選んで猛虎を強引に押し込んでしまった。
(なんてこった! )
レヴィナの事情と倫理観の板挟みになって動揺しているうちに、鍵を開けて入ってしまった以上直に出るわけにもいかないラブホテルのシステムに捕らえられてしまった。
(いや、こうなったら心構えの問題だ! 誰に何と疑われても疾しさを感じなくて良いように、紳士的でストイックな一夜を過ごせば良いだけ。)
一段階低くなってしまった決心を胸に、居室スペースの大半を占めるトリプルサイズベッドの端に腰掛けた猛虎だったが、レヴィナは当然のようにピッタリと身を寄せて隣に座ってきた。
(この距離がヤバいんだよ。)
押し寄せる誘惑に耐えながら一分ほど、
「どうして泣きそうな顔をしているの? 悲しいの? 」
「ん? 」
レヴィナに言われて、猛虎は居室内の彼方此方に嵌め込まれている卑猥な用途に用いられるべき鏡で自分の顔を見た。別に泣き出しそうな顔というわけではなく、非情に困った顔をしているだけだったのだが、
「猛虎、元気出して。」
理不尽なことに、泣きそうで困った顔になっている元凶に慰められてしまった。
「猛虎、大丈夫だよ。」
レヴィナは何を思ったのかベッドの上で膝立ちになると、猛虎の肩と頭を抱いて自分の胸に顔を埋めさせた。たぶん、彼女は元気の無い猛虎を慰めてあげたかったに違いない。
「ちょ、レヴィナ! それはヤバい! 」
口では慌てているのに行動が伴わなかった。レヴィナに抱かれる柔らかで温かな心地良さを振り払えるほどの強靭な意思は持っていなかった。
(理性! 自制心! 何とか一晩保たせなきゃ! )
既に崖っぷちに立たされている猛虎である。
(そうだ、深呼吸しよ。)
多くの場合、突発的な性欲は深呼吸で気持ちを落ち着かせる事によって解消できる。
まあ、これは中学生ぐらいの男子が良くやる解消法だが、根本的な問題解決には繋がらないし、人生経験を積み重ねた三十路男が実行するのもどうかと思う。
(でも、少し落ち着いた。)
だが、相変わらず猛虎の顔はレヴィナの胸の中にある。
それはとても気持ちの良いことなのだが、こんな調子で一晩何事も無くすごせるかどうか、猛虎の自信は大波のように揺らいでいた。
(ああ、レヴィナも胸の鼓動が早いんだ・・・ )
緊張しているのは猛虎だけではないらしい。
大胆で積極的に見えるレヴィナだが、彼女も軽はずみに猛虎を誘惑している分けではないのだろう。彼女なりに思い詰めて、自分の愛情を伝えようとしているに違いない。
そんなレヴィナを、猛虎は素直な気持ちで可愛いと思ってしまった。
そのまま、言葉を発すること無く、二人は静寂の中で数分を過ごした。
「猛虎? 」
レヴィナが猛虎の髪を優しく撫でながら囁いた。
「うん? 」
軽く返事をして顔を上げると、
(・・・! )
そこに青い瞳が揺れていた。
互いの鼻の先が触れ合い、吐息が掛かるほどにレヴィナは近い。
油断していたと言うべきか、そんなことが起こるとは考えもしていなかったわけで、理性や自制心を準備する間も無かった。
一時停止していた思考が再会された時には、決定的な瞬間は既に通り過ぎていた。
猛虎の唇にはレヴィナの小さな唇の感触が重なっていたのである。
「ん、ふぅ。」
唇を離したレヴィナが可愛らしい吐息を漏らした時、二人のポジションは入れ替わっていて、彼女の小さな身体が猛虎の腕の中にあった。
意表を突かれたとはいえ、結局は何の抵抗もせずにレヴィナの行為を受け入れてしまっていた猛虎だった。
(ああ・・・俺の自制心は? 理性は何処へ? )
レヴィナの金色の髪を優しく撫でながら、自分の弱さに呆れていた。
それでも、キスぐらいならば、これ以上先へ進まなければ、未だ許されるのではないかとの甘い考えがあった。自分は未だ耐えられるのではないかとの愚かな過信もあった。
しかし、
結果から見れば、残念なことに猛虎の意思はそんなに強くはなかったのである。
「こういうことは始めて。」
目を伏せて恥ずかしそうに告白するレヴィナに、猛虎はときめきを感じてしまった。
彼女は人差し指で自分の唇をなぞりながら、終えたばかりのキスの感触を確かめているようだったが、
ふと顔を上げて、
「日本人は皆が口づけということをするの? 」
と、猛虎に聞いた。
「え、クシェルではしないの? 」
レヴィナは頷いた。
「そんな習慣があるなんて知らなかった。だから、少し、驚いた。」
クシェル人だけではなく異世界に於いては男女が唇を合わせるという愛情表現は存在しないという。
「それなら、今はどうして? 」
日本文化の研究をする次いでに知ったのか、日本人の誰かに教わったのか、いずれにしても自らの文化に無い習慣を実行するのは勇気がいることだと思うが、
レヴィナの応えは不思議だった。
「猛虎が、こういうことをしたいと思っていたから・・・してあげたかった。」
「へぇっ? 」
間抜けな声が出た。
「いやいやいやいや! 」
否定しようとしたができない。
図星なのだからできるわけがない。
「どうしたの? 」
ギクシャクしている猛虎を見てレヴィナがポカンとしていた。
「いや、なんて言うか、その、あの、ごめんなさい。」
謝ってしまった。
「どうして謝るの? 」
何だか、猛虎は追い詰められているような気分である。
それにしてもレヴィナに見透かされるとは、よほど物欲しそうな顔をしていたのかもしれない。欲望丸出しの嫌らしい顔をしていたのかもしれない。
キスを知らないレヴィナに願望が伝わってしまうほどの?
いや待て、どれだけ嫌らしい顔をしていたら伝わるというのか?
顔だけで、キスがどのような行為であるかまで伝わるものなのか?
「猛虎は嫌らしい顔なんてしていなかったよ。」
「え? 」
今、猛虎は何も口に出していなかった。
「俺、何か言ったっけ? 」
レヴィナに願望を見透かされたことを心の中で反省していただけだった。
そう、心の中で!
「も、もしかしてさ、レヴィナって、俺の気持ちが分かったりとかするの? 」
恐る恐る聞いてみた猛虎に、レヴィナはあっさりと応える。
「何となくわかる。猛虎の心が伝わってくるもの。」
「な、なんでっ? 」
そんな馬鹿な! と、言い掛けて、ふと思い出したことがある。
情報収集のために多くの「来訪者」を面談した時のことである。
異世界の文化や生活、政治や軍事の中に異能力者の存在が有ると聞いた。「来訪者」集落を訪れた時、怪我や病気を治癒させる呪いとやらも見た。その時は驚いたし、大したものだと思ったが、自分の仕事に関係無いので直に忘れてしまっていた。
昨年の夏以降、浸食やらモンスターやらで、日本人の全てが超常現象に慣れっこになってしまっている。未だに謎の多い異世界の人々だが、彼らの一部に異能力を備えた者がいるとしても、それを全然不思議とは感じなくなってしまっていた。
異世界では、いや新世界では何でも有りだと、誰もが思うようになっていた。
そう言えば、異能力者に関しては日本政府も興味を持って調査をしているとかいう話を聞いたことがあるが、
(レヴィナも異能力者? )
テレパス、精神感応、以心伝心、そういう能力を持っていたなら、猛虎の揺れる理性とか男の下心とか丸聞こえになってしまう。
「そ、そーゆーことなんですかね? 」
猛虎は冷や汗をかいていたが、レヴィナは別に大したこととは思っていないようで、
「考えは分からないけど、心とか気持ちは分かる。」
具体的な思考は分からないが、感情は分かるということらしい。
(ってことは、キスしたがってたってことも分かるに決まってんじゃん! )
猛虎は心の中で絶叫したが、これは伝わるのだろうか?
「でも、猛虎にも私の気持ちと心、伝わっているはず。お互いに心を許した相手なら繋がるはずだから。」
「・・・ん? 」
そう言われて少し考えた。
(思い当たることがあるような? )
焼き鳥屋からラブホテルに移動するまでの間、どうして自分はあんなに物分かりが良かったのだろうか? レヴィナ寄せられる全幅の信頼に違和感を覚えていながら、今では自分もレヴィナに心を許してしまっているのは何故だろうか?
(そういうことなのか? )
気付かぬうちにレヴィナの心が猛虎に伝わって来ていて、それを無意識のうちに理解して、共感して、納得して、受け入れてしまっていたのだろうか?
「私、今、猛虎が思っていることも分かるよ。」
それを言われてドキリとした。
ハッとしてレヴィナの顔を見たら頬が赤く染まっていた。
「な、何が分かったって? い、良いよ。は、ハッキリ言いなよ。」
猛虎の心臓がバクバクと激しい鼓動を打ち始めた。
「う、うん・・・ 」
猛虎の腕に抱かれ、その胸の中に身体を預けていたレヴィナが静かに身を起こした。
「私の心、気持ちも伝わる? 」
上目遣いに猛虎を見るレヴィナの瞳は、これまでで最も艶やかに見えた。大人とか子供とか関係無く、その瞬間、レヴィナは猛虎にとって正しく女そのものだった。
「わ、分かる。」
雰囲気だけではない。猛虎にはレヴィナの意思がハッキリと見えていた。同時に自分の意思もレヴィナに伝わって、それが彼女に受け入れられていることも分かっていた。
猛虎の理性と自制心はガラガラと音を立てて崩れて行った。
キスより先に進まないとか何とか言う決心は何処かへ吹き飛んで行ってしまった。
「未成年じゃないんだよ。」
「それは、もう何度も聞いた。」
「大人なんだから。」
「大人なら、自分で髪とか拭くんじゃねぇの? 」
とても、互いの愛情を確かめ合ったばかりの男女の会話とは思えない。
誰が聞いても、親子か兄妹の会話である。
猛虎は、散々バスルームで遊んだ挙げ句に全身びしょ濡れのままベッドに飛び乗ろうとしたレヴィナを羽交い締めにして押さえ付け、バスタオルで包んで徹底的に水気を拭き取っている真っ最中だった。
「日本とクシェルの暦は違うけれど、一日を二四時間、一年を三六五日に置き換えて計算は可能。私は日本の暦に合わせれば生まれてから二八年以上二九年未満。だから未成年じゃないんだよ。」
レヴィナは長い髪の毛をバスタオルでグシャグシャにされながら、自分の年齢の話を猛虎に納得させようとしていた。
猛虎はレヴィナが嘘をついているとは思っていない。彼女が本当のことを言っているのは、所謂テレパシー、精神感応、以心伝心とかいう奴のおかげでキチンと伝わっている。
だが、そう言う問題ではない。
どんなにレヴィナが自分は二八歳だと言い張っても、お店はビールを出してくれないだろうし、コンビニは酒類や煙草の販売をしてはくれないだろう。
実際の歳ではなく見た目の問題なのだ。
尤もレヴィナの場合、精神年齢は見た目に近い部分も多くあるような気がするが?
取り敢えず、未成年略取、淫行条例違反、児童虐待などで逮捕される心配は無くなったようだが、見た目が十四、五歳の金髪美少女とラブホテルに泊まり、そういうことになってしまったという事実が世間に伝われば、猛虎には烙印が押される。
「ロリコン! 」
「うぎゃーっ! 」
レヴィナに余計な単語を教えてしまった。
彼女は、そのキツい単語を考え無しに口にしてしまう。
それを聞く度に、猛虎の心は悲鳴を上げ、プライドとか、世間体とか、様々なモノが失われていった。
「大丈夫だよ、猛虎。大人同士の恋愛なんだから。」
腰までもある滑らかで美しい金色の髪をドライヤーで乾かしてもらいながら、ラブホテルのメッセージノートに稚拙な落書きをしている者の言うセリフではない。
「ほい、これで乾いたぞ。」
猛虎はドライヤーのスイッチを切って、ベッドに上がる許可を出した。
「ありがとう、猛虎。」
レヴィナは早速ベッドに寝転がるかと思ったら、メッセージノートを放り出して猛虎の首にしがみついて来た。
「ロリコンでも猛虎が好きだよ。」
「その、ロリコンっての止めてもらえます。」
猛虎の心や気持ちが伝わっているのなら、直にでも止めてくれて良いと思うのだが、面白がってわざと口にしているのかもしれない。
「それじゃ、私とはもうしないの? 」
「・・・ 」
レヴィナは猛虎の痛いところをザックリと突いてくる。
はやり、面白がっているようだった。
こんなことは心や気持ちの問題なのだから、猛虎が一々口にしなくてもレヴィナは知っているはずだった。
「私は猛虎としたいよ、大人だから。」
そんなこと、一々口にして言われなくても猛虎にはキッチリ伝わっているのに、わざわざ言葉にされると大人でも照れて動揺してしまう。
「良く言うよ、始めてだったくせに。」
レヴィナが二八歳相応に見られようとして背伸びをしようとしているのも丸わかりだったので、少し意地悪を言いたくなったのだが、
「うん・・・痛かった。」
頬を染めて恥ずかしそうに視線を逸らす恥じらいの仕草は殆ど反則行為だった。
その、あまりの可愛さに胸が締め付けられて心臓が潰れるかと思った。
少女の無邪気さと女の艶かしさ、さらにはその中間の魅力を出したり引っ込めたりして猛虎の心を揺さぶるレヴィナだが、これを意識的に計算してやっているのだとしたら正に小悪魔、小魔女、恐ろしい奴だと思った。
(未成年略取、淫行条例違反、児童虐待、児童ポルノ法・・・は関係無いか? 他には公務執行妨害とか? あれ、国家公務員法って外注にも適応されんのか? )
思い付いた全てを合わせたら懲戒免職では済まされない。
間違いなく牢屋行きである。
(ああ、自分の弱さと愚かさが憎い! )
今、彼が犯した犯罪の被害者である少女は、一眠りした後で元気一杯。
カーテンを全開にしたガラス張りの向こうで、はしゃぎまくっている。
(楽しそうだな・・・ )
レヴィナは始めて体験するシャワーとジャグジー、ついでにシャワートイレにも夢中になって、彼此一時間近くもバスルームに籠って遊びっぱなしだった。ホテル備え付けの入浴剤、シャンプーやボディーソープも使い放題に撒き散らかしてしまっているので、後の掃除が大変そうである。
そんな彼女の無邪気な子供っぽい様子を恨めしそうに眺めながら、
(俺ってヘンタイだったんだな・・・ )
猛虎は大きな溜め息を一つ吐いた。
それにしても、焼き鳥屋の店先で見た泣き顔、夜道を歩きながら猛虎を見上げる潤んだ瞳、右腕に伝わる柔らかな温もり、レヴィナは堪らなく魅力的な大人の女に思えていた。
その不意打ちに猛虎は抗う事が出来なかった。
加えて、突然沸き上がって来てアッと言う間に心の中を埋め尽くしてしまったレヴィナへの強い愛情、まるで懐かしい恋人と再会したかのように胸を熱くする感動、彼女を守る事に対する強い使命感と喜びなど、諸々の想いに突き動かされて猛虎は彼女に従う事にしたのである。
だが、ガラス張りの向こうで素っ裸になってはしゃいでいるレヴィナは、見た目相応、元通りの幼い少女に戻ってしまっている。
今の彼女はどうみても子供であり、猛虎を魅了した大人の女の魅力など何処かへ置き去りにしてしまっている。
もちろん、少女だとしてもレヴィナは綺麗だし、可愛いし、猛虎に向ける一途な感情は未だ不可解ではあるが絶対にそれを手放そうなどとは思わない。一度心に芽生えてしまった愛おしさは、レヴィナが大人の女でなくなっても、少女だろうが熟女だろうが老女だろうが決して消えたりはしない。
だが、泡だらけになって手を振っているレヴィナを見ていると、
(これって、犯罪でしょ? )
もはや、この点を抜きにして現状を語る事はできない猛虎だった。
(いやぁ、堕ちるのは早かったなぁ。)
思わず遠い目をしてしまう。
正常なモラルの中で生きる社会人だった頃が思い出されてならない。
(思い起こせば三時間前、やっぱラブホからかぁ。)
まあ、一番の間違いと言えば、そこなのであるが・・・
約三時間前、猛虎はレヴィナに手を引かれて夜の町を歩き、気がつけば米代市の郊外に連れて来られてしまっていた。
街の灯が遠くなり、人家が疎らになり始めた頃、
「ここが良い。ここに泊まる。」
レヴィナが立ち止まって指差したのは、ピンクを基調にした電飾看板。
猛虎は思わず吹き出してしまった。
「ふっ、ファッションホテル「未来予想図」って、なんじゃそりゃーっ! 」
おそらく、日本の文化を知らないレヴィナは看板の綺麗さや可愛さやお洒落さに魅かれて泊まりたいと言っているに違いない。
彼女は「未来予想図」が連れ込み宿であるなどとは思いもしていないだろう。
そうに決まっている!
(こんなとこ未成年と一緒に泊まったら、それだけで犯罪だって! )
猛虎の「未来予想図」が、塀の中になってしまう。
とにかく、彼女の思い違いを正してやらなければならないと思った。
ラブホテルに泊まらなくても、ここまで来る途中に普通のビジネスホテルを何件か見掛けているので、少し引き返せば健全に夜を過ごせる環境が用意されているはずなのだ。
ところがレヴィナは、どうしてもラブホテルが良いと言い張った。
「ここなら、誰にも見られないし、誰にも知られる心配が無いから。」
部屋に入るまでに誰とも顔を合わせずに済むと言うラブホテルのシステムを知っているかのような発言をし、それが重要なのだと言った。
「ここは隠れ家としては最適。」
何故、隠れ家が必要なのかという問いにレヴィナは相変わらず応えようとしないが、決して異論は認めないという切羽詰まった意思だけはヒシヒシと伝わってきた。
そんな彼女の姿勢については、今更文句を言うつもりも無くなってしまっている猛虎だったが、三十路男が未成年の少女を連れてラブホテルに泊まることに抵抗を感じないはずが無い。
しかも、猛虎はレヴィナに抱いた穏やかならざる感情を自覚してしまっている。
自身の欲望を押さえきれるかどうかに不安を感じるだけではなく、何事も無く一晩過ごせたとしても、そんな想いを抱えて彼女と一緒の部屋に泊まったということだけで十分に疾しさを感じてしまう。
しかし、クシェル人であり、日本の文化と道徳観を知らないレヴィナに猛虎の悩みは全く伝わらない。
ピンク色の看板の下でオロオロしている猛虎の腕を容赦無く掴み、
「こんな所に長く立っていたらダメだよ。」
と、先に立ってホテルのエントランスを抜け、勝手に一番近くにあった空き室を選んで猛虎を強引に押し込んでしまった。
(なんてこった! )
レヴィナの事情と倫理観の板挟みになって動揺しているうちに、鍵を開けて入ってしまった以上直に出るわけにもいかないラブホテルのシステムに捕らえられてしまった。
(いや、こうなったら心構えの問題だ! 誰に何と疑われても疾しさを感じなくて良いように、紳士的でストイックな一夜を過ごせば良いだけ。)
一段階低くなってしまった決心を胸に、居室スペースの大半を占めるトリプルサイズベッドの端に腰掛けた猛虎だったが、レヴィナは当然のようにピッタリと身を寄せて隣に座ってきた。
(この距離がヤバいんだよ。)
押し寄せる誘惑に耐えながら一分ほど、
「どうして泣きそうな顔をしているの? 悲しいの? 」
「ん? 」
レヴィナに言われて、猛虎は居室内の彼方此方に嵌め込まれている卑猥な用途に用いられるべき鏡で自分の顔を見た。別に泣き出しそうな顔というわけではなく、非情に困った顔をしているだけだったのだが、
「猛虎、元気出して。」
理不尽なことに、泣きそうで困った顔になっている元凶に慰められてしまった。
「猛虎、大丈夫だよ。」
レヴィナは何を思ったのかベッドの上で膝立ちになると、猛虎の肩と頭を抱いて自分の胸に顔を埋めさせた。たぶん、彼女は元気の無い猛虎を慰めてあげたかったに違いない。
「ちょ、レヴィナ! それはヤバい! 」
口では慌てているのに行動が伴わなかった。レヴィナに抱かれる柔らかで温かな心地良さを振り払えるほどの強靭な意思は持っていなかった。
(理性! 自制心! 何とか一晩保たせなきゃ! )
既に崖っぷちに立たされている猛虎である。
(そうだ、深呼吸しよ。)
多くの場合、突発的な性欲は深呼吸で気持ちを落ち着かせる事によって解消できる。
まあ、これは中学生ぐらいの男子が良くやる解消法だが、根本的な問題解決には繋がらないし、人生経験を積み重ねた三十路男が実行するのもどうかと思う。
(でも、少し落ち着いた。)
だが、相変わらず猛虎の顔はレヴィナの胸の中にある。
それはとても気持ちの良いことなのだが、こんな調子で一晩何事も無くすごせるかどうか、猛虎の自信は大波のように揺らいでいた。
(ああ、レヴィナも胸の鼓動が早いんだ・・・ )
緊張しているのは猛虎だけではないらしい。
大胆で積極的に見えるレヴィナだが、彼女も軽はずみに猛虎を誘惑している分けではないのだろう。彼女なりに思い詰めて、自分の愛情を伝えようとしているに違いない。
そんなレヴィナを、猛虎は素直な気持ちで可愛いと思ってしまった。
そのまま、言葉を発すること無く、二人は静寂の中で数分を過ごした。
「猛虎? 」
レヴィナが猛虎の髪を優しく撫でながら囁いた。
「うん? 」
軽く返事をして顔を上げると、
(・・・! )
そこに青い瞳が揺れていた。
互いの鼻の先が触れ合い、吐息が掛かるほどにレヴィナは近い。
油断していたと言うべきか、そんなことが起こるとは考えもしていなかったわけで、理性や自制心を準備する間も無かった。
一時停止していた思考が再会された時には、決定的な瞬間は既に通り過ぎていた。
猛虎の唇にはレヴィナの小さな唇の感触が重なっていたのである。
「ん、ふぅ。」
唇を離したレヴィナが可愛らしい吐息を漏らした時、二人のポジションは入れ替わっていて、彼女の小さな身体が猛虎の腕の中にあった。
意表を突かれたとはいえ、結局は何の抵抗もせずにレヴィナの行為を受け入れてしまっていた猛虎だった。
(ああ・・・俺の自制心は? 理性は何処へ? )
レヴィナの金色の髪を優しく撫でながら、自分の弱さに呆れていた。
それでも、キスぐらいならば、これ以上先へ進まなければ、未だ許されるのではないかとの甘い考えがあった。自分は未だ耐えられるのではないかとの愚かな過信もあった。
しかし、
結果から見れば、残念なことに猛虎の意思はそんなに強くはなかったのである。
「こういうことは始めて。」
目を伏せて恥ずかしそうに告白するレヴィナに、猛虎はときめきを感じてしまった。
彼女は人差し指で自分の唇をなぞりながら、終えたばかりのキスの感触を確かめているようだったが、
ふと顔を上げて、
「日本人は皆が口づけということをするの? 」
と、猛虎に聞いた。
「え、クシェルではしないの? 」
レヴィナは頷いた。
「そんな習慣があるなんて知らなかった。だから、少し、驚いた。」
クシェル人だけではなく異世界に於いては男女が唇を合わせるという愛情表現は存在しないという。
「それなら、今はどうして? 」
日本文化の研究をする次いでに知ったのか、日本人の誰かに教わったのか、いずれにしても自らの文化に無い習慣を実行するのは勇気がいることだと思うが、
レヴィナの応えは不思議だった。
「猛虎が、こういうことをしたいと思っていたから・・・してあげたかった。」
「へぇっ? 」
間抜けな声が出た。
「いやいやいやいや! 」
否定しようとしたができない。
図星なのだからできるわけがない。
「どうしたの? 」
ギクシャクしている猛虎を見てレヴィナがポカンとしていた。
「いや、なんて言うか、その、あの、ごめんなさい。」
謝ってしまった。
「どうして謝るの? 」
何だか、猛虎は追い詰められているような気分である。
それにしてもレヴィナに見透かされるとは、よほど物欲しそうな顔をしていたのかもしれない。欲望丸出しの嫌らしい顔をしていたのかもしれない。
キスを知らないレヴィナに願望が伝わってしまうほどの?
いや待て、どれだけ嫌らしい顔をしていたら伝わるというのか?
顔だけで、キスがどのような行為であるかまで伝わるものなのか?
「猛虎は嫌らしい顔なんてしていなかったよ。」
「え? 」
今、猛虎は何も口に出していなかった。
「俺、何か言ったっけ? 」
レヴィナに願望を見透かされたことを心の中で反省していただけだった。
そう、心の中で!
「も、もしかしてさ、レヴィナって、俺の気持ちが分かったりとかするの? 」
恐る恐る聞いてみた猛虎に、レヴィナはあっさりと応える。
「何となくわかる。猛虎の心が伝わってくるもの。」
「な、なんでっ? 」
そんな馬鹿な! と、言い掛けて、ふと思い出したことがある。
情報収集のために多くの「来訪者」を面談した時のことである。
異世界の文化や生活、政治や軍事の中に異能力者の存在が有ると聞いた。「来訪者」集落を訪れた時、怪我や病気を治癒させる呪いとやらも見た。その時は驚いたし、大したものだと思ったが、自分の仕事に関係無いので直に忘れてしまっていた。
昨年の夏以降、浸食やらモンスターやらで、日本人の全てが超常現象に慣れっこになってしまっている。未だに謎の多い異世界の人々だが、彼らの一部に異能力を備えた者がいるとしても、それを全然不思議とは感じなくなってしまっていた。
異世界では、いや新世界では何でも有りだと、誰もが思うようになっていた。
そう言えば、異能力者に関しては日本政府も興味を持って調査をしているとかいう話を聞いたことがあるが、
(レヴィナも異能力者? )
テレパス、精神感応、以心伝心、そういう能力を持っていたなら、猛虎の揺れる理性とか男の下心とか丸聞こえになってしまう。
「そ、そーゆーことなんですかね? 」
猛虎は冷や汗をかいていたが、レヴィナは別に大したこととは思っていないようで、
「考えは分からないけど、心とか気持ちは分かる。」
具体的な思考は分からないが、感情は分かるということらしい。
(ってことは、キスしたがってたってことも分かるに決まってんじゃん! )
猛虎は心の中で絶叫したが、これは伝わるのだろうか?
「でも、猛虎にも私の気持ちと心、伝わっているはず。お互いに心を許した相手なら繋がるはずだから。」
「・・・ん? 」
そう言われて少し考えた。
(思い当たることがあるような? )
焼き鳥屋からラブホテルに移動するまでの間、どうして自分はあんなに物分かりが良かったのだろうか? レヴィナ寄せられる全幅の信頼に違和感を覚えていながら、今では自分もレヴィナに心を許してしまっているのは何故だろうか?
(そういうことなのか? )
気付かぬうちにレヴィナの心が猛虎に伝わって来ていて、それを無意識のうちに理解して、共感して、納得して、受け入れてしまっていたのだろうか?
「私、今、猛虎が思っていることも分かるよ。」
それを言われてドキリとした。
ハッとしてレヴィナの顔を見たら頬が赤く染まっていた。
「な、何が分かったって? い、良いよ。は、ハッキリ言いなよ。」
猛虎の心臓がバクバクと激しい鼓動を打ち始めた。
「う、うん・・・ 」
猛虎の腕に抱かれ、その胸の中に身体を預けていたレヴィナが静かに身を起こした。
「私の心、気持ちも伝わる? 」
上目遣いに猛虎を見るレヴィナの瞳は、これまでで最も艶やかに見えた。大人とか子供とか関係無く、その瞬間、レヴィナは猛虎にとって正しく女そのものだった。
「わ、分かる。」
雰囲気だけではない。猛虎にはレヴィナの意思がハッキリと見えていた。同時に自分の意思もレヴィナに伝わって、それが彼女に受け入れられていることも分かっていた。
猛虎の理性と自制心はガラガラと音を立てて崩れて行った。
キスより先に進まないとか何とか言う決心は何処かへ吹き飛んで行ってしまった。
「未成年じゃないんだよ。」
「それは、もう何度も聞いた。」
「大人なんだから。」
「大人なら、自分で髪とか拭くんじゃねぇの? 」
とても、互いの愛情を確かめ合ったばかりの男女の会話とは思えない。
誰が聞いても、親子か兄妹の会話である。
猛虎は、散々バスルームで遊んだ挙げ句に全身びしょ濡れのままベッドに飛び乗ろうとしたレヴィナを羽交い締めにして押さえ付け、バスタオルで包んで徹底的に水気を拭き取っている真っ最中だった。
「日本とクシェルの暦は違うけれど、一日を二四時間、一年を三六五日に置き換えて計算は可能。私は日本の暦に合わせれば生まれてから二八年以上二九年未満。だから未成年じゃないんだよ。」
レヴィナは長い髪の毛をバスタオルでグシャグシャにされながら、自分の年齢の話を猛虎に納得させようとしていた。
猛虎はレヴィナが嘘をついているとは思っていない。彼女が本当のことを言っているのは、所謂テレパシー、精神感応、以心伝心とかいう奴のおかげでキチンと伝わっている。
だが、そう言う問題ではない。
どんなにレヴィナが自分は二八歳だと言い張っても、お店はビールを出してくれないだろうし、コンビニは酒類や煙草の販売をしてはくれないだろう。
実際の歳ではなく見た目の問題なのだ。
尤もレヴィナの場合、精神年齢は見た目に近い部分も多くあるような気がするが?
取り敢えず、未成年略取、淫行条例違反、児童虐待などで逮捕される心配は無くなったようだが、見た目が十四、五歳の金髪美少女とラブホテルに泊まり、そういうことになってしまったという事実が世間に伝われば、猛虎には烙印が押される。
「ロリコン! 」
「うぎゃーっ! 」
レヴィナに余計な単語を教えてしまった。
彼女は、そのキツい単語を考え無しに口にしてしまう。
それを聞く度に、猛虎の心は悲鳴を上げ、プライドとか、世間体とか、様々なモノが失われていった。
「大丈夫だよ、猛虎。大人同士の恋愛なんだから。」
腰までもある滑らかで美しい金色の髪をドライヤーで乾かしてもらいながら、ラブホテルのメッセージノートに稚拙な落書きをしている者の言うセリフではない。
「ほい、これで乾いたぞ。」
猛虎はドライヤーのスイッチを切って、ベッドに上がる許可を出した。
「ありがとう、猛虎。」
レヴィナは早速ベッドに寝転がるかと思ったら、メッセージノートを放り出して猛虎の首にしがみついて来た。
「ロリコンでも猛虎が好きだよ。」
「その、ロリコンっての止めてもらえます。」
猛虎の心や気持ちが伝わっているのなら、直にでも止めてくれて良いと思うのだが、面白がってわざと口にしているのかもしれない。
「それじゃ、私とはもうしないの? 」
「・・・ 」
レヴィナは猛虎の痛いところをザックリと突いてくる。
はやり、面白がっているようだった。
こんなことは心や気持ちの問題なのだから、猛虎が一々口にしなくてもレヴィナは知っているはずだった。
「私は猛虎としたいよ、大人だから。」
そんなこと、一々口にして言われなくても猛虎にはキッチリ伝わっているのに、わざわざ言葉にされると大人でも照れて動揺してしまう。
「良く言うよ、始めてだったくせに。」
レヴィナが二八歳相応に見られようとして背伸びをしようとしているのも丸わかりだったので、少し意地悪を言いたくなったのだが、
「うん・・・痛かった。」
頬を染めて恥ずかしそうに視線を逸らす恥じらいの仕草は殆ど反則行為だった。
その、あまりの可愛さに胸が締め付けられて心臓が潰れるかと思った。
少女の無邪気さと女の艶かしさ、さらにはその中間の魅力を出したり引っ込めたりして猛虎の心を揺さぶるレヴィナだが、これを意識的に計算してやっているのだとしたら正に小悪魔、小魔女、恐ろしい奴だと思った。
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