この夏の終わりに君を彩る

37se

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「太陽と花火ちゃん遅いね」

 約束の海の家の前で、立夏と清涼は彼らを待っていた。

「約束の時間はとっくに過ぎてるんだけどな」

 打ち上げ花火は既に始まっていて、いくつもの花火が打ち上がっては消えていた。

「やっぱりさ、さっきの太陽達だったのかな?」

「いや、俺は見てないから分からなかった」

「そうだよね。分からないよね」

 立夏は不安気な表情を浮かべながら打ち上げ花火を見ていた。

「私ちょっと太陽の家に行ってみる」

「え? ちょっと、今日の夏祭りはどうするんだよ?」

「みんな一緒じゃないと意味ないでしょ。じゃないと明日の話もできないし、花火は太陽の家のベランダからでも見れるしね」

 立夏がそう言うと、清涼は俯いてしまった。

「そうだよな。立夏は、太陽がいた方がいいんだもんな」

 清涼が蚊の鳴くような声で呟くと、立夏は頬を赤らめながら「うん」と頷いた。

「だってしょうがないじゃん。好きなんだからさ」

「そっか……そうだよな。じゃあ、太陽の家まで行くか」

 左右の人差し指をくっつけながら、立夏は瞳を泳がせていた。そんな彼女の様子を清涼は乾いた笑顔で見つめている。

「明日のライブ。絶対成功させようね」

 立夏の元気な声が、夏の夜の下、響き渡った。
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