恋の続きは未定。

海津渚

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4.1

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・津田煌成
 撮影が始まった。本当はもう少し経ってから行う予定だったが、撮影後に行う編集、そして俺の大会を考慮して早めに行うこととなった。
 今日は朝の撮影と放課後の撮影。
 いつもの一時間早く登校して撮影を行うことになった。重い瞼をこすり、自分のクラスへ向かう。
 もうすでにみんな揃っていた。
「ではさっそく始めましょう。教室シーン行きます!」
 導入のシーン。○○と△△が同じクラス、始業式、隣の席になって出会うところだ。

 グラウンドでは野球部のランニングの掛け声が聞こえる。
 ガラガラっと教室のドアを開けて中へ入る。
 中には安藤さん1人。一生懸命に机の上に置かれている書類を書いている。
「おはよう。」
「あ、おはよう!えっと○○って言います!お願いします!」
「俺は△△。よろしく。」
 小説担当の人が自分の性格に合わせてセリフや動きを考えてくれたことで無理にキャラを作る必要がなかった。それに安藤さんの表情を見ていると自然と頬の力が抜ける。

 ほぼ撮り直すこともなく、順調に進んでいく。
 学校が終わった後には最初の展開のシーンも撮ることになった。
 □□に相手にされない○○に対して△△が話しかけるシーンだ。

「では行きます!」
 俺は深呼吸する。
「なぁ、□□のことなんで好きなん?」
「えっ、なんで…」
「あいつよりもっと良い人いるし…俺とか。」
 俺にはこんな自分に自信があるようなセリフは絶対現実では言えない…。恥ずかしすぎる。

 撮影が終わり、ぼーっとしていると安藤さんが冷えたジュースを俺の頬に当て、
「おつかれさま!津田くん、かっこよかった!」
と笑顔で言ってきた。
 かっこいいか…そんな言葉を同級生に言われるなんてまたしも初めてのことだった。
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