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第二章
N2
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王子様からは、夜に呼び出されなくなった。
新婚と呼ばれる期間は放っておくつもりなのか、それともずっと放っておくつもりなのか。私を「伯爵夫人」という地位に埋没させて括り付け、それで全てを終わらせる気なのか。何を考えているのかは私には分からない。
そして毎夜、欲望のままにランディを抱いていたら「たまには抱かせろ」と強い申し入れがあった。なので大人しく受け入れてみた。
「……少しは、こう、演技などしてくれてもいいと思うんだがな」
事後、ランディがそんなことを呟いた。
「えっ……じゃあ今度はそうしましょうか? でもそんなあからさまな演技をされるのも萎えませんか」
「……あからさまにどうでもよさそうにされるよりはいい」
「だって……私、あなたを抱くのが好きなんですよ、抱かれたって、ああ、入ってきたな、と……特段の感銘も無い」
「感銘まで受けてくれなくていい、普通に、適度に、ある程度の……」
「そうですか。……いえ、ランディが下手とかではなくて、むしろ上手い方では? 私の性的嗜好の問題なので仕方ないですよ。……妻は私になってしまいましたが、どこかの可愛いお嬢さんでも愛人にして、そちら方面の欲求はそちらで処理して下さると嬉しいです」
「愛人を勧める妻かあー……」
ランディがつまらなさそうにゴロンと寝返りを打った。こちらに背を向ける。
「何です。執着して四六時中監視をつけてあなたは私のものなんですよ!! って爛々としてるのがいいのです?」
「それはそれで面倒だなあ。……だが、おまえがそうなるのならちょっと面白い」
「そうですか? じゃあ、愛人を勧めたのは取り消しで、どこかで遊んで来たらその度にお仕置きしますね」
「お仕置きって」
「これをよその女……か男かはともかく、に使ったんですね? って尿道に棒突っ込んで栓しましょう」
「えっ。すごく怖い。え」
「そのままめちゃくちゃに抱きますね。いけなくて頭おかしくなって下さい」
「えっ!」
声と共に、ランディがこちらを向いた。
なので私は微笑みかけた。
「楽しそう」
「楽しくない!」
「私は楽しそうです。白目剥いてるランディなんて想像しただけでいきそう」
「そんなのでいけるおまえが嫌でたまらない」
「まあ、確かにちょっと可哀想ですね……」
頷きながら、そういえば意外と王子様の尿道は責めたことがなかったと思った。
王子様に対して、何をしても可哀想だと感じることは無かった。もっと酷いことをしても良かったし、しなかったのは単に思いつかなかっただけだ。
「言っておくが、俺に被虐趣味は無いからな」
「そうだろうとは思っています」
「白目剥くようなことをしたら、次の日口を利かないからな」
「何ですかその言いようは。かわいい。……ベッドに引きずり込んで、口を利かざるを得なくなるくらい責め立てたくなるじゃないですか……」
「……おまえ怖い。……『妻』と話している気がしないぞ……」
「殿下に言われるがままにこんなのと結婚するあなたがいけないのです」
きっぱりと言って差し上げると、ランディが情けない顔をした。
「えぇ……」
「……浮気しない限り酷いことは致しませんよ、愛しの旦那様」
「さっきまで愛人を勧めていた口がそう言うのか」
「はい。ランディの言いようが可愛いので気が変わりました」
「……俺のせいだと」
「そうです。……ひとえに、あなたが可愛いからいけないのです」
「俺はこんなに可愛いと連呼されたのは初めてだ」
「あなたの可愛さが分からないなんて、皆の目は節穴もいいところです」
「むしろ節穴でいい」
「かわいい」
「えっ。脈絡ないな」
ランディはすっかり呆れた感じになって私を見ている。
「じゃあ、ベッドに這って下さい」
「本当に脈絡ないな……」
ランディはぶつくさ言いながらも、四つん這いになってお尻をこちらに向けてくれた。実際もう色々と諦め切ってはいるのだと思う。
「上体をべたっと這わせて、お尻だけ上げて脚開いて下さいね」
ランディは無言でその体勢を取ってくれた。大変卑猥だった。
「ありがとうございます」
「……俺は、自分がこんな姿を晒す日が来るとは思っていなかった」
「そうですか。来ちゃってますね。エロいですね」
最近私に使い込まれて、幾らかいやらしい形状になりつつある肛門に潤滑油を垂らす。
そしてそれなりに伸縮の良くなった肉穴に指を二本挿し込む。
「んっ」
ランディが小さく喘いだ。
肛門に深く入れた指先で、前立腺の裏側の隆起をマッサージしつつ、もう一方の手で会陰を撫でる。
「あ、は、……」
ランディの腰が震える。
「アナル、すっかり柔らかくなりましたね。最初は拡げるの大変でしたけど」
「ううっ……おま、えの、せいだ……っ」
「そうですね」
垂れる先走りを眺めつつ、陰嚢を揉む。
「ふ、っ……んっ……は」
ランディが呼吸を乱しながら、シーツを握り締めている。
縁を膨らませた穴はすっかり口を弛め、指が動く度ににちゃにちゃと音を立てていた。
いかせる前に指を引き、縁に引っ掛けて拡げてみた。勿論王子様ほどえげつない有様にはならないが、中が覗けるくらいには開く。
濡れたピンク色の粘膜をしげしげと眺めていると、首を捩じってこちらの様子を確認したランディに怒られた。
「っ、俺の、直腸内を、凝視するな……っ、おまえは、もうっ、どこまで、俺に恥ずかしい思いをさせれば、気が済む……!?」
「そうですね……果てしなく恥ずかしがらせたくはありますね」
折角なので、中に舌を入れて粘膜を舐めた。
「ひっ! やめっ……や、それ、やめろ、あっ」
ランディが騒ぎながら身悶える。
背側の腸壁をペロッと舐め上げてから舌を抜き、拡げていた指をも外した。
「今度もっと本気で舐めて差し上げますね」
「い、いらな……」
掠れた拒絶の声が聞こえたが、本心ではないと勝手に決めつけつつ話を続ける。
「今日はもう入れたくなっちゃったので」
自分の勃起した代物を掴み、先走りでぬるぬるの先端を肛門に押し当てる。すると穴が開くのを感じた。ランディが腹に力を入れたのだろう。
「色々文句を言いながらも、ちゃんと協力的なところ好きですよ」
そう言いつつ、ずぶっと挿入する。一気に。
「うあぁ……!」
ランディが悲鳴を上げた。体勢的に見えないが、これは射精したろう。奥まで思い切り捻じ込んである。
「ぅ、ひっ……ぁ、は……」
か細く喘ぐ声を聞きつつ、汗に濡れた背が揺れるのを見下ろす。
「動きますね」
「待……っ」
制止は聞こえないふりをし、太いものをずぼずぼと腸に抜き挿しする。
「ひ、んッ、あッ、あッ……!」
ランディは裏返った声で、ほぼ悲鳴の嬌声を上げる。
その腰を強く掴みながら、これは跡がつきそうだな……と、食い込む指を見た。
強弱もつけずにひたすら奥を突き上げ、ランディの切羽詰まった声を聞ききつつ、男は頑丈で助かる、と酷いことを思いもする。私もそれなりに頑丈ではあるが、乳房などの脂肪部位は強度が低い気がする。
「あぁっ、……っ、あ、あッ、ま、また、いく……ッ」
ランディが泣き声で言う。
「どうぞ」
ぐりっと入るところまで捻じ込む。
「ひぃッ」
びくん、とランディの体が揺れた。多分出した。
それからペニスをずるりと引くと、「あぁぁぁ」と長く引きずるような声を漏らした。押し込むと、「あう」と鳴く。
はぁっ、はぁっ、と苦しげに荒い息をつきながら、「は、はやく……いけ、俺、も、無理……」と訴えられる。
仕方ないので、出す為にペースを速めて擦った。
「あッ、あぁ、だか、らってっ……それ、だめ、ああっ、あっ、あっ」
細切れの悲鳴をたっぷり聞いてから射精した。
新婚と呼ばれる期間は放っておくつもりなのか、それともずっと放っておくつもりなのか。私を「伯爵夫人」という地位に埋没させて括り付け、それで全てを終わらせる気なのか。何を考えているのかは私には分からない。
そして毎夜、欲望のままにランディを抱いていたら「たまには抱かせろ」と強い申し入れがあった。なので大人しく受け入れてみた。
「……少しは、こう、演技などしてくれてもいいと思うんだがな」
事後、ランディがそんなことを呟いた。
「えっ……じゃあ今度はそうしましょうか? でもそんなあからさまな演技をされるのも萎えませんか」
「……あからさまにどうでもよさそうにされるよりはいい」
「だって……私、あなたを抱くのが好きなんですよ、抱かれたって、ああ、入ってきたな、と……特段の感銘も無い」
「感銘まで受けてくれなくていい、普通に、適度に、ある程度の……」
「そうですか。……いえ、ランディが下手とかではなくて、むしろ上手い方では? 私の性的嗜好の問題なので仕方ないですよ。……妻は私になってしまいましたが、どこかの可愛いお嬢さんでも愛人にして、そちら方面の欲求はそちらで処理して下さると嬉しいです」
「愛人を勧める妻かあー……」
ランディがつまらなさそうにゴロンと寝返りを打った。こちらに背を向ける。
「何です。執着して四六時中監視をつけてあなたは私のものなんですよ!! って爛々としてるのがいいのです?」
「それはそれで面倒だなあ。……だが、おまえがそうなるのならちょっと面白い」
「そうですか? じゃあ、愛人を勧めたのは取り消しで、どこかで遊んで来たらその度にお仕置きしますね」
「お仕置きって」
「これをよその女……か男かはともかく、に使ったんですね? って尿道に棒突っ込んで栓しましょう」
「えっ。すごく怖い。え」
「そのままめちゃくちゃに抱きますね。いけなくて頭おかしくなって下さい」
「えっ!」
声と共に、ランディがこちらを向いた。
なので私は微笑みかけた。
「楽しそう」
「楽しくない!」
「私は楽しそうです。白目剥いてるランディなんて想像しただけでいきそう」
「そんなのでいけるおまえが嫌でたまらない」
「まあ、確かにちょっと可哀想ですね……」
頷きながら、そういえば意外と王子様の尿道は責めたことがなかったと思った。
王子様に対して、何をしても可哀想だと感じることは無かった。もっと酷いことをしても良かったし、しなかったのは単に思いつかなかっただけだ。
「言っておくが、俺に被虐趣味は無いからな」
「そうだろうとは思っています」
「白目剥くようなことをしたら、次の日口を利かないからな」
「何ですかその言いようは。かわいい。……ベッドに引きずり込んで、口を利かざるを得なくなるくらい責め立てたくなるじゃないですか……」
「……おまえ怖い。……『妻』と話している気がしないぞ……」
「殿下に言われるがままにこんなのと結婚するあなたがいけないのです」
きっぱりと言って差し上げると、ランディが情けない顔をした。
「えぇ……」
「……浮気しない限り酷いことは致しませんよ、愛しの旦那様」
「さっきまで愛人を勧めていた口がそう言うのか」
「はい。ランディの言いようが可愛いので気が変わりました」
「……俺のせいだと」
「そうです。……ひとえに、あなたが可愛いからいけないのです」
「俺はこんなに可愛いと連呼されたのは初めてだ」
「あなたの可愛さが分からないなんて、皆の目は節穴もいいところです」
「むしろ節穴でいい」
「かわいい」
「えっ。脈絡ないな」
ランディはすっかり呆れた感じになって私を見ている。
「じゃあ、ベッドに這って下さい」
「本当に脈絡ないな……」
ランディはぶつくさ言いながらも、四つん這いになってお尻をこちらに向けてくれた。実際もう色々と諦め切ってはいるのだと思う。
「上体をべたっと這わせて、お尻だけ上げて脚開いて下さいね」
ランディは無言でその体勢を取ってくれた。大変卑猥だった。
「ありがとうございます」
「……俺は、自分がこんな姿を晒す日が来るとは思っていなかった」
「そうですか。来ちゃってますね。エロいですね」
最近私に使い込まれて、幾らかいやらしい形状になりつつある肛門に潤滑油を垂らす。
そしてそれなりに伸縮の良くなった肉穴に指を二本挿し込む。
「んっ」
ランディが小さく喘いだ。
肛門に深く入れた指先で、前立腺の裏側の隆起をマッサージしつつ、もう一方の手で会陰を撫でる。
「あ、は、……」
ランディの腰が震える。
「アナル、すっかり柔らかくなりましたね。最初は拡げるの大変でしたけど」
「ううっ……おま、えの、せいだ……っ」
「そうですね」
垂れる先走りを眺めつつ、陰嚢を揉む。
「ふ、っ……んっ……は」
ランディが呼吸を乱しながら、シーツを握り締めている。
縁を膨らませた穴はすっかり口を弛め、指が動く度ににちゃにちゃと音を立てていた。
いかせる前に指を引き、縁に引っ掛けて拡げてみた。勿論王子様ほどえげつない有様にはならないが、中が覗けるくらいには開く。
濡れたピンク色の粘膜をしげしげと眺めていると、首を捩じってこちらの様子を確認したランディに怒られた。
「っ、俺の、直腸内を、凝視するな……っ、おまえは、もうっ、どこまで、俺に恥ずかしい思いをさせれば、気が済む……!?」
「そうですね……果てしなく恥ずかしがらせたくはありますね」
折角なので、中に舌を入れて粘膜を舐めた。
「ひっ! やめっ……や、それ、やめろ、あっ」
ランディが騒ぎながら身悶える。
背側の腸壁をペロッと舐め上げてから舌を抜き、拡げていた指をも外した。
「今度もっと本気で舐めて差し上げますね」
「い、いらな……」
掠れた拒絶の声が聞こえたが、本心ではないと勝手に決めつけつつ話を続ける。
「今日はもう入れたくなっちゃったので」
自分の勃起した代物を掴み、先走りでぬるぬるの先端を肛門に押し当てる。すると穴が開くのを感じた。ランディが腹に力を入れたのだろう。
「色々文句を言いながらも、ちゃんと協力的なところ好きですよ」
そう言いつつ、ずぶっと挿入する。一気に。
「うあぁ……!」
ランディが悲鳴を上げた。体勢的に見えないが、これは射精したろう。奥まで思い切り捻じ込んである。
「ぅ、ひっ……ぁ、は……」
か細く喘ぐ声を聞きつつ、汗に濡れた背が揺れるのを見下ろす。
「動きますね」
「待……っ」
制止は聞こえないふりをし、太いものをずぼずぼと腸に抜き挿しする。
「ひ、んッ、あッ、あッ……!」
ランディは裏返った声で、ほぼ悲鳴の嬌声を上げる。
その腰を強く掴みながら、これは跡がつきそうだな……と、食い込む指を見た。
強弱もつけずにひたすら奥を突き上げ、ランディの切羽詰まった声を聞ききつつ、男は頑丈で助かる、と酷いことを思いもする。私もそれなりに頑丈ではあるが、乳房などの脂肪部位は強度が低い気がする。
「あぁっ、……っ、あ、あッ、ま、また、いく……ッ」
ランディが泣き声で言う。
「どうぞ」
ぐりっと入るところまで捻じ込む。
「ひぃッ」
びくん、とランディの体が揺れた。多分出した。
それからペニスをずるりと引くと、「あぁぁぁ」と長く引きずるような声を漏らした。押し込むと、「あう」と鳴く。
はぁっ、はぁっ、と苦しげに荒い息をつきながら、「は、はやく……いけ、俺、も、無理……」と訴えられる。
仕方ないので、出す為にペースを速めて擦った。
「あッ、あぁ、だか、らってっ……それ、だめ、ああっ、あっ、あっ」
細切れの悲鳴をたっぷり聞いてから射精した。
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