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よにんのかえりみち
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ある地方の都市にひとつの高校がありました。
この高校は男女共学で、半数の生徒は近くの鉄道
の駅まで歩いて下校していました。
*****
そんな生徒たちの中に男二人、女二人の合わせ
て四人の仲良しグループがありました。この四人
も駅までの道を歩いて下校していたのです。四人
とも高校2年生で、背の高い男子は高田、小柄で
小太りな男子は太井、ちょっと美人な女子はラム
おとなしそうな女子は梅子でした。
*****
ある秋の日、四人はいつも通り学校から駅まで
の道を歩いていました。ちょうど、小川沿いの土
手の道に来たときです。高田がこんなことを言い
ました。
高田「おい。今からジャンケンして負けた奴がみ
んなのカバンを持つっていうのはどうだ」
太井「僕はイヤだな。ジャンケンって遅出しする
奴がいて公平じゃないもん」
高田「なんだよ。俺が遅出しするっていうのか」
そう言って高田は太井の頭をコツンと叩きまし
た。すると、ラムが声を上げました。
ラム「ちょっとお。高田くん。何もなぐることな
いでしょう!」
高田「なぐってないよ。軽く叩いただけさ」
ラム「いいえ。なぐってました。そうよね、梅子
ちゃん」
梅子「え~と、私にはわからないわ」
*****
それから五日後。ここはあの学校から駅に続く
土手道です。例のグループは四人から三人に減っ
ていました。
ラム「あーあ。太井くん、もう一緒に帰るのやめ
ちゃったじゃん。高田くんが暴力を振るう
からよ」
高田「俺は何にも悪くないよ。梅子ちゃんもそう
思うよな」
梅子「え~と、私にはわからないわ。」
ラム「梅子ちゃんも太井くんがかわいそうだと思
うわよね」
高田「おい、ラム。おまえ、やけに太井の肩を持
つじゃん。太井のこと、好きなのか?」
ラム「ばっかみたい。すぐそういう発想するんだ
から。本当に下品ね」
*****
それから三日後。グループはまた一人減って、
二人だけになっていました。
ラム「乱暴者がいなくなってスッキリしたわ。こ
れからは二人で仲良くやろうね」
梅子「あっ、うん」
うつむく梅子の肩にラムが手を置きました。
ラム「梅子ちゃんはどうして自分の意見を言わな
いの?」
梅子「私、中学の時、ちょっといじめられていた
んだ。遠足の時なんかグループに入れず、
いつも一人で。だから、自分が何か言って
友達をなくすのがすごく不安なの」
ラム「ふ~ん。そうだったんだ」
梅子「だから、なんでもハキハキ言えるラムちゃ
んがうらやましくて。でもね、私、本当は高田
くんと太井くんが離れていったのは良くないと
思ってるんだ」
ラム「梅子ちゃんが自分の意見を言ったの初めて
だね」
梅子「あっ、ごめんなさい。気を悪くした?」
ラム「そんなことないよ。逆に私は何でもズケズ
ケ言う性格だからさ、直さなきゃいけないんだ
けど、これが直らないんだよね。エヘヘ」
梅子「ウフフ」
ラム「アハハ」
*****
それから一週間後。梅子は風邪で三日ほど学校
を休んでいました。ここは梅子の家の玄関です。
ラム「ごめんくださーい」
やがて、パジャマに上着をはおった梅子が出て
きました。
梅子「あっ、ラムちゃん。それに高田くんと太井
くんも来てくれたの?」
高田「修学旅行のプリントが配られたから届けに
来たんだ」
太井「別にラムちゃん一人でもいいのにさ、ラム
ちゃんがどうしても3人で行こうって言っ
てさ。それで、風邪の方はどうなの?」
梅子「うん。明日は学校にいけるよ。みんな、あ
りがとう」
高田「修学旅行の班行動はこの四人でやろうぜ」
太井「うん。京都の旅は歴史が得意な梅子ちゃん
がいると助かるもんな」
高田「おう、色々教えてもらおうぜ」
ラム「お願いよ、梅子ちゃん」
梅子「うん。まかせといて」
(完結)
この高校は男女共学で、半数の生徒は近くの鉄道
の駅まで歩いて下校していました。
*****
そんな生徒たちの中に男二人、女二人の合わせ
て四人の仲良しグループがありました。この四人
も駅までの道を歩いて下校していたのです。四人
とも高校2年生で、背の高い男子は高田、小柄で
小太りな男子は太井、ちょっと美人な女子はラム
おとなしそうな女子は梅子でした。
*****
ある秋の日、四人はいつも通り学校から駅まで
の道を歩いていました。ちょうど、小川沿いの土
手の道に来たときです。高田がこんなことを言い
ました。
高田「おい。今からジャンケンして負けた奴がみ
んなのカバンを持つっていうのはどうだ」
太井「僕はイヤだな。ジャンケンって遅出しする
奴がいて公平じゃないもん」
高田「なんだよ。俺が遅出しするっていうのか」
そう言って高田は太井の頭をコツンと叩きまし
た。すると、ラムが声を上げました。
ラム「ちょっとお。高田くん。何もなぐることな
いでしょう!」
高田「なぐってないよ。軽く叩いただけさ」
ラム「いいえ。なぐってました。そうよね、梅子
ちゃん」
梅子「え~と、私にはわからないわ」
*****
それから五日後。ここはあの学校から駅に続く
土手道です。例のグループは四人から三人に減っ
ていました。
ラム「あーあ。太井くん、もう一緒に帰るのやめ
ちゃったじゃん。高田くんが暴力を振るう
からよ」
高田「俺は何にも悪くないよ。梅子ちゃんもそう
思うよな」
梅子「え~と、私にはわからないわ。」
ラム「梅子ちゃんも太井くんがかわいそうだと思
うわよね」
高田「おい、ラム。おまえ、やけに太井の肩を持
つじゃん。太井のこと、好きなのか?」
ラム「ばっかみたい。すぐそういう発想するんだ
から。本当に下品ね」
*****
それから三日後。グループはまた一人減って、
二人だけになっていました。
ラム「乱暴者がいなくなってスッキリしたわ。こ
れからは二人で仲良くやろうね」
梅子「あっ、うん」
うつむく梅子の肩にラムが手を置きました。
ラム「梅子ちゃんはどうして自分の意見を言わな
いの?」
梅子「私、中学の時、ちょっといじめられていた
んだ。遠足の時なんかグループに入れず、
いつも一人で。だから、自分が何か言って
友達をなくすのがすごく不安なの」
ラム「ふ~ん。そうだったんだ」
梅子「だから、なんでもハキハキ言えるラムちゃ
んがうらやましくて。でもね、私、本当は高田
くんと太井くんが離れていったのは良くないと
思ってるんだ」
ラム「梅子ちゃんが自分の意見を言ったの初めて
だね」
梅子「あっ、ごめんなさい。気を悪くした?」
ラム「そんなことないよ。逆に私は何でもズケズ
ケ言う性格だからさ、直さなきゃいけないんだ
けど、これが直らないんだよね。エヘヘ」
梅子「ウフフ」
ラム「アハハ」
*****
それから一週間後。梅子は風邪で三日ほど学校
を休んでいました。ここは梅子の家の玄関です。
ラム「ごめんくださーい」
やがて、パジャマに上着をはおった梅子が出て
きました。
梅子「あっ、ラムちゃん。それに高田くんと太井
くんも来てくれたの?」
高田「修学旅行のプリントが配られたから届けに
来たんだ」
太井「別にラムちゃん一人でもいいのにさ、ラム
ちゃんがどうしても3人で行こうって言っ
てさ。それで、風邪の方はどうなの?」
梅子「うん。明日は学校にいけるよ。みんな、あ
りがとう」
高田「修学旅行の班行動はこの四人でやろうぜ」
太井「うん。京都の旅は歴史が得意な梅子ちゃん
がいると助かるもんな」
高田「おう、色々教えてもらおうぜ」
ラム「お願いよ、梅子ちゃん」
梅子「うん。まかせといて」
(完結)
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