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1章 異世界に召喚されました
6話 神々の罠
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「コロネ殿、貴方がこのプレイヤーと知り合いだということは承知した。
だが、センテール王国の手先でないとは言い切れない」
と、先ほどクランベールと呼ばれた騎士団長風の男がこちらに歩み寄る。
「まだ言いますか。クランベール。この方のレベルは魔力から察するに恐らくレベル200でしょう。
もし仮に、センテール王国の手先だった場合、それこそ我らに勝ち目はありません。
先ほどあの数の魔物を一瞬で倒したのを忘れたのですか?」
コロネの言葉にクランベールがぐっと言葉を呑み込んだ。
「ああ、そういえばさっき聖杯が盗まれたとか言ってたけどあれって何の事だ?」
コロネの登場に、すっかり忘れそうになっていたが、そういえばもう少しで大量虐殺になるところだったのだ。
「はい。この地方を治めるセンテール王国の密偵が、エルフの神殿に祀られていた聖杯を持ち出してしまいまして。
猫様もご存知かと思いますが、魔獣セファロウスを封じる時に使用した聖杯「ファントリウム」です。
あの聖杯は魔獣を封じた後、太古、神々が使用していた施設で厳重に保管していたのですが」
「それを人間共が盗みだしたのだ!!
あの聖杯を使えばレベルが300になるなどという嘘の噂を信じて!」
と、コロネのセリフにかぶせるようにクランベールが告げる。
うん。なんつーか、このおじさんうっとおしい。
「神々の施設には特別なトラップがありまして。
聖杯を勝手に持ち出した者を守護者達が追うように仕組まれたトラップがしてありました。
それがあの大量の魔物というわけです」
「あーなるほど」
と、私がポリポリと頭をかく。
「人間めらの狡猾な所は、砦に女子供や弱い農民しか残さない所だ!
我らエルフが見捨てておけぬのを知っていて、魔物だけをこちらに押しつけ、聖杯だけを盗んでいきおった!」
言いながらクランベールが手にもっていた剣をぽきりと力づくで折る。
……うん。ムカツクねそれ。
でもそれとは別に武器折っていいのだろうか?
「クランベール。
貴方はそうやって頭に血が登ると自分の武器を折る癖をいい加減治しなさい」
「はっ!?しまったぁぁぁ!!また鍛冶屋のトムじいさんに怒られるっ!!」
と、クランベールが頭を抱えて膝を折る。
このおっさん間抜けキャラポジションなのかもしれない。
「にしても、それじゃあこれからセンテール王国に聖杯を取り戻しに行くのか?」
エルフの騎士団をざっと見渡し私が聞いた。
数は200人程といったところだろうか。
「いえ、流石にそこまではできません。
我らがこのエルディアの森から離れてしまえば、結界の管理がおろそかになってしまいます」
私の問いにコロネが答えた。
「結界?」
「エルフは元来、神々が封じた魔物が山々などからでられぬように神々の結界を維持しているのだ!
我らエルディア騎士団はこのカルネル山脈の結界の維持に務めている。
そのため、エルフはこの地を離れるわけにはいかないのだ!」
と、今度はクランベール。
ああ、そういえばゲーム中でもそんな設定があった気がする。
太古の昔、異界の神が異世界より攻めてきたときに、神々を裏切り、異界の神側についた魔物達。
その魔物をエルフが神々より与えられし光の聖杯で、結界の外にでられないように管理しているとか。
そういう場所は大体、ゲーム中では未実装地域で存在はするが、中に入れない場所だった。
「じゃあ何か。そこまで計算して盗んでいったということか?」
「ええ、そうなります」
「うわ。ムカツクなそれ」
ただし、それが本当の話――ならである。
まぁ、砦の様子やエルフ達の様子から見て、コロネ達の言ってる事は本当だと思う。
けど異世界にきてまだ一日もたってないのだ。
一方の意見を鵜呑みにするのがどれほど危険な事か。
漫画やゲームを読み漁っていれば誰もが知っているはずだ。
とりあえず人間側の意見も聞いてみたいものである。
でないと、エルフを信じて行動したら、実は悪の片棒をかつがされていました!
とかマジで洒落にならない。
異世界で活動する以上、誰が信じられて誰が信じられない人物なのか見極める必要があるだろう。
「所で猫様はこれからどうなさるおつもりなのでしょう?」
私が考え込んでいるとふいにコロネが聞いてくる。
「ん?自分?」
「はい。行くあてがないのでしたら、我らエルフはもちろん猫様を歓迎いたしますが」
「コロネ殿!?
何故貴方がこのプレイヤーを信じるのかはわかりませんが相手はプレイヤーですぞ!?
歓迎などもっての外です!?」
コロネの言葉を遮ってクランベールが言う。
んー。なんだかよくわからないけど、マジプレイヤー評価最悪だなこの世界。
「もし、自分が砦に戻ると言ったらどうするつもりなんだ?」
私の言葉にコロネは微笑んで
「私たちが猫様に危害を加えるなどということはありませんのでご安心ください。
ただ、一つ気を付けていただきたいのが、恐らく、砦に戻れば歓迎され城に招かれるでしょう。
その時、褒美やなにかと偽って、貴方に従属を強いる魔道具を付けてこようとするはずです」
「えええ。なんだよそれ」
「センテール王国はこちらの世界に召喚され事情がよくわかっていないプレイヤーを狙っては、従属の腕輪をつけ、従わせています。
恐らく猫様にも同じ事をしてくるでしょう。
お気を付けください」
至極真面目な顔で言うコロネ。
「ってことは既に犠牲になってるプレイヤーがいるって事か?」
「はい。
私の情報では3名のプレイヤーがすでに無理矢理従属させられています」
うお。なんだそれ。すごいムカツク。
プレイヤーって事は日本人ってことだよね。
もしかしたら知り合いかもしれないってことじゃん。
「んー。そのプレイヤーの名前とかってわかるか?」
「はい。コリコリ麦茶と秋刀魚と朱空です」
……うん。全員知らない人だ。
だからってほっとくわけにもいかないよなぁ……。
私は大きなため息をつくのだった。
だが、センテール王国の手先でないとは言い切れない」
と、先ほどクランベールと呼ばれた騎士団長風の男がこちらに歩み寄る。
「まだ言いますか。クランベール。この方のレベルは魔力から察するに恐らくレベル200でしょう。
もし仮に、センテール王国の手先だった場合、それこそ我らに勝ち目はありません。
先ほどあの数の魔物を一瞬で倒したのを忘れたのですか?」
コロネの言葉にクランベールがぐっと言葉を呑み込んだ。
「ああ、そういえばさっき聖杯が盗まれたとか言ってたけどあれって何の事だ?」
コロネの登場に、すっかり忘れそうになっていたが、そういえばもう少しで大量虐殺になるところだったのだ。
「はい。この地方を治めるセンテール王国の密偵が、エルフの神殿に祀られていた聖杯を持ち出してしまいまして。
猫様もご存知かと思いますが、魔獣セファロウスを封じる時に使用した聖杯「ファントリウム」です。
あの聖杯は魔獣を封じた後、太古、神々が使用していた施設で厳重に保管していたのですが」
「それを人間共が盗みだしたのだ!!
あの聖杯を使えばレベルが300になるなどという嘘の噂を信じて!」
と、コロネのセリフにかぶせるようにクランベールが告げる。
うん。なんつーか、このおじさんうっとおしい。
「神々の施設には特別なトラップがありまして。
聖杯を勝手に持ち出した者を守護者達が追うように仕組まれたトラップがしてありました。
それがあの大量の魔物というわけです」
「あーなるほど」
と、私がポリポリと頭をかく。
「人間めらの狡猾な所は、砦に女子供や弱い農民しか残さない所だ!
我らエルフが見捨てておけぬのを知っていて、魔物だけをこちらに押しつけ、聖杯だけを盗んでいきおった!」
言いながらクランベールが手にもっていた剣をぽきりと力づくで折る。
……うん。ムカツクねそれ。
でもそれとは別に武器折っていいのだろうか?
「クランベール。
貴方はそうやって頭に血が登ると自分の武器を折る癖をいい加減治しなさい」
「はっ!?しまったぁぁぁ!!また鍛冶屋のトムじいさんに怒られるっ!!」
と、クランベールが頭を抱えて膝を折る。
このおっさん間抜けキャラポジションなのかもしれない。
「にしても、それじゃあこれからセンテール王国に聖杯を取り戻しに行くのか?」
エルフの騎士団をざっと見渡し私が聞いた。
数は200人程といったところだろうか。
「いえ、流石にそこまではできません。
我らがこのエルディアの森から離れてしまえば、結界の管理がおろそかになってしまいます」
私の問いにコロネが答えた。
「結界?」
「エルフは元来、神々が封じた魔物が山々などからでられぬように神々の結界を維持しているのだ!
我らエルディア騎士団はこのカルネル山脈の結界の維持に務めている。
そのため、エルフはこの地を離れるわけにはいかないのだ!」
と、今度はクランベール。
ああ、そういえばゲーム中でもそんな設定があった気がする。
太古の昔、異界の神が異世界より攻めてきたときに、神々を裏切り、異界の神側についた魔物達。
その魔物をエルフが神々より与えられし光の聖杯で、結界の外にでられないように管理しているとか。
そういう場所は大体、ゲーム中では未実装地域で存在はするが、中に入れない場所だった。
「じゃあ何か。そこまで計算して盗んでいったということか?」
「ええ、そうなります」
「うわ。ムカツクなそれ」
ただし、それが本当の話――ならである。
まぁ、砦の様子やエルフ達の様子から見て、コロネ達の言ってる事は本当だと思う。
けど異世界にきてまだ一日もたってないのだ。
一方の意見を鵜呑みにするのがどれほど危険な事か。
漫画やゲームを読み漁っていれば誰もが知っているはずだ。
とりあえず人間側の意見も聞いてみたいものである。
でないと、エルフを信じて行動したら、実は悪の片棒をかつがされていました!
とかマジで洒落にならない。
異世界で活動する以上、誰が信じられて誰が信じられない人物なのか見極める必要があるだろう。
「所で猫様はこれからどうなさるおつもりなのでしょう?」
私が考え込んでいるとふいにコロネが聞いてくる。
「ん?自分?」
「はい。行くあてがないのでしたら、我らエルフはもちろん猫様を歓迎いたしますが」
「コロネ殿!?
何故貴方がこのプレイヤーを信じるのかはわかりませんが相手はプレイヤーですぞ!?
歓迎などもっての外です!?」
コロネの言葉を遮ってクランベールが言う。
んー。なんだかよくわからないけど、マジプレイヤー評価最悪だなこの世界。
「もし、自分が砦に戻ると言ったらどうするつもりなんだ?」
私の言葉にコロネは微笑んで
「私たちが猫様に危害を加えるなどということはありませんのでご安心ください。
ただ、一つ気を付けていただきたいのが、恐らく、砦に戻れば歓迎され城に招かれるでしょう。
その時、褒美やなにかと偽って、貴方に従属を強いる魔道具を付けてこようとするはずです」
「えええ。なんだよそれ」
「センテール王国はこちらの世界に召喚され事情がよくわかっていないプレイヤーを狙っては、従属の腕輪をつけ、従わせています。
恐らく猫様にも同じ事をしてくるでしょう。
お気を付けください」
至極真面目な顔で言うコロネ。
「ってことは既に犠牲になってるプレイヤーがいるって事か?」
「はい。
私の情報では3名のプレイヤーがすでに無理矢理従属させられています」
うお。なんだそれ。すごいムカツク。
プレイヤーって事は日本人ってことだよね。
もしかしたら知り合いかもしれないってことじゃん。
「んー。そのプレイヤーの名前とかってわかるか?」
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