【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん

文字の大きさ
13 / 187
1章 異世界に召喚されました

13話 エルフの砦

しおりを挟む
 リリに乗って、地上を見下ろせばエルフの砦だろうか?
 森の中にぽつんとある街にぐるりと城壁を囲ったような砦に向かって、まるで押し寄せるかのように山から魔物の群れが向かっている。
 うん。まだ砦の方には到着してないようで助かった。

「コロネ!コロネとリリは、レベルが上がりすぎて気を失うとかあるのか!?」
 
 私が聞けば、コロネは首を振り、

「いえ、ドラゴン種やエルフは精神世界への耐性が高いのでありません」

「うし、パーティーを組む!
 どういう仕組みかは後で説明するからリリとコロネは システムウィンドウが開いたら「はい」を選択してくれ!
 んでもってこれ持ってろ!!」

 と、コロネとリリに経験値2倍のオーブを渡しておく。
 パーティーを組んでおけばリリにもコロネにも経験値がいくはずだ。
 ちなみにこのゲーム、パーティーを組める人数は8人まで。
 組んでいれば経験値範囲内にいれば、誰が倒しても全員に経験値が等分される。
 一緒に行動するなら少しでもレベルが高いほうがいい。
 目視できる範囲でしか経験値が届かないという縛りがあるが、リリとコロネには空中で待機していてもらえばその縛りもクリアできるだろう。

「いいか?リリとコロネは空中でこのまま待機。
 絶対降りてくるなよ!」

 ざっと空中を見回したところ、空を飛べるモンスターはいないらしので空は安全だろう。

 私は二人にそう告げると、瞬間移動で、一気にエルフの砦の前にワープするのだった。



 △▲△

 
 砦の前に降りると、エルフの魔導士たちだろうか。
 慌てた様子で結界か何かを張る作業をしているところだった。

「なっ!?お前は確か猫まっしぐら!??」

 私の姿を確認したクランベールが叫ぶ。

 くっ、随分面倒なところに着地してしまった。説明するとか面倒くさい。
 このおっさん相手するの面倒なんだよ。マジで。

「あんたたちは砦に戻ってろ!!もう先頭集団がこちらにつくぞ!!」

 私が叫べば、エルフの魔導士達に動揺がはしる。
 流石に彼らも向かっている敵が自分たちでは敵わないというのは理解しているらしい。

「何を言う!!我らエルディア騎士団は例え敵わぬとわかっていようともひく事はできぬ!
 砦を何としてでも死守してみせようぞ!」

 と、熱血君みたいなセリフを言うクランベール。

「ああ、わかった!?じゃあそこから絶対動くなよ!!」

 正直相手をするのは面倒なので放っておくこう。
 既に魔物の足音がこちらにまで響きわたり近いことがわかる。

 こちらも準備をしなければないけないのだ。

 私は両手をつき、巨大な魔方陣をかきあげあた。
 そう、森を覆うくらいの巨大な魔方陣をだ。
 
 書き上げた魔方陣はトルネリアの砦で披露した魔方陣と同じ。
 自分よりレベルが100以下の魔物は倒せる魔方陣だ。

 とりあえず自分よりレベルが100より下の敵は全部間引いておく。
 
 「トラップ発動――【死神の演舞!!】」


 私の言葉とともに現れた黒い骸骨の顔をした死神達が、レベル653以下のモンスターを瞬殺するのだった。


 △▲△

「クランベール様!!こちらに向かっていた敵の半数以上が……倒されました!!!」

 魔道具で様子を見ていたのだろうか、兵士の一人が叫ぶかのように報告した。

「んなっ!??
 馬鹿なっ!!!カルネル山の魔物だぞ!?いくらプレイヤーでも!!」

「本当です!!残りの魔物は残りわずかとなっていますっ!!」

「ありえんっ!?何がどうなってるんだ!???」

 後ろでエルフの魔導士軍団がワイワイ騒いでいるのがこちらにも聞こえてくる。
 まぁ、スキルで聴覚ちょっとあげてるから聞こえるってのもあるけれど。

 にしても、やたら喜んでいるが、むしろ問題はここからだ。
 残った魔物はレベルが653より上なのは確定している。

 これが何時ものごとくゲーム上の話で廃装備をしているなら「楽勝!!」とか言ってドヤ顔のひとつもしてみせるが、いま私が装備している装備は、課金アイテムのレベルにあわせて武器性能が変わる武器だがレベル600のB級程度の装備である。

 武器レベルは SS>S>A>B>C とあり、最低ランクの一つ上くらいなのだ。

 これでも200レベルの武器で闘うよりはずっと楽ではあるが、普通に闘う分にはかなり苦戦を強いられる。
 なにせこのゲーム。攻撃力や防御力はプレイヤーのステータスなどお飾り程度でほぼ武器や防具の性能で強さが決まる。
 一匹程度なら私でも楽勝だが、相手は複数なのだ。B級装備はちとキツイ。

「いいか、お前ら!!絶対そこから動くなよ!!こっちに来た奴の命まで保証できないからな!!」

 私は言うと、両手を地につけると、魔法を発動した。
 私が最も得意とする土魔法。土で壁を作り出す魔法だ。

土霊振壁ガルズ・ウォール!!」

 言うと同時に、砦から外に出ている魔導士連中も一緒に囲むように高い壁を砦周辺にぐるりと囲ませる。
 そして私はその土の壁にクリスタル化の魔法をかけると、即席の壁を作り出した。
 レベル600以上の魔物には慰め程度の強度だが、何もないよりはマシだろう。

 そして私はダッシュで駆けるとこちらに向かっているモンスターをスキルの【魔力察知】で探知する。
 すぐ近くにきているモンスターは5体。
 いちいち一体一体相手をしていたら、何体かは砦に向かってしまう。
 自分に対する危険度はぐっとあがるが、とりあえずスキルの【殺気】で全部自分に引きつけるしかない。

『リリ!コロネ聞こえるか!』

 私がパーティーチャットで話しかける。
 この機能、パーティーメンバーならどんなに遠くても声が届く便利機能だ。

『はい!聞こえます』
『ウン!キコエタ』
 
 私の問いに二人が元気に答える。

『これから残った敵を全部私に引きつける!空から、敵の取りこぼしがないか見張っててくれ!』

『そんな事をすれば猫様が危険では?』

『でもやるしかないだろう!
 大丈夫!勝算はカエサルのときより全然高い!』

『ナラ ネンワ ツナグ リリ と コロネ ミタモノ ネコも 見エル ようになる』

 と、リリちゃんが言ってくる。
 なんとそんな便利な機能があるのか!?

『じゃあそれで頼む!』

 私の一言とともにリリが念話をつなぐ感覚がわかった。
 確かにリリの言うとおり、リリとコロネの視ているものがこちらにも伝わってくる。
 おおう!?これマジ便利!!

『じゃあ見張りはお願い!二人とも!!』

 私が念話で喋れば――何故かその声は本来の私の声。橘楓の声だった――。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛

タマ マコト
ファンタジー
喪女として誰にも選ばれない人生を終えた佐倉真凛は、異世界の伯爵家三女リーナとして転生する。 しかしそこでも彼女は、美しい姉妹に埋もれた「地味枠」の令嬢だった。 前世の経験から派手さを捨て、魔法地雷や罠といったトラップ魔法を選んだリーナは、目立たず確実に力を磨いていく。 魔法学園で騎士カイにその才能を見抜かれたことで、彼女の止まっていた人生は静かに動き出す。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...