【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん

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2章 人間領へ行くことになりました

6. 魔法少女さんじょう

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「どうやらマナフェアスは2日後、スティア王国の住人を全て殺すつもりのようです。
 今すぐスティア王国に向いましょう」

 会議室で。
 私、リリ、sion、アベル、セイン、姫の7人の前でコロネが告げる。

「……まさか!?その情報は確かなのですか!?」

 アベルの問いにコロネは頷き、

「間違いありません。どうやって得たのか詳細は話せませんが」

 と、コロネ。恐らくリリからもらったアルファーの記憶から得た情報なのだろう。
 リリから全ての記憶をもらって騎士達と話しながらスキルの【並行思念】で処理したのだろう。
 てか記憶を全部覗かれたアルファーもちょっと可哀想ではあるが。

「しかし、ここから急いで出発したとしても海流の流れを考えれば10日はかかります…今からではとても」

 真っ青な顔で言う姫に、コロネは首を横にふって

「いえ、間に合います。ただ、私達3人で行っても場を納める者がいません。
 誰かご同行願いたいのですが」

「では、私が」と、立ち上がるアベル。

「では、それで。
 それとsion殿の件なのですが――申し訳ありませんがここに残す事はできません」

「ええっ、野宿決定っすか!?」

「いえ、エルフの集落に行っていただきます。
 貴方の世話はエルフのリュートにさせますのでご安心を。

 猫様もそれでよろしいでしょうか?」

「コロネが決めたならそれでいい。リュートならぞんざいな扱いはしないだろうしな」

 ――たぶん。リュートを付けたということは、sionの監視を含めてなのだろうし。
 コロネはまだsionを信用はしていないのだろう。

「では、急かすような形になって申し訳ありませんが、時間がないので行きましょう。
 リリ様お願いします」

 コロネの言葉に――リリが大きく頷くのだった。



 ▲△▲

「――さぁ、愚かな王よ!民のためにその剣を振るうがいい!!」

 島全体をまるで囲むかのように並んだ大きなスクリーンのようなものに――マナフェアスの姿が映し出されている。
 趣味の悪い金ぴかの鎧に身を包んだ金髪のイケメン男性だ。
 ここはスティア王国の上空。私たちはホワイトドラゴン本来の姿に戻ったリリにのって、その上空を飛んでいた。
 あれから、ドラゴンのリリの背中に乗り、一飛びでスティア王国に到着したのだ。
 コロネの魔道具でその姿は他のものから見えない状態になっている。

 上空についた途端、そこに何故か映像が映し出されたのだ。
 プロジェクション・マッピングのようなもので、プレイヤーが開発した魔道具らしい。
 そして映像は切り替わり、数人のボロボロの服を着た男たちが、檻に閉じ込められた魔物と対峙している。

「あれはーー!!国王陛下達です!!王子や宰相もいます!」
 
 映像に映し出されたその姿にアベルが顔を真っ青にして説明した。
 私も鑑定してみるが、流石に映像では鑑定はきかなかった。

「お前たちの王がこの魔獣に勝てば、お前たちの命を全員助けてやろう。
 だが負けたその時には――」

 マナフェアスはにやりと笑うと、右に立っていた男を一瞬にして殺し、あっという間にゾンビへと変えてしまう。

「この国の住人全員がこうなる事になる。
 死霊都市の住人へ迎え入れてやろうではないか」

 と、醜悪な笑を浮かべるのだった――。



 ▲△▲

 都市は絶望に包まれていた。
 そう――誰がどう見ても、国王達があの魔獣に敵う事などないのがわかっていたからだ。
 だが泣き叫ぶ者はいなかった。
 正確には――泣き叫ぶことすら許されなかったのだ。

 すでに街は大量の魔物に占拠されていた。
 住人一人に必ずゴブリンがついており、その喉元には剣が光っている。

 この先に待つものは――無残に魔獣に殺される国王達の姿と――そしてその次に殺される自分たちの姿。

 誰もがその確定した未来に――絶望していた。

 そう、つい先ほどまでは。

 突如都市上空に現れた白い光の出現によって――状況は一変する。

『 冥魂四皇陣!!』

 よく通る男の声とともに放たれた魔法の光が、都市を包むと同時――つい先ほどまでいた魔物達が一瞬で都市から消え失せた。
 そう、魔法と同時に、モンスターだけが消滅したのだ。
 何がおきたのかわからない住人達。

「――な!?」

 スクリーンに映し出されたマナフェアスが驚きの声をあげ――何か呪文を唱えようとしたその時

 次の瞬間――ザシュリと鈍い音と共に――マナフェアスの首が飛び――

「愛と平和の使徒――魔法少女リリリン参上✩」

 と、リボンで彩られた仮面を付けて、フリフリの可愛い衣装を着て血塗られた鍵爪を装備した少女がよくわからない決めポーズをするのだった。



 ▲△▲

 ――どうしてこうなった。

 私は頭を抱えた。
 ラスティア王国の首都はモンスターが住人に剣を突きつけていたのでコロネが魔法でモンスターだけを一掃したのだが……。
 マナフェアスがネクロマンサーのスキルを使う前に倒そうと、一番速いリリが一人でマナフェアスのところに先行し倒したのだが……

 まぁ、それはいい。

 ――何故か一撃で葬ると、一体いつから用意していたのか、

「愛と平和の使徒――魔法少女リリリン参上✩」
 と、魔法少女っぽい格好でスクリーンの前で決めポーズをきめたのだ。

「あ、あの……猫様……リリ様は一体何をしているのでしょう……?」
 状況についていけず聞いてくるコロネに

「いや、多分、魔法少女の決めポーズを本当の悪党の前でやってみたかったのかと……」

 やべぇ。リリちゃん。そういえばまだ精神的には五歳児並みなのを忘れていた。
  普段大人っぽい言動してても、実際はまだ生まれたばかりでまだまだ子供なのだ。
 一番漫画に影響を受けやすい時期なのに、なぜ私は漫画を見せてしまったのだろう。
 幼稚園児の女の子が魔法少女のコスプレをして魔法ごっこするように、リリもしてみたかったのだと思う。
 そういえばエルフの森でも騎士団相手にやってたのだから、ここでもやるかもしれないということを想定しておくべきだった。
 こころなしかグラッドさんの家でみた時のコスプレよりクオリティが上がっている。

 私達がマナフェアスの所に到着した時には、「さらばだワハハ」と魔法少女らしくない悪役風のセリフを残して去っていくリリと、どうしていいかわからず立ち尽くす守護天使の姿があった。
 ▲△▲△▲△▲

「ネコごめんなさぁぁぁい
 あんなに強そうな事いってたのに、あんなに簡単に死ぬなんて思わなかったぁぁぁ」

 リリが魔法少女の格好のまま、私の前で泣きながら謝る。
 どうやら、あの一撃、リリなりに大分手加減したらしい。

 っていうか、レベル800の一撃に耐えられる200レベルは居ないと思うの。

「あ、あんな強そうな格好で偉そうな事言ってて、あんな軽くぶっただけで死ぬなんて……
 ひょっとしたら第二形態があって変身するかもしれないって思ったのに……
 本当に死んでたなんて弱すぎるっ!!リリあんな弱いのにあんな偉そうな事言うなんて恥ずかしくてできないっ」

 と、死んだマナフェアスを容赦なくディスるリリ。
 もうやめてあげて。マナフェアスのHPはとっくに0よ。いや、本当に。
 てか第二形態とかなんの漫画を読んだんだリリは。

 マナフェアスの居た部屋では、いまアベルが映像機をつかって国の人に状況説明をしている。
 コロネの方は国王陛下達を迎えにいったようだ。

 ――ちなみに守護天使達とマナフェアスは石化してもらっている。

 とりあえずマナフェアスを生き返らせて守護天使たちとの契約を解除させなければ本当の意味で彼らは解放されないし。

「いや、まぁ、マナフェアスが何かする前に倒せたんだからいいけど……どうせ復活できるし
 それより問題はその格好だろ。一体何なんだ?
 いつのまにそんな格好に?」

「えへへーグラッドさんの奥さんのサリナさんに作ってもらった!
 あとね、グラッドさんに作ってもらったブレスレッド使うと一瞬で着替える事ができる!すごい?」
 と、ニコニコ微笑む。

 うん。地味にすごい。ってかなんてもの渡してくれたんだグラッドさん。
 でもリリちゃん、今はいいかもしれないが、魔法少女姿を国中に見せるとか何年後かに絶対恥ずかしさに悶え苦しむ黒歴史になるよ。うん。

 私は何年後かのリリに止められなかったことを心の底から謝るのだった。
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