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18話 各国見当違いの思惑(心眼)
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~聖王国 セレスティア側 ~
……またやってしまいました。
私はベッドで枕に抱き着いて一人悶えました。
あの後、フレンドになってほしいと言うはずがヒュレンドと声が上ずってしまい、クライム君が「ヒュレンドですね!わかりました!」と、なぜか固まって涙目になっている私をおいて納得して帰っていってしまいました。
ヒュレンドって何ですか!?彼は一体何に納得していったのでしょう!?
私が欲しいのはお友達です。ヒュドラの仲間のような謎の単語ではありません。
「セレスティア様」
「何でしょうセディス。私はいま貝になっています。話しかけないでください」
「アリーシャさんが来ました」
「それは早く言ってください!」
「セレスちゃんいる?」
ドアが控えめにノックされてアリーシャが入ってきます。
「はい!います」
「いま、下の食堂でお饅頭もらったの、一緒にどうかな?」
と、顔を赤らめて持って来てくれます。
アリーシャは私と同じホテルに食器洗いを手伝う事で泊まらせてもらっています。
無料にすることも可能なのですが、それだとアリーシャの性格上、断られそうだったので、お手伝いを条件にその分宿泊費を無料にするということで同じホテルに泊まるということになっているのです。
流石に学園の寮はまたあの嫌味貴族がアリーシャにちょっかいを出してきたら困るので住まわせる事はできませんし。
おそらく、手伝ったご褒美にもらったお菓子なのでしょう。
それを私にもって来てくれるなんて天使です。友達です。フレンドです。
「……ありがとう」
やっぱり私にはアリーシャがいてくれます。
ここにきて友達が一人できただけでも大収穫ではありませんか。
友は必ず大事にします。はい絶対に。
貰ったお饅頭を一緒に並んで食べながら私は心に誓うのでした。
■□■
~剣王国 ジャミル側 ~
「まさか僕以外にも潜り込んでいた者がいたとはね」
修行を終えたジャンこと剣王国王子、ジャミルがぱたんとベッドに倒れ込めば
「セレス・キャラデュースは聖王国の姫君セレスティア様。
クライム・デンモルドは魔術王国の天才児と言われるクレイス様です。
両国とも隠密を護衛につけていましたから、こちらの正体もバレているでしょう」
と、姿を現したジャンの護衛の剣王国のスペシャルナイトが答えた。
「だろうね。それにしても聖王国の中でも一番レベルが低いと言われていた姫がこの実力となると……聖王国の王や王子達はどれほど強いのか想像もつかないな」
そう言ってジャンは目を閉じる。
剣王国の中には魔族に対して弱腰の聖王国を倒して、剣王国が実権を握るべきだと意見もあったが……。
一番レベルが低いと言われている姫がこの実力なのだ。聖王国に戦争などしかければ、負けるのは剣王国の方だろう。
本来はこの学園のレベルを調べるためだけにジャンは派遣された。
王子ではあるが王位継承順位は低い身分のジャンが学園の中にもぐりこんだのだ。
調査などというのは名ばかりで厄介払いの意味もあっただろう。
それでも--理由はどうあれ、聖王国は剣王国の王族の一人でもある自分を育ててやってもまだ圧倒的勝利をする自信があると見せつけてきている。
確かに彼女の力ならジャンもクライムも足元にも及ばないだろう。
けれど――彼女を放っておくわけにもいかない。
聖王国は魔王と通じているという噂もある。
監視しなければ。この目で。
■□■
~魔術王国 クライス側 ~
クライムは自室に戻り、自らの手を見つめる。
ヒュレンドになってほしい――そう告げたセレスの目は涙ぐんでいた。
ヒュレンド、それは古代語で魔王を倒すためにともに戦う血の盟友。
彼女の志もまたクライムと一緒だったのだ。
人間同士のくだらない争いよりも魔王を倒すことを優先する。
伝説の勇者の誕生など待たず、魔王を打ち倒すための仲間。
それに彼女は自分を指定してくれた。
彼女は自分をそこまで見込んでいてくれている。
奴隷になどならず、自分と同じ高見まで、登って来い――それが彼女の意思なのだろう。
家臣たちの大反対を押し切って、この学園の不正を暴きにきた甲斐があった。
今この世界に必要なのは人間同士のいざこざなどではない。
魔王に対抗するために人類全体の力の向上と団結力。
その志を同じくするものがここにいる!
なってみせましょう、ヒュレンド(血の盟友)に。
クライムはこぶしを握りしめた。
……またやってしまいました。
私はベッドで枕に抱き着いて一人悶えました。
あの後、フレンドになってほしいと言うはずがヒュレンドと声が上ずってしまい、クライム君が「ヒュレンドですね!わかりました!」と、なぜか固まって涙目になっている私をおいて納得して帰っていってしまいました。
ヒュレンドって何ですか!?彼は一体何に納得していったのでしょう!?
私が欲しいのはお友達です。ヒュドラの仲間のような謎の単語ではありません。
「セレスティア様」
「何でしょうセディス。私はいま貝になっています。話しかけないでください」
「アリーシャさんが来ました」
「それは早く言ってください!」
「セレスちゃんいる?」
ドアが控えめにノックされてアリーシャが入ってきます。
「はい!います」
「いま、下の食堂でお饅頭もらったの、一緒にどうかな?」
と、顔を赤らめて持って来てくれます。
アリーシャは私と同じホテルに食器洗いを手伝う事で泊まらせてもらっています。
無料にすることも可能なのですが、それだとアリーシャの性格上、断られそうだったので、お手伝いを条件にその分宿泊費を無料にするということで同じホテルに泊まるということになっているのです。
流石に学園の寮はまたあの嫌味貴族がアリーシャにちょっかいを出してきたら困るので住まわせる事はできませんし。
おそらく、手伝ったご褒美にもらったお菓子なのでしょう。
それを私にもって来てくれるなんて天使です。友達です。フレンドです。
「……ありがとう」
やっぱり私にはアリーシャがいてくれます。
ここにきて友達が一人できただけでも大収穫ではありませんか。
友は必ず大事にします。はい絶対に。
貰ったお饅頭を一緒に並んで食べながら私は心に誓うのでした。
■□■
~剣王国 ジャミル側 ~
「まさか僕以外にも潜り込んでいた者がいたとはね」
修行を終えたジャンこと剣王国王子、ジャミルがぱたんとベッドに倒れ込めば
「セレス・キャラデュースは聖王国の姫君セレスティア様。
クライム・デンモルドは魔術王国の天才児と言われるクレイス様です。
両国とも隠密を護衛につけていましたから、こちらの正体もバレているでしょう」
と、姿を現したジャンの護衛の剣王国のスペシャルナイトが答えた。
「だろうね。それにしても聖王国の中でも一番レベルが低いと言われていた姫がこの実力となると……聖王国の王や王子達はどれほど強いのか想像もつかないな」
そう言ってジャンは目を閉じる。
剣王国の中には魔族に対して弱腰の聖王国を倒して、剣王国が実権を握るべきだと意見もあったが……。
一番レベルが低いと言われている姫がこの実力なのだ。聖王国に戦争などしかければ、負けるのは剣王国の方だろう。
本来はこの学園のレベルを調べるためだけにジャンは派遣された。
王子ではあるが王位継承順位は低い身分のジャンが学園の中にもぐりこんだのだ。
調査などというのは名ばかりで厄介払いの意味もあっただろう。
それでも--理由はどうあれ、聖王国は剣王国の王族の一人でもある自分を育ててやってもまだ圧倒的勝利をする自信があると見せつけてきている。
確かに彼女の力ならジャンもクライムも足元にも及ばないだろう。
けれど――彼女を放っておくわけにもいかない。
聖王国は魔王と通じているという噂もある。
監視しなければ。この目で。
■□■
~魔術王国 クライス側 ~
クライムは自室に戻り、自らの手を見つめる。
ヒュレンドになってほしい――そう告げたセレスの目は涙ぐんでいた。
ヒュレンド、それは古代語で魔王を倒すためにともに戦う血の盟友。
彼女の志もまたクライムと一緒だったのだ。
人間同士のくだらない争いよりも魔王を倒すことを優先する。
伝説の勇者の誕生など待たず、魔王を打ち倒すための仲間。
それに彼女は自分を指定してくれた。
彼女は自分をそこまで見込んでいてくれている。
奴隷になどならず、自分と同じ高見まで、登って来い――それが彼女の意思なのだろう。
家臣たちの大反対を押し切って、この学園の不正を暴きにきた甲斐があった。
今この世界に必要なのは人間同士のいざこざなどではない。
魔王に対抗するために人類全体の力の向上と団結力。
その志を同じくするものがここにいる!
なってみせましょう、ヒュレンド(血の盟友)に。
クライムはこぶしを握りしめた。
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