横断歩道のロボット

砂部岩延

文字サイズ
小 中 大 特大
1 / 1

横断歩道のロボット

 家の近くに横断歩道がある。
 ここにロボットが立っていた。
 郊外の住宅街と住宅街の間を抜ける片側一車線の道路は国道と旧国道を繋ぐバイパスになっている。もともと道幅のわりに交通量が多かったのだが、最近になって、駅前に向かう小路が拡張、整備されてT字の交差点になった。往来はますます盛んになった。
 道沿いにはスーパーマーケットやガソリンスタンド、ファミレスなど生活に根ざした商業施設が点在し、小中高の学校も近い。駅前の繁華街ともつながった。近隣の住民は常に何がしかの理由でこのT字路を渡ることになる。
 交差点にはもちろん、横断歩道と歩行者用の信号もついている。しかし、車の通行量が多いために、点灯時間は十分と言えず、健常な大人の足でさえ時折、不便を感じる程度に短い。さらには押しボタン式で待ち時間も長いため、車の往来の間隙を縫って渡ってしまおうとする者が多いのは、ごくあたりまえの帰結と言えた。
 幸いにして道の見通しは悪くないので、これまで大きな事故があったという話は聞かない。しかし、大きなトラックも通るし、どの車も大抵はスピードを出いているので、小さな子供やご年配のいる家庭はいつも気を揉んでいるようだった。平日の朝夕には町内会の保護者たちが黄色い手旗を持って立つのが常であったが、それも万全にはほど遠かった。
 度重なる近隣住民の訴えに応えたのか、ある時、自治体がこの交差点に一台のロボットを置いた。横断者の介助を主な役割として、他に簡単な交通整備や景観維持も可能な多機能型のヘルパーロボットだ。
 背丈は大人の腰よりも低いくらい、胴回りは大人が両腕を回したほどで、やや楕円がかった円筒形の胴体をしている。胴の下には、隠れて見えないが、タイヤのついた三本の頑丈な足を持ち、多少の段差ならものともせず、道路と歩道の間を淀みなく行き来する。胴の横には二本の華奢なアームがついていたが、普段は胴体の中に収納されており、必要に応じて亀の手足のように飛び出す。最先端の思考エンジンと言語機能を有して、あらゆる状況に対応し、二十四ヶ国語を操るという。見た目の第一印象は、端的に言って、喋って動く巨大な炊飯器だ。
 良く言えば愛嬌があり、悪く言えば間の抜けた姿のロボットは、しかしその実、よく働いた。
 歩道の隅には専用の無線給電ステーションが置かれていたが、この上に姿を見かけるのは、人通りが途絶えた深夜から明け方くらいのものだったろう。
 昼夜を問わず、横断者の動向を見守り、小さな子どもやご年配がいれば即座に黄色い手旗を持って、車道に立った。無理な横断者は身を呈して押しとどめた。路上のゴミは内蔵した薄手のネットに拾い集めて、定期的にゴミ集積所に排出する。
 ある時、横断中の男性がハンカチを落とした。ロボットはすかさずそれを拾うと、気付かずに行き過ぎようとする男性を追いかけて、これを届けた。
 またある時は、ヒールが折れて転倒した女性がいた。ロボットは華奢な見た目に反して頑丈な二本のアームを器用に使って助け起こすと、見た目通り頑丈な胴体を支えにして、歩道の脇まで連れ立って、傷と靴の応急処置までしてみせた。
 地図を片手にさまよう人に道を教えていたことがあった。薄暗い夜にはライトで歩行者の足元を照らしていた。休日の深夜に歩道の上の吐瀉物を洗い流す姿は、一種の風物詩だった。
 雨が降り、風が吹き、陽炎が立って、雪が積もる。
 ロボットは毎日、道に立って働いた。休むこともなく、迷うこともない。正しく、理想通りに、誰かのために働いた。
 ロボットなのだから、それが当然だ。作った人間が斯く在れと思い描いた通りに、動き、役目を果たす。
 しかし、その姿に胸がざわついたのは、何故だったろう。

 私は最初、このロボットがあまり好きではなかった。理由はとても瑣末で、下らないことだ。
 ある日、近所のスーパーで買い物をした帰り道、このT字路へ差し掛かった。
 目の前には腰の曲がった老婦人がひとり、先に信号を待っていた。
 彼女の足ではおそらく、青信号の間に向こうの歩道まで渡りきれないだろう。こういう時のために、信号機の柱には横断者介助の黄色い手旗が常に挿してある。私は全て分かっていたし、知ってもいた。
 しかし、私は迷った。
 気恥ずかしさもあった。そして、それ以上に、面倒だと思う気持ちがあった。反対側の信号機が点滅する頃には、半ば覚悟を決めていた。自らの良心に従い多少の恥をかくことをではない。その逆をだ。
 その時、すぐ隣を丸い影が通り過ぎた。
 蟹の足にも似た華奢なアームを伸ばして、信号機の柱から躊躇なく手旗を引き抜くと、滑らかな足取りで老婦人の隣に立つ。
「こんにちは。良いお天気ですね」
 およそロボットらしくない明るく流暢な口ぶりに、老婦人は初めとても驚いていたが、すぐさま相貌を崩した。信号が変わり、老婦人とロボットはたわいない言葉を交わしながら、横断歩道を渡っていく。
 その丸い後ろ姿を見て、私は安堵よりもまず先に、苛立ちを覚えていた。
 その感情が何によるものだったのか、その時の私には分からなかった。

 ロボットは人々から、概ね好意的に受け止められた。
 平日の朝夕に手旗を振っていた保護者たちは、当番の頻度を減らし、思わぬ余暇に喜んだ。また、交差点に絶えず誰かの、何かの目が光っていることに、少なからず安堵を覚えた。
 朗らかに言葉を話すずんぐりむっくりしたロボットに、ご年配の多くは孫を見るような暖かい目を向けたし、子供たちは物珍しさから、新しいペットを手にしたようにはしゃいでいた。
 しかし、一方で、どうしたって気に食わない人間もいた。
 ご年配の中には、まるで人間のように話す機械を薄気味悪く思う者が少なからずいたし、子どもたちの関心と好意は行きすぎれば暴力にもなる。
 もっと直接的に、害を与えられることだってあった。
 とある平日の深夜のことだ。
 私は仕事の都合から終電に乗って最寄り駅まで帰った。ロータリーでタクシーを待つ長蛇の列に嫌気が差して、家まで歩くことに決めた。
 駅前の繁華街はしだいに明かりの消えたマンションや住宅にクロスフェードしていく。
 住宅街の深夜ともなれば、人通りはすでにまばらだ。同じように駅から歩く人影は一人、また一人と減っていく。迎えの自家用車とタクシーのヘッドライトが幾度も行き交い、しだいに途絶えていった。
 道は薄暗く、街灯の数は少なく光量も乏しい。近隣の商店や民家もすっかり明かりを落としている。
 遠目にあのT字路を見る頃、すっかり辺りに人気はなくなっていた。
 交差点にはあのロボットがいつものように立っていた。
 近くにもうひとつ人影があった。着崩れたスーツの背中に、進む足は覚束なく、右に左にふらふらと揺れている。
 私は微かに眉を顰めて、歩調を緩めた。誰だって近寄りたくないし、関わりあいにもなりたくないだろう。
 横断歩道に差し掛かった男は赤信号に構わず、そのまま向こう側へ渡ろうとした。それを傍らのロボットが制止する。
「青信号までお待ち下さい。あと百二十秒で変わります」
 両腕のアームを広げて、控えめに立ちふさがるロボットに、酔っぱらいが苛立ちの声を上げる。気持ちは分からないでもない。往来の途絶えた深夜、たった数メートルの距離を渡るために何分も待たされるのは、あまり愉快な気持ちではない。
 しかし、それがロボットの使命だ。現下では安全上、妥当な行動でもある。酩酊して足元も覚束ない男は、道の先で瞬いていた車のライトにも、気づいていないに違いなかった。
 しばらく押し問答をしているうちに、信号が青に変わった。ロボットは一転して、男の歩行を妨げない位置まで素早く身を引く。
 その時、鈍い金属音が聞こえた。
 ロボットの体が大きくぐらつく。どうやら通りすがりざま、男が蹴りつけたらしかった。男もまたバランスを崩して、車道に尻もちをついた。
「お怪我はありませんか」
 すかさずロボットが助け起こそうと近寄ったが、男は腕を振り回して喚いた。悪態をつきながら自力で立ち上がると、歩道に向かって歩き出す。
「お足元が暗くなっております。段差にご注意下さい」
 ロボットは何事もなかったように、ほんのりと光るライトで男の足元を照らしながら、隣に付き従った。千鳥足の男がようやく向こうの歩道に上がったところで、横断歩道を引き返そうとする。
 その背中に、男が向き直った。
 男は両手でロボットの上部をつかむと、力任せに突き飛ばした。
 衝撃を受け止めきれず、ロボットは前のめりに倒れて、路上に転がった。金属の削れる耳障りな音が辺りに木霊した。
 男もまた反動で尻もちをついた。再度、口汚く喚きながら、転がるように、逃げるように、その場を後にした。
 倒れたロボットは二本のアームを使って胴体を起こすと、歩道の上の定位置まで戻りかけたが、交差点にさしかかっていた私の姿を認めて、真っ直ぐ近寄ってきた。
「お足元が暗くなっております。お気をつけ下さい」
 淀みない音声で告げると、ほんのりとライトが光り、暗がりに沈んでいた路面が、起伏の分かるくらいまで明るくなった。同時に、ロボットの胴体に刻まれた真新しい傷跡も夜の闇の中で白々と浮かび上がった。
「ありがとう」
 暗がりの向こうに遠ざかった背中に、私は小さく呟いた。

 心理学には「責任の分散」という言葉があるそうだ。
 例えば、清掃されたばかりの路上にゴミを捨てるのは躊躇われても、多少なりと汚れていれば、抵抗感は薄れる。
 ロボットの胴体に見られる傷や凹みは、日増しに増えていった。
 週に一度、自治体からメーカーの技術者がロボットのメンテナンスにやって来ていたようだが、小さなパーツの交換はできても、胴体の修理までは難しいらしかった。多少の擦り跡は研磨剤などで隠されたが、大きな凹みや深い傷はほとんどそのまま残った。
 ロボットの振る舞いは変わらなかった。
 当然だ、機械なのだから、どれだけ粗雑に扱われようとも、悪辣に言われようとも、次の瞬間には横断歩道に立って、黄色い手旗を振っている。朗らかな声で歩行者に話しかけ、安全と快適のために奉仕できる。
 正しく理想取りに、働けば働くほど、ロボットの傷は増えていった。

 その日の夜も、私は駅から歩いて帰った。
 交差点に差し掛かったが、ロボットの姿が見当たらない。
 この頃には目立つ傷もだいぶ増えていた。修理を望む声も多くあがっていた。自治体が重い腰を上げて、修理のために回収していったのだろう。
 気楽な予想は、すぐに打ち砕かれた。
 道路の向こう側、暗がりの中に横倒しになったロボットの姿を見つけた。
 一瞬、すでに壊れて動かないのかと思ったが、微かな作動音が響いて、胴体が斜めに起き上がった。しかし、鈍い音を立ててそのまま道路に倒れ伏した。何度も試みて、その度に達磨のように転がった。
 近寄ってみて、理由が分かった。
 アームの一本が、肘に当たる部分からへし折れて、無くなっていた。
 いつものように起き上がろうにも、折れた腕を使っては、長さが足りず起き上がれない。半端に賢いロボットは無事な方のアームだけに自重をかけて起き上がろうとしているようだが、片腕ではバランスを支えきれず、また目の前で無様に転がった。薄暗い街灯の下でもはっきりとわかる、無数についた真新しい傷跡。いったいどれだけの時間、その愚かな行為を繰り返していたのか。
 ロボットの脇に立って、なんとか胴体を引き起こそうとしたが、見た目以上に重量があり、デスクワーカーの非力な腕ではびくとも動かない。胴体に刻まれた鋭い金属傷がやわな手のひらを切り裂いて血が垂れた。結局、ロボットの試みに外から手を添えて支えてやりながら、三度目の試みでようやくロボットは立ち上がった。
 ひどい有様だった。
 間近で見て、手で触れて、その胴体に傷のない箇所などないのだと分かった。片腕はへし折れて半ばからなくなっている。もう一方のアームも、よく見れば大きく湾曲していて、胴体に治めることは不可能だろう。一体何が起きれば、これほど傷だらけになり、腕がへし折れて、歪むのか。想像は出来ても、信じたくはなかった。
 ロボットは歪んだアームで、傍に落ちていた黄色い手旗を拾い上げる。
「ご協力に感謝致します。お足元が暗くなっておりますので、段差にご注意下さい」
 歪んだアームを精一杯伸ばして、手旗を掲げた。レンズが割れて光量の落ちたライトが、路面をまだらに照らした。
 私は促されるまま横断歩道を渡り、一度も振り返ることなく、無言のうちにその場を立ち去った。
 こみ上げる何かを堪えることが、私にできる唯一のことだった。

 ロボットは機械だ。
 人によって作られ、人のために働く。作られた通りに、定められた通りに、正しく、理想通りに。休むこともなく、迷うこともなく、躊躇うこともしない。
 では、正しさとは。
 ロボットに課せられた理想とは誰のためのものであったか。あのロボットの向こうに、私は、私たちは一体、何を見たのか。
 ロボットの存在は日常の中にありふれている。
 駅の自動改札や街中の自動販売機は、最も原始的なロボットだ。もっと高性能で、高機能なロボットも、巷にはあふれている。美術館の展示フロアには解説用のロボットが大抵二、三体は置かれているし、デパートの案内係も今やほとんどがロボットだ。街角の交番にさえロボットがいる。高度なAIを持ち、人間と同じくらい流暢に話し、適確に答えを返す。しかし、これらのロボットが正しく動くのを見て、私は苛立ちを覚えたことなどない。ましてや、誰かに突き飛ばされたり、何かで殴りつけられて腕をへし折られたりなど、そんな話は寡聞にして知らない。
 それらのロボットと、あの横断歩道に立つロボットは、何が違ったのだろうか。あのロボットはどうして傷つけられねばならなかったのか。
 この問いに、きっと私は答えを出さなくてはならない。

 ロボットはあの日を境に姿を消した。
 聞いた話によれば、明け方、道路の脇で踏まれた空き缶みたいに転がっているのを、近隣の住人が発見して、自治体に連絡、回収されていったそうだ。
 修理して再配置するという話や、後継機を置くという話もあったそうだ。それを望む声は実際、多く上がっていた。
 しかし、結局、あの横断歩道にロボットが戻ってくることはなかった。
 通りは相変わらず車の往来が多く、横断歩道の青信号も短いままだ。近隣の保護者たちは以前のように当番を組んで、平日の朝夕、黄色い手旗を振っている。
 私は今日も近隣のスーパーで買い物をして、あのT字路に差し掛かった。
 目の前には腰の曲がった老婦人がひとり、先に信号を待っている。
 あの日、ロボットに感じた苛立ちは何だったのか。その背中の向こうに、私は一体、何を見たのか。
 すぐ隣をすりぬける影を見た。その後を追って、私は一歩を踏み出す。
 信号機の柱から黄色い手旗を抜き取って、老婦人の隣りに立った。
「こんにちは。良いお天気ですね」

 家の近くに横断歩道がある。
 ここにロボットが立っていた。
感想 0

この作品の感想を投稿する

1,000文字以内

ログインすると感想の投稿ができます。

ログイン  新規ユーザ登録

あなたにおすすめの小説

身体交換 表紙

身体交換

大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話
SF 完結 短編
文字数 4,905
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~ 表紙

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋愛 完結 ショートショート
文字数 9,943
我慢なんてしていませんわ。だって、面倒でしょう? 表紙

我慢なんてしていませんわ。だって、面倒でしょう?

「クロエに子供ができた。準備が整い次第、離れで暮らすことになるからそのつもりでいてくれ」 普段ほとんど屋敷にいない夫が前触れもなく告げてきた言葉をきっかけに、レティシアは“三年間”の契約を終わらせることにした。 赤の他人を屋敷に迎えることはしない。 不要なものに感情を砕く理由などない。 「だって、面倒でしょう?」 不誠実な夫も、無意味な結婚も、 この際すべて切り捨ててしまいましょう。
恋愛 完結 短編
文字数 4,095
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します 表紙

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ファンタジー 完結 短編
文字数 9,325
純粋無慈悲な妖精姫 表紙

純粋無慈悲な妖精姫

「こんな茶番、いつまで続けるつもりなのかしら」 “ルーンベルクの妖精姫”と呼ばれるルーンベルク公爵家長女・フェリアは、その特殊な髪色を理由に両親から育児放棄されていた過去を持つ。 悪意と嘲笑、浅慮な思惑を向けられながらも、フェリアはいつだって穏やかに笑う。 「何故、自分に悪意を持つ相手に慈悲を向けなければならないのですか?」 妖精に愛され妖精を愛す 純粋ゆえに無慈悲な少女の、人生の序章。
ファンタジー 完結 短編
文字数 7,557
私の知らない妻の顔 2話 観察者の目 表紙

私の知らない妻の顔 2話 観察者の目

夫婦という関係の奥に潜む「見えなかったもの」を描く心理ドラマです。
現代文学 完結 短編
文字数 1,112
氷点下の終末が来ると知っていたので、私を凍死させた恋人と親友の分の布団は全部捨てておいた 表紙

氷点下の終末が来ると知っていたので、私を凍死させた恋人と親友の分の布団は全部捨てておいた

9月7日の夜、恋人と親友に部屋を締め出された。 外の気温は−50度。スマホも靴も、ドアの内側だった。 目を開けると、真夏の8月18日。あの夜まで、20日ある。 二人は後回し。先に、雪だ。 会社を辞め、恋人には「実家を売って新居を」と笑ってみせて、猫のおこげと山の麓の両親の家へ向かう。 地下室の奥には、父が残した旧海軍の地下壕。真夏でも15度しかない。 薪2トンと木炭200kg、米60kg、水は200箱。通気口の管は、雪に埋まらない長さまで延ばした。 もう一つ。あの部屋の冬布団と毛布とダウン、米と缶詰も、全部業者に引き取ってもらった。 冷蔵庫には炭酸水と缶ビールだけ。 真夏に、冬物のしまい場所を確かめる人はいない。 天気予報は、最高気温35度。雪まで、あと一週間。 全10話。
SF 連載中 短編 R15
文字数 27,399
婚約破棄された夜、私は死んだことになった 表紙

婚約破棄された夜、私は死んだことになった

婚約披露の席で、父であるローデン伯爵は突然告げた。 「セシリアは私の娘ではありません」 亡き母が残した手紙と、かつて母に仕えていた侍女の証言。 王家との婚約は保留となり、その夜、セシリアは父から屋敷を出るよう命じられる。 そして翌朝。 見知らぬ宿で目を覚ましたセシリアが新聞を開くと、そこには自分の死亡記事が載っていた。 ――ローデン伯爵令嬢、急逝。 けれど、セシリアは生きている。 遺体はどこにあるのか。 なぜ父は、娘を「死んだこと」にする必要があったのか。 そして、二十歳の誕生日まであと四か月という事実は、何を意味するのか。 婚約者アーネストとともに調べ始めたセシリアは、亡き母の実家に残された財産と、父が十三年間追い続けていた秘密へ辿り着く。 これは、殺されなかった令嬢が、自分の死の真相を調べる話。
ファンタジー 完結 短編
文字数 31,353