異世界に転生したら、なんかみんないた。

あたしの異世界生活

異世界の洗礼

　とりあえず、夢である可能性を信じて、その場で寝転がる。

　寝れない。眩しい。

　仕方がないので、目が覚めるまで、この世界を楽しむことにする。

　なにしようかなぁ。そうだ。冒険しよう。一面砂だらけだけど。他にもなにかあるかも。

　そんなことを考えながら、脚を前に出して歩きだす。これ、歩いてるっていうのかなぁ。

　妙な感覚だけど、この、粘液に包まれた伸縮自在の脚は、うまく砂の上で動かせそう。

　そうやって、前に進んでいると後方からものすごい衝撃をうけて吹っ飛ばされる。

　グチョっと柔らかく水っぽいものがぶつかったような音がした。
　
　痛みは特になかった。でも、ビックリして、

「なに？　なんなの⁉︎」

　と、叫んでいた。奇妙な音しか出ていなかった。

　振り返って確認すると、ぶつかってきたのは、奇妙な軟体生物のようだった。

　なにこの生き物。怖っ。こっちくんな！　って気持ちを込めて触手を動かす。

　すると、目の前の生物もあたしの威嚇を真似してきた。

　こいつ、やる気なの？　どうしよう。逃げたいけど、まだこの体に慣れてないし。背中を向けたら、襲われるかも。

　仕方ない、警戒しながら威嚇し続けよう。そう思っていると、何故かいつの間にか全身の色が赤くなってきた。

　なにこれ？　どうしてあたし赤いの？

　まぁ、いいや、なんか今ならいける気がする。赤い色は三倍だもんね。

　勢いづいたあたしは、八本の脚を目の前の軟体生物に叩きつける。

　ビチャチャチャっと粘着質な音が響く。
　
　すると、相手も応戦してくる。

　負けない！　そう思って叩き続ける。痛みはないのに、なんかさっきから、変な感じがする。それに、体が膨らんできているような気がする。

　もしかしてここにきて、さらにパワーアップしてるのかな、あたし？
　
　なんかテンション上がってきたので、スピードを上げる。

　くらぇぇぇぇぇ！！！

　とかやってたら、なんか気持ち悪くなってきた。

　う、吐きそう。

　吐いた。

　目の前の軟体生物にあたしから出た黒い液体がかかる。

　その軟体生物は、一瞬怯むと、直ぐに砂の上を転がりはじめる。

　ふっ勝った。

　そう思って、その生物を観察する。

　よくみると、あたしと似たような見た目だった。もしかして仲間なのかな？

　その軟体生物は、ひとしきり砂の上を転がると、砂を吸い込みはじめた。

　なにしてるんだろう？

　そして、砂を吐き出して、飛んだ！

　まって！　せっかくのファーストコンタクトなのに！

　そう思いなんとか触手を伸ばしてその生物の身体にしがみつく。

　あたしはその生物と一緒に空に飛び上がった。