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世界終わろう委員会
世界終わろう委員会
しおりを挟む「ねえ、知ってる? 世界はもうすぐ終わるのよ?」
少女はどこか儚げな顔でそう告げる。
「まだそんなこといってるんですか? 尾張さん」
ニヤニヤと茶化したように言う少年。
それに、少しムッとしたように眉を寄せて返す少女。
「世界が終わるから終わると言って何がいけないのかしら?」
「じゃあいったい、いつ世界が終わるっていうんですか?」
やれやれといったようすで肩を竦めつつ質問する。
「そうね、少なくとも明日以降。正確にいうのなら、あと数億年以内には確実に世界は終わるわね」
薄い胸を張りながら答える少女。
「そんな、水を飲んだ人間は100年以内に確実に死ぬ。みたいな事言われても」
「不服かしら? 紀美丹君。なら、貴方は世界が終わらないという確信でもあるのかしら?」
少女は値踏みするように少年を見つめる。
「いや、確信とか言われるとないですけど」
「なら、世界は終わる。それでいいじゃない」
結論はでたとばかりに笑顔を向ける。
「いや、良くはないでしょ。世界が終わったら、僕たち結婚できないじゃないですか」
「世界が終わらなくても、私達は結婚しないのだけれど。まるで、私達が結婚間近のカップルであるみたいな発言はやめてもらえるかしら」
一瞬で真顔をつくると、虫を払うような仕草で手をひらひらふる少女。
「そこを何とか」
僕の気持ちのこもっていないお願いに、
「いやよ。だって、考えても見なさいよ。私の名前は?」
「尾張恋さん」
何を当然のことをといった顔で返す。
「じゃあ、貴方の名前は?」
「紀美丹恋です」
「そうね。じゃあわかるでしょう?」
少女はこれで理解したでしょう? といった顔をする。
「何がですか?」
とぼけた顔をする少年。
それに、興奮したように早口でまくし立てる少女。
「何がじゃないわよ! 私達が結婚したら、二人とも紀美丹恋、若しくは尾張恋になっちゃうじゃない! なんか、同一人物で結婚したみたいになるじゃないの‼︎」
「そんなのささいな問題じゃないですか。夫婦別姓とかにすれば問題なくないですか?」
少年は肩を怒らせる少女を手で制しながらそうのたまう。
「問題大ありよ! 夫婦別姓ってそもそも法律上認められてないじゃない! 結婚認められてないじゃない! 貴方それでいいの?」
少年は顎に手を当て思案するような顔をする。
「それは、困りましたね。・・・・・・じゃあ、改名しましょう! 尾張さん名前をクルナとかどうですか? かわいくないですか?」
「かわいくないですか? じゃないわよ! なんで私が名前変えなきゃいけないのよ! 親にもらった大事なもの何だけど? 貴方が変えなさいよ! フォーリンラブとかにしなさいよ!」
フーフーと荒い息を吐き出す少女。
それに対してしれっと返す少年。
「えー嫌ですよ。僕、結構自分の名前気に入ってるんですよね。ていうか、尾張さん、ネーミングセンス壊滅的ですね」
「じゃあ、無理ね。あと、本気でその名前が良いと思ったわけじゃないから。壊滅的とかいうな。ていうか、なんで私達が結婚する前提で話が進んでいるのかしら。結婚しないと言ってるでしょうに」
一瞬頬を赤く染めたかと思えば、すぐに真顔に戻る。
「またまた~。法律の事調べたり、割とまんざらでもないんじゃないですか?」
「違うわよ! あれはたまたまニュースでやってたのを覚えていただけなんだから! 別に、貴方と結婚しようと調べてたわけじゃないんだから!」
かと思えばすぐさま山の天気のようにコロコロと表情を変える。
「はいはい。ツンデレ乙」
「違うっていってるでしょうが!」
肩を怒らせる少女。
「からの~?」
「その絡みかた、次したら貴方の世界を終わらせるわ」
最期の表情は、エベレストの山頂で吹雪にあったような恐怖を少年にもたらした。
「何それ怖い」
ここは、とある学校の空き教室。
不法に占拠されたこの場所で、今日もまた、会議が熱く繰り広げられている。
その会議の名は、
『世界終わろう委員会』
後に、世界を終焉に導く。かもしれない集団の始まりの軌跡である。
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