世界終わろう委員会

初瀬四季[ハツセシキ]

文字の大きさ
39 / 85
世界終わろう委員会

椎堂と紀美丹の休日

しおりを挟む
 勉強を日々の日課にするようになったのはいつからだろう。

 きっと、彼女と出会ってからだったと思う。
 彼女に追いつきたいだなんて、我ながら子供っぽい動機だと思う。

 彼女が亡くなってからも、その日課は続いていた。
 目標が無くなっても、一度習慣になった行動はなかなか変えられなかった。
 
 数学の問題集に取り組んでいると、スマホが鳴った。
 今日はメッセージが多いなぁ。そう思いながら、スマホを操作する。

『こんにちわ。今、お時間大丈夫ですか?』

 紀美丹君だった。この人メッセージでも敬語なんだなぁ。

『大丈夫だけど。どうかした?』

 返信はすぐにきた。

『いえ、少々確認しておきたいことがありまして。今日尾張さんからメッセージとかきたりしました?』

 この人わざわざ墓穴を掘りにきたのかなぁ。

『どうして?』

『いえ、大した事ではないので、来てないなら気にしないでください』

 どうしようかなぁ。でもこれは仕方ないよね。うん。仕方ない。

『来たよ。尾張さんからメッセージ』

『・・・・・・ちなみに、内容を聞いてもいいですか?』

 これは内心焦ってるなぁ。紀美丹君。

『んー。秘密かな?』

『また、秘密ですか』

 また。また、ね。そういえば、昨日も秘密って言ったんだっけ。

『乙女には秘密がいっぱいあるんだよ』

『おと・・・・・・め?』

 このやろう。なんだその疑問符は。

『何か言いたい事でもあるのかな?』

『いえ、椎堂さんに乙女のイメージはあまりなかったので。どちらかというと・・・・・・』

 おい。途中で止めるな。

『どちらかというと?』

『僕の口からはとても言えません』

 いい根性をしている。どうやら、この男は私に喧嘩を売っているらしい。

『紀美丹君はアレだよね? 尾張さんに対してちょっと気が緩みすぎてるよね?』

『貴様なにを知っている?』

 紀美丹君のキャラがおかしい。

『さて、なんでしょうねぇ』

『聞いたんですか? 尾張さんから? 何か聞いたりしたんですか?』

 なんでこんな必死なのこの人。

『別に』

『椎堂様ですか? 塩対応の椎堂様キャラですか?』

 椎堂様キャラってなによ。

『別に』

『わかりました。こうしましょう。僕も椎堂様の印象を言うので、椎堂様も尾張さんからなにを聞いたのか言ってください。交換条件です』

 何故か、椎堂様呼びが定着しそうになっている。

『別に』

『僕の椎堂様の印象は、姉御肌のおかんみたいな人です』

 こいつ、同学年の女子に何て評価してるのよ。

『とりあえず気持ち悪いから今すぐその評価は改めなさい』

『気持ち悪いってストレートに言われると、すごい傷つきますね』

 今まで、紀美丹君に対して、尾張さんのそばに時々いる、人畜無害そうな小型犬みたいな印象を持っていたけど。
 彼はもしかしたら、とんでもない変態なのかもしれない。

『あと、女子高生にキャバクラの話題ふるとか変態以外の何者でもないと思う』

『やっぱり聞いてるじゃないですか⁉︎ 違うんです‼︎ あれは話の流れでしかたなかったんです! それと、僕は変態ではありません。むしろ紳士です』

 女子との会話でキャバクラが出るってどんな話の流れよ。

『それで変態紳士の紀美丹君。あなたの用事はもう終わりって事でいいの?』

『くっつけないでください‼︎ まぁ、用事のようなものは特にないですけど、気になる事は一つ。昨日の言葉の意味を教えてくれたりしないですか?』

 はぁ。男はこれだから。

『秘すれば花なり。意味は自分で考えなさい。それと明日、ちゃんと尾張さん送ってあげてね?』 

『まだ、尾張さんが成仏するとは限りませんよ? それとやっぱりおかんみたいですね』

 私は、スマホの電源を切るとベッドに投げ捨てた。

 よし、勉強再開しよう!



 






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

12年目の恋物語

真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。 だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。 すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。 2人が結ばれるまでの物語。 第一部「12年目の恋物語」完結 第二部「13年目のやさしい願い」完結 第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中 ※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました【完結】

日下奈緒
恋愛
10年付き合った恋人と別れ、恋に臆病になっていた30歳の千尋。そんな彼女に、取引先で出会った御曹司・神楽木律が突然のプロポーズ。「交際0日で結婚しよう」なんて冗談でしょ?──戸惑いながら始まった新婚生活。冷めた仮面夫婦のはずが、律の一途な想いに千尋の心は少しずつほどけていく。

訳あり冷徹社長はただの優男でした

あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた いや、待て 育児放棄にも程があるでしょう 音信不通の姉 泣き出す子供 父親は誰だよ 怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳) これはもう、人生詰んだと思った ********** この作品は他のサイトにも掲載しています

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

処理中です...