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第5話
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「お疲れ、お二人さん」
基地の格納庫で二人を出迎えたのは、達也と同僚の坂下大地だ。トラックから降りた真一は、真っ先に防護服を脱ぐ。吐瀉物にまみれた迷彩服には、出迎えた二人に、何があったのかを如実に伝えたようだ。表情がひきつっている。
「随分と悲惨みたいだな」
「悲惨なんてもんじゃない……朝食を全部バラ撒いちまったぜ、ちくしょう……」
達也にそう返した真一は、防護服を荷台へ捨てるように放り、達也が差し出した煙草のフィルターを噛んだ。
「そっちの調子はどうだった?」
トラックのエンジンを停めた浩太が、車内で脱いだ防護服を同じように荷台へ置いて尋ねると、大地が右頬を見せつける。
「こっちも散々だったよ……薬品が漏洩する可能性があるのに、通行止めとはどういう事だって殴られた」
「そりゃ、災難だったな」
「全くだよ……しばらく口内炎になったみたいに食べ物にも気をつけなくちゃいけないんだから」
「俺達も一緒だよ。しばらく肉は食えそうにない」
軽い調子で言った浩太の話しを聞いた真一が、苦々しそうに呟いた。
「お前……洒落にならんからやめろ……」
「……悪かった」
現場を浮かべさせたのか、真一は俯いてしまう。僅かな沈黙が流れ、達也が空気を入れ換えようと言った。
「そういえば、お前ら昼飯まだだろ?とにかくなんでも良いから腹にいれとけよ。どうせ、また、あの現場にもど……」
そこまで聞いた真一は、遂に耐えきれなくなったのか、口を抑えながらトイレへと駆け出した。
※※※ ※※※
午後からの活動も終了した。浩太と真一は現場へ三回に分けて赴いたのだが、結局一日では遺体を全て回収出来ず、本日の作業は終了する、と連絡があったのは午後二十一時、事故発生から十五時間時間後だった。
これで、ようやく解放された。そんな安堵の息を吐き、地面に横になった二人を見下ろした下澤が笑った。
「明日もあるからな。へばってる場合じゃないぞ」
「……タフですね、下澤さん」
返しながら、浩太が上体だけで起き上がる。
「お前らが弱いだけだ……とも言えないかな今回は……」
下澤は、ちらりと大破した機体と、回収出来ずに地面に並べられたボディバッグに目をやった。精神的にも辛い絵面がそこにある。溜め息をつき、目線を二人に戻す。
「それはそうと……あの薬品な、一体なんなのか未だに分かっていないらしい。俺も詳しくはわからないがな」
「ああ……そうっすか……」
力なく寝そべったまま口にした真一に、下澤は眉根を寄せた。あの狼狽する姿からは予想出来ない反応だったからだ。
「なんだ?どうした?」
「いや、もう……疲れすぎちゃって」
「全く、疲れるのは分かるが、もっとシャンとしろ。おら、撤退だ撤退。岡島、運転頼んだぞ」
了解です、と立ち上がった浩太は、真一の腕を掴んで起き上がらせ、助手席に詰め込んだ。
そして、浩太自身もトラックに乗り込もうとタラップに足を掛け、一度振り返り、並んだボディバッグを一瞥すると、心の中で両手を合わせドアを閉めた。
基地の格納庫で二人を出迎えたのは、達也と同僚の坂下大地だ。トラックから降りた真一は、真っ先に防護服を脱ぐ。吐瀉物にまみれた迷彩服には、出迎えた二人に、何があったのかを如実に伝えたようだ。表情がひきつっている。
「随分と悲惨みたいだな」
「悲惨なんてもんじゃない……朝食を全部バラ撒いちまったぜ、ちくしょう……」
達也にそう返した真一は、防護服を荷台へ捨てるように放り、達也が差し出した煙草のフィルターを噛んだ。
「そっちの調子はどうだった?」
トラックのエンジンを停めた浩太が、車内で脱いだ防護服を同じように荷台へ置いて尋ねると、大地が右頬を見せつける。
「こっちも散々だったよ……薬品が漏洩する可能性があるのに、通行止めとはどういう事だって殴られた」
「そりゃ、災難だったな」
「全くだよ……しばらく口内炎になったみたいに食べ物にも気をつけなくちゃいけないんだから」
「俺達も一緒だよ。しばらく肉は食えそうにない」
軽い調子で言った浩太の話しを聞いた真一が、苦々しそうに呟いた。
「お前……洒落にならんからやめろ……」
「……悪かった」
現場を浮かべさせたのか、真一は俯いてしまう。僅かな沈黙が流れ、達也が空気を入れ換えようと言った。
「そういえば、お前ら昼飯まだだろ?とにかくなんでも良いから腹にいれとけよ。どうせ、また、あの現場にもど……」
そこまで聞いた真一は、遂に耐えきれなくなったのか、口を抑えながらトイレへと駆け出した。
※※※ ※※※
午後からの活動も終了した。浩太と真一は現場へ三回に分けて赴いたのだが、結局一日では遺体を全て回収出来ず、本日の作業は終了する、と連絡があったのは午後二十一時、事故発生から十五時間時間後だった。
これで、ようやく解放された。そんな安堵の息を吐き、地面に横になった二人を見下ろした下澤が笑った。
「明日もあるからな。へばってる場合じゃないぞ」
「……タフですね、下澤さん」
返しながら、浩太が上体だけで起き上がる。
「お前らが弱いだけだ……とも言えないかな今回は……」
下澤は、ちらりと大破した機体と、回収出来ずに地面に並べられたボディバッグに目をやった。精神的にも辛い絵面がそこにある。溜め息をつき、目線を二人に戻す。
「それはそうと……あの薬品な、一体なんなのか未だに分かっていないらしい。俺も詳しくはわからないがな」
「ああ……そうっすか……」
力なく寝そべったまま口にした真一に、下澤は眉根を寄せた。あの狼狽する姿からは予想出来ない反応だったからだ。
「なんだ?どうした?」
「いや、もう……疲れすぎちゃって」
「全く、疲れるのは分かるが、もっとシャンとしろ。おら、撤退だ撤退。岡島、運転頼んだぞ」
了解です、と立ち上がった浩太は、真一の腕を掴んで起き上がらせ、助手席に詰め込んだ。
そして、浩太自身もトラックに乗り込もうとタラップに足を掛け、一度振り返り、並んだボディバッグを一瞥すると、心の中で両手を合わせドアを閉めた。
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