感染

宇宙人

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第24話

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          ※※※  ※※※

 とあるマンションの一室で、ベッドのスプリングが激しい音をたてている中、潤沢のある声が、一際、高く響き渡る。少しして、肩で小刻みに呼吸を繰り返す女性を覆っていた影が、のそりと動いた。
 明らかな男女の営みを終えたばかりの男は、足元に置いていたリュックサックを顔の位置まで持ち上げて無言で眺め、テーブルへと、まるで鎮座でもさせるかのような丁重な手付きで置きなおし、引き出しの中から煙草の箱を取り出すと、ゆっくりと火を点ける。
 ぽっ、と灯った赤い光に意識を戻した女性が、小柄な背中に声を掛けた。

「......東さん、どうしたんですか?」

 煙を燻らせつつ、東は箪笥に無遠慮に開くと、引っくり返して服を物色する。
 布団を手繰り寄せ、布団で身体を隠した邦子が、それ以上、東が放つ独特な雰囲気に圧されて何も言えずにいると、不意に投げ付けられた服に視界を奪われ、慌てて顔から取れば、黙々と服を選別していた東の盛大な舌打ちが聞こえた。

「まともな服がねぇ……どんなダセエセンスしてやがんだよ......」

 溜め息混じりに、火の点いた煙草を床に擦り付ける。そして、ようやく、呆然と自身を見やる邦子に気付き、呆れたような面で首を横にふり、一息に邦子から布団を剥ぎ取った。
 短い悲鳴をあげ、思わず胸元を両腕で隠した邦子に東が言う。

「......なにしてんだ?さっさと着替えろ、置いていかれてえのか?」

「......あの、行くって......どこにですか?」

 遠慮気味に、恐る恐るといった具合で尋ねた邦子の髪を、東は左手で乱暴に掴むや否や右手でベッドに散らばった服を顔面に押し付け、邦子の耳元で囁く。

「俺にとって大切な場所だ。理解できたか?」 

 問い掛けに対して、邦子は無反応だった。
    首を傾げた東が右手を顔面から離せば、妖艶に瞼を歪めた邦子がいる。光悦、そう捉えても間違いではないだろう。かたや、東は、とても苦々しい表情だった。元からから備えていた性癖なのか、それとも、東との出逢いによって何らかの枷が外れたのかは分からないが、この傾向に、東は明らかな嫌悪感を抱いた。

「1999年、あるカップルが二人を殺害する事件があった......当時、男は24歳、女は19歳、二人の関係性は周囲からすれば常軌を逸していた。一日に数回に渡り、男は女の身体を求め、専用の器具で肉体を吊るし、様々な手法で行為に耽った。そして、遂には女の親を殺害し埋めてしまう......日本で起きた事件だ」

 きょとん、と目を丸くしている邦子を無視して、東は新たな煙草を取り出した。
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