言われてみれば確かに

そらき

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第8話 どのようなご関係で

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「ただいま」
「おう!おかえり」
「おかえりなさい」
 なんだかんだでなおりに帰ってきたのが18時過ぎで、いつもご飯を食べる時間帯だった。
「遅くなってごめんなさい……。これからは連絡します」
「何言ってんのよ!いいのよ!もっとグレてもいいのよ!うるせぇクソババア!って」
「そんなこと絶対に言わないよ!」
「あらそう?で、こうちゃんご飯なんだけど……閉店後でもいいかしら?」
 厨房でおじさんもおばさんも忙しそうに調理していた。この時間はピークなので、僕は「全然気にしないで」と言い残し上に上がった。その時店内をちょっと見たが、漆原さんも忙しそうにしていた。
 こういう時何も手伝えない自分が嫌になる。気が利く人なら「手伝わなくてもいい」と言われていても上手いことやるのだろうか。そう考えて階段の途中で足を止めたが、ピークの時に来られても迷惑でしかないと判断し部屋に戻った。僕も早くバイトを見つけないと。
 溜息を吐きながら部屋に入りそのままベッドの上に倒れ込んだ。
「今日は……よく遊んだな……」
 もう直ぐご飯なのに抗えない眠気がやってきた。寝ちゃ駄目だ駄目だ駄目だと繰り返していたが、そのミニマルさがあだとなり気が付いたら目を瞑っていた。

---太郎!幸…郎!……なさい!幸太郎!起きなさい!

「は、はいっ!」
 突然耳元で大きな声がして目が覚めた。
「こ、ここはどこ!?」
「何?寝ぼけてんの?自分の部屋でしょ?」
「あれ?ツチカ」
「ご飯の時間なのに降りてこないから起こしにきてあげたの!」
「うん?」
「今日皆でご飯食べるって聞いてない?」
「あー」
 そういえば奈織おばさんがご飯は閉店後だって言っていたような。
「だらしない顔……」
「寝起きだし……」
「とにかく早く降りて」
「うん」
 ツチカは僕が体を起こしている間に下へ降りていった。
「もうこんな時間!」
 スマホを見るともう21時を過ぎていた。帰ってきて直ぐに寝てしまったことをぼんやりと思い出しながら下へ降りた。
 下へ降りるとお座敷にはツチカ、漆原さん、市川のおばさんがいた。
「おはようこうちゃん。これ持っていってくれる?」
 厨房にいた奈織おばさんに小皿が乗ったお盆を渡された。小皿にはモツ煮が盛られていた。奈織おばさんが作るモツ煮込みは濃いめで美味しい。ゆずの皮を乗っけているのがいい。
「あらこうちゃん。なんだか眠そうね」
 モツ煮をテーブルの上に置いていると、市川のおばさんに言われた。
「夕方から寝ちゃって……」
「宝田君と沢山遊んだものね。いやらしい」
「なんでやらしいんだよ……」
「ふん」
 宝田と会ってからツチカの機嫌がどうも悪い。
 漆原さんは真顔で僕の方をジーッと見つめていた。
「ど、どうしたの?」
「幸太郎。宝田君は……本当に男の子なの?女の子じゃなくて?」
「男子だよ!疑う所ある?!」
「ならいいんだけど。さっき見た時かっこいいじゃなくて美人だなって思ったから」
「いやいやいや」
「どうした?」
「楽しい話?」
 大介おじさんと奈織おばさんが色々な晩御飯兼おつまみを持ってきてくれた後、皆でご飯を食べながら僕は宝田の話をした。
「でも今は中性的な顔立ちの子もいるしなぁ」
「そうねぇ」
「こうちゃんその宝田君の写真あるの?」
 大介おじさんと奈織おばさんと市川のおばさんはビールを飲みながら。漆原さんは日本酒を飲みながら。僕とツチカは炭酸水を飲みながら食後の時間を過ごしていた。
「あるよ。……はい」
 僕はスマホを取り出して、宝田と一緒に撮った写真のフォルダを開き市川のおばさんに渡した。
 その瞬間皆市川のおばさんにワッと集まり画面を凝視。少し怖い位の勢い。
 そして皆ひらすら黙って写真を見続けている。
「そんなに真剣に見るものではないと思うよ?!」
 僕が指摘しても皆ジーッと見続けていた。その後皆で輪になりコソコソと話し始めた。
「どうしたの?!」
「あー、私が代表して発言させていただきます」
 漆原さんが手を上げながら恭しくこちらを向いた。
「えーカップルの写真にしか見えません」
「なんでよ?!」
 他の皆も腕を組んでうーんと唸っていた。ツチカは鬼のような顔をしてこちらを見ている。
「幸太郎。宝田……君とは同じクラスなの?」
「いや別だよ。僕がA組で宝田はE組かな」
「……どうやって知り合ったの?」
「うん。凄い気になるな」
「新しいビール持ってこなきゃ」
「ドキドキしてきた」
「……確かに気になる」
「えー何もたいした話ではないけど……」
 そういったものの、皆僕に期待の眼差しというか「喋れ」という圧をかけてきているのが丸わかりで、こうなると喋らない方が面倒なので正直に話すことにした。話終わった後皆「なーんだ」と普通過ぎてガッカリすることになるのに。
「入学して一か月経った頃かな」
 僕が話始めると、伝説を話す老人の話を聞くような雰囲気で皆僕の周りを囲み始め、姿勢を正し正座した。何を期待しているのよ。
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