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魔剣の修理(4)
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喜んだのはガルディだ。
「宝物庫からかっぱらってきたのか。すげーじゃねえか。お前、いい度胸してるな。さすが俺が見込んだ相棒だ」
「人聞きの悪いこと言わないでください。もらったんです。……でも、いつから僕は相棒になったんですか?」
「俺とお前の仲じゃないか。嘘を言わなくてもいい。あのケチケチアルヴィンが一級の宝物をこんなガキにくれるわけねえ」
城主のアルヴィン・ヴィッツレーベンというのは厳しい税金の取り立てで有名らしい。
しかし、これはどこでも同じなのだが。公共事業の発注でも、施設の買受でもとことん値切ることでも有名だとか。
「妃様があげるって……本当ですよ。ちょっと訳ありで……」
説明すると。
「夜泣きする剣か……おもしれえじゃねえか。ちょっと見せてみろ」
「いいですけど、何が起こっても知りませんよ。大魔法使いザリー・グラネットの首を跳ねた剣であることをちゃんと理解して扱ってくださいよ。それに、泣くのは夜だけじゃないですよ」
エルンは革の包みを開けるとガルディに見せた。
「すげー、この装飾、何という美しさだ。この宝石一つ売っても三月は暮らせるぞ……触っていいか?」
「宝石、取らないでくださいね。祟りがありますよ、きっと。……どうぞ」
どうせ抜けないんだから。エルンは内心ほくそ笑んだ。
ガルディは手に取ると匂いを嗅ぐように剣を見た。
そして柄に手を掛けるとスルリと抜いた。
「エッ、抜けた?」
「おお、抜けたな」
驚いたのはガルディも同じだ。
「何で?」
「知らねえが……なんて美しい剣なんだ。俺の顔が映ってるぜ。信じられねえ。伝説のザリー・グラネットの剣が今、俺の手の中にあるんだぞ。すげーじゃねえか」
「何か良からぬことを企んでませんか」
ガルディはエルンを見てニヤリと笑った。
「エルン、この剣、俺にくれねえか。俺が抜けるんだったら、俺が使っていいということじゃねえか」
「そういうことなのかな?」
エルンは考え込んだ。
「なあ、なあ、いっしょに世界を征服しようぜ」
「僕は普通にご飯が食べられればそれでいいんですけど」
「お前には大志というものがねえのか」
すると、
グォーン、グォーン……
剣が鳴り始めた。
「何だこの音は? ……痛てててて、頭が割れそうだ」
「お城の人を苦しめた音です。やっぱり、ガルディさんにも使えないようです。きっとザリー・グラネットにからかわれたんですよ」
「ふざけんじゃねえ。バカザリーが」
すると、途端に剣が重くなった。
「ちくしょー。重くなってきやがった。こんな気まぐれの剣なんか使えねえ。戦いには信頼ってものが大事なんだ。こんな剣に命を預けられるか」
エルンが剣をひょいと握ると途端に軽くなった。
「やっぱり僕しかダメみたいですね。嬉しいような嬉しくないような。でもどうしてでしょうか。僕は剣士でもないのに」
「剣の修行をしろってことだ。俺が稽古をつけてやる。明日からだ」
「無理ですよ。僕は忙しいんですから」
「明日、五時に起きろ。学校へ行くまでに二時間稽古をつけてやる」
「えーーーーーーーー―ーっ。ガルディさんは店番しながら寝てればいいですけど、僕は授業があるんです」
「それがどうした!」
ガルディは言い出したら聞かないので困ったものだ。
空が白み始めたころエルンが人の気配を感じて目を覚ますと、既にガルディがベッド脇に立っていた。
「お、おはようございます。ガルディさん」
「遅い、エルン」
なんで修行って朝早いの?
「えーー、ほんとうにやるんですか? どこでやるんですか」
「そこの小山までまず走れ、そこで基礎から叩き込んでやる」
稽古が始まる。
今のエルンには少々重いが素直でバランスの良い剣だ。
「エルン、お前、なかなかやるな。ここまでできれば学校の剣士科でも行けるぞ」
「そんな気はありませんから……だいたい、実力ではなく剣のおかげです。僕の力ではありません」
剣に助けられていることは自分でもよく分かる。
「魔法の力だろうが実力だろうが相手に勝てればそれでいいんだ。どんな卑怯者でも生き残った者が勝ちだ」
「……はあ、確かに」
エルンはザリー・グラネットに気に入られたようだ。
「宝物庫からかっぱらってきたのか。すげーじゃねえか。お前、いい度胸してるな。さすが俺が見込んだ相棒だ」
「人聞きの悪いこと言わないでください。もらったんです。……でも、いつから僕は相棒になったんですか?」
「俺とお前の仲じゃないか。嘘を言わなくてもいい。あのケチケチアルヴィンが一級の宝物をこんなガキにくれるわけねえ」
城主のアルヴィン・ヴィッツレーベンというのは厳しい税金の取り立てで有名らしい。
しかし、これはどこでも同じなのだが。公共事業の発注でも、施設の買受でもとことん値切ることでも有名だとか。
「妃様があげるって……本当ですよ。ちょっと訳ありで……」
説明すると。
「夜泣きする剣か……おもしれえじゃねえか。ちょっと見せてみろ」
「いいですけど、何が起こっても知りませんよ。大魔法使いザリー・グラネットの首を跳ねた剣であることをちゃんと理解して扱ってくださいよ。それに、泣くのは夜だけじゃないですよ」
エルンは革の包みを開けるとガルディに見せた。
「すげー、この装飾、何という美しさだ。この宝石一つ売っても三月は暮らせるぞ……触っていいか?」
「宝石、取らないでくださいね。祟りがありますよ、きっと。……どうぞ」
どうせ抜けないんだから。エルンは内心ほくそ笑んだ。
ガルディは手に取ると匂いを嗅ぐように剣を見た。
そして柄に手を掛けるとスルリと抜いた。
「エッ、抜けた?」
「おお、抜けたな」
驚いたのはガルディも同じだ。
「何で?」
「知らねえが……なんて美しい剣なんだ。俺の顔が映ってるぜ。信じられねえ。伝説のザリー・グラネットの剣が今、俺の手の中にあるんだぞ。すげーじゃねえか」
「何か良からぬことを企んでませんか」
ガルディはエルンを見てニヤリと笑った。
「エルン、この剣、俺にくれねえか。俺が抜けるんだったら、俺が使っていいということじゃねえか」
「そういうことなのかな?」
エルンは考え込んだ。
「なあ、なあ、いっしょに世界を征服しようぜ」
「僕は普通にご飯が食べられればそれでいいんですけど」
「お前には大志というものがねえのか」
すると、
グォーン、グォーン……
剣が鳴り始めた。
「何だこの音は? ……痛てててて、頭が割れそうだ」
「お城の人を苦しめた音です。やっぱり、ガルディさんにも使えないようです。きっとザリー・グラネットにからかわれたんですよ」
「ふざけんじゃねえ。バカザリーが」
すると、途端に剣が重くなった。
「ちくしょー。重くなってきやがった。こんな気まぐれの剣なんか使えねえ。戦いには信頼ってものが大事なんだ。こんな剣に命を預けられるか」
エルンが剣をひょいと握ると途端に軽くなった。
「やっぱり僕しかダメみたいですね。嬉しいような嬉しくないような。でもどうしてでしょうか。僕は剣士でもないのに」
「剣の修行をしろってことだ。俺が稽古をつけてやる。明日からだ」
「無理ですよ。僕は忙しいんですから」
「明日、五時に起きろ。学校へ行くまでに二時間稽古をつけてやる」
「えーーーーーーーー―ーっ。ガルディさんは店番しながら寝てればいいですけど、僕は授業があるんです」
「それがどうした!」
ガルディは言い出したら聞かないので困ったものだ。
空が白み始めたころエルンが人の気配を感じて目を覚ますと、既にガルディがベッド脇に立っていた。
「お、おはようございます。ガルディさん」
「遅い、エルン」
なんで修行って朝早いの?
「えーー、ほんとうにやるんですか? どこでやるんですか」
「そこの小山までまず走れ、そこで基礎から叩き込んでやる」
稽古が始まる。
今のエルンには少々重いが素直でバランスの良い剣だ。
「エルン、お前、なかなかやるな。ここまでできれば学校の剣士科でも行けるぞ」
「そんな気はありませんから……だいたい、実力ではなく剣のおかげです。僕の力ではありません」
剣に助けられていることは自分でもよく分かる。
「魔法の力だろうが実力だろうが相手に勝てればそれでいいんだ。どんな卑怯者でも生き残った者が勝ちだ」
「……はあ、確かに」
エルンはザリー・グラネットに気に入られたようだ。
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