エロゲー主人公に転生したのに悪役若様に求愛されております

雪平@冷淡騎士2nd連載中

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海へ

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シリウスは気付いたのか「なるほどな」と言っていた。
俺には全く分からず、店主に渡された青い玉を見つめていた。
凄い綺麗だ、見ようによってはビー玉っぽくもある。

宝玉を親指と人差し指で持ち上げて上に向けると後ろがはっきりと分かるような透き通った色だった。

「シリウス、これはなんだ?」

「魔薬の一つだ、人間に害はあるかもしれないが今のレインなら問題ないだろう」

今の俺って事は、宝玉を持っている状態を言うんだよな。

シリウスの話では、これを口に入れて舐めると水の中を魚のように目を開けて呼吸が出来るらしい。
凄い便利道具だな、人間の市場でも出ないかな。

いや、そうではない…この場合、それを出すという事は海に潜る事になる。
まさか、泳いで行くつもりなのか?何処か分からないが船で行くつもりだったのならかなりの距離だぞ!

シリウスは体力お化けだが、俺はあまり泳ぎに関しては得意ではない。

「シリウス、さすがに泳いでいくのは体力が…」

「レインが疲れたら俺の背中に乗っていい」

「いや、そういうわけには」

俺の言葉を無視したシリウスは飴を口に入れていた。
シリウスが食べたのなら、それ以外の選択肢がなくなり俺も口に放り込んだ。

味は…考えたくないほどに不味い。

ちょっと具合が悪くなりながら店主にお礼を言って、店のドアを開けた。

シリウスは店主に俺が買った荷物を全て預けた。
確かに泳ぐのに邪魔だが、置いていったら買った意味がなくなる。
名残惜しかったが、また来た時に取りに来ると約束して金と武器だけ持って旅立つ事になった。

結局最後に残るのはこの二つだよな。

シリウスが最後に店主に向かって振り返ると、店主は深々と頭を下げていた。

「いってらっしゃいませ、またのお越しをお待ちしておりますシリウス様……次の依頼はウェディング衣装ですか」

「……そうかもな」

シリウスは含みのある笑みを向けていて、店を後にした。

ウェディング衣装?シリウス、誰かと結婚する予定でもあるのか?
シリウスに聞きたい気持ちもあったか、なんか後ろめたい気持ちになり聞けなかった。

別にシリウスが誰と付き合おうが関係ないだろ、俺には…

まだ諦めきれていなくてシリウスに「夜まで待てば良かったのに」と言うと「レインに影響を与えるやり方はなるべく使いたくない」と言っていた。
俺のためというよりは宝玉のためなんだろうなと思いながら船乗り場に到着した。

まだ受付の周りに人だかりが出来ていて、俺達の方を向く人はいない。
こっそり海に飛び込めば大丈夫だろう。

泳ぐなら全裸の方がいいんだろうが、さすがに誰かに見られるかもしれないから全裸は無理だな。
受付から離れた場所に行き、ちょうど大きな船の後ろにある海を見つめた。

「いいか、行くぞ」

「あぁ、いつでも構わない」

シリウスが俺に笑いかけて、シリウスの手をギュッと握った。

そして、勢いよくほぼ同時で海に飛び込んだ。
息を止めなくていいとシリウスは言っていたがつい癖で息を止める。
目もギュッと瞑り、何も見えない。

シリウスが俺の耳元で「レイン、大丈夫だ…目を開けろ」と言われて、背中を撫でられた。
全身の力が抜けて、ゆっくりと目を開けた。
すると、そこに映った景色の美しさに呆然とした。

海の中なんて見た事がなかったが、ゴミ一つもない美しい景色なんだと俺は感動した。
コバルトブルーの海に、小さな小魚が気持ち良さそうに泳いでいる。

俺も魚になった気分で、足を動かして進む。

食べた事がある食用魚から、見た事もない綺麗な色の魚もいる。
ちょっと泳ぐのが苦だと思っていたが、これなら楽しそうだ。

「シリウス、見てみろよ!あのピンク色のワカメみたいなやつ、凄いな!」

「レイン、あれは毒性が強い…触らない方がいい」

「…そ、そっか」

シリウスに言われなかったら本当に触るところだった、危なかった。
綺麗な海の中でも危険生物はいるのは当たり前だ。

あそこにいる目つきの鋭いサメだって、獰猛な肉食だ。
近付いてくるのは人間の餌を見つけたから狩ろうとしているのだろう。

その人間の餌は俺だ、全速力で逃げる。
海の中で銃は使えないから、丸腰同然だ。

「レイン、そこは西じゃなく南だ」

「そんな事言ってる場合か!?食われるかもしれないんだぞ!!」

シリウスは俺の腕を掴んで、泳げなくなり目の前に迫るサメを見つめた。
くそっ、こうなったら俺の拳で戦うしかない!!とヤケになっていた時だった。

シリウスがサメに向かって手をかざした。
サメはシリウスに向かって一直線に泳いできていた。

サメがシリウスの手に突撃して、驚いて目を瞑る。
シリウスは強いが、これは腕の一本でもなくなっても可笑しくはないだろう。

しかし、サメから驚くべき声を聞いた。

それはまるでイルカのように「キュイキュイ」と鳴いていた。
さっきまで食べる気まんまんでギラついた瞳をしていたのに、今では借りてきた猫のようだ。

シリウスに体を擦り付けるサメの変わりっぷりを見て俺は開いた口が塞がらなかった。

「…レイン、乗れって言ってる」

「え?サメに!?無理無理無理む…」

「大丈夫だ、これに乗った方が疲れずに済む」

シリウスはそう言って、拒否する俺の脇腹に手を差し込んできた。
そして軽々と持ち上げて、サメの背に乗せられた。

イルカなら乗ってみたい気もするが、サメはいつ振り落とされて食われるか分からないから怖い!!
シリウスはサメの横に手を付くと、サメは勢いよく泳ぎ出した。
振り落とされないようにサメにしがみついて、優雅に風景を楽しんでいる余裕がなかった。

サメの高速移動にピッタリくっつけるシリウスも凄いな。
俺は恐怖となにか分からないものに押しつぶされそうな感じがしながら進んでいく。

どれくらい経っただろうか、シリウスの手がサメから離れるとサメの動きも止まった。

やっと着いたのかと、サメの揺れる動きに若干酔いながらも目の前を見た。
しかし、そこにあったのは俺の想像していたものとは違うものだった。

「シリウス、ここって…」

「砂漠地帯だ」

「えっ…さ、ばく?」

シリウスが可笑しな事を言うから、水面から顔を出した。
でもそこには、遠くの彼方まで広がる海だった。
…もしかして、場所間違えたのか?どう見ても砂漠地帯ではない。

再び海に潜るとシリウスはサメを見送っていた。

シリウスはここが目的地だって確信しているようだ。

間違ってもここが砂漠地帯だとはどうしても思えない。

「シリウス、砂漠なんて何処にもないけど」

「あるだろ…そこに」

そう言ってシリウスは目線を下に向けていた。
俺も下を見ると海底になにかがあるのが見えた。

シリウスに目線を合わせて、一緒に海底に向かって進んだ。
すると、海底に見えていたものが露わになり動かしていた手を止めた。

シリウスの言っていた事が分かり、眉を寄せる。

海底に見えたのは、かつて街があったであろう建物が並んでいた。
地面に足を付けて、周りを見渡すと当然人の気配はない。

でも、民家を覗くとつい最近まで人が住んでいたみたいに食べ物や家具などが建物の中に残されていた。
ずっと海底にあったようには思えない、海の中で過ごす生き物がいても、海の中で必要のないものもある。
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